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【IDF展示会場レポート】
NetTop/NetBookや、Nehalemによる物理演算デモなど

会場の一部に設けられたNetTop/NetBookゾーン。Atomを使った低価格PCが展示されている

会期:4月2日~3日(現地時間)

会場:上海国際コンベンションセンター



 今回のIDFの大きな目玉の1つとなっているAtomプロセッサ。このAtomを搭載した低価格PCプラットフォーム「NetTop」「NetBook」の製品がIDF会場内に展示されており、これらのプラットフォームを使った実際の製品を見ることができる。そのほか、展示会場やセッションよりゲーミングPCに関する話題やメモリ関連の話題をお伝えしたい。

●NetTop、NetBookプラットフォームの中身

 NetTop、NetBook関連の話題は、初日に行なわれたパルムッター氏の基調講演のほか、報道関係者向けセッション、一般参加者向けのテクニカルセッション、など、紹介の場が多く設けられている。基調講演では紹介されなかった、より詳細な情報も公開されているので、簡単にまとめておきたい。

 まず、NetTopのプラットフォームを形成するのは、CPUが既報のとおりDiamondvilleのコードネームで呼ばれるSilverthorneベースのもので、チップセットがIntel 945GC+ICH7となる。ただし、チップセットはSiS671+SiS968の組み合わせも認められており、消費電力の面ではSiSチップセットを使ったほうが省電力化が可能になっている。OSはWindows XP、Vista Basic、Linuxが利用できる。

 NetTopで利用されるCPUに関しては、プレスセッションにおいて「1.6GHz動作」であることが明言されており、展示されている機器のデバイスマネージャからも、その言葉が裏付けられた。

 デバイスマネージャには2個のCPUが認識されているが、これはデュアルコアではなく、シングルコアでSMT(Hyper-Threading)によって見かけ上、2個のCPUとして認識している。ただし、テクニカルセッションの資料にはDiamondville DCというデュアルコア版についても記載があり、パフォーマンスを売りとするようなNetTopには、こちらが搭載されることもあるだろう。

 展示会場内では、NetTop用マザーボードや、完成型のNetTopもいくつか展示されている。マザーボードはIntel純正品のほか、ASUSTeK、Zotac、MSIも展示。パルムッター氏の基調講演でも紹介があったとおり、いずれもソケットを利用せずにCPUが直付けされており、テクニカルセッションの資料によれば、その消費電力はトータルで12W。170×170mmのMini-ITXフォームファクターに準拠した作りとなっている。

 このほか、NetTopのなかにはファンレスデザインのリファレンス製品も展示があった。より消費電力の低いSiSチップセットを用いたもので、シングルコアのDiamondvilleを、SMTを有効にした状態で利用している。

NetTopプラットフォームの概要。Diamondville、Intel 945GC、ICH7によって形成される 詳細なブロックダイヤグラム。こちらの資料にあるとおり、NetTopはSiSチップセットの利用も認めており、より消費電力を抑えることができる プレスセッションで示されたDiamondville。ダイはAtom ZシリーズのSilverthorneと同じだが、Zシリーズのパッケージが14×13mmとなるのに対し、Diamondvilleのパッケージは22×22mmとやや大きい
NetTop機のデバイスマネージャ。1.6GHz動作のシングルコアCPUであるが、SMTによって2個のCPUとして認識している Diamondvilleはシングルコア製品のほか、デュアルコア製品も用意される。ただし、デュアルコア版のTDPは2倍になる NetTop用マザーボード。緑色の基板がIntel純正品で、アクティブファンを備えた2つは同じもの。Intel 945GCを搭載した「D945GCLF」である
先の写真の左中央にあるのはIntel純正のSiSチップセット搭載マザーボード。こちらの資料にあるとおり、トータルの消費電力は12Wとなる アクティブファンを搭載したNetTopのサンプル機 小型のファンレスNetTopで横置きのタイプ
こちらもファンレスNetTopで縦置きのタイプ。先に示したデバイスマネージャ画面は本製品のもの IntelではファンレスNetTopのデザインガイドラインも提示しており、実際にそうした製品が登場する可能性も高そうだ

 NetBookに関しては、バリューセグメントのノートPCと一部市場が重なることが懸念されている一方、ハードウェアとしてはある程度、確立されている印象がある。コスト面の問題を解消することのほうが重要な課題と思われる。

 このプラットフォームを形成するのは、CPUがやはりDiamondville、チップセットがIntel 945GSE+ICH7となる。ただし、NetBook用CPUに関しては(正式な発表はまだであるものの)プロセッサ-・ナンバーが「Atom N270」であることが明確になった。動作クロックはやはり1.6GHzで、同じようにSMT機能も持っている。ただし、展示機には発熱を抑制するためにSMTを無効にしているものもあり、こちらも製品の性格によって論理CPUの異なる製品が登場することになりそうだ。

NetBookプラットフォームの概要。CPUはAtom N270であることが明確になっている。チップセットはIntel 945GSE+ICH7 動作クロックはNetBookと同じ1.6GHzだが、SMTをオフにして発熱を抑えるアプローチが積極的に取られる可能性もある MSI製のNetBook。この製品はSMTを有効にしている
パルムッター氏の基調講演でも展示されたNetBook 同じくパルムッター氏の基調講演でも展示されたNetBook

●NehalemやノートPCによるグラフィックデモ

 IDF展示会場内には、Advanced Technology Zoneと呼ばれる、ハイエンドユーザーを対象とした展示を行なうコーナーが設けられている。ここの一角では、クアッドコアNehalemに物理演算を行なわせるデモが実施されていた。ただし、このデモ機で使われているNehalemの動作クロックに関しては“発表を待ってほしい”とのコメントに留まった。

 デモは、Havokの物理演算エンジンを用いた処理をCPUに行なわせるというもので、4コア+SMTで計8CPUを同時に稼働。さまざまな物理演算を行なう中、8個の論理CPUが、すべて70%を超えるような高いCPU使用率で推移する様子を示している。

HavokエンジンをクアッドコアNehalemで動作させるデモ。左側にCPUの使用率が表示されているが、常に高いCPU使用率で推移していた 動作機については詳細が伏せられたが、2枚のDDR3-1333モジュールを利用した構成となっている

 このほか、グラフィックに関しては、一部報道関係者向けに「Gaming Workshop」というセッションが開かれ、ゲーム関連のIntelの取り組みが紹介された。とはいえ、こちらはそれほど目新しい情報はなく、デスクトップではSkulltrailにおいて、NVIDIAのGeForce 9800 GX2を2枚使ったQuad SLIをサポートすることが明確にされた程度。

 モバイル向けでは、Montevina以降のモバイル向けCore 2 Extremeに関する簡単なロードマップが示され、2008年中盤に新しいCore 2 Extreme、2008年後半にクアッドコア製品を投入。その後、Nehalemベースの製品へ移行することが示されている。

 Montevinaで採用されるIntel GM45に関しては、3Dパフォーマンス以外の機能面についても積極的にアピールが行なわれており、Blu-rayに代表されるHDコンテンツのデコードアクセラレーション機能や、SVIOを利用したDisplayPort出力のデモも行なわれていた。

Skulltrailの概要の中で登場したスライドの一枚。GeForce 9800 GX2を2枚用いたQuad SLIについて、早速情報が盛り込まれた モバイル向けCore 2 Extremeの簡単なロードマップ。今年後半にはクアッドコア、来年はNehalemへ移行する 2007年秋にお伝えしたXMPについても、DDR3 SDRAMをサポートするMotevinaの登場を控えて、モバイル分野での動きも本格化する
Montevinaを用いたBlu-ray再生のデモ。VC-1収録されたHDコンテンツの再生を行なっており、Intel GM45のデコードアクセラレーションによりCPU使用率は30%程度を推移している こちらはIntel GM45のDisplay Portサポートをアピールするデモ。SVIO経由でHDMIとDisplayPortインタフェースを取り出し、Display Port接続でディスプレイに映し出している Display PortとHDMIに対応したADD2カード。デモではこのインタフェースを用いず、エンジニア用キットによる直接的な接続を行っている

●メモリに関する話題を2つ

5Gbps(2.5GHz)のGDDR5モジュール。512bitと1Mbitという2つの容量が提供される

 メモリ関連で目新しい話題を提供したのはHynixだ。1つは、すでに発表しているGDDR5チップを展示。1~5Gbpsのデータレートを持つ5タイプを揃え、帯域幅は最高20Gbpsとなる。容量は1Gbitまたは512Mbit。すでに量産が可能な状態になっているが、これを採用する具体的な製品計画などはコメントを得られなかった。

 ただ、AMDは次のRadeonシリーズでGDDR5に対応するという噂もあり、Hynix以外でもGDDR5の開発を進めているメーカーがある。次期グラフィックメモリのトレンドの1つとして注目しておくべき存在だろう。

 このほか、エンタープライズ寄りの話題ではあるが、メモリモジュール上に専用チップ搭載し、それを介してメモリチップを接続することで、1枚のモジュールに、より大容量のメモリを搭載できるMetaRAM技術を用いたDDR3 SDRAMを展示した。現在、HynixではDDR2モジュールの量産は行なっているが、DDR3モジュールに関してはNehalemが投入される2008年後半の製品化を予定しているとのこと。

 とはいえ、今回のIDFでは、MetaRAM DDR3の稼働デモも実施。このデモは開発用基板を用いたものだが、量産用基板を用いたRegistered DDR3 SDRAMの8GBモジュールのサンプルも展示されており、実際の製品化に向けて開発が進んでいる印象だ。

Nehalemを使ったMetaRAM DDR3 SDRAMの動作デモ。開発用基板を用いたもの 量産用基板を用いた8GBモジュールのサンプル品。型番は「HMT31GR7AUP4C-GBDB」 こちらはヒートスプレッダを備えたもの。型番は「HMT31GR7AUP4C-GBTB」。容量は同じ8GB

□Intelのホームページ(英文)
http://www.intel.com/
□IDFのホームページ(英文)
http://www.intel.com/idf/
□関連記事
【2007年9月21日】NVIDIAがPCI Express Gen2接続ビデオカードをデモ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0921/idf08.htm
【2007年11月15日】Hynix、5Gbps動作の1Gbit GDDR5ビデオメモリ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/1115/hynix.htm

(2008年4月4日)

[Reported by 多和田新也]

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