[an error occurred while processing the directive]

JEITA、2006年度国内PC出荷は6%減
~Vista効果なく、第4四半期も前年割れに

JEITAパーソナルコンピュータ事業委員会 小林一司委員長

4月26日 発表



 社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)は26日、2006年度(2006年4月~2007年3月)の国内PC出荷実績を発表した。これによると、国内の出荷台数は、前年比6%減の1,208万9,000台、出荷金額は9%減の1兆4,653億円となった。

 1月30日にWindows Vistaが発売されたものの、第4四半期の出荷台数は、前年同期比7%減の352万3,000台、金額ベースでは10%減の4,171億円と、ともに大きく前年実績を割り込んだことで、年度初めの1,350万台の予想、そして、2007年1月に下方修正していた1,290万台の予想をも下回る結果となった。

2006年度の出荷実績 四半期ごとの推移
年度別の出荷台数推移 年度別の出荷金額推移

 JEITAパーソナルコンピュータ事業委員会・小林一司委員長(日立製作所コンシューマ事業グループ放送通信融合事業推進センタ担当部門)は、「ビジネスPC市場においては、景気回復や雇用拡大を背景にした情報投資の活発化や、セキュリティ投資などもあり、年間を通じて堅調に推移したが、その一方で大型案件の減少や、内部統制に優先的に投資を行なうといった動きもあり、第4四半期については前年を割り込んだ可能性もある。一方、コンシューマPC市場は、新たなOSの登場や、リビングルームPCなどの新たなデジタルライフを実現する製品が登場。さらに、光接続環境の浸透によって、デジタル動画配信や双方向ネット通信といった使い方が広がってきたが、個人消費支出の分散化、新OSの発売時期がずれ込んだことでの買い控えがあったことが影響し、前年実績を下回った」としている。

 第4四半期のコンシューマPC市場は、2桁近い減少になっている模様であり、プラス成長への転換にはまだ時間がかかりそうだ。

 また、地上デジタル放送チューナ搭載PCは、第4四半期だけで17万5,000台に達し、全体の約5%を占めた。

形状別の出荷台数推移 販売単価の推移

 形状別では、2006年度実績でノートPCが前年比3%減の689万8,000台、デスクトップPCが10%減の519万2,000台。ノートPCの構成比は57%となり、年度集計では過去最高の構成比となった。「特にA4ノートPCの売れ行きは、前年比4%増と好調」とした。

 また、第4四半期の平均単価は、ノートPCが第3四半期に比べて1,000円減の124,000円、デスクトップPCが横ばいの11万円。全体でも横ばいの118,000円となった。前年同期に比べても3%の価格ダウンと、これまでに比べて価格下落傾向は鈍化している。

 「新OSの登場にあわせて基本性能を向上させたモデルが売れていることが影響している。今後も緩やかな下落になるだろう」とした。

 第4四半期の前年割れは、業界関係者にとっても予想外のものだった。

 小林委員長は、「第4四半期の出荷台数の減少率は、第3四半期の10%減に比べても回復基調にある」とするが、「消費者の購買動向が変化し、以前のように新たなOSが発売されても、すぐに購入するのではなく、自分の利用環境を捉えて、吟味した上で購入する傾向がある。これがVistaの売れ行きに影響したといえる。また、Vistaという名称については多くの人が認知しているが、機能面でのメリットをもっと認知させる必要があるのではないだろうか」などとした。

●2007年度は5~6%の成長を見込む

 一方、同協会では、2007年度の見通しについて明らかにした。

 2007年度の年間出荷見通しは、1,030万台。同調査は、メーカーの自主参加統計となって、これまでは16社が参加していた。だが、2007年度からはデルおよび日本ヒューレット・パッカードの2社が統計から抜け、調査対象メーカー数が14社に減少する。これまでは市場の約95%程度をカバーしていたが、2社の統計不参加でカバー率は80%程度になるという。

 「1,030万台は、14社ベースの数字であることから、前年実績に比べると、数字の上では大きく縮小することになる。しかし、市場全体としては、過去最高実績となった2005年度に匹敵する市場規模への成長を想定しており、推計すると5~6%増の成長を見込むことになる」と、プラス転換を予想した。

 参考までに、2005年度の国内出荷は、16社の集計で1,286万台となっており、事実上、この規模を目指すことになる。

需要拡大キーワード 統計会社を変更、毎月の資料配付を実施

 PC需要拡大のキーワードとして、「景気拡大継続」、「ユーザー層拡大」、「ユビキタス環境普及」の3点をあげ、「ビジネスPC市場においては、好業績による投資拡大、セキュリティ強化ニーズ、中小企業やSOHOの需要拡大が見込まれ、コンシューマ市場ではデジタルライフの浸透、ユーザー層の広がりのほか、Vistaの良さが広く浸透し、新OS需要の拡大が期待される。2006年度は足踏みをした結果になったが、2007年度は各社の努力によって、需要拡大に取り組みたい」とした。

 なお、同協会では、これまで四半期単位だった出荷実績について、資料配付形式ながらも、毎月発表するスタイルへと変更することを明らかにしたほか、新たに地上デジタル放送チューナー搭載PCの出荷実績を統計項目に加えるとした。

 ただし、ここで示される対前年比は、2006年度の16社ベースの数字と、2007年度の14社ベースの数字をそのまま比較したものになるため、事実上、前年実績を上回っていても、前年割れの数字のままで推移することになりそうなので、注意が必要だ。

□JEITAのホームページ
http://www.jeita.or.jp/
□ニュースリリース
http://it.jeita.or.jp/statistics/pc/h18_4q/
□関連記事
【1月25日】JEITA、2006年のPC出荷は前年比3%減の1,233万台に
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0125/jeita1.htm
【2006年10月27日】個人需要が低迷し、国内PC出荷が前年割れ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1027/jeita.htm
【2006年7月27日】国内PC出荷が3年ぶりの前年割れ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0727/jeita.htm

(2007年4月26日)

[Reported by 大河原克行]

【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
お問い合わせに対して、個別にご回答はいたしません。

Copyright (c)2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.