アップル、国内でも「MacBook Air」の説明会を開催
1月16日 開催 米国サンフランシスコで開催されているMacworld Conference&Expoに合わせ、アップルジャパン株式会社は16日、日本で説明会を開催。スティーブ・ジョブズ氏基調講演で発表されたMacBookシリーズの新モデル「MacBook Air」、Leopardに搭載されている自動バックアップ機能「Time Machine」をサポートするワイヤレスネットワークストレージ「Time Capsule」などの新ハードや、iPod Touchのソフトウェアアップデートなどについての説明が行なわれた。 説明会では、午前中にMacworld Conference&Expoのスティーブ・ジョブズ氏基調講演がビデオ上映され、午後から新ハードや新サービスに関する説明が行なわれた。 今回発表された中で最も注目されるのは、やはりMacBookシリーズの新モデルとなる、“世界で最も薄いノートブック”MacBook Airで、説明会でもMacBook Airに関する説明に大半の時間が割かれた。 MacBook Airの特徴は、何と言ってもその薄さだ。前方最薄部は実に4mm、後方最厚部でも19.4mmしかない。基調講演でスティーブ・ジョブズ氏がMacBook Airを封筒の中から取りだして披露していたのは非常に印象的だったが、実際に実物を見ると本当にあり得ないほど薄いと感じる。しかも、この超薄型ボディの中に、WXGA(1,280×800ドット)表示対応の13.3型ワイド液晶やフルサイズバックライトキーボードなどが搭載されているのだから驚きだ。
ちなみに、薄さは際だっているものの、フットプリントおよび重量は飛び抜けて小さく軽いということはない。フットプリントは325×227mm(幅×奥行き)とMacBookとほとんど同じで、重量は1.36kgと薄さの割にはやや重いという印象だ。実際に手に取ってみると、あまりの薄さのために数値以上に重く感じてしまう。 また、これだけ薄いと気になるのが堅牢性だが、本体素材にはMacBook Proと同じアルミニウムを採用しており、同等の堅牢性も実現していると説明された。最近のモバイルノートPCでよく見られる、“100kgfを超える耐圧性”というような数値で堅牢性が示されているわけではないが、実際にMacBook Airを持って軽くひねったり押してみても強度に不安に感じることはなく、おそらく鞄に入れて持ち歩き満員電車に乗ったとしても特に問題はないだろう。 ところで、MacBook Airでは、キーボード手前に非常に大きなタッチパッドが搭載されているが、これはiPhoneやiPod touchで採用され絶賛されている“マルチタッチインターフェイス”を応用した「マルチタッチテクノロジー」を実現するためだ。パッド上で2本指で斜め方向に指を開いたり閉じたりすることで表示画像の拡大/縮小を行なう「ピンチ」、3本指でパッドを左右になぞることで写真表示を切り替える「スワイプ」、パッド上で2本指で円弧状になぞることで画像を回転させる「回転」などが実現されている。このマルチタッチテクノロジーは本体の薄さに次ぐMacBook Airの大きな魅力の1つと言って良いだろう。なお、このマルチタッチテクノロジーが今後のMacBook/MacBook Proにも採用されるかどうかは公表されていない。
基本スペックを確認しておこう。CPUは1.6GHzまたは1.8GHz動作のCore 2 Duoを搭載。このCore 2 Duoは、一般的なCore 2 Duoよりも面積の小さな特別パッケージのものが採用されており、プロセッサー・ナンバーは公表されていない。また、メインメモリはオンボードで2GBのPC2-5300 DDR2 SDRAMを搭載(増設は不可)。HDDは1.8インチ/4,200rpmのPATAドライブを採用。またオプションとしてMacBookシリーズ初となる64GBのSSDも用意されており、SSD搭載時にはパフォーマンスや信頼性がさらに向上するとしている。
液晶ディスプレイは、13.3型WXGAクリアワイドスクリーンTFTで、バックライトにはLEDを採用。グラフィック機能はIntel GMA X3100だ。チップセットは公表されていないが、グラフィック機能から考えるとIntel GM965 ExpressまたはIntel GS965 Expressのどちらかだと思われる。 無線機能は、標準でIEEE 802.11nドラフト準拠の無線LANとBluetooth 2.1+EDRを搭載。また、液晶ディスプレイ上部にはiSightカメラやマイクも用意されている。
バッテリは、容量37Whのリチウムポリマーバッテリを内蔵し、無線機能利用時で5時間のバッテリ駆動時間を実現。ただしバッテリは取り外し不可能で、ユーザーによる交換も行なえない。 アップルは、MacBook Airについて「妥協をせずに開発した」と説明している。スティーブ・ジョブズ氏も基調講演で「妥協していない」と何度も言っていた。しかし実際には、妥協したのでは、と思われる部分もいくつか存在している。それは、光学ドライブおよびインターフェイス部分だ。 光学ドライブについては、この薄さを実現するには搭載はまず不可能であり、ある意味、当然の仕様だ。また、USB接続の外付けドライブ「MacBook Air SuperDrive」を用意するとともに、ネットワーク上のMacやPCの光学ドライブをマウントして利用する「Remote Disc」という機能も用意されるため、非搭載でも特に不満は感じない。とはいえ、薄さを優先するために妥協したと言われてもしかたがないだろう。
また、インターフェイスは、MacBook Airで最も気になる部分だ。MacBook Airには、USB 2.0が1ポートと映像出力用としてmicro DVIポート(標準でmicro DVI-DVIアダプタとmicro DVI-VGAアダプタが付属)、そしてヘッドフォン端子が用意されているだけで、有線LANはもちろん、Macではなくてはならないと言っても良い存在のFireWireすら省かれている。FireWire接続の周辺機器を利用している従来のMacユーザーにとっては、かなり厳しい妥協点と言えるかもしれない。
今回の説明会では、MacBook AirはMacBookシリーズのモバイル版というカテゴリーとしては位置付けていないと語られた。iSightカメラやフルサイズキーボードといったMacBookとしてのバリューは変わらない中で、モビリティを重視するユーザーに向けて開発したものである、と説明された。ただ、上記のように妥協したと受け取られてもしかたがない部分も存在しており、それなら初めから「いくつかの妥協点はあるが、そのおかげでこれだけ薄いMacBook Airができた」という言い方をした方がスマートだったのでは、と筆者は感じた。 しかし、特に日本では、これだけの薄さと軽量さを実現したMacBook Airが注目を集めるマシンであることは間違いない。少なくとも、これまでMacユーザーが心待ちにしていた軽量なMacBookが、ついに登場したと素直に喜ぶべきだろう。 □アップルのホームページ (2008年1月17日) [Reported by 平澤寿康]
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