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2008 International CES【パナソニック基調講演レポート】

4K×2K解像度の150型プラズマを披露

パナソニックAVCネットワークス社 坂本俊弘社長

会場:Las Vegas Convention Center
    Sands Expo and Convention Center/The Venetian

会期:1月7日~10日



 1月7日(現地時間)、International CESは松下電器産業 パナソニックAVCネットワークス社 社長 坂本俊弘氏による基調講演で正式に開幕した。

 この基調講演では、世界最大となる150型プラズマディスプレイのプロトタイプや、Wireless HDのデモなど、同社のHigh Defination技術における最先端の動向が紹介された。

●最厚部1インチ未満の50型PDPと、4K×2K解像度の150型PDP

 坂本氏の基調講演の冒頭では、同社が推進していきたHigh Definationのデジタル技術を家庭の中心に据えるというコンセプトのこれまでの歩みと、米国で実施している、家族にHD機器を提供するプログラムを紹介。この先、100家族に対して行なっていくもので、HD機器を家族の中心に据えた生活を体験してもらうというものだ。

 このHD機器のなかでも、もっとも中心に位置付けられるものとして取り上げられたのがフラットパネルディスプレイだ。この話題に関しては、まず環境問題に対する取り組みを紹介。鉛/水銀フリー化などの有害物質削減、リサイクル推進などへの取り組みを強化するほか、現在13%残っているエネルギー効率の悪い製品を来年(2009年)末までにゼロへ。逆にエネルギー効率の良い製品を現在の16%から、この先24カ月で30%へ上昇させるとした。さらに、CO2削減についても、30万tの削減を目標として掲げている。

 また、プラズマディスプレイの輝度を2倍に引き上げることも表明。消費電力は現状維持とすることで、ルミネンス効率が2倍になる。これにより、消費電力は50%削減される。

 そして、現在開発中のプラズマディスプレイ2製品のプロトタイプを公開し、会場が大いに盛り上がった。1つは、厚さ24.7mmの薄型プラズマディスプレイを紹介。パネルサイズは50型で、重さも従来製品の2分の1という。

 一方、大型のプラズマディスプレイでは、発売済みの103型プラズマが昨年1年間で3,000台を売り上げたことを紹介し、この基調講演では“ジャイアントサプライズ”として150型のプラズマディスプレイを発表した。11フィート(約3.35m)の幅を持ち、解像度はフルHDの4倍となる4K×2K(4,096×2,160ドット)。基本的には広告用途やデジタルシネマ用途に向けた製品としているが、家庭へ取り入れるユーザーの存在も現れる可能性があるという。この製品はあくまでプロトタイプであるが、2009年5月の稼働開始に向けて、現在建造中の1,200万台/年のキャパシティを持つプラズマ製造工場が完成次第、早期に発売したいとしている。

 ちなみに、松下電器は今年行なわれる北京オリンピックの公式スポンサーになっており、国際オリンピック協会からもエンド・トゥ・エンドで利用可能なHDソリューションの提供を強く求められてきたという。そして、現在提供しているHD技術に対する放送業界の反響も大きく、北京オリンピックが初めての“HDプラズマ・オリンピック”になると、オリンピックに合わせたプラズマTV導入をユーザーにアピールした。

厚さ1インチ未満の薄型50型プラズマを紹介 “象のように大きい”、4,096×2,160ドットの解像度を持つ150型プラズマ

●VIERAの新技術や新サービス、他社との協業を次々に紹介

 続いて坂本氏は、VIERAを中心に据えた生活に密着する、新技術や他社との協業による新サービスなどを紹介した。

 最初に紹介されたのは、Wireless HD技術だ。1本のケーブルでHD映像と音声を転送するHDMIを“上回る”ものとしてデモが実施され、Blu-rayプレーヤーからVIERAへの映像転送や、デモ中にHDデジタルビデオカメラで撮影した映像の無線転送などを紹介した。これは「Home Base」と呼称され、非圧縮でHD映像を転送し、遮蔽物にも強い技術としてアピール。“これは夢ではなく現実。来年には皆さんの家庭に入る”と語った。

Wireless HD技術を利用した「Home Base」のデモ。Blu-rayプレーヤーからTVへ無線転送を行なっている。間に坂本氏が立っているが、その影響がないこともアピールしている デモ中にHDビデオカメラで撮影した映像を、さっそく無線送信して表示するデモ。ワイヤーをカットするパフォーマンスも

ComcastのCATVを録画し、それを持ち運びもできる「AnyPlay」を紹介。右側の人物がComcast会長兼CEOのBrian L.Roberts氏

 次は8日に基調講演が予定されている、米国のCATV企業Comcastとの協業だ。オープンアーキテクチャとして開発されてきたインタラクティブCATV規格「tru2way」に対応したVIERAのデモを実施したほか、「AnyPlay」と呼ばれるデバイスを紹介。AnyPlayは、tru2way規格に対応したセットトップボックスと、取り外し可能なポータブルプレーヤーをドッキングさせた製品で、Comcastが配信するコンテンツを録画し、それを持ち運んで鑑賞できることが売りだ。これは来年にも発売予定という。

 このほか、TVとインターネットの融合として、YouTubeの創始者の1人であるCTOのSteve Chen氏と、GoogleでPicasaのプロダクトマネージャーを務めるMike Horowitz氏を壇上に招待。VIERAからYouTubeの動画を見たり、Picasaのオンラインアルバムを鑑賞できる「VIERA CAST」の紹介とデモを実施した。

 さらには、早期の発売が予定されている無線LAN内蔵デジタルカメラ「LUMIX」では、Wi-Fi経由でPicasaのオンラインアルバムに直接アップロードが可能で、撮影した写真をホットスポットからアップロードして公開する、といったことが可能になる。


YouTube共同創始者兼CTOのSteve Chen氏(中央)と、GoogleのPicasaプロダクトマネージャー Mike Horowitz氏(左) VIERA CASTのデモ画面。左側にYouTube、右側にPicasaのオンラインアルバムへのアクセスインターフェイスが用意されている
YouTubeにアップロードされている映像を、VIERAから直接再生できる 近日発売予定という無線LAN内蔵LUMIXも、撮影した静止画をPicasaのオンラインアルバムへ直接アップロードできるようになる

●壁をデジタル化してしまう「Life Wall」デモ

 坂本氏の基調講演の最後にデモンストレーションが実施されたのが「Life Wall」と呼ばれるものである。このLife Wallは壁全体を1枚のディスプレイとし、非接触型のユーザーインターフェイスにより、この“壁”に対しさまざまな操作が可能というもの。

 この壁は、壁紙を張り替えて部屋の印象を変えたり、写真やシャンデリアなどのインテリアを変更可能だ。また、顔認証によりユーザーごとに画面の設定を保持することもできる。Google Earthを表示させた世界各地の様子を表示するなどの学術用途や、ビデオ会議などの用途も示されている。

 このLife Wallは、あくまで“未来のビジョン”として示されたものである。しかし、同社のコンセプトは、家族が集まる場所の中心にデジタル技術/High Defination技術を置くことにある。「新しい世界の学ぶ方法や笑う方法、コミュニケーションを行なう方法が提供され、新しい夢を見ることを可能にしている」と坂本氏は述べており、このLife Wallはその究極のコンセプトモデルとも言えるものだろう。そして、「我々の進歩を見守ってほしい」という、将来を期待させるコメントをもって基調講演は幕を降ろした。

Life Wallのデモ。中央で手をかざして十字状のパネルを操作している。中央には操作する人の名前が表示されており、これは顔識別によって認識されている Google Earthの表示なども可能。ここで表示している画面は自由に移動が可能 ビデオチャットも行なえる。もちろん、相手の映像を表示する場所も自由

□2008 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□パナソニックのホームページ
http://www.panasonic.co.jp/
□関連記事
【1月8日】【CES】松下の坂本AVC社長が150型などプラズマ最新技術を紹介(AV)
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080108/ces11.htm
【1月7日】【CES】2008 International CES開幕直前レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0107/ces00.htm
【2006年8月31日】【大河原】松下電器 大坪文雄社長インタビュー(下)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0831/gyokai175.htm
【2006年8月30日】【大河原】松下電器 大坪文雄社長インタビュー(上)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0830/gyokai174.htm

(2008年1月9日)

[Reported by 多和田新也]

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