【IDF Fall 2007レポート】
Intel、45nm製品の11月12日投入を正式発表
会期:9月18日~20日(現地時間) 会場:San Francisco「Moscone Center West」 Intel Developer Forum(IDF)において、Intelは同社が今年(2007年)の後半にリリースを計画している、ハイエンドゲーマー向けデュアルCPUソケットプラットフォーム“Skulltrail(スカルトレイル)”や、2008年の後半に出荷を計画している新アーキテクチャCPU“Nehalem(ネハーレン)”の実働マシンやCPUなどのほか、同社のCPUロードマップなどを公開した。 ●1.6GHz FSBを利用したPenrynコアのCore 2 Extremeとの組み合わせで利用可能
Intelは、今年の後半に開発コードネームでSkulltrailと呼ばれるプラットフォームを投入する計画を持っている。Skulltrailは、Intelが春のIDFで計画を明らかにした製品で、ハイエンドゲーマー向けに、2つのCPUソケットを備え、4つのPCI Express x16スロットを備えた製品となっている。昨年AMDがリリースしたQuad FX(4x4)のIntel版と言えば、最もわかりやすい説明だろう。 Skulltrailのチップセットは、同社がワークステーション向けに開発したSeaburg(シーバーグ)が利用される。Seaburgの特徴は、最大で1.6GHzまでクロックを引き上げることが可能なFSBを2つ備えている。このため、2つのCPUソケットはチップセットとポイントツーポイントで接続されるため、いわゆる共有バスに比べるとチップセットとCPUの間にそれぞれ十分な帯域幅が確保されるのがポイントになっている。 なお、利用できるCPUは、45nmプロセスルールで製造されるPenrynコアを採用したCore 2 Extremeシリーズとなり、FSBは1.6GHzとなる予定だ。 ただし、もともとサーバー/ワークステーション用のチップセットであるため、対応するメモリモジュールは、UnbufferdやRegisteredのDIMMではなく、モジュール上にバッファを搭載したFB-DIMMになる。FB-DIMMはバッファの分だけコストアップになってしまうこと、さらに用途がIntelのサーバー/ワークステーションプラットフォームだけになってしまうため流通量が少なく、価格が高止まりしているという現実がある。特に、Seaburgのメモリコントローラは4チャネルになるため、メモリモジュールは4枚1組で利用した方が性能が発揮されることを考えると、メモリのコストはかなり高くつきそうだ。なお、Skulltrail用マザーボードでは、メモリスロットは4スロットが用意されている。 ●NVIDIAのSLIとの組み合わせで動作していたSkulltrail Seaburgのもう1つの特徴は、最大で32レーンのPCI Express Gen2をサポートしていることだ。実際には、サウスブリッジ用にPCI Express Gen1を8レーンもサポートしているので、40レーンということになるが、ビデオカード用ということを考えると、最大で32レーンということになる。 Skulltrailでは、ビデオカードを利用するために、PCI Express x16の物理スロットを4本マザーボード上に実装している。しかし、すでに述べたように、PCI Express Gen2は最大で32レーンということになるので、4スロットすべてを利用する場合には、4x8になると考えられることができる。 しかし、Intel副社長兼デジタルエンタープライズ事業本部 オペレーションディレクターのステーィブ・スミス氏によれば、どうもそうではないようだ。というのも「SkulltrailのマザーボードではPCI ExpressのスイッチにはNVIDIAのコントローラを利用している」と述べ、マザーボード上にスイッチを搭載しており、どのスロットも物理的にも電気的にもPCI Express x16として利用できる可能性が高いのだ。 気になるその4つのPCI Express x16を使って利用できるデュアルGPUのソリューションだが、スミス氏は「今回のSkulltrailのデモでは、NVIDIAの協力によりNVIDIA製GPUを利用している。NVIDIAがドライバのサポートに協力してくれたことに感謝している」と述べ、Skulltrail向けのSLI用ドライバをNVIDIAが提供したことを認め、実際の製品でもSLIが動作する可能性が高いことを示唆した。なお、スミス氏によれば、AMD(Intelの幹部は絶対にAMDと言わずATIというが……)のCrossFireによるサポートもあることも明らかにしている。 なお、同じようにPCI Express x16のスロットを2スロット備えるX38でSLIがサポートされるかどうかだが、「NVIDIAに聞いてほしい」と述べるに留まった。このため、X38に関してはやはりSLIのドライバサポートは受けていないと考えられることができるだろう。なお、X38に関しては、初日に行なわれたIntel社長兼CEOのポール・オッテリーニ氏の基調講演の中で、10月10日(米国時間)に発表されることも正式に明らかにされている。
●正式発表された45nmプロセス製品の11月12日投入、まずはCore 2 ExtremeとXeon なお、Intelはクライアント向けのCPUのロードマップもアップデートした。まず、11月12日に、45nmプロセスルールで製造される最初の製品となるCore 2 Extreme QX9650を投入する。QX9650はPenrynコアをベースに作られたクアッドコアである“Yorkfiled”をベースに、3GHzで動作し、FSBは1,333MHz、L2キャッシュは12MB、TDPは130Wという構成になる。なお、それ以外のメインストリーム向けのSKUなどは2008年1月に投入されることもすでにオッテリーニ氏の講演の中で明らかにされている(それらのSKU構成などについては関連記事を参照していただきたい)。 なお、同じ11月12日にはサーバー/ワークステーション向けのPenrynも投入される。OEMメーカー筋の情報によれば、Intelは開発コードネームHarpertown(ハーパータウン)で知られるクアッドコアXeon、およびWolfdale-DPで知られる45nm版デュアルコアXeonのラインナップも投入する予定であるという。
【表1】11月12日に発表される予定のXeon製品(筆者予想)
またIntelは45nmプロセスルール製品の性能データに関しても公開している。それによれば、SPECint_rate 2006で現行のXeon X5365(3GHz)に比べて45nmのXeon 5400シリーズの3.16GHzは19%アップ、SPECfp_rate 2006ではXeon X5365(3.0GHz)に比べるとXeon 5400シリーズの3.2GHzは34%アップになると明らかにされた。なお、AMDが発表したばかりのクアッドコアCPUであるOpteron 2360(2.5GHz)も上回るとも言及した。 気になるクライアントでの比較だが、同じ3GHz同士であるCore 2 Extreme QX6850とCore 2 Extreme QX9650を比較した場合、Photoshop CS3で7%、Cinebench 10で8%、After Effects CS3で10%、Half-Life 2 Lost Coastで13%という結果のほか、DiVXへのビデオエンコードでSSE4の最適化を利用した場合には実に63%のパフォーマンスアップが実現されるなどの結果が公表された。
□IDF Fall 2007のホームページ(英文) (2007年9月20日) [Reported by 笠原一輝]
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