NVIDIA、ケースや電源、水冷を監視/制御する新規格「ESA」を発表
11月5日(現地時間)発表 米NVIDIAは5日(現地時間)、ケース、電源、水冷機器を監視/制御する新規格「ESA」を発表した。 ESAは「Enthusiast System Architecture」の略で、その名が示す通りハイエンドシステムをターゲットとした規格。その目的を端的に言うと、より安定したオーバークロックを実現するための統一的/標準的なプロトコルないしはエコシステムの提供ということになる。 ESAを提唱した理由について、同社プラットフォームプロダクト部門テクニカルマーケティングマネージャのワリード・ザメル氏は、「現在、PCプラットフォームではEthernetはIEEE、HDDはATA、メモリはSMBusといった標準規格に則って動作している。これと同じようにケースや冷却機器にもマザーボードと通信する手段を与えることで、より安定し、高性能なシステムが実現できるからだ」と説明する。 ESAの動作に必要な環境は、ESAに対応したマザーボードとパーツで、ここで言うパーツは、現在のところケース、電源、水冷機器となっている。ESAに対応したパーツには、温度や電圧、ファンの回転数などを監視/制御するコントローラが内蔵されており、マザーボードとはUSBで内部接続する。
基本的な用途は、システムの温度が上がった時に、動的にファンの回転数を上げて冷却することにある。このような機能は、ESAに対応しない従来のマザーボードやファンにもあるが、ESAに対応したケースであれば、1本のUSBケーブルでマザーボードと接続するだけで、すべてのファンを制御できるため、マザーボード上のファンコネクタの数を気にする必要がない。 また、ESA対応ケースでは温度センサの位置情報を得ることができるので、高温になっている部分に近いファンだけをより高速に回転させて、効果的に冷却できる。 NVIDIAはESAを利用するためのモニタリングソフトも用意しており、ESA対応パーツとマザーボードの動作状況を一元的に把握できる。 ESAに対応させることで、当然多少のコスト増は発生するが、ザメル氏は「ESAがターゲットにしているのは3千~4千ドルのPCを買うハイエンドユーザー。その総額に比べれば、ESAによるコスト増は無視できるレベルの範囲になるだろう」としている。
同社ではESAをオープンな規格として公開しており、すでにASUSTeK、CoolIT、Cooler Master、GIGABYTE、MSI、Tagan、Thermaltakeといったパーツベンダーが対応製品を製造していくことを表明している。 加えて、Hewlett-PackardとDellの2大PCメーカーもESAに賛同。ESAにはLEDの制御の仕組みも実装されており、実はDellが先だって発表したハイエンドノートPC「XPS M1730」のLEDの制御にはESAが利用されているという。 NVIDIAでは、ESAを業界標準規格にすべく、USB-if HID小委員会にも働きかけを行なっているほか、ロゴ/認証プログラムも実施している。 なお、同社では次期ハイエンドチップセット搭載マザーボードでESAを採用する予定だが、ESA自体はチップセットに依存しないので、NVIDIA以外のチップセットでもESAを採用させることはできる。 □NVIDIAのホームページ(英文) (2007年11月6日) [Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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