東芝「NB100」フォトレビュー
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東芝初となるネットブック「NB100」 |
10月下旬 発売
価格:オープンプライス
9月末に発表された東芝初のネットブック「NB100」は、10月下旬に発売される予定だ。今回入手したものは試作機なので、ベンチマークなどは行わず、外観やキーボードの使い勝手などを中心にフォトインプレッションをお送りする。続報は後日お届けする予定だ。
まずスペックを見てみよう。ネットブックの基本文法に沿った構成で、CPUはIntel Atom N270(1.6GHz)、ChipsetはモバイルIntel 945GSE Express、メモリは1GB、HDDは120GB、OSはWindows XP Home Edition SP3となっている。またBluetoothとIEEE 802.11b/g無線LANを備えているので、通信環境は一部のネットブックよりも優秀だ。
本体のサイズは閉じた状態で約225×190.5×29.5~33mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は1,050gである。1kgを超えているが、重みがキレイに分散しているため、特定の箇所に重みを感じるということなく、どちらかといえばどう持ってもあまり重く感じない。ネットブックでは後発となってしまったが、その分、他機種の問題点をうまくフォローしてきたという印象だ。
黒を基調としてシルバーでアクセントをつけたデザインは、落ち着きがあっていい | 実測では1,036gだった |
光沢処理がなされた液晶は8.9型ワイドで、解像度は1,024×600ドット、パネルはLEDバックライト方式の「Clear SuperView液晶」を採用している。今まで見てきたネットブックの中で一番キレイだと感じた。「Clear SuperView液晶」はQosmioシリーズ以外のノートで使用されているものと同じで、長年のノート開発で得たノウハウの結晶と思わせてくれる高級感がある。店頭でdynabookを見てもらうとわかるのだが、とても視認性と発色がいいのだ。また光沢処理されているので反射が気になるところだが、低反射処理もされているので正面から見た限りでは、あまり映り込みは気にならなかった。当然のことながら光源の近くでは映り込むが、見てて気持ちの良い発色とのトレードオフで許せてしまう。
直上に6本の蛍光灯がある状態だが、視認性はほとんど損なわれない | 低反射なのだが角度によっては見事に映り込みを起こす。筆者の手が映り込んでいるのがわかると思う | 小さい文字も見やすく、また発色もいい。もっとも見る部分だけに、キレイなのはとてもうれしい |
天板はネットブックでもトレンドになりそうな高級感溢れる光沢仕上げで、かなりテカテカしている。指紋がすぐに付いてしまうが、2~3回拭けば消えるのであまり問題はないと思う。国内版は「コスミックブラック」のみ。理由は不明だが、欧州版のように「ブライトシルバー」「シャンパンゴールド」はもちろん、そのほかのカラーリングも用意してほしいと感じた。
撮影用のライトもしっかりと映り込むほどテカテカしているが、ケバケバしくない | 背面は天板とは対照的で、つや消しに滑り止めの処理がなされている。この処理も国産らしく雑ではなく、きめ細かくて好印象 |
またシルエットは凸字のようでかなり特徴的だ。出っぱっている部分はリチウムイオンバッテリで、駆動時間は2.9時間。3時間台の駆動でも短いと言われやすいので、なかなか難しい駆動時間である。タイミング的に省電力モードで駆動時間を延ばすなどの処理は期待できないので、次への課題といったところだ。また電源アダプタも大きめで、コストパフォーマンスをアップさせるために、既存のノート用を流用したと思われる。
バッテリが出っぱっている特徴的なシルエット | バッテリが大型なのが特徴的なシルエットの原因である | バッテリは実測で211g |
バッテリのサイズは、実測139.01×53.32mm(幅×奥行き) | 実測322gで、ネットブックの電源アダプターでは重い部類に入る。こちらも軽量化を期待したい |
この独特のシルエットが生まれた秘密は片手持ち時のホールド感は抜群というところにあるかもしれない。他のネットブックの場合、手のひらに載せるくらいしかできないが、NB100はバッテリ部分をしっかりと掴むことができるのだ。そのため、片手持ちでの打鍵はかなりやりやすく、長めの文章も苦ではなかった。ちょっとスタンディングでメールを確認して返信といった動作ならば、ストレスなくスイスイと行なえる。ただ、バッテリの固定はそれほど強固ではないので、想定されていない使い方なのかもしれない。可能であれば強化してほしい部分だ。
出っぱってるバッテリがちょうど取っ手となるため、片手持ち時のホールドはかなり安定する。写真でも自然に保持しているのがよくわかると思う |
キーボードを見てみよう。これも8.9インチワイド液晶搭載ネットブックの基本文法に沿った作りで、84キーの日本語配列、A~Zなどのキーは大きく、使用頻度が低いと判断されたキーは小さくなっている。A~Zなどのキーの幅は実測で15.40mm、それ以外の小さいキーは10.94mm。縦幅は12.87mm、キーストロークは約1.5mmで打鍵感はイイ感じだった。背面のパネルの仕上がりがよく、打鍵感を意識してのデザインが伝わってくるのだ。
標準的なレイアウトの84キー日本語配列キーボード | A~Zなどのキーの幅は実測15.40mm | 使用頻度が低いキーの幅は10.94mm |
キー縦幅は12.87mm | この状態から角度を浅くしていくと、キーの印字が見えにくくなった |
気になったのは、印字の薄さである。試作機であるからかもしれないが、ファンクション回りは明るい色でわかりやすいのだが、ひらがなや英数、記号の印字の視認性は角度によってガクンと落ちてしまうのだ。タッチタイプが得意でない人は事前にいろいろな角度からキーボードを見ておくといいだろう。
タッチパッドの横幅は実測46.06mmなのだが、まだ左右に余裕がある。インジケーターがクリックボタン直下にあるため面積が取れなくなったからだろうか | 縦は30.75mm。こちらは縦幅を可能な限り活用している |
東芝初のネットブックは後発となったが、キレイにツボを押さえた作りとなっている。とくに液晶の仕上がりがよく、打鍵感も心地よく、クオリティの高いマシンであることは間違いない。また全体的に作りがしっかりしていて、受ける安心感はなかなかのものだ。
ネックは想定価格6万円台後半であるところだが、オープンプライスなので、年末にかけてほどよい値段に落ち着くのではないだろうか。低価格路線が当たり前となったネットブック戦線では「国産という安心感」で約1万円の溝を埋めるのは難しいと思うが、国産ならではのサポート体制を付加価値での善戦に期待したい。またライバルとなるEee PC 901-XやInspiron mini 9、Aspire oneと見比べ、ユーザーがどのようなジャッジを下すのか楽しみなところである。
□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2008_09/pr_j2902.htm
□製品情報
http://www3.toshiba.co.jp/pc/catalog/nb/080929nb1/
□関連記事
【9月29日】東芝、同社初のネットブック「NB100」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0929/toshiba1.htm
【10月20日】東芝製ネットブック「NB100」、発売前に値下がり
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/1020/toshiba.htm
ネットブック/UMPCリンク集(東芝)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/link/umpc.htm#toshiba
(2008年10月21日)
[Reported by 林 佑樹]