●北国からやって来たPLAYSTATION 3 寒い。それも当然だ。ここは北国・新潟。しかも、まだ朝の9時で、雨がちらつきそうな曇天。どうしてこんなところにいるかというと、話せば長いが、じつは「PLAYSTATION 3(PS3)」のためだ。
10月もかなり遅くになるまで日本にいなかったゴトウは、PS3予約の波に乗り遅れた。近場の店舗予約は終わってしまっていて、オンライン予約は全滅。抽選も何度かトライしたが、そうそう当たるものではない。しょうがないから前日から並ぼうと、久しぶりに寝袋を出していたら、5日前から行列ができはじめてしまった。こりゃダメかなと思っていたら、予約が取れた知人から譲ろうかって話がきて、二つ返事でOKしてしまった。ところが、それが新潟だったというわけ(笑)。 送ってもらうと翌日になってしまうので、当日ゲットするには新潟まで取りに行かなければならない。友人のライター氏の「それ、ネタですか? もうほとんど芸人ライターですね」という嘲笑をものともせず(笑)、朝7時の上越新幹線に乗った。エスパーより貴重とは言わないまでも、それなりに希少なPS3を手に入れるなら、その程度の労力は惜しまない。2日間並ぶより体力的にラクだし。でも、この交通費考えたら、どうかというのは、確かにある。まあ、それは、新潟名物の笹だんごで埋め合わせと考えることにした。 というわけで、笹だんごと一緒にPS3をゲットして、東京にとんぼ返り。途中、Messengerで他のライター友人と情報交換。みんなの状況もさまざまで、夜明け前の有楽町突撃に飛び込んだり、大型店で2日間並んだり、ラッキーなことに抽選に当たったり。それでも、みんな手に入れてるところは凄い。その日は、PS3の入手状況の相互レポートだけで十分に盛り上がった。今回ほど、マシンの入手で、ライターみんなが右往左往したことはなかったが、イベントとして盛り上がったと言えるかも。
●カッコ良さの演出の仕方が違うPS3 自宅に戻って、さっそく箱を開けて、筺体を引き出す。子ども達が「おおーっ」と言う。PSPもそうだったが、ソニーグループは、持って触った時の質感の作り方がじつにうまい。カッコよく、所有する満足感をくすぐるように作ってある。Microsoftや任天堂のマシンは、開けても驚いてくれないが、SCEのマシンは、子どもが素直に騒いでくれる。
もちろん、その影で、きっとハードウェア設計者たちは泣いていると思う。初めにデザインありき的なPS3の筺体の曲線に合わせて、ドライブと電源モジュールがナナメに削られた設計になっているのを見たときは、笑ってしまった。 Xbox 360だと、付属品で入っていたLANケーブルが、いかにも安そうで、ちょっと興ざめだった。PS3だと、付属品も黒一色で、PS3に下品な部品は不要と、言いたげなスタイリッシュぶり。全体に、こうした演出では、ソニーグループに一日の長がある。 さっそくHDMIケーブルで、リビングのメインTVである、サムスンの32型液晶に接続。実はこれ、解像度は720p。1080pでないのは、単純に貧乏なので高くて買えないから。720pだとPS3の1080pがわからないじゃないかと言われそうだが、そこはサイフとの妥協だ。 TVがサムスンなのも同じくコストが理由。タイムシフティングでしかTVを観ないから、デジタルチューナなんてモニタ側になくていいというのもある。国産家電メーカーは、なかなかデジタルチューナレスHDTVを出してくれないから、選択肢が少ない。 PS3をネットにつなぐとすぐにシステムソフトウェアのアップデート。これは、Xbox 360を初始動した時と同じで、最近の流行(笑)。今世代のゲームコンソールは、いずれもOSやライブラリの多くが本体に乗っているので、後からネット経由などで本体のファームにパッチを当てることになる。実は、今までも、こういうアップデートはあった。しかし、それはゲームディスクの中だけで行なわれていたので見えなかった。これまでは、OSやライブラリのほとんどはディスク側にあったからだ。ネット時代になって、ゲームコンソールのソフトウェア層の作り方が、大きく変わったので、PCみたいなライブアップデートが見えるようになったというわけだ。もっとも、PS3ではアップデート自体は、比較的短時間で終わる。これは、OS規模がXbox 360より小さいためかも知れない。 ●Xbox 360と比べるとずっと静かなPS3 ハードを稼働させてすぐに気がつくのは、“わりと”静かなこと。静かな家ならこれでもうるさいと感じるかもしれないが、ウチのようにハードの台数があって、子どもが賑やかだと、全然気にならない。特に、Xbox 360と比べると、かなり静かだ。このあたりは、排熱にどれだけコストをかけるかの差が出ているような気がする。 Xbox 360の冷却システムは、どう見てもコストで10ドル以下。Microsoftはボリューム購入でディスカウントを求めるだろうから、実際のコストはさらに低く5~7ドル程度のはずだ。それに対してPS3の冷却システムは、ぱっと見た目でも数倍のコストをかけている。どこにコストをかけるかが、ノイズの差となっていると思う。 比較的静かとはいえ、PS3の電力消費380Wは、いかがなものかと思う。Xbox 360だと、あの外部電源のサイズに笑うしかなかったが、PS3は電源容量に笑うしかない。もちろん、ワースト値に合わせているわけだが、容量だけ見るなら立派なPCだ。うちの場合、一戸建てなので電力は2ケーブル引き込んで100A(100V)/1万Wに上げてあるので、PS3が何台稼働しても大丈夫だが、困る家も出てきそうだ。 もっとも、最近は、PCの世界で感覚がマヒしていて、380Wと聞くと少なく感じてしまう。ビデオカード2枚という計算を、頭の中でする自分が怖い(笑)。こないだも、友人のベンチマーク野郎が1,000W電源を入れたという話をしていた。PCがいかに異常な世界かというのを再認識。 PS3の設置場所は、ラックのXbox 360の横にする。横置きすると、排熱のエアーが右側にかなり吹き出す。右側にある程度のスペースを取る必要がある。AVラックはHDDレコーダが4台にPC 1台、CATVチューナに液晶TVが2台と、大混雑状況なので、設置場所の選択肢が少ない。PS3の排熱エアーが、若干Xbox 360に当たるのが不安だが、どちらかが熱暴走するようなら、その時に場所をスイッチすることにする。
●とりあえず160GBのHDDに換装 PS3を買ったらデフォルトでやろうと思っていたのはHDD換装。買ったのは60GB版だが、60GBでも少なすぎる。これだけ換装が簡単なら、やらない手はない。データが貯まってからだと移行するのは面倒なので、換装するなら最初からと判断。どうせならと、イケイケ青信号で、160GBにアップグレードすることにした。日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)のTravelstar 160GB 2.5インチは、ThinkPad X60とX31に載せ替えた時にサーマルを調べて、2台のノートPC実機でテスト済み。これを買おうとしたが、家の近くだと、どこでも品切れ。 一瞬、筺体外にケーブルを引っ張って、3.5インチHDDに載せ替えることも考えた。しかし、PS3の電源容量はおそらくMax値にきっちりだろうから、消費電力の大きい3.5インチだと、PS3内部から電源を取れそうにない。電源を外から取るとなると、PS3起動と同時にHDDを回さないとならないので、面倒だからやめ。翌週末に秋葉原に行くついでに購入して1週間遅れで載せ替えた。 PS3の場合、システムは本体内のフラッシュにあり、HDD上にはないので、HDD換装は簡単。物理的に載せ替えて、フォーマットするだけだ。HDDはメカ部品なので、最も壊れやすい。だからHDDを換装しやすいのは、非常に心強い。しかも、HDDモジュールはユーザーが簡単に換装できるように筐体外からアクセスできるようになっている。もっとも、換装するユーザーが何%なのかというと、それは疑問。そういう意味では、HDDを“家電”に載せるのは非常にリスキーだが、世の中、すでにこれだけHDD家電が溢れているのだから、基準も変わったと言えるのかもしれない。 載せ替え作業自体は長男にやらせてみる。HDDユニット部分のフタを開けて、ヒンジを引き出してスライドさせ、HDDユニットを引き出す。あとは十字ネジを緩めてユニットからHDDを外すだけ。載せ替え自体は5分で終わると思っていたら、不慣れな長男がネジ山をつぶしてしまった。ペンチで無理矢理ネジを回すことになり、若干時間をロスして載せ替え完了。
換装自体は、隣に並ぶNECのHDDレコーダ「AX300」のHDDより、よほど簡単だ。AX300はシステムソフトウェアがHDD上にあるので、HDDを換装する時には、システムソフトウェアもクローンする必要があった。一方、ソニーのHDDレコーダ「Xビデオステーション」は、PS3と同じで、HDDにシステムがないので簡単に換装できた。HDD家電は、システムをフラッシュに載せてくれないと面倒だと再認識。念のために書いておくがAX300とXビデオステーションのHDD交換もサポート範囲外なので、自己責任で行なっている。 HDDのフォーマットはPS3のユーティリティで行なう。PS3のネイティブOS以外の領域を切ることが可能だが、10GBまでの制約がついている。これはいかにも小さいが、当面はOSが出てもお試し程度。一応10GBを確保して、残りをCell OS用に確保する。これでオリジナルマシンの2.x倍の容量は確保できたことになる。
●余ったHDDとフラッシュメモリをUSBで増設 HDDをすぐさま拡張したのは、Xbox 360でHDDの狭さに悩まされているから。Xbox 360の20GBだと、ゲームデモやHDムービーをダウンロードしてると、すぐに容量が足りなくなる。ダウンロードする度に削除を繰り返して、煩雑さに辟易していた。ある程度の容量をシステム側で予約されてしまっているというのもあるのだが、20GBは少なすぎる。PS3の上位版の60GBだって、どうかと思うが、160GBあれば、HDDの寿命の間は何をダウンロードしても足りるだろうと。なお、当然のことながら、HDDの交換は保証の範囲外だ。 内蔵HDDを拡張したついでに、USBでHDDの増設もすることにした。ところが、USB HDDケースをつないでもHDDを認識してくれない。ありゃと思ったら、友人のライター氏に「FATじゃないでしょ」と当たり前のことを指摘される(笑)。とりあえず余ってる40GBのATA 2.5インチHDDを、FATでフォーマットして32GBまで確保。USB HDDケースに入れて、PCとの間のデータ転送と、ダウンロードしたビデオ類のバックアップに使うことにする。HDDを回しっぱなしにするのはいやなので、これは必要な時だけ接続。 それとは別に、余っている512MBのUSBフラッシュメモリを、空いているUSBポートに装着。これは挿しっぱなしで、ゲームのセーブデータや諸々の軽いデータのバックアップ用にする。バックアップ魔なので、セーブデータは移動不可属性がついていない限りバックアップを取る。PS2まではメモリカードだったので面倒だったが、PS3だとバックアップは格段にラクになった。 このほか、USBポートにはワイヤレスキーボードとマウスを接続。マウスは結果的にあまり使いようがないことが判明したが、キーボードはとりあえずゴトウ的には必須。ソフトウェアキーボード嫌いなのに、PS3だとセットアップで文字数字を入力することが多いから。最初はテンポラリにUSBキーボードをつけたけど、Webブラウザでもテキスト入力が多いので、PCの方につけていたワイヤレスキーボードと入れ替える。 さらに、コントローラの充電用に、USB-USBミニケーブルを接続しっぱなしにする。これに、PS/PS2メモリカード用のメモリカードアダプタが加わった時点で、4ポートで吸収できなくなり、USB Hubを接続。おかげで、PS3の前はとゴチャゴチャになってしまったが、標準デバイスがそのまま使えるのは、劇的に便利だ。 もっとも、USBに何かつないだりHDD換装で盛り上がるのは、ゲームコンソールとしては明らかに不健康。じゃあ、ゲーム自体はどうかというと、これが意外と悪くなかった。
●ゴトウ家ではヒットしたPS3ローンチタイトル PS3で意外だったのは、ローンチタイトルがかなり遊べること。最近の新ゲーム機では、「ローンチタイトルが弱くてあまり遊べない」が常態化しつつあった。PS3のローンチタイトルも5本と、数的にはかなり厳しいのだが、ウチについて言えば中ヒット。 そもそも、予約してあったタイトルは3本。『RESISTANCE(レジスタンス) ~人類没落の日~』、『機動戦士ガンダム ターゲット イン サイト』、『GENJI -神威奏乱-』。みんなが買ってる『リッジレーサー7』が入ってないのはなぜ? とよく聞かれるが答えは簡単で、カーレースゲームをしないから。元々、ゴトウは、SFを求めていたらゲームに入り込んだ。宇宙人・未来人・異世界人・超能力者にしか興味がないクチなので、スポーツやレースのゲームは通常はやらない。仕事だったら真っ先に買うだろうけど、タイトルの原稿を書くわけではないし、90%は趣味で、自腹なので、ごめんなさいをしてしまった。 で、この3本をプレイしてどうだったかというと、ガンダムとRESISTANCEがそれぞれヒット。ゲーマーなら誰でも知ってる通り、ゲームの善し悪しのバロメーターは“中毒性”。そのゲームがやりたくて、自分を押さえることができない状態が発生すると“当たり”だ。 PS3タイトルでは、ガンダムでゴトウに中毒性が発生。何がいいのかというと、PCグラフィックス水準の絵でガンダムを見るのは新鮮という点につきる。激戦のミッションをクリアした後に、穴だらけで首がもげた自機のドムがクローズアップされると、結構感動。ゲーム自体は、少し『アーマードコア』調だけど、リアルミリタリー的なのは個人的には悪くない。ガンダムファンには、『08小隊』系の雰囲気と言えばわかりがいいかもしれない。 アニメ嫌い硬派(?)ゲーマーの長男も、オヤジが熱中するわけだと、ちょっと感心していた。仕事そっちのけで入れ込むほどの「真の中毒性」にはまだ達しない(それはそれで困る)が、それに近いヒット。 ●FPSタイトルは中学生の長男にウケる RESISTANCEは、わりとストレートにFPS(First Person Shooting:一人称視点シューティング)で、グラフィックスはかなりハイレベル。こちらは、FPS好きの長男にヒット。Xbox 360のローンチの目玉タイトルだったFPS『パーフェクトダークゼロ(PDZ)』は1時間触って終わりだったが、今回のRESISTANCEは続いている。「『HALO』(XboxのFPS)ほどの衝撃はないけど、かなりいい線」という。なので、RESISTANCEは長男にまかせて、観戦に回る。 RESISTANCEが中学生にヒットするというのは、今世代機の流れを象徴している。欧米では人気のFPSが、日本ではコンソール機では定着して来なかった。ところが、今世代ではXbox 360もPS3も、ローンチに海外デベロッパのFPSがファーストパーティタイトルでラインナップされている。RESISTANCEについて言えば、質もかなり高い。そして、子どもがそれをすんなりプレイする。 これは、6年前のPS2のローンチ時なら考えられない状況だ。皮肉なことに、そのきっかけを作ったのはライバルMicrosoftのXboxだ。ゴトウ家では『HALO』、『HALO 2』が大ヒットして長男&次男に猛烈な中毒性をもたらした。HALOでFPSの洗礼を受けた彼らは、その後、Xbox/Xbox 360のタイトルでFPSの研鑽を積んで来た。Xboxは日本ではあれだけ惨敗だったので、世間的にはほとんど黒歴史の扱いだが、洋ゲーテイストを日本のノンPCゲーマーに定着させた点では意義があったと思う。もっとも、日本で子どもがFPSをやるのは、特殊な現象かもしれないが、この流れなら遠からずFPSが一般的になる気がする。FPSも、子どもにとっては、単にアクションゲームの一種でしかない。 3本のうちヒットしなかったのはGENJI。無双系や鬼武者系(どちらも刀アクションゲーム)に最近こっている次男にヒットするかと思ったが、数時間でストップ。このところはまっているPS2タイトル『戦国BASARA2』(これも刀アクション)に戻ってしまった。理由は明瞭で、固定視点で、これだけ寄りの画角だと、かなりプレイしにくい。『デビル メイ クライ』が、寄りの画角になったような感じ。もちろん、プレイ感覚は個人差なので、一般論にはできない。 ちなみに、ゲームをプレイしていて個人的に意外とうれしかったのはPS3コントローラが軽いこと。虚弱で肩こり症だからというのがその理由。特に、Xbox 360の重いコントローラ(こいつはバッテリ部分も重い)が最近は苦痛で苦痛で。今度米国に行った時に、軽いXbox 360コントローラを探そうと思っていたくらい。もっともこれは振動機能がなくなったこととトレードオフ。Xbox 360コントローラは振動機能があるので、賛否があると思う。というか、周辺のゲーマーは、ほぼ全員が振動機能のカットに否定的。でも、個人的には機能が減っても軽いのが嬉しい。 ●まだ待たなければならないCellのプロセッシングパワー Xbox 360は、買ったばかりの時期は、ゲームではなかなか稼働しなかった。ローンチタイトルは一通りやってお終いみたいなムード。それに対して、PS3のローンチタイトルは、ウチについて言えば、それよりずっと成績がいい。稼働時間が全然違っていて、最初の2週間の間、1日数時間以上は稼働している。 もっとも、それが、PS3ローンチタイトルのラインナップがXbox 360ローンチタイトルより優れていることを示してるわけでは全然ない。ゲームが自分に合うか合わないかは、テイストが合うか合わないか。今回のPS3タイトルは、ウチではたまたまテイストがマッチした。逆に、全然合わない人も多いはずで、そういう意味では5本というローンチタイトルの選択肢は、どう考えても厳しすぎる。 とはいえ、周回遅れだったSDKを考えると、ローンチにこのレベルのタイトルを出すために、デベロッパには途方もない努力が必要だったはず。メモリ帯域がきついとか、追い込みの時期でもGPUのデバイスドライバが不安定とか、PC業界なら絶体絶命の状況でも、ゲーム業界だとモノが出来てしまうところが違う。買わなかったものの、リッジも、Xbox 360版と比べて、かなり絵がよくなっていた。 でも、冷静に考えれば、PS3の場合、GPUパフォーマンスは比較的引き出しやすい。RSXのベースはGeForce 7(G7x)で、アーキテクチャはよく研究されているし、慣れているデベロッパも多い。実際、PCグラフィックスを見慣れていると、PS3の絵で違和感がない。もちろん、メモリ帯域の問題はあるが、GPU自体は扱いやすいはずだ。 それに対して、Xbox 360 GPU(Xenos)は、新しいマルチスレッド方式のUnified-Shader型アーキテクチャで、しかも、eDRAMをROP(Rasterizing OPeration)回りに使う。これだけマイクロアーキテクチャの飛躍が大きいと、パフォーマンスを引き出すのに1年かかる。ローンチ時には、どうしても不利になる。 一定水準はクリアしているPS3のグラフィックスの一方で、まだ見えないのはCell BEの威力。あの膨大な浮動小数点パフォーマンスはどこへ行った(笑)。ゲーム中で、物理シミュレーションなどを使ってるけど、Cellの潜在的なコンピューティングパワーはこんなレベルではない。Cellはヘテロジニアス(Heterogeneous:異種混合)マルチコアで、PC向けCPUでは絶対に達成できない浮動小数点演算性能。なのに、PCとは違うんだよPCとは、というところを、まだ見せることはできていない。きっと今、SPE(Synergistic Processor Element)の稼働率を測ったら、すごい低い数字だと思う。 もちろん、新しいプログラミングモデルでヘテロジニアスコアの力を引き出すのは、簡単な話ではない。Cellの真価は、フェイズ2、フェイズ3のゲームでないと、まだ見えてこないだろう。グラフィックスにしても、まだ先がある。今の段階で、その水準を期待するのはもちろん酷な話で、じっくり待ちましょうモードだ。 □SCEIのホームページ (2006年11月28日) [Reported by 後藤弘茂]
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