NECエレ、2009年3月期の業績見通しを下方修正
10月29日 発表 NECエレクトロニクス株式会社は29日に記者会見を開催し、2008年度第2四半期(2008年7~9月期)および2008年度上半期(2008年4~9月期)の業績(連結)と、2008年度(2009年3月期)通年の業績見通しを発表した。同社代表取締役社長の中島俊雄氏が説明にあたった。 2008年度上半期(2008年4~9月期)の売上高は前年同期比5.0%減の3,336億円。そのほとんどを占める半導体の売上高は同4.7%減の3,184億円だった。営業損益は12億円の黒字である。前年同期は18億円の黒字を出しており、前年同期比では35%減と大幅な減益となった。税引き前損益は700万円の赤字、純損益は19億円の赤字である。四半期別の営業損益では第1四半期(2008年4~6月期)が17億円の黒字、第2四半期(2008年7~9月期)が5億円の赤字となった。
上半期の売上高を主要製品別にみると、SoC(system on a chip)製品が前年同期比0.5%減の1,278億円、MCU(マイコン)が同0.9%減の897億円、個別半導体製品が同12.4%減の1,009億円と、個別半導体の落ち込みが目立つ。なおNECエレクトロニクスの製品分類では、SoC製品は150nmプロセスや90nmプロセス、55nmプロセスによる高集積LSI(カスタム品や特定用途向け標準品など)、個別半導体製品は成熟したプロセスによるIC(ディスプレイドライバICやミクスドシグナルICなど)とディスクリート(パワーMOS FETや化合物半導体デバイスなど)を意味する。営業収支では、赤字事業だったSoCが収支トントンにかなり近付き、黒字を確実に出してきたMCUは堅調だったものの、これまで利益を出してきた個別半導体が収支トントンないしはわずかな赤字となったもようである。 上半期の売上高を応用分野別にみると、自動車および産業機器分野が前年同期比6.2%増の586億円と堅調だったものの、そのほかの分野はすべて前年同期比で減収となった。民生用電子機器分野が前年同期比5.2%減の640億円、コンピュータおよび周辺機器分野が同2.5%減の606億円、通信機器分野が同13.5%減の327億円、多目的・多用途ICが同6.9%減の442億円、ディスクリート・光・マイクロ波が同8.9%減の584億円である。 地域別の売上高は日本が前年同期比6.0%減の1,744億円、米国が同21.0%減の240億円、欧州が同3.4%減の471億円、アジア(日本を除く)が同2.0%増の881億円である。売上高比率は日本が52.3%、米国が7.2%、欧州が14.1%、アジア(日本を除く)が26.4%。営業損益は日本が45億円の赤字、米国が6億円の赤字、欧州が12億円の黒字、アジア(日本を除く)が121億円の黒字となった。 2008年度(2009年3月期)通年の業績見通しは当初、売上高6,850億円、半導体売上高6,500億円、営業利益100億円、純損益は収支トントンとしていた。しかし市場環境の急速な悪化に伴って顧客が発注を抑え始めたこと、下半期は市場環境がさらに厳しくなると予想したことから、業績見通しを下方修正した。修正後の通年の業績見通しは売上高6,600億円、半導体売上高6,300億円、営業利益10億円、純損益は80億円の赤字である。下半期と通年ともに、営業黒字の確保を目指す。 市場環境の悪化に対応すべく、下半期には緊急のコスト削減策を実行することにした。上半期に比較して、80億円のコスト削減を見込んでいる。内容は、山形における8インチ・ラインを前倒しして11月に閉鎖(従来は12月閉鎖の計画)、相模原における300mmラインを前倒しして12月に閉鎖(従来は2009年3月閉鎖の計画)、生産関連を含む固定費削減、資材調達コストのさらなる削減、研究開発費の効率的運用、などである。
NECエレクトロニクスは、2006年度に2年連続の営業赤字を記録し、大規模な事業再編を実施した。このときは半導体業界の市況は悪くなく、同社の業績不振が際立っていた。しかし2008年の今年は特に夏以降、市況の悪化が著しい。半導体ベンダーの大半が直近の業績発表では減収減益傾向となっており、海外の半導体ベンダーでは人員削減が相次いでいる。この景気後退からいつごろ抜け出せるのか。中島社長は記者会見の質疑応答で「2009年1~3月でも急には良くならないだろう」と延べていた。少なくとも2009年の春を過ぎるまでは、耐える時期となるだろう。 □NECエレクトロニクスのホームページ (2008年10月30日) [Reported by 福田昭]
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