【COMPUTEX TAIPEI 2008】Intelブース編
Intel、“Diamondville”こと「Atom」を正式発表
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発表会の冒頭に行なわれたAtomをフィーチャリングしたラップ。ラッパーは“Netbook、Nettop”をひたすら連呼していた…… |
会期:6月3日~7日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
Taipei International Convention Center
Intelは、COMPUTEX TAIPEIが開催されている会場に隣接するホテルで記者会見を開催し、これまで開発コードネーム“Diamondville”で呼ばれてきたネットブック/ネットトップ向けのAtomプロセッサ(以下Atom)を正式に発表した。
ネットトップと呼ばれるデスクトップPC向けがN230、ネットブックと呼ばれるノートブックPC向けがN270という2つの製品がラインナップされており、いずれもシステム全体で500ドル以下という、これまでのPCに比べてさらに低価格なセグメントを狙った価格設定が行なわれている。
この発表にあわせて、台湾のOEMメーカーやODMメーカーからはAtomプロセッサを搭載した製品を多数発表し、Intelの発表会でも多数が展示され、大きな注目を集めた。
●Atomプロセッサはすべての人にPCをもたらすソリューション
Intel Asia Pacific 副社長兼ジェネラルマネージャのNavin Shenoy氏は「15年前にリリースしたPentiumによって、PCですべてのことができるようになった、5年前にリリースした初代Centrinoでは、どこでもPCが使えるようになった、そして、今回リリースするAtomではすべての人にPCをもたらしたい」と述べ、AtomがIntelにとっても、PC業界にとっても大きな意味を持つ製品になるとアピールした。
さらにShenoy氏は「Atomは我々の最新の45nmプロセスルールを利用して製造される。High-Kという最新の素材を利用しており、省電力で低コストで製造できるだけでなく、Intelの歴史上でかつてないほど小さなマイクロプロセッサに仕上がっている」とし、同社が他社に先駆けて商用プロセッサに大規模に投入した45nmプロセスルールを利用して製造したため、Atomは低消費電力、低コストでかつ小さく作れたことを強調した。
Intel Asia Pacific 副社長兼ジェネラルマネージャのNavin Shenoy氏 | '93年のPentiumプロセッサの登場で、PCはおおむねなんでもできるようになった |
2003年のCentrino Mobile Technology(当時)の登場でPCはどこにでも持って行けるようになった | そしてAtomプロセッサの投入で誰にでもPCをもたらすことができるようになる |
●編集を伴う作業にはフルPCを、コンテンツを楽しむことが中心ならネットトップ/ネットブック
その後を受けて登場したIntel ネットトップ&ネットブックコンピューティング ジェネラルマネージャのNoury Al-Khaledy氏は「ネットトップとネットブックは、それぞれ成熟市場か成長市場かにおいて意味が異なっている。これからPCの普及が見込まれる発展途上国などの成長市場では、未だPCを持っていないユーザーに1台目のPCを低コストで提供するという位置づけになる。これに対して、PCの普及がかなり進んでいる日本のような成熟市場では、子供用だったり、家庭内の2台目、3台目という位置づけになる」と説明した。
さらに、Al-Khaledy氏は「CentrinoベースのノートPCがコンテンツの編集も含めたフル機能をサポートするのに対して、ネットブックやネットトップではコンテンツを楽しむことが中心のユーザーにフィットする製品となる」とし、Core 2 Duoなどを採用したフルサイズのノートPCとの棲み分けに関しても言及した。
例えば、動画の編集やトランスコードなど、CPUに多大な負荷をかけるような処理が中心の場合は、Core 2 Duoを搭載したノートPCやデスクトップPCなどを利用し、インターネット上にあるコンテンツを楽しむことが中心のユーザーはネットブックやネットトップで充分だということだ。
Al-Khaledy氏は「最後に、この製品を協力にサポートしてくれた業界の関係者に感謝したい。重要なことは、このリリースは決してプレスリリースを出すだけの“紙発表”ではなく、すでに多数の製品が出荷できる状況になっており、本日、今日これからもう販売されるということだ」とし、出荷できる状況になっていることをアピールした。
●N270と230という2つのSKUが用意されるDiamondville
今回Intelが発表したAtomプロセッサにはネットブック用のN270とネットトップ用の230という2つのSKUが用意されている。
【表1】Atom N270と230
N270 | 230 | |
---|---|---|
周波数 | 1.6GHz | |
FSB | 533MHz | |
L1キャッシュ | 56KB (命令32KB+データ24KB) | |
L2キャッシュ | 512KB | |
拡張命令 | SSE、SSE2、SSE3 | |
省電力機能 | C0~C4 | C0,C1 |
TDP | 2.5W | 4W |
EIST | 対応 | - |
平均消費電力 | 0.6W | - |
パッケージ | 22×22mm |
Atom 230。パッケージは22×22mmとMID/UMPC用に比べるとやや大きめ |
今回発表されたネットブック/ネットトップ用のAtomは、4月に発表されたMID/UMPC用のAtomとは仕様がやや異なっている。コードネームは、今回発表されたネットトップ/ネットブック用のAtomが“Diamondville”で、MID/UMPC用のAtomが“Silverthorne”である。パッケージもDiamondvilleが22×22mmであるのに対して、Silverthorneは13×13mmとなっているほか、TDPなどにも違いがある。ただ、ダイそのものは共通で、製品セグメント毎にスペックを変えているだけと考えてよい。
さらに、ネットトップ用の230とネットブック用のN270でもいくつかの違いがある。最大の違いはTDPと省電力機能の違いで、N270がより省電力が可能なC3/C4などの省電力ステートを備えており、TDPも2.5Wであるのに対して、ネットトップ用の230はC1までのみの対応で、TDPは4Wとなっている。このため、同じ1.6GHzであるものの、N270は230に比べて価格は高めに設定されているという。
チップセットはそれぞれIntel 945ベースのものが採用されており、N270にはIntel 945GSE、230にはIntel 945GCがそれぞれ利用されることになる。
●ASUS、Acer、MSI、GIGABYTE、ECSなど台湾ベンダのネットブックなどが注目を集める
発表会終了後にはすでに発表されていたASUSTeK、Acer、MSI、GIGABYTE、ECSなど台湾ベンダ各社のネットブック、ネットトップなどが展示されていた。その中にはShuttleやLenovoのネットトップなども含まれており、来場者の大きな注目を集めていた。
・展示された各社のネットトップ
FounderのN110 | C-MediaのCBOX-100S | ECSのMD100 |
Intelが試作したPot PC | ShuttleのKPC-K58 | PegatronのBee |
LenovoのQitian E | LemelのQ PC Smart | DIGN LaboのWall PC |
ASUSTeK ComputerのEee Box | IntelのT3310-SC |
・展示された各社のネットブック
AcerのAspire One、8.9型のWSVGA液晶を搭載しており、ストレージは8GBのSSD |
ASUSTeKのEee PC 1000、詳しくは別記事を参照いただきたい | ASUSTeKのEee PC 901 | ECSのJ10IL、OSはWindows XPだった |
ECSのG10IL、同じくOSはWindows XP | Haierの81004、OSはLinux | MSIのWind Notebook U100。OSはLinux |
MSIのWind Notebook U90。OSはWindows XP | GIGABYTEのM912はコンバーチブルタイプで、タッチパネル液晶を備えている |
MiTAC Rivendell、OSはWindows XP |
・展示されたAtom搭載マザーボード
MSIのWindPC Motherboard。おそらくベアボーン用だと思われる | PegatronのPXLP-LV、Mini ITXフォームファクタ |
□COMPUTEX TAIPEIのホームページ(英文)
http://www.computextaipei.com.tw/
□Intelのホームページ(英文)
http://www.intel.com/
□Atomの製品情報(英文)
http://www.intel.com/products/processor/atom/
(2008年6月4日)
[Reported by 笠原一輝]