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2008 IRPS前日レポート
〜半導体の微細化とともに信頼性の維持が難しくなる

会期:4月29日〜5月1日(現地時間)

会場:米国アリゾナ州Hyatt Regency Phoenix at Civic Plaza



 半導体デバイスの故障や不良、劣化などに関する世界最大の国際会議「国際信頼性物理シンポジウム(IRPS:International Reliability Physics Symposium)」が4月29日に米国アリゾナ州のフェニックスで始まる。IRPSは毎年春に米国で開催されており、2006年まではカリフォルニア州のシリコンバレーが会場だった。2007年からはアリゾナ州フェニックスに会場を変えて開催された。今年は前回と同じ、フェニックスのHyatt Regencyが会場である。IRPSは40年を超える歴史を有しており、今年の「2008 IRPS」は第46回目になる。

 2008 IRPSそのものは4月27日から始まっており、27日と28日は初級エンジニア向けの技術講座(チュートリアルセミナー)が開催されている。IRPSのメインイベントである技術講演会は4月29日〜5月1日に予定されており、最多で3つのセッションが並行して進む。発表件数は口頭発表とポスター発表を合わせ、160件を超える。

 以下は、2008 IRPSの注目講演を紹介しよう。

●初日:複数のbitが同時に壊れる

 技術講演会の初日である4月29日(火曜日)は、全体講演(プレナリセッション)で始まる。開始予定時刻は午前8時30分である。始めにキーノート講演が予定されており、米University of MarylandのMichael Pecht教授が品質認証試験の新たな手法について講演する。

 キーノート講演の後は「セッション1」となる。半導体デバイスにおける静電気放電(ESD)の耐性認証システムを米Texas Instrumentsが議論するほか、NANDフラッシュメモリのビット不良発生メカニズムと不良率を米Micron Technologyと米Intelが共同で解説する。

 29日の午後は3つのセッションが並行して進む。「ナノテクノロジ」、「極限環境」、「薄膜デバイスと太陽電池」のセッションだ。「ナノテクノロジ」の4件の講演はいずれも招待講演で、ナノテクノロジデバイスの信頼性と不良メカニズムに関する講演が予定されている。「薄膜デバイスと太陽電池」の4件の講演も招待講演であり、アモルファスシリコン薄膜トランジスタの劣化が性能に与える影響の調査結果や次世代薄膜太陽電池に関する発表などがある。

 午後の後半も、3つのセッションが並行して進む。「トランジスタのNBTI(Negative Bias Temperature Instability)」、「相互接続(パート1)」、「SER(Soft Error Rate)(パート1)」である。「相互接続」のセッションでは多層配線の層間絶縁膜が時間経過によって破壊するTDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)の研究発表が相次ぐ。独Infineon Technologies、米IBM、ルネサス テクノロジ、NECエレクトロニクスがそれぞれ研究成果を披露する。

 「SER」のセッションでは、マルチbitのソフトエラーに関する発表が注目を集めそうだ。ソフトエラーとは半導体チップが壊れる訳ではなく、データ(あるいはフリップフロップ)の値が反転する不良モードである。ソフトエラーは中性子線やアルファ線などが引き起こす。最近では同時に複数のbitが反転する、マルチセルアップセット(MCU:Multi-Cell Upset)またはマルチbitエラーと呼ばれる不良が問題になりつつある。Intel、ソニー、STMicroelectronics、IBMがそれぞれ、マルチbitのソフトエラーを調べた結果を発表する。

●2日目:Blu-ray Disc用光源の劣化メカニズム

 技術講演の2日目である4月30日(水曜日)も、3つのセッションが並行して開催される。午前中は「誘電体」、「ESDとラッチアップ」、「製品と回路の信頼性(パート1)」のセッションが予定されている。「製品と回路の信頼性」のセッションでは、米Cypress Semiconductorがフローティングゲート型基準電圧源の蓄積電荷損失メカニズムを議論する。

 昼食休憩を挟んで午後の前半も、3つのセッションが同時に進行する。「高誘電体膜」、「相互接続(パート2)」、「化合物半導体デバイス」である。「相互接続」のセッションでは、銅配線/低誘電率絶縁膜(Cu/low-k)のエレクトロマイグレーションに関する発表が目立つ。米AMDが2件の講演を予定しているほか、台湾TSMCからも発表がある。「化合物半導体デバイス」のセッションでは、光ディスク「Blu-ray」の光源である窒化ガリウム(GaN)半導体レーザの劣化モードを調べた結果を松下電器産業と伊University of Padovaが共同発表する。

 午後の後半も3つのセッションが並行して進む。「トランジスタ用高誘電体膜」、「メモリ(パート1)」、「アセンブリ/パッケージング」である。「トランジスタ用高誘電体膜」のセッションでは、IntelがHigh-k/メタルゲートによる45nmプロセスのBTI(Bias Temperature Instability)を評価した結果を述べる。「メモリ」のセッションでは、日立製作所がSONOS(Silicon-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)タイプのフラッシュメモリの特性改良のためにハフニウム酸化膜を導入した結果を報告する。

 30日の夜には、ポスター発表とレセプションが同じ会場で開催される。ポスター発表とは、研究概要を記した10枚前後のポスターをパネルに貼っておき、研究者がパネルの前で参加者の質問に直接答えるというセッションである。60件を超える発表が予定されている。

●最終日:DRAMシステムの中性子線ソフトエラーを実測

 技術講演の最終日である5月1日(木曜日)の午前は、2つのセッションが同時に開催される。午前の前半は「SER(パート2)」と「製品と回路の信頼性(パート2)」が予定されている。「SER」のセッションでは、中性子線ソフトエラーの発生率をDRAMのデバイスレベルとシステムレベルの両方で測定した結果が報告される。Infineonと米Sun Microsystemsの共同研究成果である。「製品と回路の信頼性」のセッションでは、NBTIによる動作周波数の低下をモニターするオンチップ回路をIBMが発表する。午前の後半は「MEMS」と「レイトニュース」のセッションが予定されている。

 昼食休憩を挟んで午後のセッションとなる。「不良解析」と「メモリ(パート2)」の2つのセッションが並行して進む。「不良解析」のセッションでは、シンガポールのMicron Semiconductor AsiaとシンガポールのNanyang Polytechnicが共同でDRAMのゲートコンタクト不良を解析する新たな手法を発表する。「メモリ」のセッションでは、相変化型メモリ(PCM:Phase Change Memory)セルの信頼性を確保する手法を伊DEI-Politecnico di Milanoが報告する。日立製作所は、フラッシュメモリセルの不良を引き起こすストレス誘起リーク電流の変動メカニズムを発表する。

 このほかにも興味深い技術発表が少なくない。詳しい内容は現地から随時、レポートをお届けする。

□国際信頼性物理シンポジウム(IRPS)のホームページ(英文)
http://www.irps.org/
□関連記事
【2006年4月6日】国際信頼性シンポジウム(IRPS) 2006レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/link/irps.htm

(2008年4月28日)

[Reported by 福田昭]

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