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【特別企画】台湾ネットブック開発者インタビュー GIGABYTE編
〜機能性を求めるユーザー向けの仕様と拡張性の高さを実現

G-StyleはGIGABYTE本社と同じビルに居を構える


GIGABYTE M912X

 ネットブック開発者インタビューの第2回目は、GIGABYTE TECHNOLOGYの子会社でノートブックの開発/製造を受け持つG-Styleで、製品・マーケティング担当ディレクターのRobert Lee氏と、マーケティング担当のBrendon Lo氏に話を伺った。

 GIGABYTEもMSI同様、ノートブック市場における立場はやや低く、一般向けのノートブックは他社からODM提供をうけている。しかし、同社初のネットブックである「M912X」については、自社で開発を行なっている。

●タッチパネルありきで始まった開発

Q 日本ではM912X発表時のリリースに、ネットブックではなくUMPCという表現がなされていますが、これはネットブックとはとらえていないのでしょうか。

Robert Lee氏

Lee氏 いえ、我々もこの製品はネットブックの1つであると考えています。

Q 開発に当たってはどのようなことを念頭に置いたのでしょうか。

Lee氏 まず利用シーンについて考えました。ネットブックは気軽に手で持てるサイズです。このサイズではタッチが使いやすいと考えました。また、ネットブックの主用途であるネットブラウズについても、細かなマウス作業がいらないので、やはりタッチが便利だと考えました。続いて、タッチスクリーンを搭載させるなら、コンバーチブルであることが良いと言うことになりました。

Q でも、MicrosoftやIntelの規定では、少なくとも開発当初はタッチパネルは認めていませんでしたね。

Lee氏 その通りです。我々は2007年第4四半期からこの製品の開発に取り組みました。そして、Microsoftとの長い協議の中で、ネットブックにタッチスクリーンを搭載する必要性を理解してもらったのです。Microsoftの当初の規定は10.2型以下で非タッチスクリーンでしたが、今ではタッチスクリーンを認め、サイズも12型まで許容しています。

Brendon Lo氏

Lo氏 Intelについては、パネルサイズを10.2型以下と規定していますが、その種類までは制限していません。Intelも、あまり規定でがんじがらめにしてしまうと、製品の多様化が損なわれることを認識しており、みなさんが思ってるほど細かなハードウェアスペックについては制約がないのです。

Q 発売が他社よりやや遅かったのは、Microsoftが規約を変更するのを待ったためでしょうか。

Lee氏 いえ、単純に開発に時間がかかったのです。

Q ネットブックの液晶の解像度はほとんどが1,024×600ドットである中、1,280×768ドットを選んだのはどういう理由でしょう。

Lee氏 Atom N270とIntel 945GSE Expressチップセットの組み合わせでは、720p動画の再生が可能です。それを等倍サイズで表示させるため、この解像度を選びました。ただし、新興市場など価格要素が重要視される地域については、1,024×600ドットのパネルも搭載させています。ただし、これもタッチパネルです。

Q ネットブックについて一番重要なのは、価格、重量、本体サイズ、スペック、デザインなど、何だと考えますか。

Lee氏 スペックだと思います。その結果、我々は他社にないコンバーチブルタッチスクリーンという仕様にたどり着きました。また、使い勝手についても、HDD容量が160GBある点、本体底面のふたを開けると、メモリやHDDなどに簡単にアクセスできる点、ExpressCard/34スロットがある点なども他社にはない特徴です。ExpressCard/34スロットは、無線WANモジュールに好適です。USBのアダプタもありますが、アダプタ全体が筐体の外に出るので、便利ではありません。ExpressCard/34スロットなら、ほとんどが本体内に入ってしまいます。

バッテリを取り外すと、液晶のヒンジ部分が大きくせり出している 底面のふたを開けると、取り外し可能なモジュール/パーツすべてにアクセスできる。左上がmini Card、その下が、SO-DIMM、その右がmini Card 2。黒いところにはHDDが載る HDDはネジ止め用のカバーに覆われる

●価格ではなく機能性で競争

Q 日本でのM912Xの価格は79,800円と、他社製品が59,800円であることを考えると、やや高いと思います。

Lee氏 確かに他社製品は299〜499ドルの価格帯になっています。しかし、我々の市場における立場を考えると、同じ価格帯で同じような機能の製品を作っていては、太刀打ちできません。そのため、ニッチで良いものを作ることを目指しました。他社にない機能があれば、多少価格は高くてもユーザーに選ばれると信じています。

Q 本製品の中でもっともコストがかかっているのは、どのあたりなのでしょう。

Lee氏 まず、タッチパネルと液晶のヒンジ部分です。それから底面に取り外せるふたをつけたことも、ややコストがかかりました。このほか、ExpressCard/34スロットのスペースを確保したり、160GB HDDを選んだこともコストに影響しています。

Q 例えば低解像度パネルや、Linux、容量の小さいHDDを使って低価格化したモデルを日本で発売することは考えていますか。

Lee氏 日本では機能性の方が重視されると考えているので、機能を削ったモデルを出す予定はありません。

Q 本製品の重量は1.3kgとやや重めです。

Lee氏 確かに1kgを切ることができたら魅力的だとは思います。しかし、構造上の理由からやや重くなってしまいました。おおよそですが、タッチスパネルが50g、ヒンジが80g、底面にふたをつけたことで剛性を確保するために70g、と200gほど占めています。ただ、機能性は増しており、このトレードオフはユーザーに納得してもらえるレベルだと考えています。

Q 本製品のマザーボードに何か特徴はありますか。

Lee氏 基本的にはIntelのデザインガイドに基づいていますが、いろいろな最適化を施しています。Atomは2.5Wしかありませんが、ノースブリッジはこれよりもずっと熱いです。いろいろとシミュレーションを行ない、結果、ノースブリッジとCPUをヒートパイプで結び、ノースブリッジ上にファンを設けました。ファンの数は1個で、CPUはパッシブで冷やしています。基板は6層です。また、PCI Expressのmini Cardスロットを2基設けました。日本モデルでは1つを無線LANに使っています。その他の地域ではさらにTVチューナモジュールを搭載しています。このモデルではスタイラスを収納する部分にアンテナをつけています。日本では携帯電話のワンセグが普及しているので、日本向けにはチューナ搭載は今のところ考えていません。

Lo氏 ファンの音はかなり静かに抑えられており、普段はファンの音に気づかないほどです。

M912Xのマザーボードのモジュール類が載る面。筐体の底面積と同じくらいのサイズがあるのが分かる CPUやチップセットが載る面 この面にある空きパターンはNANDフラッシュ用

Q システム全体の消費電力は何Wでしょうか。

Lee氏 最大負荷時で32W、平均は9Wです。

Q もっとも電力を消費しているデバイスは何でしょうか。

Lee氏 ノースブリッジですね。これが10W消費しています。

Q マザーボード上に1カ所大きな空きパターンがありますね。

Lee氏 それはNANDフラッシュ用です。2つのメモリチップとコントローラを載せられます。ただし、製品では採用しませんでした。

Q COMPUTEXでは、いくつかのカラーバリエーションのものが展示されていました。

Lee氏 はい、まず最初は黒地に四角の模様の入ったメトロポリタンと呼ばれる天板を出しました。この後、黒一色のもの、カラフルなもの、金色などを予定しています。

カラーバリエーションの1つ M912Xはタブレット型にもなるコンバーチブルタイプなので、ペンタッチ機能を持つVistaを載せる方が面白いかもしれない

Q 同じくCOMPUTEXでは、Windows Vistaを搭載したものをデモしていました。

Lee氏 我々は当初、Windows Vista搭載を検討していました。我々の検証では、本製品におけるWindows Vistaでの起動時間は1分10秒とWindows XPよりも早く、性能も良いものでした。しかし、最終的にはコストの問題からWindows XP Home Editionを選択しました。ただし、Windows Vistaのドライバは我々のサイトで配布しているので、ユーザーが自己責任でインストールすることは可能です。

●2009年第1四半期に10.2型モデルを予定

Q エコシステムやアクセサリを強化する計画はありますか。

Lee氏 そういう要望は頂いているので、検討はしています。

Q 無線WANの搭載予定はありますか。

Lee氏 mini Cardスロットがあるので可能でありますが、直近では予定はありません。

Q 6セルバッテリの発売予定はありますか。

Lee氏 12月頃に出す予定です。これは筐体の後ろ側に出っ張る形状になっています。

Q 今後のラインナップ展開を教えてください。

Lee氏 ひとまず2009年第1四半期に10.2型モデルを予定しています。これもタッチパネルです。液晶が大きくなることでキーボードも打鍵しやすいものに変わります。

Q デュアルコアAtomの搭載予定はありますか。

Lee氏 前向きに検討しています。

Q Nanoの搭載予定はありますか。

Lee氏 VIAのプロセッサについては注意深く見守っていくといったところです。可能性は大きくはありません。ただし、12型以上の製品を出すとなると、Intelは許容していないので、Nano採用の可能性は大きくなるでしょう。

Q 他の台湾メーカーに比べて、GIGABYTEは日本でのマーケティングが弱いように見えます。

Lee氏 おっしゃる通りです。しかし、日本では国内大手メーカーの勢力が強すぎて、我々には競争するのは困難です。この製品のように他社にないもので、こつこつと着実にやっていきたいと思っています。販路については、ツクモとノジマ電気で販売していきます。

Q ありがとうございました。

 このように、GIGABYTEはネットブックにおいて、価格競争は避け、機能面での違いを打ち出すことに勝算を見いだしている。また、タッチパネルにだけ目が行きがちだが、拡張性やメンテナンス性においてもネットブックではトップクラスであることが分かる。マザーボードやビデオカードと比べると、ノートブックやネットブックではまだまだ市場での認知度が低いため、他社がやらないことをすることで、地道に実績を積み上げていく必要があると、自分自身を冷静に分析しているようだ。

 日本ユーザーから見ると、AcerもGIGABYTEも同じような台湾メーカーと映るかもしれないが、Acerは現在、ノートブックでは世界第2位のPCメーカーで規模も資金力も異なる。結果として、現在日本では多くの量販店の店頭でAcer製品をみかけるが、GIGABYTE製品があまり見られないのはそういう事情がある。

 できることならもう少しだけ低価格化してもらいたいところだが、他社にない機能を実装することは、GIGABYTEにとって差別化のポイントとなるだけでなく、今後もますます製品数が増えるであろうネットブック市場全体においても、話題性や活性化の点で評価できるだろう。

□GIGABYTE TECHNOLOGYのホームページ(英文)
http://www.gigabyte.com.tw/
□製品情報
http://www.tsukumo.co.jp/gigabyte/note/M912X.html
□関連記事
ネットブック/UMPCリンク集(GIGABYTE)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/link/umpc.htm#gigabyte
【9月17日】【特別企画】台湾ネットブック開発者インタビュー MSI編
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0917/netbook01.htm

(2008年9月24日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

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