多和田新也のニューアイテム診断室

メインストリーム向け45nmデュアルコア
「Core 2 Duo E8500」




 Intelが1月8日に発表した、45nmプロセスで製造されるメインストリーム向けCPU。当日発表されたラインナップ中、Wolfdaleのコードネームで称されていたデュアルコアCPUが「Core 2 Duo E8000」シリーズである。20日0時の販売解禁を控えて深夜販売を表明しているショップもあり、注目しているユーザーも多いのではないだろうか。今回は、このパフォーマンスをチェックしてみたい。

●大幅に小型化されたCPUクーラーに特徴

 Penrynコアとも呼ばれる45nmプロセスのCore 2シリーズに関しては、すでにハイエンド向けのクアッドコアCPUである「Core 2 Extreme QX9650」が発売されているが、今週末にメインストリーム向けデュアルコア「Core 2 Duo E8000」シリーズが発売される予定。詳しい製品ラインナップは発表時の記事に詳しいので参照されたい。

 今回テストするのは、このデュアルコア製品の最上位モデルとなる「Core 2 Duo E8500」のES品である(写真1、2)。価格は1,000個ロット時で3万460円となっており、店頭でも3万円半ば程度が見込まれる製品だ。デュアルコア製品とはいえ、3.16GHzという動作クロックは、週末に発売されるものを含めて、PC向けとしては最高動作クロックのCoreマイクロアーキテクチャ製品ということになる(画面1)。FSBは1,333MHzで、Intel P35などのIntel 3シリーズチップセットが利用できる。

【写真1】45nmプロセスにシュリンクされた「Core 2 Duo E8500」 【写真2】Core 2 Duo E8500(左)とE6750(右)の裏面。コンデンサの配置が変更されている 【画面1】CPU-Z1.43における表示結果。ステッピングは「C0」で、Core 2 Extreme QX9650で利用されているものとダイは同じもの

 この製品のアーキテクチャ的な見どころは、45nmプロセスになったことによる消費電力の変化、45nmプロセスに合わせてリフレッシュされたCoreマイクロアーキテクチャ、4MBから6MBへのL2キャッシュ増量といったところだろう。

 このうち、消費電力の目安となるTDPに関しては、従来製品の65W枠から変更されていない。ただし、リテール製品に付属するCPUクーラーが大幅に変更される。従来のLGA775製品用リテールクーラーは、中央の銅柱とアルミ製ヒートシンクを組み合わせたものだった。

 45nm世代ではCore 2 Extreme QX9650に120mm角ファンを利用した大型CPUクーラーが付属したことが話題になったが、Core 2 Duoに関しては逆に小型のクーラーへと変化し、ヒートシンクは全体すべてをアルミダイキャストで製作したと見られるものになった(写真3、4)。

 写真のクーラーに搭載されていたファンはDELTA製の0.60A品。CPUの発熱低下やヒートシンクの出来の良さなどの要因があるのだろうか、従来モデルよりもうるさいといった印象は受けず、高回転で回り続けることもない。ヒートシンクとファンを合わせた全高は約50mm程度で、ロープロファイルケースで使うのも可能な大きさになったことは特筆できる。

【写真3】Core 2 Duo E8000シリーズに付属するリテールクーラー。従来品に比べて大幅に低い背丈になった 【写真4】銅柱がなく、ダイキャスト一体型の作りに。総アルミに見えるが、それ以外の含有物があるのかは不明

●Conroeとのパフォーマンス差をチェック

 それではベンチマーク結果を紹介していきたい。テスト環境は表に示した通り。今回の主題はConroeコアとの性能差に置いたが、Core 2 Duo E8500と同一クロックのConroeコア製品は存在しないため、筆者の手元にあったCore 2 Duo E6750を比較対象に使用。そのうえで、Core 2 Duo E8500の内部倍率を8倍に落として、Core 2 Duo E8200相当とした状態でのテストも実施している。

【表】テスト環境
CPU Core 2 Duo E8500(3.16GHz)
Core 2 Duo E8200相当(2.66GHz動作)
Core 2 Duo E6750(2.66GHz)
マザーボード Intel DP35DP(Intel P35 Express)
メモリ PC2-6400 DDR2 SDRAM(1GB×2/5-5-5-18)
ビデオカード GeForce 8800 GTX(ForceWare 169.25)
HDD Seagete Barracuda 7200.10(ST3250620AS)
OS Windows Vista Ultimate

 では順に結果を見ていきたい。まずは、Sandra XIIの「Processor Arithmetic/Processor Multi-Media Benchmark」(グラフ1)、「.NET Arithmetic/Multi-Media Benchmark」「JAVA Arithmetic/Multi-Media Benchmark」(グラフ2)、PCMark05のCPU Test(グラフ3、4)である。

 Processor Multi-Media Benchmarkの整数演算テストはSSE4.1に対応している影響があって、このテストでは同一クロックとなる2.66GHz同士の比較で大幅にスコアを伸ばしている。

 そのほかの項目はWhetstoneでWolfdaleの2.66GHz動作が良いスコアを出しているが、この傾向はCore 2 Extreme QX9650/QX6850でも見られた結果ではあるが、それほど差は大きくない。また、そのほかのテストにおいても、同クロックの2.66GHz動作時では似たようなスコアに落ち着いており、これらのテストにおける演算性能は、SSE4.1を使用しない限り、向上する気配は見せない。

 ただし、当然のことではあるが動作クロックが上がれば、その分はきっちりスコアが向上している。45nmプロセス製品において、従来よりも高い動作クロックの製品がラインナップされたという点は大きなポイントとは言えるだろう。

【グラフ1】Sandra XII (Processor Arithmetic/Multi-Media Benchmark)
【グラフ2】Sandra XII (.NET/Java, Arithmetic/Multi-Media Benchmark)
【グラフ3】PCMark05 Build 1.2.0(CPU Test - シングルタスク)
【グラフ4】PCMark05 Build 1.2.0(CPU Test - マルチタスク)

 続いては、メモリ性能を見るために実施した、Sandra XIIの「Cache & Memory Benchmark」(グラフ5)と、PCMark05の「Memory Latency Test」(グラフ6)の結果である。まず、Sandraによるメモリアクセス性能の結果を見てみると、同一クロックではほぼ等しくグラフが重なっているが、L2キャッシュ容量差によって4MB転送の地点における差は発生している。

 ただ、気になるのはレイテンシで、L2キャッシュが活用される192KBのレイテンシテストにおいて、同一クロック動作の場合にWolfdaleの方がレイテンシが大きい結果が出ている。これは、Core 2 Extreme QX9650/6850の時にも見られた結果であり、やはり若干のレイテンシ増加があるように見受けられる。

【グラフ5】Sandra XII(Cache & Memory Benchmark)
【グラフ6】PCMark05 Build 1.2.0(Memory Latecy Test)

 こうした傾向が出ている一方で、実際のアプリケーションはどうかというのは、続く、「SYSmark 2007 Preview」(グラフ7)、「PCMark Vantage」(グラフ8)、「CineBench R10」(グラフ9)、「動画エンコードテスト」(グラフ10〜12)の結果を参考にしたい。

 Office系アプリケーションをテストするProductive系のテストはHDDアクセスの多さによる誤差が出やすいこともあってか、ほかと傾向が異なるものの、おおむね同一クロックでもCore 2 Duo E8200相当の方が良好なスコアを出す傾向を見せている。

 ちなみに、動画エンコードに関して1点補足であるが、H.264エンコードテストは前回まではMainConcept Reference Version.1.0を使用していたが、今回からVersion.1.1へ変更した。Core 2 Extreme QX9650/6850の比較では差が出なかったHD解像度のエンコードでも、同一クロック時にE8200が良好な傾向を示す傾向が出ており、MainConceptの製品紹介に特に謳われてはいないが、エンコードエンジンの改良がWolfdaleにとって良い方向に向いているように見受けられる。

 逆に性能向上が見られなかったのがDivX6.8である。今回はSSE4使用フルサーチのテストは実施せず、DivXの通常サーチにおける性能差のみ見ているが、差がほとんど発生していない。こちらは少々意外な結果となっている。

 ただ、それ以上に目立つのは、やはりE8500の結果といえる。多くのテストで1割以上のスコア向上を見せており、その性能の良さは際立っている。3GHz動作のCore 2 Duo E6850が比較対象に入っていないこともあり、これを加えるともう少し差も縮まるのだろうが、やはりマイクロアーキテクチャのベースが同じである以上、動作クロックが向上したことが何より効果的である印象を受ける。

【グラフ7】SYSmark 2007 Preview(Ver.1.02)
【グラフ8】PCMark Vantage Build 1.0.0.0
【グラフ9】CineBench R10
【グラフ10】動画エンコード

 続いては3D関連のベンチマークテストである。実施したのは、「3DMark06」(グラフ11、12)、「3DMark05」(グラフ13)、「Crysis Single Player Demo」(グラフ14)、「Unreal Tournament 3 Demo」(グラフ15)、「LOST PLANET EXTREME CONDITION」(グラフ16)だ。

 これらのテストは、Core 2 Duo E8200相当のスコアが安定してE6750を上回る傾向を見せており、Penrynコアにおけるマイクロアーキテクチャの効果が発揮されている。

 また、ゲーム用途もマルチスレッド化が進んではいるものの、動作クロックの向上が性能に直結するジャンルであり、この点において3.16GHzという動作クロックの製品が登場したことは歓迎されるだろう。

【グラフ11】3DMark06 Build 1.1.0 (CPU Test)
【グラフ12】3DMark06 Build 1.1.0
【グラフ13】3DMark05 Build 1.3.0
【グラフ14】Crysis Single Player Demo (CPU benchmark)
【グラフ15】Unreal Tournament 3 Demo
【グラフ16】LOST PLANET EXTREME CONDITION(DX10)

 最後に消費電力のテストである(グラフ17)。この結果を見ると、全般に45nmプロセス製品の方が消費電力が高いことが分かる。動作クロックが高い3.16GHzでは仕方ないにしても、同一クロックにおいても若干ながら消費電力が大きい傾向が見て取れる。

 もっとも、今回のE8200相当に設定した状態でも電圧は特に変更していないため、クロックの変化による消費電力への影響しか見ることができない。実際のE8200とは多少素行が異なるのも事実であるし、そもそも、CPUも個体ごとに消費電力に多少の差は発生する。今回のCore 2 Duo E6750/E8200相当の環境間で出ている3〜8Wというスコアは、決定的な差とはいえないレベルではある。とはいえ、45nmプロセスでの消費電力減も期待されただけに、やや残念な結果とはいえる。

【グラフ17】消費電力

●パフォーマンスの底上げとなったデュアルコア

 以上の通り結果を見てくると、今回発表された45nmプロセスのCPUは、同一クロックであっても多くのシーンで性能の微増を期待できる。価格は似たようなレンジになるはずで、費用対効果は向上されたといえるだろう。

 また、Core 2 Duo E8500の存在感も大きい。冒頭でも触れた通り、未発売のCore 2 Extreme QX9770を除けば、PC向けCoreマイクロアーキテクチャ製品としては最高動作クロックの製品となる。ベンチマーク結果は非常に優秀で、3万円強という価格帯を考えると高い魅力を持った製品になっている。

 1,333MHz FSBに対応したプラットフォームは2007年半ばに登場したばかりで、まだまだ導入しているユーザーも限られるだろうが、この45nmプロセスのメインストリーム投入を機に、環境の刷新を行なう人も多そうだし、また、筆者もそれをお勧めしたい。

□関連記事
【1月8日】Intel、PenrynコアのCore 2ラインナップを拡大
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0108/intel.htm

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(2008年1月18日)

[Text by 多和田新也]


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