富士通 「FMV-BIBLO LOOX U/B50N」
〜565gのAtom搭載コンバーチブル型UMPC




富士通「FMV-BIBLO LOOX U/B50N」

発売中

価格:オープンプライス



 富士通のコンバーチブル型UMPC「FMV-BIBLO LOOX U」に新モデルが登場する。従来モデルは、インテルが提唱するUMPCプラットフォーム「Intel Ultra Mobile Platform 2007」に準拠した仕様となっていたが、今回新たに登場した「FMV-BIBLO LOOX U/B50N」(以下LOOX U/B50N)では、CPUにAtomプロセッサ、チップセットにPoulsbo(コードネーム)を採用する、Centrino Atom準拠のプラットフォームへと変更されている。

 今回、いち早くLOOX U/B50Nを試用する機会を得たため、仕様面を中心に紹介していこう。ただし、今回試用したLOOX U/B50Nは開発途上版であったため、ベンチマークテストは行なっていない。また、一部製品版と仕様の異なる部分がある可能性もあるため、あらかじめご了承いただきたい。

●Centrino Atom準拠に進化

 冒頭で紹介したように、LOOX U/B50Nは、従来のIntel Ultra Mobile Platform 2007から、Centrino Atom準拠のプラットフォームへと変更されている。そのため、LOOX U/B50Nは、以下に示す条件に準拠した仕様となっている。

  1. Atomプロセッサ
  2. Poulsboチップセット
  3. 何らかのワイヤレス(Intel製で無くても可)
  4. バッテリ
  5. 液晶サイズが6型以下/マシン外枠が7型以下のフォームファクタ

 では、細かく仕様を見ていこう。ちなみに、LOOX U/B50Nは、富士通の直販サイト「富士通 WEB MART」で販売されるカスタムメイドモデルで、仕様はユーザーが自由に変更できるため、ここでは試用機のスペックを紹介しつつ、カスタムメイドモデルで変更できる点もあわせて紹介していこう。

 まず、搭載されているCPUおよびチップセットは、Centrino Atom準拠ということで、1.60GHz動作のAtom Z530(1.6GHz)およびPoulsboとなる。メインメモリは、Poulsboが対応する上限の1GBをオンボードで標準搭載する。

 ワイヤレス機能は、試用機ではIEEE 802.11 a/g/n対応の無線LAN機能を搭載(コントローラはAtheros AR928xを採用)していたが、カスタムメイドモデルでは無線LAN機能を省くことも可能。また、ワイヤレスWANを搭載するモデルも用意される。

 ワイヤレス機能は、無線LANやワイヤレスWANに加え、Bluetoothも搭載されるが、こちらは全モデルに標準搭載される。

 内蔵ストレージは、1.8インチHDDまたはSSDが選択可能となる。1.8インチHDDでは60GB/80GB/120GBの中から、SSDでは64GBをそれぞれ選択できる。試用機では60GBの1.8インチHDDが搭載されていた。

 本体サイズは、フットプリントが幅171mm×奥行135mmと、非常にコンパクト。従来モデルと比較して奥行が2mm増えているものの、ほとんど同じと考えていいだろう。DVDパッケージの横幅を若干短くした程度のサイズだ。厚さは、26.5mm〜33.0mmと、こちらも最厚部が1mm厚くなっているが、従来モデルとほとんど同じと考えていい。

 重量は、標準バッテリ(容量2,900mAh)利用時で約562g(実測値)と、従来モデル同様非常に軽量で、携帯性は一切損なわれていない。ちなみに、容量が2倍(5,800mAh)の内蔵バッテリパック(L)を利用した場合には、奥行きが若干増え、重量も約663.5g(実測値)と100gほど重くなるが、これでも1kgを大きく下回っており、優れた携帯性はほとんど損なわれない。

本体天板。ツヤのあるブラックで、筋状の模様が施されている 液晶パネルを180度回転し、ピュアタブレットスタイルとしても利用できる フットプリントは幅171mm×奥行135mm。DVDケースよりもやや幅が短く、非常にコンパクトだ
標準バッテリ搭載時の重量は、実測値で562g。従来モデルよりも軽量化されている 内蔵バッテリパック(L)搭載時には、奥行きが若干伸び重量も増えるが、それでも重量は実測値で663.5gしかなく、携帯性は抜群だ バッテリ。下が標準の内蔵バッテリパックで、上が内蔵バッテリパック(L)だ
本体底面。端子類はなく、すっきりとしている 底面のフタを開けると、CPU冷却用のファンとHDDが見える。HDDは1.8インチで、最大120GBまで搭載可能。ファンの下にはMini PCI Expressスロットがあるが、試用機では何も取り付けられていなかった

●WXGA表示対応の5.6型タッチパネル液晶を搭載

 液晶パネルは、表面にタッチパネルを搭載する5.6型液晶で、従来モデルと同じ大きさのものを採用している。液晶パネル部が180度回転してピュアタブレットマシンとしても利用できるコンバーチブルスタイルとなっている点も同様だ。ただし、LOOX U/B50Nの液晶パネルは、従来モデルから大きく変更されている点がある。それは、解像度がWXGA(1,280×800ドット)表示に対応しているという点だ。

 従来モデルの液晶パネルは、表示解像度がWSVGA(1,024×600ドット)だったが、サイズはそのままに高解像度化を実現している。ここで気になるのが、表示される文字などのサイズだが、実際にWindowsデスクトップを表示させて感じたのは、やはり文字がかなり小さく見づらいというものだった。

 従来モデルの液晶パネルのドットピッチは0.120mm。それに対しLOOX U/B50Nの液晶パネルのドットピッチは、0.094mmしかない。そのため、全角の文字1個の大きさが1mm×1mmほど(実測値)と非常に小さくなってしまう。最近多数登場しているUMPCの液晶パネルと比較しても、文字の視認性はかなり厳しいと言わざるを得ない。小さな文字が苦にならないという人でも、ここまで文字が小さいとかなりつらく感じるはずだ。

 とはいえ、解像度が高いこともあり、フォントサイズを大きくしても使い勝手が大きく損なわれることがない。実際に、フォントサイズを120DPIに変更して使用してみたが、文字の視認性が大幅に向上して快適に使えるようになったし、画面の窮屈さを感じることもない。もちろん、WXGAの高解像度をフルに活用することはできなくなるが、視認性と使い勝手を両立できるという点からも、フォントサイズを大きくした方が快適に利用できると言っていいだろう。

 ところで、液晶パネルの表示品質は、従来モデル同様かなり優れている。パネル表面にタッチパネルが配置されているとは思えないほど発色に優れ、LEDバックライトによる輝度の高さも含め、表示品質に不満を感じる部分はほとんどない。

 また、タッチパネルに関しても、付属のペンを使った操作だけでなく、指での操作も軽快に行なえる。ただし、こちらも標準のフォントサイズでは文字サイズが非常に小さいため、とくに指での操作はかなり厳しい。タッチ操作を軽快に行なうという意味でも、やはりフォントサイズは大きくして使った方がいいだろう。

液晶パネルは、5.6型のスーパーファイン液晶で、解像度はWXGA(1,280×800ドット)と非常に高解像度だ パネル表面にはタッチパネルが取り付けられているが、優れた発色で表示品質は申し分ない 液晶パネルは180度回転させ、ピュアタブレットスタイルとしても利用できる。この時、自動的に表示の天地が入れ替わる
液晶右上には、タッチ操作用のペンが収納されている ペンは伸ばして利用することが可能 5.6型と小型ながらWXGAと高解像度のため、標準のフォントサイズでは文字やアイコンが非常に小さく表示される
標準フォントサイズでは、この写真以上に視認性は厳しく感じる フォントサイズを120DPIに設定した状態。これなら、文字の視認性やタッチ操作もかなりやりやすくなる 標準フォントサイズでPC Watchを表示させた状態。文字が小さくかなり見づらい
こちらは、フォントサイズを120DPIに設定した状態。文字はかなり見やすくなり、表示も崩れていない 液晶上部には、Webカメラを搭載
液晶右下には、指紋認証センサーが搭載されている 液晶下には、キーボードライトの点灯や表示の向きを変更するためのボタンなどが用意されている

●キーボードは、キー数が増えるとともにピッチも大きくなった

 LOOX Uの従来モデルでは、5列56キーという、かなりキー数の少ないキーボードが搭載されていた。アルファベットキーこそ、一般的なキーボードと同じQWERTY配列で、キーピッチも本体サイズを考えると約14mmとゆったりしていたこともあり、ある程度の操作性は確保されていた。しかし、キー数の少なさをカバーするため、ファンクションキーに加え、[\]やTab、カーソルキーなど、比較的使用頻度の高いキーの多くが[Fn]キーとの併用となっていたり、配列に無理のある部分が多かったりと、全体的な使い勝手はお世辞にもいいものとは言えなかった。

 それに対し、LOOX U/B50Nのキーボードは、6列へと1列増えるとともに、キー数も68キーと増えている。これによって、Fnキーとの併用となっていたやカーソルキー、Tabキー、Deleteキー、ファンクションキーなどが独立して用意されるようになった。加えて、主要キーのキーピッチも約14.8mmと0.8mmほど広くなった。縦のピッチは、1列増えたために若干狭くなっているようにも思うが、本体サイズを大きくすることなく横のピッチが増えた点は、特筆すべき部分だろう。さらに、キートップ面の面積を若干小さくすることで、隣のキーとのキートップの間隔を広げ、キーの打ち間違えを防ぐ工夫が盛り込まれている点も特徴だ。

 しかし、それでもまだキー数は少なく、[\]キーや[@]キーななど、まだ多くのキーがFnキーとの併用となっている。とはいえ、全体的にキーボードの使い勝手はかなり向上しており、従来モデルのキー入力時の不満点はかなり改善されたと考えていいだろう。

 ポインティングデバイスは、従来モデル同様、スティックタイプのスティックポイントを搭載する。ピュアタブレットスタイルで利用する場合を考慮し、スティックは液晶ヒンジ右側に、またクリックボタンは液晶ヒンジ左側にそれぞれ配置されている。ポインティングデバイスの使い勝手は、一般的なスティックタイプとほぼ同等で、スティック部分は押し込むことで左クリック相当として利用できる。ただし、解像度が高いため、スティックポイントでの操作性は思ったほど良くない。加えて、ノートPCスタイルで利用する場合には、液晶パネルが邪魔になる。そのため、ノートPCスタイルで利用する場合には外付けマウスを利用した方が快適だ。それに対し、ピュアタブレットスタイルで利用する場合にはタッチパネルとの併用で、十分快適な操作が可能と感じた。

キーボードは、6列68キーと、列/キー数ともに増えた、Fnキーとの併用が少なくなった キーピッチは約14.8mmと、ピッチが0.8mm増えており、キートップの面積を小さくしたことと合わせて、かなり使い勝手は良くなった 従来モデル同様、2個のキーボードライトが搭載されており、暗い場所での利用も安心だ
ポインティングデバイスは、スティックタイプのスティックポイントを搭載。スティックは液晶ヒンジ右に用意され、押し込むことで左クリックとしても動作する クリックボタンは、液晶ヒンジ左に用意されている

●ポート類も従来モデル同様最小限のものを搭載

 本体に用意されているポート類は、本体サイズの制約もあり、従来モデル同様、必要最小限のもののみが搭載されている。

 まず、ノートPCでメインの拡張ポートとなるUSB 2.0ポートは、本体左側面に1個のみが用意されている。そして、PCカードスロットやExpressCardスロットなどは用意されず、本体左側面にSDカードスロットが、また本体右側面にCF Type I/II対応のCFカードスロットがそれぞれ用意されているだけとなる。本体に用意されているポート類は、従来モデルと配置が変わってはいるが、全く同じと考えていい。

 また、本体前面には、ポートリプリケータを接続する専用コネクタが用意されており、オプションのポートリプリケータを取り付けると、USB 2.0ポートが3個と、ミニD-Sub15ピン出力が利用可能となる。また、従来モデル同様、このコネクタに付属のアダプタを取り付けることで、Gigabit EthernetおよびミニD-Sub15ピン出力も利用可能となるようだ。今回試用したマシンにはコネクタが付属していなかったが、おそらく従来モデルに添付されていたアダプタとほぼ同じものが付属すると考えられる。

本体正面。中央のコネクタは、Gigabit Ethernet/ミニD-Sub15ピンコネクタが用意された専用アダプタや、ポートリプリケータを取り付けるためのものだ 左側面。マイク・ヘッドホン端子、SDカードスロット、USB 2.0×1、音量ツマミがある 右側面。CFカードスロットと電源コネクタが用意されている。また、無線機能のON/OFFスイッチ(本体手前)と電源スイッチ(本体奥)もある
CFカードスロットは、ダミーカードで保護するタイプだ 本体底面後方にあるスリットは、ファンの排気口だ。ACアダプタ接続中など、処理の重い作業を行なうと回転することがある。騒音はほとんど気にならない オプションで用意されているポートリプリケータ
ポートリプリケータには、USB 2.0×3と、ミニD-Sub15ピン/有線LANポートが用意されている ポートリプリケータには、このように取り付けて利用することになる 付属のACアダプタは非常にコンパクトで、本体と同時の持ち運びも苦にならない

●他のAtom搭載UMPCを大きく凌駕する優れた携帯性が魅力

 今回試用したLOOX U/B50Nは、冒頭でも紹介したように開発途上版ということもあって、いつものベンチマークテストは行なえなかった。そこで、筆者が試用機を使ってみて感じたことを書いておきたいと思う。

 まず、携帯性に関しては文句の付け所がない。大容量の内蔵バッテリパック(L)を取り付けた状態でも非常に軽く、持ち歩きで苦になることは全くなかった。また、バッテリ駆動時間だが、内蔵バッテリパック(L)を取り付けた状態で、液晶輝度を最大に設定し、無線LAN機能やBluetoothも常にONにした状態で、テキスト入力やデジカメ画像の表示などを中心に使ってみたところ、3時間経過してもまだ残量が50%ほど残っていた。今回は、バッテリ駆動時間をきちんと計測できなかったものの、おそらくバッテリ駆動時間に不満を感じることはないと考えていい。

 ただし、やはり液晶パネルがサイズの割に高解像度のため、視認性や操作性はかなり厳しかった。標準のフォントサイズでは、文字の認識がつらくなるだけでなく、マウスカーソルでポイントするだけでなく、タッチパネルを利用してペンでポイントするのもかなりつらく感じた。加えて、指では思うように操作できないことが多く、イライラする場面がかなりあった。とはいえ、これらはフォントサイズを大きくすることでかなり解決できることなので、特別大きな不満点ということではない。

 ただし、それ以外に非常にキツイと感じる部分があった。それは、メインメモリが1GBしか搭載されないにも関わらず、OSにWindows Vista Home Premiumを採用しているために、操作時にかなり重く感じてしまうという点だ。

 OSにWindows Vistaを採用すること自体は、特に悪いことではないと思う。おそらく、1.60GHz動作のAtom Z530であれば、パフォーマンスが不足しているということはないだろう。それよりも、メインメモリが1GBしか搭載できないという点が大きな問題だ。実際に使っていても、とにかくスワップが頻発してHDDへのアクセスが非常に多くなり、Webブラウザを立ち上げたり、デジカメ画像を表示させるだけでもかなりの時間待たされてしまう。全体に動作が重く、せっかくAtom Z530を採用してパワーアップされたにも関わらず、スムーズな使用感がやや損なわれてしまっている。できることなら、従来モデル同様、OSはWindows XPを引き続き採用してもらいたかった。UMPC用Windows XPの搭載、またはVista Business搭載によるダウングレード権の確保などを希望したい。

 価格は、カスタムメイドモデルで123,800円からとなる。6万円前後から購入できる他のAtom搭載UMPCと比較すると2倍近い価格であり、単純に価格だけで比較をするなら、当然他のAtom搭載UMPCのほうが魅力がある。しかし、DVDケースよりも小さなフットプリント、かつ実測値562gという圧倒的に優れた携帯性、小型ながら表示品質に優れる高解像度液晶を搭載する点、タッチパネル搭載で、ピュアタブレットスタイルでも利用できるコンバーチブル型マシンであるという点など、他のUMPCにはない特徴を数多く兼ね備えており、十分に競争力があると思う。

 キー入力や高解像度液晶の視認性、Windows Vistaを要因とする動作の重さなど、妥協しなければならない点があるのも事実。しかし、UMPCとしての魅力は他を圧倒していると言ってもいいだろう。とにかく、携帯性と機能面を重視したいのであれば、現時点ではLOOX U/B50Nが最右翼の選択肢であることは間違いないだろう。

【お詫びと訂正】初出時、型番を「LOOX U/A50N」と記載しておりましたが、「LOOX U/B50N」の誤りでした。ご迷惑をおかけした関係者の方にお詫び申し上げるとともに、訂正させていただきます。

□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□ニュースリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2008/08/20-1.html
□製品情報
http://www.fmworld.net/fmv/pcpm0808/biblo_loox/lu/
□関連記事
【8月20日】富士通、キーボードを改良したAtom搭載「LOOX U」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0820/fujitsu1.htm

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(2008年8月20日)

[Reported by 平澤寿康]


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