2007 International CESレポート【HP編】 タッチスクリーン搭載のVista PCと
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HPブース |
会期:1月8日~11日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Centerなど
Hewlett-Packard(HP)のブースでは、ビル・ゲイツ氏の基調講演で披露されたタッチパネル式液晶一体型PCや、Windows Home Server搭載機が展示され注目を集めている。
●TouchSmart PC
「TouchSmart PC」は、19型ワイド液晶を搭載した一体型PC。外観は日本の大手メーカーのエンターテイメント向け一体型PCに似ているが、指で操作可能なタッチパネルを装備しているほか、リビングルームを超えて、キッチンへの浸透を目指す野心的なマシンだ。
家庭内での活用法を示すため、キッチンをもしたコーナーを設置してデモしていた |
本機はOSにWindows Vista Home Premiumを採用し、Media Center機能を搭載するが、それと連動する形で独自の家庭向けポータル的ソフト「SmartCenter」を搭載している。SmartCenterを起動すると、トップ画面にはカレンダー、写真、天気予報、TV、音楽、インターネットといったメニューが表示。
おもしろいのは、この中でカレンダー、写真、天気予報の3つに焦点が当てられ、他のメニューよりも大きく表示されている点だ。先に「キッチンへの浸透を目指す」と書いたが、HPのブースでは実際にキッチンを模したコーナーを作り、そこで女性の説明員が主婦の作業を想定しつつデモを行なっている。
例えば、カレンダー機能を起動し、「Write Note」ボタンを押すと、白紙の付箋が表示され、「ご飯は電子レンジの中よ」といったメモを残せる。タッチパネルを搭載しているので、メモは手書きで書くことができ、画面内の好きな場所に指でドラッグして移動できる。読み終えて不要になったメモは、ゴミ箱のアイコンまでドラッグすれば消去される。また、音声によるメモも作成できるし、カレンダー機能なので、予定を書き込んだりもできる。
これらの機能は技術的には新しくないが、インターフェイスは直感的でPCやキーボードに不慣れな人間にも分かりやすい。また、家庭、その中でも特に主婦や子供に向けた機能を前面に打ち出しているのはユニークな試みといえるだろう。
家庭向けといってもスペックがおろそかにされているわけではなく、CPUはTurion 64 X2 TL-56(1.8GHz)、メモリ2GB、HDD 300GB、DVDスーパーマルチドライブ、GeForce Go 6100、TVチューナ、IEEE 802.11a/b/g無線LAN、Bluetooth、Webカメラなどを搭載し、液晶ディスプレイの解像度は1,400×900ドット(WXGA+)と上級ノートPCに近いスペックを持つ(仕様は展示機のもので、実際の製品では変更される可能性がある)。
米国での発売は2月で、価格は1,800ドル前後の見込み。
●MediaSmart Server
MediaSmart Server。4台までのシリアルATA HDDを内蔵可能。LEDはそれぞれのドライブのアクセスランプ。USBポートは前面に1個、背面に3個ある |
もう1つの目玉といえる製品が、Windows Home Serverを搭載したネットワークストレージ「MediaSmart Server」だ。Windows Home Serverはビル・ゲイツ氏が基調講演の中で発表した新しいOSで、主にメディアサーバーとファイルサーバー機能に特化している。その名が示す通り、家庭向けのサーバーOSであり、PC用ではない。
HPのMediaSmart Serverは、そのOSを搭載した初の製品で、2007年下半期の発売予定。価格は未定となっている。
HDDは3.5インチのシリアルATAドライブを4台まで内蔵可能(出荷時は1~2台を内蔵予定)で、USB経由でさらに4台のHDDを外付けできる。内蔵HDDはホットスワップ可能で、前面のドアを開けて、工具等を使わずに脱着できる。
基本的な用途はファイルのバックアップと共有。10個までのアカウントを作成でき、個人フォルダにデータやPCのHDDをイメージごとバックアップしたり、家族で共有フォルダに写真や音楽、動画などを保存可能。HDDのイメージをバックアップした際は、付属のユーティリティからネットワーク経由でPCのHDDをリストアできる。
HDDを複数接続しても、RAIDのスパニングのように、クライアントからは1台のHDDとして見える。RAIDには対応しないが、フォルダごとにバックアップのON/OFFを設定でき、ONにすると自動的に2カ所に保存され、データの破損を防げる。
動画や音楽ファイルなどは、メディアサーバー機能により、Windows Media ConnectやMedia Center eXtenderに対応するPC、Xbox 360、DMA(Digital Media Adapter)などからアクセスして、ストリーミング再生することもできる。
このほか、インターネット経由でMediaSmart Server内のファイルにアクセスしたり、写真を公開、さらにはMediaSmart ServerにつながっているPCにリモートデスクトップ接続する機能や、ネットワーク内のPCの診断機能、プリントサーバー機能を搭載するなど、従来のNASとは一線を画した仕様となっている。これにTVチューナ機能が加わればさらに便利だが、このモデルでは搭載予定はなく、2世代目以降で検討していくという。
ちなみに、Windows Home ServerはHDDにインストールされているが、インストールドライブが壊れたり、別のHDDと交換などした際は、付属のインストールディスクを用いて、クライアントPCから再インストールできる。
本体サイズは140×230×250mm(幅×奥行き×高さ)。インターフェイスは、Gigabit Ethernet×1、USB 2.0×4。
●HD DVDとBlu-ray Discの外付けドライブと搭載PC
このほかHPブースでは、USB外付けのHD DVDドライブとBlu-ray Discドライブを展示。前者は発売済みで価格は499ドル、後者は今春発売予定で価格は未定。また、これら次世代光学ドライブを搭載したデスクトップ機や、HD DVD搭載ノートPCも展示されている。
外付けHD DVDドライブ。米国では発売済みで499ドル | 外付けBlu-ray Discドライブ。こちらは今春発売予定で価格未定 | HD DVD搭載のデスクトップ機「Pavilion m」 |
カバーを開けて、カートリッジ式HDDを増設可能 | 17型ワイド液晶搭載のノートPC「Pavilion dv」。写真のモデルはHD DVDを内蔵し、拡張ベースステーション上に設置している |
□2007 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□HPのホームページ(英文)
http://www.hp.com/
□関連記事
【1月9日】【CES】ビル・ゲイツ氏基調講演レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0109/ces4.htm
(2007年1月9日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]