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2007 International CES プレスプレビューレポート
~ノートPC用外付けGPUボックス、1TB HDDなどが展示

会期:1月8日~11日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Centerなど



 世界最大のデジタル家電の展示会であるInternational CESが1月8日~11日(現地時間)の4日間にわたり開催される。例年年頭に開催されるInternational CESは新しいデジタル家電の発表の場として、あるいは今年1年のトレンドを占うイベントとして大きな注目を集めている。

 本格的な日程は1月7日夜(現地時間)に予定されているMicrosoftのビル・ゲイツ会長兼CSAによる基調講演からスタートするが、前々日となる1月6日の夕刻には、報道関係者向けのプレビューとなる“CES Unveiled”が行なわれ、CESで展示される予定の製品が多数展示された。

 本レポートではこのイベントで展示された注目の製品についてお伝えする。

会場となるラスベガスコンベンションセンター、6日の時点ではまだ会場の設営は途中で、8日のオープンに向けて準備が続けられていた
 

●ASUSTeKが世界初のノートPC用外付けGPUボックスを展示

 今やノートPCのベンダとしても着々と成長を遂げ、世界のトップベンダに仲間入りをしようかというASUSTeK Computerだが、CESでもユニークな製品を展示している。それが、同社によれば世界初となるノートPC用外付けGPUボックス“XG Station”だ。アーキテクチャは非常にユニークで、ボックスの中には専用の電源と汎用のPCI Express x16のビデオカードが入っていて、ノートPCとの接続はExpressCardを利用して行なわれる形になっている。

 なぜ、ノートPCとの接続がExpressCardなのかと言えば、ExpressCardの内部ではI/OにはPCI ExpressかUSBが利用されているためだ。つまり、ExpressCardを利用することで、外部機器のバスをPC内部のPCI ExpressかUSBに直結できるというわけだ。今回ASUSが展示した製品では、この特性を利用し、PCI Expressのビデオカードを、ノートPC内部のPCI Expressバスに直結している。

 ただし、ExpressCardで利用できるPCI Expressはx1のみであり、かつバスはノースブリッジではなくサウスブリッジに接続されていることが多い(Intelのチップセットの場合)。従って、性能をフルに発揮できるという状況ではないが、それでも内蔵のGPUが統合型である場合などには少なくとも内蔵GPUよりは高い性能を発揮する可能性はある。

 今回展示された製品では、ボックス内部にNVIDIAのGeForce 7600 GTが利用されており、実際に外付けのディスプレイに画面を表示する様子がデモされていた。ASUSの関係者によれば、ビデオカードはGeForce 7600 GTでなくてもよく、一般的なPCI Express x16のビデオカードであればNVIDIA、AMD(旧ATI)を問わず利用できるという。また、ファンサイズが大きく2スロットを占有してしまうようなカードも利用できるように最初から2スロット分が用意されているあたりが心憎い。ただし、ボックス自体の電力容量の制限から最大で130Wまでとなっており、NVIDIAのGPUで言えばGeForce 8800 GTSまでが利用可能で、それ以上の消費電力となるGeForce 8800 GTXは駄目だという。

 なお、ボックスにはボリュームスイッチがついており、PC本体のオーディオボリューム、GPUファンスピード、GPUエンジンのクロックなどをダイナミックに変えていくことが可能であるという。従って、GPUのパフォーマンスが必要なときにはクロックやファンを最大にして、あるいはその逆という使い方も可能だ。

 A4サイズのノートPCではノートPC用の外付けGPUが搭載されていることも少なくないが、サブノートなどではスペースや省電力の関係からあまり3D性能が高くないGPUが採用されていることが多く、そうしたユーザーにとっては自宅などでデスクトップ代わりに利用する際に不満があったと思うが、こうした製品を利用すれば解消できる。気になる価格だが、現時点では最終決定ではないものの、GeForce 7600 GTのビデオカード込みで500ドル前後が考えられているという。製品の投入は第2四半期が予定されているとのことで、ノートPCユーザーは要注目の製品だ。

ASUSTeKが展示したノートPC用外付けGPUボックス。本体には状態を表示するディスプレイとボリュームボタンが用意されている。ボリュームボタンを回すことで、GPUのエンジンやファンスピード、PCの音量などがコントロールできる 実際に利用しているシーン。このようにデスクトップなどで外付けLCDなどにつないで利用するシーンを想定している ノートPCとの接続部分。ExpressCard/34の形状になっている
内部にはPCI Express x16の一般的なカードが挿入されている。ビデオカードを交換して利用することも可能。ただし、他社ビデオカードの場合にはボリュームなどの機能は動かないかもしれないとのこと USBのインターフェイスも持つExpressCardを利用しているので、USBポートも用意されている 本体の左側面には、PCとの接続ケーブル、ACアダプタ、スロットなどがある。2スロットあり、2スロット占有タイプのビデオカードも利用可能

●HGSTが1ドライブで1TBの3.5インチHDDを展示

 日立グローバルストレージテクノロジーズ(以下HGST)が展示したのは、1ドライブで容量が1TBになるという垂直磁気記録方式を採用した3.5インチHDDで、Deskstar 7K1000(PC用)およびCinemaStar 7K1000(民生機用)の2つのラインナップが用意されている。Deskstar 7K1000には1TB、750GBの2つのSKU(製品種別)も用意されており、回転数は7,200rpmで、平均シークタイムが8.7ms、32MBのキャッシュを内蔵し、SATA II(3Gbps)とUltra ATA/133の2つのインターフェイスのモデルが用意される。

 Deskstar 7K1000の出荷は今四半期中が予定されており、米国ではリテールボックスの形でも提供され予想市場価格は399ドルになるという。CinemaStar 7K1000は第2四半期の出荷となる予定だ。最近では民生機でもHDDレコーダは当たり前になり、ユーザーの使い方もディスクに出力する形よりも、HDDに撮りためてタイムシフトとして利用する形態にシフトしつつある。そうした使い方が主流になりつつ今となっては、HDDが大容量化することは非常に喜ばしいことといえ、大容量HDDの登場により既存の容量のドライブがさらに低価格されることも予想できるので、期待したいところだ。

HGSTが展示した1TBのHDD。といってもどのあたりが1TBなのかは見た目ではわからないのだが…… 米国で利用されるリテールボックスのイメージ写真

●ユニークな形をしたWindows Mobile端末などが展示される

 このほか、展示会場ではユニークな形をしたWindows Mobile搭載端末や、SamsungのWindows Mobile搭載スマートフォンなどといった製品が多数展示された。

 6日(現地時間)のイベントはこのCES Unveiled程度で、実際のCESの日程は7日(同)の朝から行なわれるプレスカンファレンス、夜に行なわれるビル・ゲイツ氏の基調講演などから本格的にスタートし、8日には会場展示が開始される。

米Logitech(日本ではロジクール)のプログラマブルリモコン「Harmony」シリーズの最新版となる「Harmony 1000」。3.5型のタッチスクリーンが採用されており、PCにUSBで接続してインターネット経由でリモコンデータをダウンロードして利用するという基本コンセプトを継承している Samsungが展示したWindows Mobile 5.0搭載のスマートフォン。HTCの「Herm 200」(日本ではソフトバンクの「X01HT」、NTTドコモも「hTc z」として販売されている)や「W-ZERO3 [es]」などと同じようなQWERTY配列のキーボードを採用した製品
Seamless InternetのS-XGENは、Windows Mobileを搭載したポケットPC。折りたたみ式のQWERTY配列キーボードを持ち、IEEE802.11b無線LAN、GSM(900/1,800/1,900MHz)、Bluetooth、Ethernetの通信機能を備えている。CPUはXScale PXA270 520MHzで、20GBのHDDを備えている。約400gの重量で、価格は1,399ドル
日本の富士通テン(イクリプスブランドのカーナビ、カーオーディオを展開するベンダ)の「AVN2210p」。米国では小型のカーナビが流行で、大型の液晶を搭載し2,000ドル近い価格になる日本のタイプのカーナビは苦戦している。そこで、こうしたハイブリッドの製品で、1,000ドル以下の市場に打って出ようという製品。ポータブルナビは取り外し可能で、別の車で使ったり、持ち歩いて利用することができる。なおUSB端子が用意されており、フラッシュメモリなどを接続して中のMP3ファイルなどが再生できる。ちなみに、日本向けのAVNシリーズでは用意されていないiPod接続ケーブルもオプションで用意されている。ぜひ、日本でもUSB端子やiPod接続機能を用意してほしい
MicronasはIPTV対応HDDレコーダのリファレンスデザインを展示。実現すれば、IP経由の放送をHDDに録画して楽しむなども可能に? PowerViewのBluetooth対応フォトスタンド。Bluetooth経由でPCに保存されている写真を表示することができる Fasttapのユニークな携帯入力デバイス。テンキーのほかに26のアルファベットキーが用意されている。日本向けにはあまり意味があるとは思えないが、英語使いの人は便利そう?
SamsungのCDMA2000対応小型携帯電話。回転して携帯のように使える。小さいのにBluetoothにも対応しているという。日本でもauが出せば売れそうだが…… CESの主催者からベンダに与えられるBest of Innovationsという賞があるのだが、なぜかIntelのCore 2 Duoに与えられた。Core 2 Duoは2007年のPC市場で確かにインパクトのある製品だったと思うが、さすがに組み込み向けのプロセッサとして家電の賞を与えるというのは無理があると感じる、大人の事情というやつだろうか。なお展示されていた箱のフタはテープで留められているのだが、無惨にもフタがあいてしまっていた

□2007 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□関連記事
【2006年1月5日】【笠原】2006 International CESプレスプレビューレポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0105/ubiq140.htm

(2007年1月8日)

[Reported by 笠原一輝]

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