【GIGABYTE編】
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GIGABYTEの「ODIN GT」。ファンは140mm角で青色LEDが発光している。ソフトウェア上から消灯することもできる |
会期:6月5日~9日
会場:Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/2/3
Taipei International Convention Center
GIGABYTEブースではマザーボードやビデオカードなど以外に、ここのところ日本国内では動きがなかった電源やケースなどの展示も行われている。一歩間違うとキワモノ扱いされてしまいそうな、よくいえば個性的な製品が並んでおり、興味深いコーナーとなっている。
これら製品について、同社のプロダクトマネージャーに話を聞く機会を得たので、注目される製品をピックアップして紹介する。
●ソフトウェアによる電圧調整なども可能な「ODIN GT」
まずは電源である。同社は昨年、Windows上から電源の状態監視や電圧調整などを行える「ODIN」シリーズを展示したが、発売されることのないまま一年が経過してしまった。今年は、昨年展示された製品をより発展された「ODIN GT」を展示。今回は“7月中旬発売”、“日本では800Wが29,800円前後、550Wが19,800円前後”とかなり具体的な発売計画が進行しており、いよいよユーザーの手に届く製品になりそうだ。
その特徴は何といってもソフトウェアにある。日本語にも対応した多言語対応アプリケーションが付属しており、電源本体から伸びるUSBケーブルをマザーボード上のヘッダピンへ接続することで、使用中の総電力や各電源系統の実効電圧/電流、ファン回転数などをチェックすることができる。
また、このソフトウェアが制御できるのはODIN GTに関わる部分だけではない。専用のファン端子が1系統備わっており、そこに接続したファンの回転数制御や、4本付属する温度センサーを任意の場所に取り付け、電源本体にある専用端子に接続することで、その部位の温度もソフトウェア上から監視できる仕組みになっている。
こうした監視/制御をハードウェアではなくソフトウェアで行なうことのメリットは、そのカスタマイズ性にある。例えば、ファンの回転数を制御する際に、どの程度の温度に達した時点でファンの回転数を増し始めるかを任意に調整できたり、電力不足警告をどの程度の消費電力に達した時点で発するかなどを設定することができる。もちろん、先に触れた温度センサーもアラームが用意されており、警告を発する温度のしきい値を指定可能。
このほか、3.3/5/12Vの各ラインの電力を微調整することができるのもユニークな点。普通に使ううえではあまり意味のない機能と思われるが、同社では、BIOSからコア電圧やノースブリッジへの供給電圧を個別に設定することなくWindows上からまとめて設定する手段が取れる、としており、オーバークロックユーザー向けの機能と考えているようだ。
ハードウェア面もこだわっており、利用するコンデンサはすべて日本製、低負荷から高負荷まで安定して80%以上の電源変換効率を実現している点、140mm角ファンの採用による静音性などをアピールしている。ちなみに、140mm角ファンは青色LEDが内蔵されているが、これもソフトウェア上から消灯することができる点もユニークな仕様となっている。
ちなみに、ソフトウェアでさまざまな状態監視を行なえるといっても、フルスクリーンのアプリケーションを利用したら表示内容は見えないことになる。例えば、温度や消費電力が心配なゲーム中なども利用できないわけだ。そうした用途に向け、外付けのUSBゲージと呼ばれるオプションを用意している。これはPC本体のUSB端子に接続するもので、ODIN GTのソフトウェアの情報をアナログメーターに表示してくれるもの。もっとも、こうしたデバイスは製品に付属していないと利用者も増えないと思われるが、この点については、日本向けパッケージではできれば付属したいとは考えているが現時点では未定、としている。
ODIN GTに付属する監視/制御ソフトウェアの「P Tuner」。昨年のものとはデザインが変わっているほか、日本語にも対応。メイン画面では各種ステータスの表示画面となっている | ファン制御の設定画面。用意されたプリセットのほかに完全マニュアルモードも備える。グラフを操作してファンの回転数を増す温度のしきい値を調整できる | オーバークロック向け機能として、各電源系統の電圧の微調整機能も備えている |
電源ケーブルは脱着式。左上に見えるT1~T4が温度センサーの取り付け端子で、温度センサーも付属している | 展示されていた850Wモデルのスペック | オプションのUSBゲージ。自動車のアドオンメーターのような雰囲気の製品で、ソフトウェア上で取得した情報をアナログメーターに表示できる |
●熱の移動方向を考慮した水冷ケース新製品
同社では過去、「3D Aurora」シリーズという水冷キット内蔵ケースを発売しているが、その後継モデルとなる「3D Mercury」を展示。こちらもODIN GT同様に7月中旬ごろの発売が予定されており、日本での販売価格は65,000円前後が予定されている。
3D AURORAとの最大の違いはタンクの位置で、3D AURORAでは下部に設置していたものを、3D Mercuryでは上部へ移動。水の流れは、上部のタンクからいったん最下部へ流れ、そこから備え付けのスプリッタを介してビデオカードやCPUへと昇っていき、再度スプリッタパーツを介して水流を集約。タンクの後方部に埋め込まれたラジエータを通してタンクへ戻る仕組み。
こうした構造をとった理由は、熱が上昇する特性に配慮したものだという。冷えた水を一旦最下部へ落とし、そこから徐々に昇っていく流れになっているのも、そのためだ。また、ラジエータが最上部のタンク後方に埋め込まれており、ファンによって背面方向へ風が流れる仕組みになっており、温度が増して上昇するケースの空気を、そのファンを利用してケース外へ排出する仕組みになっている。
なお、本体にはCPUブロックのみが付属。ファンを取り付けることでVRM部を冷却できる「GH-PBC1」で、LGA775とK8シリーズ用の取り付け金具が付属する。ビデオカード用のGPUブロックである「Blue Eyes」は別売りとなっている。
このほか、同社ブースでは、8月に発売予定のケース「iSOLO 210」や「3D Mars」も展示されている。デザインを重視したケースとのことで、ダイヤモンド研磨によるスイッチを利用した点などをアピールしていた。価格はいずれも未定。
「3D Mars」は前面部の形状によりスリムに見せることにこだわったというデザインのケース | ケース内部。前面部に120mm×1、背面部に120mm×2のほか、シャドウベイ部の側面に80mm×2のファンを備える |
奥行きが短めのため、マザーボードやケーブルなどの配置に応じて、シャドウベイを90度回転して装着できる工夫が施されている |
フロント面のメッシュ加工が特徴の「iSOLO 210」。電源スイッチにダイヤモンドで研磨した金属を使用 | iSOLO 210のケース内部。背丈は低いケースだが、ATXマザーは利用可能 |
●ベアボーンや日本未発売が決まったiRAM BOXの話題など
このほかの製品では、ベアボーンキットが2製品展示。ミニタワーケースを利用した「GB-VCD」は、C7-D対応製品ということもあって日本への投入は行われないとのことだが、ケースのデザインは良いのでCore 2やAthlon 64シリーズなどに対応するモデルが用意されることがあれば日本に投入したいとしている。スリムケースとIntel G965マザーを利用した「GB-BAA」は、7月中旬にも日本で発売される見込み。ただし価格は未定とのこと。
また、GIGABYTEは今後、ベアボーンだけでなく自社ブランドのPCにも力を入れていくとのこと。今回展示された「GB-X7A」は、nForce 570 SLIマザーにAthlon 64 X2 5600+、GeForce 8600 GTといった構成。水冷キットを利用した静音性重視の製品としている。日本での発売は未定。
最後に、昨年のCOMPUTEXで初登場した、5インチベイ搭載型iRAMこと「GO-RAMDISK-BOX」の話題。今回も展示されていた本製品は、常に注目を集める存在といえるが、日本では発売しないことが決定しているという。HDDの置き換えデバイスとしてメモリストレージが注目されるなか、揮発性というデメリットはあるものの、コンシューマユースでも利用できるDRAMベースのSSDとしての魅力があるだけに、今後の方針変更に期待したいところだ。
ミニタワーケースを利用したベアボーンキット「GB-VCD」。C7-Dに対応する製品で日本での発売は行なわれないが、別のプラットフォームのバージョンが登場したら検討したいとのこと | こちらはシンプルなスリムケースのベアボーンキット「GB-BAA」。Intel G965マザーを利用した製品 |
□COMPUTEX TAIPEIのホームページ(英文)
http://www.computextaipei.com.tw/
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(2007年6月8日)
[Reported by 多和田新也]