発売中 価格:289,800円 マウスコンピューターの「MASTERPIECE V720EV1-LP」(以下、MASTERPIECE)は、同社がゲーマーにターゲットを絞って展開している「G-Tune」シリーズの「ゲーミングモデル」シリーズに位置する製品だ。ゲーミングモデルは、特定のゲームの推奨モデルとして認定を受けている製品をシリーズ化しているものである。このMASTERPIECEの場合、カプコンの「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」(以下、ロスト プラネット)の推奨モデルとなっていて、同ソフトの製品版が付属している。価格は289,800円だ。なお、ロストプラネット推奨モデルは型番が変更され、ベースモデルは「MASTERPIECE V720EV3-LP」(289,800円)となる。 このほか、V720EV3-LPと19型液晶のセットモデル(315,000円)や、20型ワイド液晶のセットモデル(319,620円)も用意される。同社は直販サイトにてBTO(受注生産方式)で販売を行なっているので、CPUの種類やメモリ容量、液晶ディスプレイの種類などを細かく指定して購入することもできる。 ●すべてに最高レベルのパーツを使用したハイエンドマシン MASTERPIECEは大変ハイスペックなPCだ。ハードウェア構成は、現状考えられる最高レベルの構成となっている。まず、CPUにはクアッドコアのCore 2 Quad Q6700(2.66GHz/FSB 1,066MHz)を搭載している。ただ、ハイスペックPCと考えた場合にはクアッドコアの採用は良いと思うのだが、マルチコアに対応するゲームがほとんど存在しない状況で、ゲーマー向けモデルにクアッドコアCPUを搭載する意味はあまりない。付属するロスト プラネットがマルチコア対応ゲームなのでクアッドコアを採用しているということなのだろう。 CPUはQ6700のほかに、同じクアッドコアでクロック違いのCore 2 Quad Q6600(2.40GHz/FSB 1,066MHz)、Core 2 Extreme QX6850(3.0GHz/1,333MHz)、Core 2 Duo E6850(3GHz/1,333MHz)を選択できる。ゲーム用としてこのモデルを購入するのなら、動作クロックとFSBクロックが高速で、かつ安価なE6850を選択するべきだろう。PCゲームの状況を見ると、まだ当分はコアの数よりも動作クロックの速さのほうがゲームには重要だ。 メモリは、DDR2-800の1GBが2枚で計2GBのデュアルチャネル構成となっている。4枚で4GBにすると32bitのWindows Vistaでは全容量を使えないので、2枚で2GBというのは妥当な構成だ。ゲーム用と考えても、1GBでは不安だが2GBあれば問題ない。空きスロットも2枚分あるので、将来的に自分でメモリを増設できる拡張性も確保している。なお、購入時には512MBを2枚の1GB構成と、1GBを2枚と512MBを2枚の3GB構成を選択することもできる。 ビデオカードは、リードテックのGeForce 8800 GTX(768MB)を搭載している。さすがゲーマー向けモデルということで、これならほとんどのゲームで性能不足を感じることはないはずだ。チップセットがnForce 680i LT SLIなので、後からビデオカードを買い足せばNVIDIA SLI構成にすることもできる。ビデオカードは、ほかにGeForce 8800 GTSの640MB版と320MB版を選択できる。予算があまりないのならGTSの320MB版にするのも手だが、せっかくのゲーマー向けモデルなのだから、GTXのまま使いたい。 チップセットのNVIDIA nForce 680i LT SLIはあまり目にしないチップセットだが、基本的にはnForce 680i SLIと同じスペックのチップセットだ。違うのはSLI-Ready Memoryの対応クロックだけで、nForce 680i SLIが1,200MHzまでの対応なのに対して、このnForce 680i LT SLIは800MHzまでの対応となっている。このほかにチップセット間の性能の違いはないので、1,200MHzの動作に対応するSLI-Ready Memoryを使わないのなら、どちらのチップセットを使っていてもパフォーマンスに差はない。 搭載するマザーボードは、NVIDIAのリファレンスデザインを採用したものだ。チップセットクーラーにNVIDIAのロゴが入っているが、マザーボード自体がどこのメーカーのものかは分からない。拡張スロットは、PCI Express x16スロットが2本に、PCI Express x1スロットが2本、PCIスロットが2本という構成だ。ビデオカードが2スロット分を占有しているので、PCI Express x1は1本ふさがっている。シリアルATAポートは6ポートで、空きは5ポートだ。コンデンサは、CPUソケット周辺など一部にのみ固体タイプを採用している。チップセットは、ノースブリッジとサウスブリッジの両方に冷却ファンを取り付けてある。なお、CPUクーラーはIntel純正のものだ。 HDDは、シリアルATA接続で7,200rpmの500GBのものを1台搭載している。ほかに、320GBと250GBのHDDを選択できるほか、10,000rpmの回転数を誇るWestern Digital WD Raptorの150GBモデルと74GBモデルも選択できる。好きな組み合わせで2台搭載することも可能だ。光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブを搭載している。
【基本構成】
●強力なエアフロー性能を持つ軽量ケースを使用 MASTERPIECEのケースは、GIGABYTEの3D AURORAのカスタム品だ。本体の正面にG-Tuneのロゴが入っており、また動作中にはフロントパネルの下部にG-Tuneという文字が青いLEDで投影される。なかなかかっこいい演出である。ほかにも、フロントパネル中央の青い半透明の部分が光るなど、このケースはとにかくよく光る。本体前部に1つ、背面に2つのケースファンを搭載しているが、それらも青く光るようになっている。いずれも結構明るく光るので、部屋を暗くしてゲームをプレイする人のなかには、もしかしたらまぶしいと感じる人もいるかもしれない。
ケースの材質はアルミニウムなので、高級感があって大変軽い。重量に関しては大きさの割に本当に軽いので、実際に触ると驚く人も多いと思う。ただし、軽いことの弊害も多少ある。試用中にUSBメモリを何度か抜き挿ししたのだが、本体が軽いので本体を手で押さえて差し込まないと本体が動いてしまうのだ。気になったので机の上(木製でスベスベ)と床(コルクでザラザラ)の2カ所で試したが、どちらも本体が動いてしまった。それだけ軽いということなのだが、PCは1度設置してしまえば動かさないものなので、実は滑らない程度に重いほうが使いやすい。ただし、100円ショップなどで滑り止めを買ってくれば済む話なので、気になる人は自分で解決できる。
このケースは、ケースの左側面のほぼ半分がメッシュ状になっていて、外からマザーボードが見えるようになっている。前述したように、120mmのケースファンが前部に1つ、背面に2つ付いているのでエアフロー性能はかなり良い。これなら、ゲームで高負荷の状態が長時間続いたとしても安心して使っていられる。ただ、搭載するファンの数と、左側面のほぼ半分がメッシュということでお分かりだとは思うが、ファンの動作音はそれなりに聞こえてしまう。机の上で使う場合は低負荷時でもケースファンの音が聞こえてしまうので、ファンの動作音などが気になる人には辛いかもしれない。 また、高負荷時にはCPUファンの音が結構遠くまで聞こえる。ハイエンドPCなので動作音はある程度は仕方ないのだが、メッシュ部分が広いせいなのか動作音は全体的に大き目に感じた。まあ、その分安心感はあるので、エアフローの良さと動作音はトレードオフであると考えるべきなのかもしれない。
基本的にデザインも良く、高級感があり、エアフロー性能も優れているので良くできたケースなのだが、1点だけぜひ改善してもらいたい部分がある。このケースは、USBやヘッドホン端子などのフロントパネル用インターフェイスを、なぜか本体の右側面に搭載しているのだ。つまり、このケースは使用者の左側に置くことを想定したケースということになる。別に右に置いても使えるが、インターフェイス用にケースの右側をある程度空けておかなければならないし、右に置くと電源LEDもHDDのアクセスLEDも見えない。そして、さらにこのケースは5インチベイや3.5インチベイを隠すための扉が左開きなのだ。そのため、本体の左側にもある程度の隙間が欲しくなる。少々設置場所に対する要求が多いケースと言えるだろう。フロントパネル用のインターフェイスを前面など上部に配置すれば解決するものなので、ぜひ改善してほしい。 ●ゲーム用の豊富な付属品が魅力 MASTERPIECEは、付属品の豊富さも特徴となっている。まず、前述したがロスト プラネットの製品版のDVD-ROMが付属している。また、ほかにもマウス、キーボード、ゲームパッド、2chスピーカーが付属している。 特に、マウスはゲーマー用として有名なロジクールの「G5 Laser Mouse」が付属しているので、ゲーマー向けPCということを実感できる。このマウスは、マウス上のボタンで感度を400dpi、800dpi、2,000dpiに変更できるほか、マウスの重さを変更できるユニークなマウスだ。マウスに小さな重りを8個搭載することで、重さを初期状態から36gまで重くすることができる。自分の好みに合わせてマウスの重さを変えられるのはとても新鮮だ。実際に重さを変えてみると、少しの重さの違いで操作性が大きく変わることがよく分かる。プレイするゲームによって、マウスの重さを変えることができる。マウスの大きさが筆者の手には少し大きく感じたが、それ以外の部分は大変使いやすかった。 マウスのほかには、キーボードはロジクールの「Access Keyboard 600」が付属している。このキーボードは、Webブラウザやメーラーを起動するショートカットキーなどが付いていてゲーム用とは思えない仕様だが、回転させてボリュームのコントロールを行なえるスイッチは便利に使えた。いつでも手元でボリュームをコントロールできるのは思いのほか便利だ。キータッチは、ふにゃふにゃしていて強めに押しても入力感があまりないタイプである。キータッチの感想は人それぞれ違うと思うが、悪くはない。 ゲームパッドは、マイクロソフトの「Xbox 360 Controller for Windows」が付属する。アナログスティックが2つと、8方向のデジタルキーが1つに、13個のボタンを搭載するUSB接続のゲームパッドだ。バイブレーション機能も搭載している。ゲームパッドでゲームをプレイする人にはうれしい付属品である。 そして、最後が2chスピーカーのロジクール「R-10」だ。これは、一般的なアナログ接続の2chスピーカーである。スピーカーの出力は2W+2Wの計4W、周波数特性は70Hz~20kHzとなっている。周波数特性が表しているように、低音が弱く高音が強く出るスピーカーで、迫力はないものの悪くはない。ただ、ゲームを迫力ある音で楽しみたいなら、低音が出るスピーカーを別で購入したほうがよいだろう。
●さすがゲーマーモデルと言える強力なパフォーマンス ベンチマークテストの結果だが、表を見ていただければ分かるとおりハイスペックマシンらしいかなり良い結果となった。ロスト プラネット推奨モデルということで、ロスト プラネットの動作にはほぼ問題なく、1,280×800ドットの解像度ならカクカクした動作は一切なくスムーズな画面でゲームをプレイできる。筆者は、この解像度でこれだけスムーズに動くロスト プラネットを見るのは初めてだったので、しばらくベンチマークテストを忘れてプレイしてしまった。ロスト プラネットは、グラフィックスに関しては次世代ゲームという表現がピッタリなゲームだ。PCでも、もっとこのようなゲームが増えてほしいものだ。 CPUとビデオカードの両方が高速なので、ベンチマークの値には変な落ち込みもなく、キレイな結果になっている。また、真・三国無双BB ベンチマークでは測定の上限に達してしまい、高グラフィック計測と標準計測のどちらも値が9,999になってしまった。これだけハイスペックだと、ベンチマークテストも気持ちがいい。 MASTERPIECEなら、現在出ている多くのゲームと、これから出るであろう最新ゲームの多くを快適にプレイすることができるだろう。エアフロー性能が良いので、ゲームを長時間遊んでもPCが不安定になることはないだろうし、グラフィックス性能に不足を感じたらビデオカードを追加してSLI構成にするという拡張性も備えている。性能と安定性と拡張性のすべてに優れた完成度の高いPCだ。
□マウスコンピューターのホームページ (2007年10月4日) [Reported by 小林 輪]
【PC Watchホームページ】
|