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個人需要が低迷し、国内PC出荷が前年割れ
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山本正己委員長 |
10月26日 発表
社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、2006年度上期(4~9月)の国内PC出荷統計を発表した。
これによると、国内の出荷台数は、前年同期比4%減の597万5,000台、出荷金額は6%減の7,414億円となった。
6半期連続でプラス成長を続けていたが、3年ぶりの前年割れとなった。
JEITAパーソナルコンピュータ事業委員会 山本正己委員長(=富士通経営執行役)は、「特に個人向けの落ち込みが激しい。個人消費が分散し、薄型TVや旅行、携帯電話、レジャーといったPC以外のところに消費が流れたのが、個人向けPC市場が落ち込んだ要因。Windows Vistaの買い控えの影響ではない」とする一方、「企業においては、リプレースが中小企業にも広がりを見せたほか、雇用の安定化に伴い、情報化投資に前向きな企業が増加したこと、情報漏洩事件などを背景に、セキュリティに対する需要が高まり、セキュリティチップや生体認証に対応した製品が売れているなど、比較的堅調となった」としている。
だが、その一方で、「個人需要においては、小中学生や女性、アクティブシニアといった層での利用が増え、一家に1台から、1人に1台へと変わってきている。また、1人で複数台を所有するといった使い方も出てきている。デジタル動画、双方向通信の利用など、PCの新たな価値を生み出すことで今後の需要増加につなげたい」とした。
また、リチウムイオン電池の問題を背景にしたノートPCの買い控えについては、「細かいところまで統計をとっていないため傾向がつかめないが、8月、9月の状況を、過去の実績と照らし合わせて比較してみると、9月に若干の影響が表れたと言えないこともない」とした。
企業需要に関しては、上期は前年同期比ほぼ横ばいと見られているが、個人需要に関しては前年同期に比べて10%前後減少している可能性もありそうだ。
平成18年度 上半期出荷実績(国内・半期) |
同協会では、通期の見通しとして、前年比5%増の1,350万台を見込んでいるが、上期が前年割れとなったこと、第3四半期までVista発売前の買い控えが見込まれること、さらに、1,350万台の出荷を達成するには、下期に前年同期比2桁増の出荷実績が必要とされることなどから、達成が難しいとの見方も広がっている。
山本委員長は、「上期の数字を見ると厳しいが、1月30日にはVistaの発売があり、第4四半期には貢献が期待できる。また、第3四半期も、年末には若干の影響があるかもしれないが、Vista発売前のアップグレードキャンペーンを活用するなど、業界としてあらゆる手段を講じて買い控えを食い止め、来たるべきタイミングにつなげたい。買い控えの影響を最小限度にするのはメーカー各社の努力次第」として、「現時点では、通期見通しの修正はしない。第3四半期が終わったところで、改めて検討したい」とした。
形状別の出荷台数は、ノート型が前年同期比1%減の335万2,000台、デスクトップ型は7%減の262万3,000台。ノートPCの構成比は56%となった。
なお、第2四半期の国内出荷実績は、前年同期比4%減の301万台、出荷金額は7%減の3,595億円。形状別の出荷台数は、ノート型が前年並の168万台、デスクトップ型は8%減の133万台。ノートPCの構成比は56%。
第2四半期の平均単価は、ノート型が第1四半期に比べて9,000円減少の127,000円、デスクトップが9,000円減少の11万円。全体では1万円減の119,000円となった。
「以前に比べると、単価下落は緩やかになっている」(山本委員長)とした。
出荷台数推移(国内・半期) | 形状別出荷台数推移(国内・半期) |
出荷金額推移(国内・半期) | 出荷単価推移(国内・半期) |
□JEITAのホームページ
http://www.jeita.or.jp/
□ニュースリリース
http://it.jeita.or.jp/statistics/pc/h18_2q/
□関連記事
【7月27日】国内PC出荷が3年ぶりの前年割れ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0727/jeita.htm
【4月27日】JEITA、PC出荷台数は四半期/下半期/通年すべてで過去最高
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0427/jeita.htm
(2006年10月27日)
[Reported by 大河原克行]