多和田新也のニューアイテム診断室

NVIDIA初のIntel CPU向け統合型チップセット
「GeForce 7150+nForce 630i」




 NVIDIAが9月25日に発表した、同社初となるIntelプラットフォーム向け統合型チップセット「GeForce 7 Series mGPUs (Motherboard GPUs) for Intel」は、すでに搭載製品の販売が開始されている。ここでは、最上位モデルとなる「GeForce 7150+nForce 630i」を搭載したマザーボードを利用して、そのパフォーマンスをチェックしてみたい。

●コアクロック630MHzのGeForce7150

 GeForce 7 Series mGPUs for Intelは、NVIDIA初のIntelプラットフォーム向け統合型チップセットである。その機能や特徴に関しては、発表時の記事をご覧いただくとして、ここではテストする搭載製品を見ていきたい。

【写真1】GeForce 7150+nForce 630iを搭載するGIGABYTEの「GA-N73UM-S2H」

 今回テストするのは、GeForce 7150+nForce 630iを搭載するGIGABYTEの「GA-N73UM-S2H」である(写真1)。microATXフォームファクターに準拠した製品で、このチップセットの特徴の1つであるワンチップ+ヒートシンクのみが搭載されたファンレス構成のマザーボードとなっている。

 GeForce 7 Series mGPUs for Intelのもう1つの大きな特徴がシングルチャネルのメモリインターフェイスである。最近では珍しい仕様といって差し支えないと思うが、マザーボードもチャネルごとに色分けされたスロットを搭載するのが一般化している中、単一色のメモリスロットになっているのは逆に新鮮に感じられる(写真2)。

 なお、写真2に示したメモリスロットの近くにシルク印刷がある通り、1,333MHz FSBまでサポートしているのも特徴だ。この点に関していえば、競合製品となるIntel G33などのIntel 3シリーズチップセットと同じ仕様であり、現在でもユーザーが多いであろうIntel G965に対してのアドバンテージとなる。

 肝心の内蔵グラフィックスについて触れていきたい。ドライバはNVIDIAより提供されたチップセット用のUnified Driver Version 16.04をインストールすることで、グラフィックス用のドライバも組み込まれている。このドライバは、プロパティ画面で見る限り、現在公開されている最新版となるForceWare 163.69をベースとしたもののようだ(画面1)。

 合わせて、nTuneを利用してコアクロックを調べてみると、630MHzとなっている(画面2)。ただし、NVIDIAはGeForce 7150に関しては600MHz以上というスペックしか示しておらず、このコアクロックは製品に依存する可能性も高い。より高クロックなGeForce 7150も存在する可能性があるわけで、このあたりはマザーボードベンダーが開示しているスペックを確認すべきだろう。

 CPU-Zを見ると、GeForce 7150+nForce 630iのチップリビジョンが“A2”と表示されている(画面3)。発表時にNVIDIAから提供されたチップ写真は、その刻印からリビジョン“A1”である可能性が高く、搭載製品が登場するまでの間にリビジョンの更新が行なわれたようである。

 出力インターフェイスに目を向けてみると、本製品のI/Oリアパネルに備わっている映像出力端子は、D-Sub15ピン、DVI-I、HDMIの3系統である(写真3)。GeForce 7150+nForce 630iはHDMIをサポートしており、サウンド出力もチップセットで対応している(画面4)。この仕様はAMDがリリースしているAMD690Gと同じアプローチであり、統合型チップセットではトレンドになりつつあるといえるだろう。

【写真2】メモリスロットは2本。シングルチャネルであるため、スロットの色は同じである 【画面1】GeForce 7150のインフォメーション。ビデオメモリは64MB固定で確保されており、共有メモリにより最大で286MBまで利用できることが分かる 【画面2】nTuneを利用してクロックを確認すると、コアクロックが630MHzであることが分かる
【画面3】GA-N73UM-S2Hが使用しているGeForce 7150+nForce 630iのチップリビジョンはA2となっている 【写真3】I/Oリアパネル部。D-Sub15ピン、DVI-Iのほか、HDMI出力を備える 【画面4】HDMIのオーディオもチップセットでサポート。サウンドのプロパティで規定のデバイスを変更すれば利用可能だ

●Intel G33との比較でシングルメモリ環境の性能を見る

【写真4】Intel G33を搭載する、ASUSTeKの「P5K-V」

 それでは、本製品のパフォーマンスをチェックしてみることにしたい。比較対象にはIntel G33を搭載するASUSTeKの「P5K-V」を用意(写真4)。GeForce 7 Series mGPUs for Intelの特徴であるシングルチャネルのメモリインターフェイスの性能を見るため、各環境において1GBモジュール×1の場合と、512MB×2枚の場合とでテストを行なっている。

【表1】テスト環境
チップセット NVIDIA GeForce 7150+nForce 630i Intel G33 Express
マザーボード GIGABYTE GA-N73UM-S2H ASUSTeK P5K-VM
CPU Core 2 Duo E6750
メモリ PC2-6400 DDR2 SDRAM 1GB×1枚(5-5-5-18)
PC2-6400 DDR2 SDRAM 512MB×2枚(5-5-5-18)
GPU GeForce 7150(ForceWare 163.69) Intel GMA 3100(Driver Version 15.6.1)
HDD Seagete Barracuda 7200.10 (ST3250620AS)
OS Windows Vista Ultimate

 まずはCPU性能の差を見るための基本的なチェックである。テストは、Sandra XIIの「Processor Arithmetic/Processor Multi-Media Benchmark」(グラフ1)と、PCMark05のCPU Test(グラフ2、3)だ。

 全体に誤差以上と認められるところはない。唯一大きくバラついているのが、グラフ3に示した4タスク同時実行テストで、ここはIntel G33の1GB×1枚環境のみプロセスの割り当てが大きく異なっていることが分かる。感覚的な判断となってしまうが、ほかに比べて大きく伸びたテストと残りの3タスクのスコアの落ち込みのバランスから見て、他環境との大きな差はないと判断して差し支えないと思う。

【グラフ1】Sandra XII(Processor Arithmetic/Multi-Media Benchmark)
【グラフ2】PCMark05 Build 1.2.0(CPU Test - シングルタスク)
【グラフ3】PCMark05 Build 1.2.0(CPU Test - マルチタスク)

 続いては、大きなポイントとなるメモリ速度である。テストはメモリ転送速度を見るためのテストとしてSandra XIIの「Cache & Memory Benchmark」(グラフ4)、PCMark05のMemory Test(グラフ5)、メモリレイテンシを見るためのEVEREST Ultimate Edition 2007 Version4.00の「Cache & Memory Benchmark」(レイテンシの項のみ、グラフ6)である。PCMark05のMemory Testは、SandraにおいてIntel製チップセットとの性能差が大きくなることが頻繁に見られるため、合わせて掲載している。

 シングルチャネル同士の比較においてNVIDIAがアピールする通りであれば、Intel G33のシングルチャネル環境の性能を上回るはずであるが、結果を見ると、Sandra、PCMark05ともに、そういった傾向は示していない。

 唯一、メインメモリのレイテンシだけは若干低い結果となっている。メモリへのランダム的なアクセスが頻発するようなシーンではGeForce側にも分があるケースも発生し得るだろう。とはいえ、少々インパクトが弱い結果に収まっているのは事実である。

【グラフ4】Sandra XII(Cache & Memory Benchmark)
【グラフ5】PCMark05 Build 1.2.0(Memory Test)
【グラフ6】EVEREST(Cache & Memory Benchmark)

 こうした結果がアプリケーションへどう反映されるかについては、「SYSmark 2007 Preview」(グラフ7)、「CineBench R10」(グラフ8)、「動画エンコードテスト」(グラフ9)から見てみたい。

 結果を見ると、SYSmark 2007 PreviewにおいてはGeForce 7150+nForce 630iの健闘が光っている。これはグラフィック機能やHDDアクセスなど性能差も大きいと思われるが、プラットフォームトータルとして悪くない性能を持った製品といえる。ただ、CPUやメモリへの負荷が大きいCineBench R10や動画エンコードでは、Intel G33と同等レベルか低くなる傾向も見て取れる。

 SYSmark 2007 Previewのような複雑な作業を行なうテストでは好成績を上げる一方、CPUやメモリを主に利用する単一作業ではあまり良い結果を見せていないあたりは、先のメモリアクセス速度やメモリレイテンシの結果からみて妥当性のある傾向といえるだろう。

【グラフ7】SYSmark 2007 Preview(Ver.1.02)
【グラフ8】CineBench R10
【グラフ9】動画エンコード

●グラフィック機能のパフォーマンス

 続いてはグラフィック機能のパフォーマンスをチェックしてみたい。まず、NVIDIAがアピールする通り、GeForce 7150+nForce 630iで動作するゲームが、Intel G33では動作しない現象がテスト中に見ることができた。

 例えば、3DMark06のHDR/SM3.0テストが動作しないのはShader Model 3.0に対応しないために仕方ないとしても、「Splinter Cell Chaos Theory」ではShader Model 1.1をサポートしていないとして起動できない(画面5)。

 また、「LOST PLANET EXTREME CONDITION」のDX9モードにおいてもPixel Shader 2.0をサポートしていないというエラーのために起動できなかった(画面6)。Intel G33が内蔵するGMA 3100はPixel Shader 2.0をハードウェアサポートしているわけで、こうしたエラーが出るのはドライバの問題である可能性が高い。

【画面5】Intel G33において、Splinter Cell Chaos Theoryを起動すると、Shader Model 1.1をサポートしていないと判定されてしまう 【画面6】同じくIntel G33でLOST PLANETを立ち上げると、こちらはPixel Shader 2.0対応が正しく判定されない

 逆にGeForce 7150+nForce 630iにおいては3DMark06の1,600×1,200ドットのテストが実行されないという状況であったが、これはビデオメモリ容量の問題であると思われる。アプリケーションの互換性という面においては、GeForce 7150+nForce 630i環境にアドバンテージがある結果といえる。

 両者ともに動作した「3DMark06」(グラフ10〜12)と「3DMark05」(グラフ13)の結果を見てみると、大局的に見て、グラフィック機能への依存度が低いCPU Scoreを除いては、GeForce 7150+nForce 630iが良好なスコアを出していることが分かる。特に、メモリアクセス性能やオフィス系アプリケーションのテストではビハインドがそれほど明確に感じられなかったIntel G33のシングルチャネル環境が、非常に大きなスコアの落ち込みを見せているのも特徴といえる。

【グラフ10】3DMark06 Build 1.1.0 (CPU Test)
【グラフ11】3DMark06 Build 1.1.0(Overall Score)
【グラフ12】3DMark06 Build 1.1.0(SM2.0 Test)
【グラフ13】3DMark05 Build 1.3.0

 そのほか、先に紹介した「Splinter Cell Chaos Theory」と「LOST PLANET EXTREME CONDITION」のGeForce 7150+nForce 630iにおける結果は表2にまとめている。絶対的な数値として見ると、このクラスのゲームを楽しむのに十分なパフォーマンスを持っているとは言いがたい。3D性能は、GeForce 7ベースのローエンドという割り切りが必要といえる。

【表2】ゲームベンチの結果
  GeForce 7150+nForce 630i(1GB×1枚) GeForce 7150+nForce 630i(512MB×2枚)
Splinter Cell Chaos Theory 800×600 10.5 FPS 10.4 FPS
1,024×768 8.9 FPS 8.8 FPS
1,280×1,024 5.0 FPS 4.9 FPS
1,600×1,200 2.8 FPS 2.7 FPS
Lost Planet(DX9) - snow 640×360 3.8 FPS 3.9 FPS
848×472 2.8 FPS 2.9 FPS
1,280×720 1.7 FPS 1.7 FPS
Lost Planet(DX9) - cave 640×360 6.0 FPS 5.8 FPS
848×472 4.5 FPS 4.5 FPS
1,280×720 2.8 FPS 2.8 FPS

 パフォーマンスに関連して、Windows Aeroを有効にした状態におけるPCMark05のGraphics Testの結果を紹介しておきたい(表3)。Transparent Windowsの結果は、Windows Aero時のウィンドウの描画速度を知る目安になるが、この結果はIntel G33の倍を超えるスコアとなっているのが目立つ。Windows Aeroは3D性能そのもので、先の結果からもある程度は予想ができるが、3DMark06/05に比べてさらに差を広げている。

 グラフィックメモリの速度に関しても非常に良好である。こうした結果を見るに、GeForce 7150+nForce 630iのシングルチャネル時のメモリアクセスは、CPU−メモリ間ではあまり良さが発揮されず、グラフィックコア−メモリ間において高い性能を持っていることが分かる。

 最後にWMVの再生レートであるが、これはIntel G33に分がある結果となった。PureVideoをサポートしないデメリットがはっきり見えている結果といえるだろう。

【表3】PCMark05 Graphics Testの結果
  単位 GeForce 7150+nForce 630i(1GB×1枚) GeForce 7150+nForce 630i(512MB×2枚) Intel G33 Express(1GB×1枚) Intel G33 Express(512MB×2枚)
Transparent Windows Windows/sec 5633.8 5382.5 2266.6 2333.9
Graphics Memory - 64 lines FPS 600.6 584.2 299.1 329.0
Graphics Memory - 128 lines FPS 500.6 480.7 208.8 229.2
WMV Video Playback FPS 24.4 24.7 30.0 32.6

【画面7】「Rendering」の欄に2D Accelerationの項目が存在するはずなのだが、今回のテスト環境では、その項目すら表示されていない

 GeForce 7150+nForce 630iのメリットとして、Adobe Readerにおいて2Dアクセラレーションが利用できるという点もアピールされていたのだが、実際に試してみるとチェックボックス自体が表示されていない現象が出ている(画面7)。

 この原因は、デュアルディスプレイ環境だとAdobe Readerの2Dアクセラレーションが有効にできないためだと思われる。今回のテストではディスプレイは1台しか接続しておらず、NVIDIA Control Panelでは確かに1台だけ接続されているよう認識するが、Windows側の画面のプロパティを見ると2台のディスプレイが存在するかのような認識となっている。このため、Adobe Reader側はデュアルディスプレイ環境と判断して、このチェックボックスを非表示にしてしまっているのだと推測している。

 これはNVIDIAの問題であるのか、マザーボード側の問題であるのかは判断できないのだが、ドライバまたはビデオBIOSの側で対処が可能であれば、共通のガイドラインを出して、この製品の利用者では多いと思われるシングルディスプレイ環境時だけでも、すべてのマザーボードで正しくアクセラレーションが行なわれるよう改善すべきである。

 最後に消費電力テストの結果を紹介しておきたい(グラフ14)。マザーボードが異なるためにチップセットの比較としては正確ではないが、microATXの似たようなスペックの製品ということを考えてみると、10〜20Wという消費電力差は小さくない。ワンチップ製品である優位性が現れている。

【グラフ14】消費電力

●消費電力も低く、バランスの良いチップセット

 以上の通り結果を見てくると、特徴の1つであるシングルチャネルメモリインターフェイスは、CPUがメインメモリを利用する場合のアクセス速度としては決して高速とはいえないものの、グラフィックコアがビデオメモリとして利用する場合は高速にアクセスできるようになっていることが分かる。シングルチャネルでVista Premiumを謳えるようなスペックにするために、ビデオメモリとしてのチューニングに特化した作りになっているのだろう。

 DDR2 SDRAMにおいては、512MBモジュールを2枚買うより、1GBモジュール1枚を購入した方が明らかに安価に抑えられるため、シングルチャネルメモリインターフェイスでフル性能を発揮できるという本製品は、バリューセグメントに向けて大きな魅力といえるのではないだろうか。

 グラフィック機能に関していえば、Intel G33に対する性能面のアドバンテージは大きいが、ローエンドクラスのパフォーマンスに留まる点はコスト相応、といった評価になるかと思う。

 グラフィック機能に関しては、IntelにはGMA X3500を搭載するIntel G35という存在が控えている点には留意しておくべきだろう。Intel G35のパフォーマンスは現時点で未知数であるが、GeForce 7150+nForce 630iを脅かす存在となる可能性は持っている。

 今回テストしてみて感じたのは、GeForce 7150+nForce 630iのバランスの良さである。Intel G33と比較した性能は一長一短だが、動かないゲームが少ないという点や、消費電力の低さなど、トータルで見たときに製品の魅力が浮かび上がるように思う。従来のGPUメーカーのチップセットのイメージとはちょっと違う、無難な選択肢として利用できる存在という印象を受けている。

□関連記事
【9月26日】NVIDIA、「GeForce 7 Series mGPUs for Intel」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0926/nvidia.htm

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(2007年10月19日)

[Text by 多和田新也]


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