●Vista導入にあわせてマウスを交換 仕事環境をWindows Vistaベースのマシンに切り替えて1カ月あまりが経過した。通常、仕事に使う環境は、故障でもない限り、稼働後にハードウェア構成を変更することはないのだが、今回は早くも1カ所、変更を加えている。変更したのはマウスだ。
当初、仕事マシンで用いていたのは、ロジクールの「MX Revolution」だった。電動クラッチでスクロールホイールをフリースピンモードとクリックモードに自由に切り替えられるMicroGearプレシジョンスクロールホイールを搭載したMX Revolutionは、間違いなく現時点で最も高機能なマウスの1つだが、使っているうちに筆者の環境固有の問題が浮かび上がってきた。それは電池寿命の問題と、無線インターフェイスの問題だ。 自由業である筆者は、1日のうちPCの前にいる時間が長い。当然、マウスも長時間使うわけだが、バッテリ寿命が結構厳しい。使っているうち4つある電池型のインジケーターが、1つだけになっていることがままあった。それでも食事などキリのいいタイミングでマウスを充電台にセットすれば良いのだが、つい忘れてしまう。結果、仕事に戻った時にマウスの電池が乏しいのに気づき、あわてて充電台にセットし、別のマウスをつなぐハメになる。後発の「MX620」などは、電動クラッチを持たないこともあり、かなりバッテリ駆動時間が改善されているが、MX Revolutionではちょっと辛い。 まぁ、この問題だけならMX Revolutionを2個使いにするという荒技でしのぐこともできるのかもしれないが、もう1つの問題がそれを許してくれない。無線の問題だ。MX Revolutionをはじめ、最近のコードレスマウスやキーボードに使われているのは、2.4GHz帯のデジタル無線技術である。このデジタル無線はノイズが混信などに強いとされており、実際その通りなのだが、やはり筆者の仕事部屋では厳しいようだ。 症状はマウスの位置情報やボタンのクリックを知らせるマウスメッセージがゴッソリと抜け落ちる感じで、マウスの操作が体感的にとても重くなる。PCを起動させて、Windowsがスタートした直後、HDDアクセスでマウスの動きがカクカクした感じになることがあるが、あれが不定期に突然、激しくやってくると思ってもらえばいい。さらには重くなるだけでなく、ホイールを1クリック分回すだけで数ページまとめてスクロールされたりすることもあり、使いにくくてしょうがない。 筆者の仕事場は比較的そばに送電線があり、電波モノには鬼門の場所になりやすい。以前、27MHz帯のアナログ無線だった時代、コードレスキーボードが使い物にならなかったことがあるくらいだ。2.4GHz帯デジタル無線になってだいぶ改善され、テストなどで使っている分にはあまり気にならなかったのだが、仕事マシンに接続し、24時間体制? で使い出すとやはりダメである。 ●有線式のG9 Laser Mouseを試す マウスを変えるのは良いのだが、問題は何に変えるかだ。2大ブランドであるロジクール、Microsoftとも、最近はコードレスが主流で、安心して使えるケーブル式マウスとなると低価格品が中心になってしまう。多くのユーザーにとって、マウスはPCを買うとついてくるもの。それを買い換えさせる分かりやすい差別化のポイントがコードレスであることは理解できるのだが、そればっかりでは困ってしまう。 そう思っていたところに見つけたのがロジクールの「G9 Laser Mouse」だ。同社のGシリーズのマウスは、ゲーマー向けを意識した製品で、過去にもG3、G5、G7といった製品をリリースしたのだが、ハイエンドのG7はコードレスタイプであった。今回リリースされたG9は、数字で分かる通りハイエンド向けの製品でありながら、ケーブル式に回帰したのが筆者にとって最大のポイントである。 俊敏な反応を望むゲーマーは、省電力モードをサポートせざるを得ないコードレスを嫌うとか、LANパーティでチャンネル数が足りなくなるからとか、いろいろと理由はあるのだろうが、筆者にとってはあまり関係ない。とにかく重要なのはケーブル式のマウスであることだ。以前、ケーブル式であることに着目し、同じくゲーマー向けマウスであるRazerの「Copperhead」を使ったこともあるのだが、残念ながら完成度が決して高いとはいえず、すぐに使うのを止めてしまった。
同様に、ゲーマー向けとして用意されている各種のカスタマイズも、筆者にはあまり縁のない機能である。たとえばマウスの外側を囲うグリップが2種類用意されるとか、ウエイトを入れてバランスを変えられるとか、利用中に解像度を変更できるとか、インジケーターLEDの色を変えられる、といったことはほとんど重要ではない。マウスの接続が、外部の影響を受けにくいケーブルであること、これがまず重要で、次にMX Revolutionで親しんだMicroGearプレシジョンスクロールホイールが使えることがポイントである。
ただし残念ながら本機のMX Revolutionのように電動クラッチは内蔵していないから、ホイールモードの切り替えを登録アプリケーションごとに自動的に行なったり、マウスホイールのはじき方や、ホイールのクリック1つで変えることはできないが、それでもなかなか便利であることに変わりはない。切り替えがMX620やVX Revolutionのような底面のスライド式スイッチに代えて、底面ではあるもののプッシュ式のスイッチになったのも使いやすい。 むしろカスタマイズ機能より重要なのは、ケーブルがG5マウスと同じファブリックコーティングケーブルであること。比較的マウスは壊れにくい周辺機器だと思うが、ケーブル式マウスの場合、どうしてもケーブルにクセがついたり、経年変化でケーブルが硬くなったりして、買い換えを迫られることがある。ファブリックコーティングケーブルは、こうしたトラブルが起こりにくいハズだ。 マウスの基本性能の1つである分解能(解像度)は、最大で3,200dpi(最小200dpi)。最大5つまでの解像度をプリセットしておいて、利用中にワンタッチで切り替えられるのはゲーマー向けならではというところだろう。筆者にはあまり重要な機能ではないものの、分解能自体は高いに越したことはない。マウスのサンプリングレート(レポートレート)も、125回/秒から1,000回/秒まで6段階から選択可能だ。こうした各種の設定やカスタマイズは、付属の「SetPoint」で設定することができる。
というわけで、筆者が今愛用しているマウスは、このG9 Laser Mouse。どうしてもゲーマー向けということで、さまざまなギミックに目を奪われがちだが、普通のマウスとして使っても当然、問題はない。理想的にはMX Revolutionのケーブル版があればとは思うが、このG9があるだけでもまだ救われた気分だ。
□ロジクールのホームページ (2007年10月4日) [Reported by 元麻布春男]
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