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インテルと内田洋行、小学校で1人1台のPCを学習に活用する実証実験

内田洋行 柏原社長(向かって左)、インテル 吉田共同社長(中央)、内田洋行 大久保取締役

8月7日 発表



 インテル株式会社株式会社内田洋行は7日、小中学校の授業におけるICT(情報通信技術)教育普及のための実証実験を実施することを発表した。

 今回の実証実験は、千葉県柏市の小学校2校で、小学校4年生、5年生の対象クラスの児童1人に、1台の富士通製PC「FMV-BIBLO LOOX U」を提供。小学館が作成した「デジタルドリルシステム」を活用し、国語では漢字、算数では計算と反復学習を行なう。

今回の実証実験で利用する富士通のFMV-BIBLO LOOX U。市販品をそのまま活用し、特別な仕様とはしていない

内田洋行 取締役専務進行役員 教育システム事業部長 大久保 昇 氏

 内田洋行の取締役専務進行役員 教育システム事業部長 大久保昇氏は、日本のICT教育の現状と問題点について次のように説明した。

 「全世界の校内LAN整備率を比較すると、日本は2005年度末に100%導入を目指すとしていたにも関わらず、実際には2007年度末で56.2%の普及率と目標に達していない。その理由は、ICT環境整備のための予算が削減されていること、ICTを活用した教員養成が進んでいないこと、ICTを授業に活用することの有効性が認識されていないことを主な要因として挙げることができる。

 しかし、私どもが教科書を出版する光村図書出版と共同で調査した結果、ICTを活用することで学力にもプラス効果があることが実証されている。独立行政法人メディア教育開発センターの調査でも同様の結果が出ており、ICTを活用することで、学力向上のお手伝いをする試みはもっと実施するべきではないか」。

今回の実証実験実施の狙い 日本に学校における校内LAN整備率 教員のICT活用指導力の現状

 学力向上というテーマは、2007年に公示された新学習指導要領にもはっきり明示された。今回の実証実験は、それを踏まえ、児童1人1台のPC活用によって、児童1人1人の実力向上につなげるためにどんなコンテンツが必要で、利用するPCとしてはどんなものが適切なのか、さらにそれを実施していくための環境としてどんなものを整備、運用していくべきかを検証する。

 具体的な概要としては、2008年9月から2009年3月までの6カ月間、千葉県柏市の小学校2校で、普通教室の通常授業と連動しながらタブレットPCを使い、手書きで学習を行なう。

インテル 事業開発本部 竹元賢治氏 小学館 デジタル学習センター プロデューサー 伊藤護氏

 「千葉県柏市は、日本でも有数のICT設備の整った学校を持ち、普通教室にも校内LAN、PC 1台、プロジェクタを置いて授業を行なっていることから、実証実験を行なわせて頂くことになった。利用する教材は、小学館さんの実績あるPC向け学習ソフトで、電源などを含めた教室の環境整備は内田洋行さんが、我々インテルはハードウェア環境を提供し、実験を実施する」(インテル 事業開発本部 竹元 賢治 氏)。

 教材を提供した小学館のデジタル学習センターの伊藤護プロデューサーは、「デジタル教材への取り組みは、'98年にドラネットというコンテンツからスタートし、評価は得たものの、学校向けシステムとしてはなかなか根付かなかった。そこで2006年、陰山メソッドでお馴染みの陰山英男先生監修のもと、手書き、反復学習という要素を取り入れたデジタルドリルシステムを開発。今回もこれを利用し、楽しく学びながら、反復学習によって基礎と基本を徹底的に身につけることができる。手書き文字の認識、判定システムとして富士通さんのシステムを利用しているが、単に文字認識だけでなく、書き順、正しい形となっているのかの判定を行ない、その結果をデータベース化できるところに特性を持っている」と今回の教材の特色を説明した。

児童1人1台でPCを利用した実証実験での検証すべき項目 今回の実証実験の概要
実証実験校選定の理由 実証実験を行なう際の役割分担 デジタル学習を取り入れることでの効果
国語の漢字書き取り練習のデモンストレーション。小学校1年生が習う漢字だが、大人が試しても「見」という字でははねといった部分
「右」という漢字は書き順が誤りであることも多く、このシステムではどの児童がどの文字を間違えたのかといったデータを自動的に取得する ドリルから辞典への連携も実現している

 実験終了後は、その結果を公開し、教育用PCや学習教材ソフトの開発、システム構築などに取り入れていく計画で、2011年に完全施行予定の新学習指導要領を見据えた、学校、教育委員会等への導入働きかけも進めていく計画だ。

 今回の実証実験への協力についてインテルの吉田和正共同社長は、「インテルでは全世界規模で教育プログラムを実施し、教員研修プログラムの無償提供、高校生を対象としたIntel International Science and Engineering Fair(Intel SEF)、大学の技術系人材育成を目的とした高等教育プログラムの3つを主な取り組みとして行なっている。今回の取り組みは、教育分野でのイノベーションを実現するために、ICTをどう有効活用していくのかを目指したもの。教育分野では実績を持たれている内田洋行さんと協力し、今回の実証実験を実現できたのは大変歓迎すべきことだと考えている」と話した。

 内田洋行の柏原孝社長は、「当社は学校向け教材販売では最大手の1社であり、また国産のオフィスコンピュータの開発・販売を他社に先駆けて行なった企業でもある。これまで学校向けコンピュータシステム販売は色々と行なってきたが、教育分野向け発表というと、これだけ多くの記者の方が集まることはほとんどない。今回、インテルという世界でも有数のベンダーさんと連携することで、これだけ多くの注目を集めることができたということだろう。今回の実証実験の成果を、さらに教育分野でのICT販売事業に生かしていきたい」と語った。

今後の取り組みと予定 インテル 吉田和正 共同社長 内田洋行 柏原孝 社長

□インテルのホームページ
http://www.intel.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press2008/080807.htm
□内田洋行のホームページ
http://www.uchida.co.jp/
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【6月30日】インテル、こども環境サミット札幌で100台のUMPCを貸与
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0630/intel.htm
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0821/lenovo.htm

(2008年8月7日)

[Reported by 三浦優子]

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