笠原一輝のユビキタス情報局

Intel、ブランド戦略を大きく見直しへ
〜Viiv戦略も大幅軌道修正




 Intelがブランド戦略の大幅見直しを計画していることが、OEMベンダ筋の情報により明らかになりつつある。それによれば、現在“Core 2 Duo Processor”、“Core 2 Quad Processor”のようにCore 2の後にサブブランドをつけた形となっているブランド名を、“Core 2 Processor”に統一し、よりCore 2というブランド名を強調する形に変更される。

 また、Intelがプラットフォーム向けのブランドとして展開している“Viiv Technology”や“vPro Technology”などに関しても、“Core 2 with Viiv”や“Core 2 with vPro”のように大幅に見直しをすることも併せて明らかになった。これらの変更は2008年の1月より適用されることになる。

●ユーザーが簡単に理解できるように“Quad/Duo”などのサブブランドを廃止

 OEMベンダ筋の情報によれば、7月の半ば頃IntelはOEMベンダに対して、2008年1月1日以降に適用されるブランド戦略に関しての説明を行なったという。その柱は以下のようになっている。

(1)コアの数などを示していたサブブランドを廃止し、“Core 2”ブランドの強化
(2)Centrinoをのぞくプラットフォームブランドはサブブランドに格下げする
(3)Xeon系のブランドには変更はないがItanium 2はItaniumへ変更する

Core 2ブランドは統一へ

 最初の柱となるのが“Core 2”ブランドの簡素化による強化だ。これまでIntelはCore 2 Quad、Core 2 Duo、Core 2 Solo、Core 2 Extremeのように、Core 2の後にサブブランドをつけることで分類していた。しかし、Core 2 Extremeの“Extreme”がエンスージアスト市場向けという市場セグメントの分類のためであったのに対して、“Core 2 Quad”と“Core 2 Duo”はいずれもメインストリーム市場向けで、“Quad”と“Duo”はコアの数を示しているとなっており、サブブランドの意味付けで混乱が生じていた。

 そこで、Core 2 Quad、Core 2 Duo、Core 2 Soloのコア数を示すサブブランドを廃止し、すべてこれらは“Core 2”に統一する。これにより、Intelのメインストリーム向けのCPUはすべてCore 2のブランド名に統一され、エンドユーザーにとってよりわかりやすいものとなる。なお、この変更はPentium Dual CoreやPentium DといったPentiumブランドにも適用され、それらの製品は今後“Pentium”に統一される。

 こうした変更はOEMベンダにとっても歓迎すべきものだという。あるOEMベンダの関係者は「Core 2シリーズになってから、Pentium時代に比べてCeleronとの割合は変わりつつある。Core 2だから売れるということもあり、この変更は歓迎してよい」と述べており、筆者の取材した範囲でも、ほとんどの関係者はこの変更を歓迎しているようだ。

 しかし、一方で“Quad”、“Duo”、“Solo”といったコア数をすぐに理解できる表記は、特にチャネル市場などで歓迎されていたのも事実だ。OEMベンダのようにマスマーケットを対象にしている場合、CPUのコア数はエンドユーザーに対して大きなアピールにはならないが、チャネル市場のようにCPUに対してある程度の知識を有しているユーザーに対してアピールするには、コア数がすぐわかるブランド名の方がマッチしていた。

 そのため、今後はプロセッサー・ナンバーのスキームを変更し、プロセッサー・ナンバーの中にコア数が一目でわかるような仕組みが用意される予定という。

【表】2008年1月1日以降のブランド変更(筆者予想)
現在のブランド2008年1月1日以降
Core 2 ExtremeCore 2 Extreme
Core 2 QuadCore 2
Core 2 Duo
Core 2 Solo
Pentium Dual CorePentium
Pentium D
CeleronCeleron
XeonXeon
Itanium 2Itanium
Viiv TechnologyCore 2 with Viiv
vPro TechnologyCore 2 with vPro
Centrino ProCentrino with vPro
Centrino DuoCentrino
Centrino

●“Viiv”、“vPro”は格下げ、認知度が高い“Centrino”は引き続き利用される

 もう1つの大きな変更点は、“Viiv Technology”や“vPro Technology”といったプラットフォーム向けブランドのサブブランドへの“格下げ”だ。

 情報筋によれば、Intelは同じように2008年の1月1日以降に、従来のViiv Technologyを“Core 2 Processor with Viiv Technology(以下Core 2 with Viiv)”に、vPro Technologyを“Core 2 Processor with vPro Technology”(以下Core 2 with vPro)へと変更するという。

Viiv(左)、vPro(中央)はサブブランドへ、Centrino(右)は存続

 ただし、同じプラットフォームブランドでもノートPC向けのブランドであるCentrino Processor Technologyだけは残すという。これは、Centrinoが導入された2003年以来、ノートPC向け技術のブランドとして定着しているためだと考えることができる。ただし、Core 2と同じように、DuoやProなどのサブブランドは廃止され、すべてCentrino Processor Technologyで統一される(なおCentrino ProはCentrino Processor Technology with vPro Technologyとなる)。

 これらにより、PCに添付されるロゴシールも改訂される。現在ViivやvProのロゴシールは廃止され、Core 2の文字が大きく表示されたシールに変更され、脇に小さく“Viiv”、“vPro”とだけサブブランドが入るものに変更されるという。

●Viiv Softwareの提供は2007年いっぱいで、Viiv戦略は大幅見直しへ

 このように、ブランドとしてプロセッサのサブブランドへと格下げになってしまったViiv Technologyだが、その戦略そのものも大きく修正される見通しだ。

 実際問題として、すでにIntelのViiv戦略は完全に停滞してしまっている。昨年(2006年)の今頃に、Viiv戦略を担当するデジタルホーム事業本部のトップはドナルド・マクドナルド副社長からエリック・キム上級副社長に変更されたのだが、その後全く新しい戦略を打ち出せていない。その代表例が、IntelがOEMベンダに提供しているViiv Softwareと呼ばれるソフトウェアの更新がすっかり止まってしまっていることだ。

 Viiv Softwareは、IntelのViiv戦略の肝と言えるソフトウェアで、エンドユーザーに“Intel Media Server”と呼ばれるDLNAガイドラインに準拠したメディアサーバー、Viiv Zoneと呼ばれるViiv専用コンテンツを視聴する機能を提供するものだった。Intelの元々の計画では、昨年の夏にViiv Softwareのバージョン1.5をリリースし、Vistaのリリースに併せてバージョン1.6をリリースし、今年(2007年)にバージョン2.0と呼ばれるより機能が強化されたものがリリースされる計画になっていた。

 しかし、昨年7月のトップの交代以降、IntelはOEMベンダに対してバージョン2.0について全く語らなくなり、今年の半ばにノートPC向けのバージョン1.7をリリースすると明らかにしたものの、バージョン2.0に関しては全くの未定という状況が今年の春まで続いていたのだ。新戦略が1年近くも打ち出せないという状況に、「IntelはViivをあきらめるのだろう」(ある関係者)という意見が大勢になってしまっていた。

 そうした状況のなか、ここにきてIntelはViivの新しい戦略を少しずつ打ち出してきているという。OEMメーカー筋の情報によれば、IntelはViiv Softwareに関しては今後バージョンアップを続けないと通知してきたという。Viiv Softwareの提供に関しても今年いっぱいとし、Viiv Softwareを通じてサービスしているViiv Zoneに関しても今年いっぱいで終了する見通しであるという。

 つまり、これは従来のViiv戦略の肝だった、Viiv Zoneによりコンテンツを供給し、それをIntel Media Serverを通じてホームネットワークへと提供するという路線の放棄にほかならない。

●新たなViivのメリットを打ち出せていないIntel

 OEMベンダ筋の情報によれば、Intelは従来のViiv戦略に代替する新しいViivの戦略を打ち出せていないという。Intelに近い関係者によれば、例えばホームITの機能やバックアップ、ビデオ拡張などの機能を追加していくとのことだが、まだ完全な戦略としては固まっていないのが現状のようだ。

 1つ言えることは、なぜ既存のViiv路線が破綻したのかと言えば、やはりソフトウェアベースの製品だったからということがあげられるのではないだろうか。以前もこの連載で指摘したように、Intelの弱点はソフトウェアであることは誰も否定しようがないだろう。直近の話題ではG35のドライバというのも指摘した通りだ。Viivもその代表例の1つになってしまった、そう言えるのではないだろうか。

 このため、今後はViivの要件はハードウェアベースになっていくようだ。具体的にはサウスブリッジにICHx-DHという-DHのSKUが採用されているデスクトップPCに“Core 2 with Viiv”ブランドがつけられるというストーリーだ。要するに、Centrinoと同様にシリコンだけが要件となっていくわけだ。特に、IntelにとってCPUの1世代前のプロセスルールの工場で製造できるチップセットは収益率の高い製品で、Viivはそのためのツールということになっていくのではないだろうか。

 どちらにせよ、OEMベンダにCore 2 with Viivのシールをつけてもらうのは、それなりの理由がなければOEMベンダも納得してくれないだろう。それが早期に打ち出せないようであれば、“Core 2 with Viiv”は存在はするが、誰も採用しないということになってしまうだけに、Intelとしては早期にそのあたりを打ち出す必要があるだろう。

□関連記事
【3月18日】【笠原】Intelの次世代チップセットの謎と課題
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0318/ubiq178.htm
【2006年10月4日】【山田】Viivの行方
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1004/config126.htm
【2006年9月21日】【笠原】Intel、CPUブランド戦略を修正
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0921/ubiq166.htm
【2006年6月13日】インテル、Viivバージョン1.5をデモ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0623/intel2.htm

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(2007年7月31日)

[Reported by 笠原一輝]


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