【特別レポート】Eee PC 901-Xへの1.8インチHDD内蔵に挑戦
ネットブック人気の火付け役であり、かつ未だ最大の人気を誇っているASUSTeKから、「Eee PC 901-X」がいよいよ発売された。洗練されたデザインや、液晶ディスプレイの高解像度化、システムパフォーマンスの底上げを図ったことで、すでに入手したユーザーの評価もまずまずのようだ。 そんな中、スペックの点で気になるのは、Cドライブの容量が4GBしかない点だ。Dドライブが8GB用意されているとはいえ、初心者がうっかりCドライブにデータやアプリケーションを保存し、容量が逼迫するといろいろと問題が出てしまうし、使い慣れたユーザーでも4GBというのははやり心許ない。 さて、PC Watchでは11日に本製品のレビューをお届けした。その際に、マザーボード上に使われていない「IDE」という名称のZIFソケットがあり、また本体裏面内部にはちょうど1.8インチHDDを収められる空間があることが判明した。そこで、実際にここにHDDがつながるのかを試してみた。 今回あまり準備時間がなかったため、とりあえず1.8インチHDDとZIF変換アダプタを検索し、通販で購入。前者は東芝の60GB「MK6008GAH」で、後者はAITENDOの「PA-CF18Z」を選んだ。価格はそれぞれ送料、代引き手数料をあわせて11,545円、2,670円だった。
あとで述べるが、この製品がそのまま使えたわけではないので、必ず最後まで読んで欲しい。
それでは作業手順の説明に入るが、ここから行なう作業はすべてメーカーの保証対象外の行為となるので、ご了承いただきたい。 本体裏面の中央部分のカバーにある2つのネジ(内1つはシールで覆われている)を外すと、1.8インチHDDの空間や、Dドライブ用のSSDなどが見えるので、Dドライブを取り外す。ここから、ZIFソケットも見えるため、ケーブルを入れられそうにも見えるのだが、筐体部分がソケットの真上に若干かぶっているため、かなり困難。実際、挑戦してみてもケーブルを装着できなかった。
それ以前に、理由は後述するが、どのみち最初に本体をほぼ完全に分解する必要がある。具体的には、キーボードを取り外し、その内側にあるネジを外して、タッチパッドの着いているカバーを外し、いくつかのコネクタとマザーボード上のネジ2個を外した上で、マザーボードを取り出して裏返す。ここまでやって、ようやくまともにIDE ZIFソケットにアクセスできる。 PA-CF18ZにはIDE→ZIF変換アダプタと、ZIFケーブル2種類が入っている。到着したMK6008GAHはZIFインターフェイスだったので、この変換アダプタは不要だった。ケーブルは、片方が両端とも青で、残りは端が青と白になっている。この内、白い方が厚みが薄く、これしかMK6008GAHに入らないので、こちらのケーブルを使う。 ケーブルには向きがあり、マザーボードのZIFソケットのロックを解除したら、ケーブルの端の青い面が中央を向くように差し込み、ロックする。そしてCドライブのSSDを取り外したら、小さい裏蓋を除いて本体を元通り組み直す。 HDDは、ステッカーが下を向くようにしてZIFケーブルを差し込んで、ロックする。最後にHDDを収納して、ケーブルの遊んでいる部分を適当に折りたたみ、小さい裏蓋を閉めるのだが、ここまできてHDDの厚みが本体内の空間よりも厚いことが判明した。 1.8インチHDDには厚みが8mmのものと5mmのもの(SSDなら基板だけでより薄いものもあるかもしれない)があり、Eee PC 901-Xには5mm厚のものしか収まらないのだ。十分に下調べしなかったことを悔いても後の祭りである。 ちなみに、ぎりぎりではあるが裏蓋をネジ止めすることはできる。しかし、不格好だし、反発力でいつ裏蓋が吹っ飛ぶかも分からない。筐体の無線LANモジュール横のブラスチックをニッパーなどで切り取ってしまえば、収まりそうだ。だが、今回はとりあえずHDDが動かせるのかどうかを確認するのが主目的と考え、そこまではせず、この状態で動かしてみることにした。
結果はというと、問題なく動作し、Windows XPのインストールもできた。ただし、CドライブのSSDが接続されていると、内部的に干渉するようで、SSDもHDDも認識されなかった。これが、HDD取り付け時に本体を完全に分解する必要がある理由だ。初代Eee PC 4G-Xと違って、SSDはCドライブもモジュールになっているので、ネジを外すだけで取り外せる。 ケーブルさえマザーボードにつけてしまえば、HDD自体の取り付け/取り外しは裏蓋を外すだけでできるが、初回はばらす必要がある。なお、DドライブのSSDはHDDと干渉しないので、共存できるが、こちらは物理的にHDDと干渉するので、裏蓋が閉められず、やはり現実的には無理と言うことになる。 最後にこのHDDでのベンチマーク結果を掲載しておく。読み込み性能はデフォルトのSSDよりも悪くなるが、書き込みは速くなる感じだ。実際に取り付けられるのは5mm厚、すなわち30GBクラスのHDDなので、これよりも容量はもちろん、性能も下がるだろう。 基本的に読み込みの方が多いため、性能の面では今回の作業はあまり苦労に見合わない気もする。だが、どうしてもCドライブの容量を増やしたいというニーズはあるだろうし、より高速なSSDに換装しようともくろむユーザーもいるだろう。とりあえず、1.8インチHDDが取り付けられるということが分かっただけでも、この製品の(ニッチではあるが)おもしろさがまた1つ増したと言える。 繰り返すが、くれぐれもHDD選択の際は5mm厚の製品を選ぶことだけは忘れないで欲しい。また、そのHDDに今回試用したZIFケーブルがあうかどうかも分からないので、可能な限りネットで実績などを下調べしてから購入して欲しい。 【MK6008GAHのベンチマーク結果(単位MB/sec)】
□ASUSTeKのホームページ (2008年7月18日) [Reported by wakasugi@impress.co.jp]
【PC Watchホームページ】
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