発売中 価格:「SHD-NSUM120G」50,400円 バッファローから、2.5インチHDDサイズのSSD「SHD-HSUM」シリーズが発売された。容量30GBの「SHD-NSUM30G」、容量60GBの「SHD-NSUM60G」容量120GBの「SHD-NSUM120G」の3モデルが用意されているが、今回はその中から容量120GBのSHD-NSUM120Gを入手したので、パフォーマンス面などを速報の形でお伝えする。 ●圧倒的な低価格を実現
SHD-NSUMシリーズの特徴は、なんと言ってもその販売価格の安さだ。ここ数カ月で、SSDの価格は大幅に下落し、以前に比べると入手性は格段に向上しているが、SHD-NSUMシリーズの安さは群を抜いている。 メーカー希望小売価格は、容量30GBのSHD-NSUM30Gが16,800円、容量60GBのSHD-NSUM60Gが33,600円、容量120GBのSHD-NSUM120Gが50,400円、実売価格では最大容量のSHD-NSUM120Gで40,000円前後である。まさに、暴落と言ってもいいほどの安さである。 しかも、これだけの価格の安さにも関わらず、パフォーマンスにも優れているとされている。ただし、パッケージには、Windows XPの起動時間が約30%短縮されると書かれているものの、具体的な速度は示されてない。この点については、後ほどベンチマークテストで検証したいと思う。 ●USB 2.0コネクタを搭載し、HDD複製ソフトも標準添付 SHD-NSUMシリーズは、2.5インチ/9.5mm厚のHDDと同サイズのSSDだ。製品の位置付けは、ノートPCの内蔵HDDの交換用とされており、バッファローの交換用HDD製品同様に、データ転送ソフトが付属している。付属ソフトは、「Acronis True Image LE」や「Acronis Migrate Easy」などで、別途ソフトを用意することなくHDD交換時の複製やデータ転送が容易に行なえるように配慮されている点は嬉しい。 また、SHD-NSUMシリーズの価格面に次ぐ特徴となるのが、接続インターフェイスとしてSATA 2.5に加え、USB 2.0コネクタを標準で搭載する点だ。USBケーブルを利用してPCと接続すれば、SHD-NSUMシリーズをUSB HDDとして利用できる。USB接続時にはバスパワーで動作するので、別途電源を取る必要もない。 これまで、ノートPCのHDDを交換する場合には、別途SATA-USB変換アダプタを用意して交換用HDDを接続したり、ノートPCからHDDを取り出し、交換用HDDとともにデスクトップPCに接続するなどして、HDDの複製やデータ転送を行う必要があったが、SHD-NSUMシリーズなら、そういった手間も一切かからない。USBコネクタの付いたSSDはSHD-NSUMシリーズが初ではないが、利便性を考えると、今後はSSDの標準仕様になってもいいのではないだろうか。
●シーケンシャルリード160MB/sec、シーケンシャルライト92MB/secを記録 では、パフォーマンスをチェックしていこう。今回は、ベンチマークソフトとして、「CrystalDiskMark 2.1.6」と、「HD Tune 2.55」を利用した。CrystalDiskMarkは、すでにバージョン2.2が登場しているものの、今回は比較用のSSDが手元になかったため、Intel製SSD検証時の結果との比較が行なえるように、あえて2.1.6を利用した。テスト環境は下に示すとおりである。 【テスト環境】CPU:Core 2 Quad Q8200 メモリ:PC2-6400 DDR2 SDRAM 4GB マザーボード:MSI P35 Platinum ビデオカード:Radeon HD2400 PRO OS:Windows XP Professional SP3 結果を見ると、シーケンシャルリードで160MB/sec、シーケンシャルライトで92MB/secが記録されている。これは、Intel製SSDには劣るものの、直接のライバルに相当する、SUPER TALENT製120GB SSD「FTM20GK25H」(ファームウェアはRev.2)や、OCZ製120GB SSD「OCZSSD2-1C128G」を上回る数字だ。また、ランダムリードおよびランダムライトの結果では、512KBのランダムライトの結果こそFTM20GK25HやOCZSSD2-1C128Gを若干下回っているものの、その他の結果はことごとく上回っている。
ただし、今回利用したSHD-NSUM120Gは、標準でFAT32でフォーマットされた領域が確保されていたため、NTFSでフォーマットした状態で計測した他のSSDとの比較としては不適切だろう。そこで、一度領域を開放し、NTFSで領域を確保した上で再度ベンチマークテストを行なってみた。すると、リードの値が幾分か下がったものの、それでもまだFTM20GK25HやOCZSSD2-1C128Gの値を上回っている。 CrystalDiskMarkだけでなく、HD Tuneの結果も、Transfer RateのMinimumが109.4MB/sec、Maximumが148.8MB/sec、Averageが135.2MB/secと、ほぼ同じような傾向となっている。FTM20GK25HやOCZSSD2-1C128Gとの比較では、Transfer Rateが上回っているのに加え、データ転送速度の落ち込みの発生する間隔が拡がっていたり、アクセスタイムが0.2msと短くなっていることがわかる。 ちなみに、USB接続時のパフォーマンスも同様に測定しておいた。こちらは、USB 2.0がボトルネックとなり、大幅に速度が落ちているが、USB接続のHDDとして考えると十分な速度が出ていると考えていい。これなら、ノートPC内蔵用としてだけでなく、一般的なUSB HDDとしての利用でも十分な魅力がある。 ●ベンチマーク結果 「CrystalDiskMark 2.1.6」
「HD tune 2.55」
●ベンチマーク参考データ
●内部の仕様はFTM20GK25HやOCZSSD2-1C128Gと同じ ベンチマークテストの検証で、FTM20GK25HやOCZSSD2-1C128Gとの比較を強調しているが、それにはわけがある。今回利用したSHD-NSUM120Gは編集部で購入したものなので、分解して内部の基板を見てみたのだが、利用されているコントローラがJMicronの「JMF602」、NANDフラッシュメモリがSamsung製のMLCタイプ「K9HCG08U1M-PCB0」を16個と、内部の構成がFTM20GK25HやOCZSSD2-1C128Gと全く同じだったからだ。つまり、仕様がほとんど同じにも関わらず、パフォーマンスは上回っているのである。 FTM20GK25Hでは、ファームウェアがRev.1からRev.2に変更されてパフォーマンスが向上したことを覚えている方も多いはずだ。それと同じように、SHD-NSUM120Gでは、さらに改良の施されたファームウェアが導入されているものと考えていいだろう。逆に言えば、FTM20GK25HやOCZSSD2-1C128GでもSHD-NSUM120Gと同等のパフォーマンスを発揮できる可能性が高く、こちらも仕様変更でパフォーマンスが向上することになるかもしれない。
以上のように、SHD-NSUM120Gは、実売価格35,000円前後と、非常に安価に販売されているにも関わらず、MLCタイプのNANDフラッシュメモリを採用する他のSSDを凌駕するパフォーマンスが発揮されていることが確認できた。しかも、USBコネクタが用意されるとともに、HDD複製ソフトも標準添付され、使い勝手に優れている点もあわせ、非常に魅力の高い製品と言える。Intel製SSDのパフォーマンスには及ばないものの、価格差を考えるとその差も十分納得できるはずだ。 SHD-NSUMシリーズの登場によって、SSDの価格がさらに下落する可能性が高く、SSDの魅力もどんどん向上していくことになるだろう。今後の展開からますます目が離せなくなってきた。 □関連記事 (2008年10月2日) [Reported by 平澤寿康]
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