発売中 価格:「SHD-NSUM120G」50,400円
先日、速報の形でお届けした、バッファローの格安SSD「SHD-NSUM120G」だが、その後、比較用のSSDが手元に届くとともに、SHD-NSUM120G自体も複数入手したので、改めてパフォーマンスをチェックするとともに、RAID環境でのパフォーマンスも検証してみた。 ●本体サイズは、やはり大きい
さて、SHD-NSUMシリーズ発売後、購入したユーザーの間で、ある問題が指摘されている。 それは、本体サイズが2.5インチHDDよりも若干大きく、場合によってはノートPCに取り付けるのが難しい場合がある、というものだ。前回の記事でも、2.5インチHDDよりも若干厚いように見える、と書いたが、今回はデジタルノギスを使って本体サイズをきちんと計測してみることにした。 ノギスを使った計測値は、幅が100.18mm、奥行きが70.62mm、厚さが9.80mm(すべて最も大きな部分)であった。今回は手元に3台あったので、全ての個体で計測してみたが、0.05mm前後の違いはあったものの、どれもほぼ同じ値であった。この計測値を、9.5mm厚の2.5インチHDDの規定値(幅100mm×奥行き70mm×厚さ9.5mm)と比較すると、幅は約0.18mm、奥行きは約0.62mm、厚さは約0.30mmと、どれも誤差とは言えないほど大きくなっている。 ちなみに、実際にWestern Digital製の9.5mm厚2.5インチHDD「WD2500BEVS」のサイズも計測してみたところ、幅が100.37mm、奥行きが69.87mm、厚さが9.48mmと、幅がやや大きかったものの、奥行きと厚さは規定内に収まっていた。 このサイズの差が影響を及ぼす程度は、取り付ける機器側によって変わってくるとは思うが、実際にはかなり多くの機器で影響がある。たとえば、筆者が利用している富士通「FMV-BIBLO MG/A75N」では、取り付けること自体に大きな問題はなかったが、固定用金具が取り付けづらかったり、ベイに遊びができずに、軽く力を入れて押し込む必要があるなどの影響が見られた。また、こちらで紹介されているように、レノボ「ThinkPad T61」ではHDDベイに物理的に入らないという、かなり大きなトラブルが発生している。これ以外のノートPCや2.5インチHDD用の外付けケースでも、物理的に取り付けられないというトラブルが発生する機器が存在する可能性は十分考えられる。 9.5mm厚の2.5インチHDDの規定サイズが実現されていれば、当然こういったトラブルが発生することはない。SHD-NSUMシリーズはノートPCのHDD交換用として位置付けて販売されているのだから、これは大きな問題だ。バッファローには、本体の再設計も含めた対策を早急に検討してもらいたい。
●最新のベンチマークテストで再検証 先日の速報記事では、手元に比較用のSSDがなかったために、過去の測定結果と比較できるように、「CrystalDiskMark 2.1.6」を利用してベンチマークテストを行なったが、今回は、比較用のSSDが入手できたため、最新の「CrystalDiskMark 2.2.0」を利用し、改めてテストを行なった。加えて、3台のSHD-NSUM120Gが入手できていたため、SHD-NSUM120GをRAID環境で利用した場合にどの程度のパフォーマンスが発揮されるのか、という点についても検証してみることにした。 ちなみに、新たに入手したSHD-NSUM120Gも、標準ではFAT32でフォーマットされた領域が確保されていたが、今回はNTFSで領域確保し直した状態でのみテストを行なった。また、RAID環境は、ICH9Rが持つSATA RAID機能を利用して構築した。 テスト環境は下に示したとおりだ。また、利用したベンチマークソフトは、CrystalDiskMark 2.2.0と、HD Tune 2.55だ。また、今回はRAID環境でのテストも行なうということで、起動用HDDとしてWindows XP Professional SP3を新規にインストールしたパラレルATA HDDを用意し、そちらでOSを起動してテストを行なっている。 テスト環境CPU:Core 2 Quad Q8200 メモリ:PC2-6400 DDR2 SDRAM 4GB マザーボード:MSI P35 Platinum ビデオカード:Radeon HD2400 PRO OS:Windows XP Professional SP3
まず、単体でのパフォーマンスだが、前回の結果よりもリードのパフォーマンスが若干向上しているものの、大きな差というわけではなく、ほぼ同等の結果が出ていると考えていいだろう。また、比較用として用意したSUPER TALENT製120GB SSD「FTM20GK25H」(ファームウェアRev.2)と、OCZ製120GB SSD「OCZSSD2-1C128G」の結果との比較にも大きな変化は見られない。利用されているコントローラやNANDフラッシュメモリは同じだが、SHD-NSUM120Gのほうがパフォーマンスに優れることが、今回のテストでも確認できた。 ●ベンチマーク結果 「CrystalDiskMark 2.2.0」
「HD tune 2.55」
●3台を利用したRAID 0で、リード362MB/s、ライト240MB/sを記録 次に、RAID環境でのテストだ。こちらは、SHD-NSUM120Gを2台利用してRAID 0環境を構築した場合と、3台を利用してRAID 0環境を構築した場合でテストを行なった。また、ストライプサイズは、4KB、8KB、16KB、32KB、64KB、128KBの6通りを試している。利用したベンチマークソフトは、CrystalDiskMark 2.2.0で、全てデータサイズ100MBで測定した結果だ。 結果を見ると、2台の場合にシーケンシャルリード最大312MB/s、シーケンシャルライト最大182MB/s、3台の場合にシーケンシャルリード最大362MB/s、シーケンシャルライト最大240MB/sと、単体を大きく凌駕する速度が計測された。また、512KBのランダムリードおよびランダムライトの結果も、単体を大きく上回っている。それに対し、4KBのランダムリードおよびランダムライトは、単体時との比較で大幅な向上は見られなかった。 今回の結果を見る限り、SHD-NSUM120Gを利用したRAID 0環境では、ストライプサイズを小さくするほど、リード性能はシーケンシャル・ランダムともに向上していることがわかる。それに対しライト性能はやや様子が異なっている。シーケンシャルライトは、ストライプサイズによって大きく速度が落ち込む場合があったり、512KBのランダムライトはストライプサイズ128KBが突出して高速になるなど、やや変わった傾向が見られた。ただ、RAID 0環境を構築するのは、シーケンシャルアクセス性能を追求するためだと思うので、基本的にはストライプサイズを4KBに設定して利用するのがいいだろう。
●本体の大きさがネック。早期の改良を望む SHD-NSUM120Gは、オンラインショップなどを中心に、すでに実売価格が38,000円前後にまで下がっており、容量120GBのSSDとしては突出した安さとなっている。しかも、これだけ低価格にも関わらず速度も十分高速で、非常に魅力の大きなSSDだ。コストの点でこれまでSSDになかなか手を出せなかった人でも、この価格であれば試してみようと思えるのではないだろうか。また、デスクトップPCでRAID 0環境を利用した非常に高速なストレージ環境を実現したい人にとっても、SHD-NSUMシリーズの価格の安さは大きな魅力となるはずだ。 ただそれだけに、本体サイズが若干大きく、9.5mm厚の2.5インチHDDとの交換時に、一部のノートPCで物理的に取り付けられない場合があるという点は非常に残念だ。繰り返しになるが、ノートPCのHDDからの交換用として販売されている点から考えても、非常に大きな問題であり、早急な改善を期待したい。
□バッファローのホームページ (2008年10月8日) [Reported by 平澤寿康]
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