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【COMPUTEX TAIPEI 2008】VIAプレスカンファレンス編

PCIe x16スロットが必須な「Mini-ITX 2.0」を規定
〜NVIDIAがその取り組みに賛同、普及へ協力

VIA Technologiesが公開したMini-ITX 2.0に対応したNanoプロセッサ搭載マザーボード

会期:6月3日〜7日(現地時間)

会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
   Taipei International Convention Center



 VIA Technologiesは、先週同社初となるアウトオブオーダー実行のスーパースケーラCPU「Nano」を発表したが、COMPUTEX TAIPEI近くのホテルで記者会見を開催し、そのNanoプロセッサのSKU構成や動作デモ、新しくPCI Express x16を搭載したMini-ITX 2.0の仕様などを明らかにした。さらに、記者会見にはNVIDIAの関係者も同席し、NVIDIAがVIAと協力してMini-ITX 2.0のようなソリューションの推進に関して協力していくことなどが明らかにされた。

●プロセッサ企業に変貌を遂げつつあるVIA Technologies

VIA Technologies 社長室長 Timothy Chen氏

 最初に挨拶に立ったVIA Technologies 社長室長のTimothy Chen氏は「今日NVIDIAの方々をゲストにプレスカンファレンスをやると報道関係者の方々に招待状を送ったら、ネット上には実にユニークな予想がいくも行なわれたいた。それらに答える意味でもここで最初に言っておきたいが、今日のプレスカンファレンスは、VIAとNVIDIAが合併するという話でもないし、NVIDIAがVIAプロセッサ向けのGPU統合型チップセットを出すという話ではない」と述べ、先週あたりから一部のネットを賑わせていたVIAのプレスカンファレンスに関する予想を挙げて、来場者の笑いを誘った。

 そうした笑い話がでるほど、VIAとNVIDIAという組み合わせは、なんとなくしっくりこない感じだ。というのも、NVIDIAとVIAは、言ってみればお互いに競合他社と言える関係だからだ。NVIDIAはGPUとチップセット事業が中心で、VIAもGPUやチップセット事業をやっており、特にAMD向けのチップセット事業ではNVIDIAとVIAは激しい競合関係にあったと言ってよい。そのVIAの記者会見にNVIDIAがゲストで呼ばれてスピーチする、というのだから前述のような予想がでても不思議ではない。

 VIA Technologiesのインターナショナルマーケティング担当副社長のRichard Brown氏は「VIAは変化を遂げつつある」と説明する。「我々がx86プロセッサのビジネスを始めてから7年が経ち、最初はよちよち歩きだったのが、C7で大きく進歩することができた。先週リリースした新しいNanoプロセッサで、さらに大きなジャンプを果たしてきたい」と述べ、VIAがプロセッサビジネスを中心に大きく舵を切ったことを強調する。実際、VIAのチップセットビジネスは、従来のIntelやAMD向け中心のビジネスからVIA自身のプロセッサ向けのものが主流になりつつあり、IntelやAMD向けのチップセットが中心なNVIDIAとはあまり競合しなくなりつつある。そうした環境の変化があり、今回の協業発表になったのだと考えることができる。

今日の発表はVIA TechnologiesとNVIDIAの合併や、NVIDIAのVIA向け統合型チップセットではない 今回の発表はNVIDIAとOptimized PCやVisual Computing分野での協力 VIA Technologies インターナショナルマーケティング担当副社長 Richard Brown氏。手に持つのはMini-ITX 2.0に対応したNano搭載マザーボード

●NanoによりVIAプロセッサでカバーできるエリアが広がっていく

 VIAは先週に、開発コードネームIsaiah(イザヤ)/CN(シーエヌ)で知られてきた同社初のアウトオブオーダー型スーパースケーラCPUを、Nanoプロセッサとして発表した。

 VIA Technologiesの100%子会社でCPUの研究・開発を行なっているCentaur TechnologyのCPU開発シニアディレクターのCJ Holthaus氏は「Nanoは、64bitへの対応、VT互換、1,333MHz FSB、Merom互換のSSE3命令対応、さらにはC7の弱点と言われてきた浮動小数点演算の性能が大幅に向上している。これらにより、性能が大幅に向上しており、従来VIAのプロセッサではカバーできなかったようなエリアをカバーすることができるようになっている」と述べ、NanoはC7を置き換える性格のものではなく、C7は引き続き継続していくと説明した。

VIAが発表したNanoプロセッサ Centaur Technology CPU開発シニアディレクター CJ Holthaus氏 Nanoプロセッサの概要、NanoはC7を置き換える製品ではない

 VIA Technologies CPU製品マーケティング担当シニアディレクターのEpan Wu氏は「CPUの性能という概念は大きく変わりつつある。以前は性能、性能の一辺倒だったが、今では省電力が付加価値になりつつある。競合他社はそうした機能を上位SKUだけに投入したりしているが、我々は上位SKUから下位SKUまで、そうした機能は標準装備している」と述べ、Green ITなどIT業界も環境問題への関心が高まっているトレンドを挙げ、同社のCPUがそれに最適なソリューションであるとアピールした。

 なお、すでに発表されている内容ではあるが、NanoのSKUに関してもさらに詳細が明らかにされたので、ここで紹介しておきたい。

【表1】NanoプロセッサのSKU構成
モデルナンバー クロック周波数 TDP アイドル消費電力 FSB L2キャッシュ Enhanced Power Saver ターゲット市場
L2100 1.8GHz 25W 500mW 800MHz 1MB 対応 デスクトップ
L2200 1.6GHz 17W 100mW 800MHz 1MB 対応 軽量ノート
U2400 1.3GHz+ 8W 100mW 800MHz 1MB 対応 ミニノート
U2500 1.2GHz 6.8W 100mW 800MHz 1MB 対応 ミニノート
U2300 1GHz 5W 100mW 800MHz 1MB 対応 ミニノート

 Nanoのターゲットとなるマーケットは低価格デスクトップPC、薄型ノートPC、ミニ・サブノートPCなどで、ネットブックやネットトップ、UMPCなどは引き続きC7でカバーしていくことになりそうだ。

VIA Technologies CPU製品マーケティング担当シニアディレクター Epan Wu氏 Nanoプロセッサと競合他社製品との比較。競合他社製品とはMeromコアのCore 2 Soloとのことだが、クロックなどは不明

●Mini-ITXの拡張仕様“Mini-ITX 2.0”で、小型PCにもより強力な処理能力を提供

 VIAの基本的な戦略は低消費電力や低価格を付加価値にしていくというものだが、今後もVIAもそれを推進していくために次の布石を打つ。それがMini-ITXフォームファクタの拡張だ。「Mini-ITXは低価格で優れたデザインの製品のためのプラットフォームとして大成功を収めた。その何よりの証拠は、IntelがMini-ITXに参入したことだ。我々は今後もこの戦略を推し進めるため、Mini-ITXを拡張し、Mini-ITX 2.0という仕様を策定した」(Brown氏)と、小型PC向けフォームファクタの事実上の標準となったMini-ITX仕様の第2世代となる“Mini-ITX 2.0”を策定したことを明らかにした。

IntelもAtomでMini-ITXに参入し、Mini-ITXは事実上の標準に。さらにGPUの利用率などを上げる仕様の策定が求められていた 新しいMini-ITX 2.0の仕様を導入する

 Brown氏によれば、Mini-ITX 2.0の仕様要件は次のようになっている。

  • プロセッサ:構成で電力効率に優れたx86プロセッサ
  • メモリ:最低でも2GB以上のDDR2 SDRAM
  • グラフィックス:DirectX 9をサポートした統合型GPU、DirectX 10はアドオンカードで対応
  • ディスプレイ出力:1つ装備、HDMIはアドオンカードで対応
  • オーディオ:6チャネル出力のために3つのオーディオジャック
  • ネットワーク:1つのGigabit Ethernet
  • ストレージ:SATA×2+PATA×1
  • 周辺機器:最低で4つのUSB 2.0ポート
  • 拡張スロット:PCI Express x16スロット
  • サイズ:17×17cm
  • 対応OS:Windows Vista(Premiumロゴ対応はアドオンカードで対応)、Windows XP、Linux(Ubuntu、SuSE Linux)、gOSなど

 要件といっても、サイズである17×17cmという大きさは変わっていないし、あとは要件というよりは、スペックといってもいいかもしれないので、どちらかと言えば“奨励仕様”とでも言う方がしっくりくるものだと言ってよい。従来のMini-ITXマザーボードにもこの条件を満たした物はあったと思われるので、要するにWindows VistaやホームシアターPCなどで必要とされるような厳しい仕様を満たしたMini-ITXマザーボードが“Mini-ITX 2.0”になると言えるだろう。

 VIAとしては、こうした仕様を策定することで、マザーボードベンダーなどに対して、Mini-ITXマザーボードであっても強力なコンポーネントの搭載を促し、Nanoを販売するためのツールにしたい、そうした意向もあるのだと考えられる。実際、発表会ではNanoを搭載したMini-ITX 2.0マザーボードが公開されたほか、Nanoプロセッサのデモに利用された。

基本的なサイズなどは従来のMini-ITXと同じで互換性がある Mini-ITX 2.0の特徴。PCI Express x16スロットが必須になると、GPU選択の自由度は飛躍的にあがる

●NVIDIAがMini-ITX 2.0の取り組みに賛意を示す、背景には小型PCへのGPU搭載率をあげたい思惑が

VIAとNVIDIAはMini-ITX 2.0の普及で協力していく

 冒頭でも説明したように、今回のプレスカンファレンスにはNVIDIAがゲストスピーカーとして招かれ、Mini-ITX 2.0のような取り組みに対して賛意を示した。

 NVIDIAのチップセット事業を率いるNVIDIA MCPビジネス 事業部長のDrew Henry氏は「NVIDIAはVisual ComputingやOptimized PCというスローガンを掲げ、CPUとGPUのバランスのとれた使い方をエンドユーザーに提案している。今回VIAが提案したMini-ITX 2.0のようなソリューションはそれを加速する上で有益だ」と述べ、VIAの示したMini-ITX 2.0構想に賛意を示した。

 現状のMini-ITXマザーボードはPCI Express x16スロットなどが用意されていないものがほとんどなので、ほとんどはチップセットに内蔵されている統合型GPUを利用するようになる。しかし、その場合は内蔵GPUの機能があまり強力ではないことが多く、HDビデオの再生や3Dゲームなどの新しい使い方ができないなど、使い方に制限がでてしまうことが多かった。今回のMini-ITX 2.0の要件を満たせば、マザーボード上の統合型GPUもDirectX 9対応となるだけでなく、PCI Express x16スロットにビデオカードを挿入すれば、重たい3Dゲームなども軽々こなすことができるようになる。実際デモでは、Nanoを搭載したMini-ITX 2.0マザーボードに、NVIDIAのGeForce 8600 GTを搭載したビデオカードを挿して、Crysisなどの3Dゲームがきちんとプレイできる様子などがデモされた。

デモに利用されたシステム。Nano 1.8GHz、GeForce 8600 GT WinSATのスコア。C7に比べて大幅に向上していることがわかる Crysisが動作する様子。C7では厳しかった処理も楽々こなすことができる

 NVIDIAとしてはGPUを未来のコンピューティングの中心に据えたいというビジョンを持っており、そのためにはMini-ITXがカバーするような低価格や小型PCのエリアでもGPUの普及率を上げていきたいと考えており、それを実現するための手段として、Mini-ITX 2.0のマーケティングに参画したと考えるのが妥当だろう。NVIDIAとしては、ライバルのAMD、Intelがx86のマイクロプロセッサを持っているのに、NVIDIAだけは持っていないという現状に置かれており、多くの業界関係者がNVIDIAがx86プロセッサを持つのか、持たないのか、その選択に大いなる注目をしている。今回のVIAとのパートナーシップはそうした業界の声に対する答えの1つなのかもしれない。

 なお、発表会の最後には、Timothy Chen氏が再度登壇し「VIAはNVIDIAとのパートナーシップを大変喜んでいる。NVIDIAも我々との関係を喜んでくれていると思うが、我々のNVIDIAへの愛を示すために、これからそれを実際に行動で示してみたい」と述べ、Henry氏のスキンヘッドに強烈なキスをするという“”セレモニー“”を行ない、詰めかけた台湾のメディアにヤンヤの歓声を浴びていた。

 さてさて、この愛、片道通行でなければいいけどなぁ、と思ったのは筆者だけではなかったと思うのだが、それは言わずもがな、なのだろうか。

NVIDIA MCPビジネス 事業部長 Drew Henry氏 NVIDIAの“愛”を語っていたChen氏は その証明のためにHenry氏のスキンヘッドにキスをした!会場は爆笑につつまれた

□COMPUTEX TAIPEIのホームページ(英文)
http://www.computextaipei.com.tw/
□VIA Technologiesのホームページ(英文)
http://www.via.com.tw/
□Mini-ITX 2.0(英文)
http://www.via.com.tw/en/initiatives/spearhead/mini-itx_2.0/
□関連記事
【5月29日】VIA、Isaiahの正式名称を「Nano」に決定
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0529/via.htm
【1月24日】【笠原】VIA、新設計アーキテクチャCPU「Isaiah」を2008年前半に製品投入
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0124/ubiq208.htm

(2008年6月6日)

[Reported by 笠原一輝]

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