Appleコンピュータは、米国時間の9月12日、iPodシリーズの新製品3モデルと、iTunes 7を発表した。 その発表にあわせて来日した米AppleコンピュータのワールドワイドMacハードウェアプロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのデビッド・ムーディー氏のほか、iTunesレーベルリレーションズ&ミュージックプログラミング担当のアレックス・ルークディレクター、iPodプロダクトマーケティング担当のショーン・エリスマネージャーに話を聞く機会を得た。
今回の製品投入の意味、そして、日本での展開などについて聞いた。
--今回発表したiPodシリーズの進化、そして、iTunes 7の進化は、Appleにとってみると、どんな表現が適切なのでしょうか。 ムーディ Appleの代名詞といえば、「イノベーション」です。今回の製品でも、それを実現したことを、また証明したといっていいのではないでしょうか。Appleは、常にお客様に楽しんでいただく、という視点でもものづくりを最重視しています。お客様が、Appleの製品と、どのような形で対話をするのか、ということをさまざまな角度から検証し、製品を作り上げます。デザインに関しても、お客様に喜んでいただけるということを徹底的に考えます。今回発表した、iPod nanoやiPod shuffleにしても、イノベーティブであると同時に、大変美しいデザインであり、最も使いやすい操作環境、そして、ユーザー体験を生むことができるようになっている。iTunesの新たな体験を提供できる。ハードとソフト、サービスのシームレスな統合をお客様の体験として体現する。そこにAppleならではのイノベーションがあるのです。 --今回は、iPodシリーズの新製品として一気に3モデルを投入しましたね。
画面の輝度が60%明るくなったとともに、ブライトネスコントロールによって、明るさを自由に変えることができますから、さまざまな利用環境で適した視聴ができます。音楽面では、ギャップレス・プレイバック機能によって、アルバム本来の形で音楽を楽しんだり、強力なサーチ機能で、自分が聞きたい音楽に辿りつきやすいようにしました。30GBと80GBのモデルがありますが、80GBでは最大2万曲、ビデオでは最大100時間分を保存できます。ビデオの再生時間は6時間30分です。これを9月13日から出荷を開始しています。
次はiPod nanoです。最も世界中で人気があるMP3プレーヤーですが、今回、完全な作り直しを行ないました。内側も外側も完全に設計をやり直しました。その結果、より小さく、より薄く、より軽くなっています。アルミ製の素材を使用したほか、筐体のエッジ部分も丸く加工しました。さらに画面も従来製品に比べて明るくしています。 音楽再生時間は24時間と、従来製品に比べて約2倍ですから、長時間に渡って安心して音楽を聴くことができる。iPod同様に、ギャップレス・プレイバック機能やサーチ機能の搭載、そして、ボイスレコーディング機能も有しています。
シルバーカラーの2GB版では500曲、シルバー、ピンク、グリーン、ブルーから選べる4GB版では1,000曲、ブラックモデルのみとなる8GB版では2,000曲をポケットに入れて持ち運ぶことができます。これも9月13日から出荷を開始します。 --年内は安定して入荷するのでしょうか。いつも品薄になりますよね(笑)。
エリス 最初はやや品薄になったとしても、ホリデーシーズンに向けては安定的に供給できるようにします。新しいiPod nanoを欲しいと思った人には、最低1台は確実に買えるようにします(笑)。
エリス 第2世代となるこのiPod shuffleは世界で一番小さなデジタルミュージックプレーヤーといえます。最初のiPod shuffleと比べると、半分ぐらいのサイズになっていますが、直感的に操作できるという点では、最初のモデルと一緒です。パワースイッチと、曲を順番通りに聞くか、あるいはシャッフルして聞くかを選択するスイッチは底にあります。それと、簡単にウェアラブルにするために、クリップをつけました。これで240曲を自由に身につけて歩けるようになります。 筐体はアルミ製ですから、質感もありますよ。それと、iPod shuffleをドックに繋げると、オートフィル機能によって曲を選択してダウンロードするとともに、バッテリーチャージもしてくれる。これは10月の出荷予定となっていますから、もう少し待ってください。 iPod、iPod nano、iPod shuffleによる新しいiPodは多くの人に気に入ってもらえると思います。ホリデーシーズンの楽しみを増やしたといえるのではないでしょうか。 --iPodユ-ザーは、どちらかという、目立つところにiPodをぶら下げたいという傾向がありますよね。新しいiPod shuffleだと、小さすぎて目立たないのが難点では(笑)。
エリス もしかしたら、新しいiPod shuffle身に付けている人も、軽いので付けていることを忘れてしまうかもしれません(笑)。まぁ、クリップ付きなので、どこにでもつけられます。胸のポケットでも、ズボンのポケットでも、いろんなところにつけてください。でも、やはり、なるべく目立つところにつけて欲しいですね(笑)。
ルーク 新たに提供するiTunes 7では、音楽、TV番組、映画、ポッドキャスト、写真、ゲームといったように、異なるメディアを1つのソフトで管理することを前提とした進化を果たしました。画面上では、それぞれのメディアをジャンル別に分けて表示し、管理することができます。iPodの中に入っているものを表示するときにも、メディアごとに切り分けて表示できるようにしました。iPodで複数のメディアを利用するといった使い方が増えてきますから、この仕様は、ユーザーにとっては、大変わかりやすいものになると思います。 それと、iTunesからiPodの設定を行なうことができるようになりました。これもかなり踏み込んだところまで設定ができます。例えば、特定のPodCastingの中から最新の5本を選択するというような設定も可能です。これはPodCastingに限らず、音楽、写真、ビデオなどでも同様の設定が可能となっています。 また、ライブラリのビューは3種類になりました。従来からのリストビューに加えて、メディア別の表示のほか、アルバムのカバーやアルバムのコンテンツを示すアルバムビューを用意しました。アルバムビューの中では、カバーフローと呼ばれる機能によって、アルバムカバーを見ながら、自分の持っているコンテンツをブラウジングすることができます。こうした新たな表示機能を活用することで、これまでダウンロードしたコンテンツの中からも新しい発見や、これまでにない体験ができるようになると思いますよ。 ギャップレス・プレイバックの機能はiTunesでも活用できますし、さらに、ビデオコンテンツに関しては、コーディングをし直して、640×480の解像度にしますので、これまでの解像度の4倍となります。 一方、iTunes Storeで入手できるゲームは9種類ですが、これはワールドワイドで提供しますので、日本のユーザーも入手できます。日本での価格は600円です。 このようにハード、ソフト、サービスを、一体化して提供することが、Appleの強みであり、iTunes Storeの良さが発揮できる。今回も「ホームランだ」と言ってもらえるサービスがiTunes Storeで提供できるでしょう。 --米国ではiTunes Storeにおいて映画の配信がスタートしますが、日本ではどうなりますか。 ルーク 米国では、すでに映画の配信を行なっていますが、これを2007年には米国以外の地域でも始めたいと考えています。 --日本での準備は優先的にやってくれていますか。
ルーク 日本は重要な市場だとは思っていますが、これ以上は詳しく申し上げられません。iTunes Storeは、21か国で提供しており、日本を含む21か国で、2007年のサービス開始に向けて検討を開始しているというところです。
--24型ワイド液晶を搭載したiMacですね。 ムーディ そうです。新たなiMacの製品ラインでは、すべての製品にIntelのCore 2 Duoが入っています。これにより、大幅なパフォーマンスの向上が図られているのが特徴です。新たなアーキテクチャを採用したことで、高度な命令処理ができるとともに、4MBのL2キャッシュの効果もあり、従来製品に比べて50%もの性能向上を図ることができました。また、消費電力の向上も図っていますから、これだけ薄い筐体のデザインを実現することができました。 24型ワイド液晶を搭載したiMacの投入は今回が初めてですが、従来の20型モデルと比較して、輝度を60%改善するとともに、1,920×1,200ドット表示により、ピクセル数も40%向上しています。また、Core 2 Duo 2.16GHzのCPUを、CTOによって、2.33GHzにアップグレード可能ですし、128MBのNVIDIA GeForce 7300 GTも、256MBのGeForce 7600 GTにアップグレードできます。これにより、フレームレートを2倍にすることができ、さまざまなゲームを楽しむことができます。さらに、外部HDDを使用する人には、24型モデルで搭載したFireWire 800も魅力的なものだといえるのではないでしょうか。 iMacの価格設定についてもかなりアグレッシブです。最下位モデルでは、124,800円からの設定となっています。もちろん、上位機種に関しても価格設定には積極的です。 24型モデルは、コンシューマユーザー、プロフェッショナルユーザーのいずれに対しても、最適なものができあがったと自負しています。プロの人が必要としているピクセルパフォーマンスの実現と、コンシューマユーザーが慣れている使い勝手をそのまま継承できたからです。また、iMacは、教育分野でも高い人気を誇っていますから、これまでのiMac同様に教育分野向けにも積極的に販売していく考えです。 --新iMacの発表と同じタイミングで、Mac miniのCPUも強化していますね。
ムーディ はい。上位モデルは、Core Duo 1.66GHzから1.83GHzに、下位モデルは、Core Solo 1.50GHzからCore Duo 1.66GHzに変更しました。これにより、Macのすべてのプロダクトがデュアルコアか、クアッド構成になりました。ユーザーに対して、より高い性能を手軽に提供できるようになったといえます。 --ところで、米国で行なわれたiPodの発表会では、スティーブ・ジョブズCEOが「One last thing...」として、iTVと呼ばれる新たな製品を発表しましたね。 ムーディ これに関しては、ジョブズが発表した内容以外に、公開できるものは何もありません。Appleが、まだ売ることができないものを発表するというのは異例のことなのです。講演内容の繰り返しになりますが、iTVプレーヤーでは、大型のフラットスクリーンTVとiPodなどを繋いで、大きな画面でも、iTunes Storeからダウンロード購入した映画を楽しむことができるようになります。これは、2007年第1四半期での投入となります。 --そういえば、今回の講演ではジョブズ氏が、いつもの黒い丸首のシャツではなく、襟の付いたシャツを着て講演していましたね。何か聞いていますか。 ムーディ 私も初めて見ましたよ(笑)。日本にいましたから、残念ながら、なにも情報がないですね。社内では、たまにああいう格好もしていますよ。iMacの発表会の時にも、ジーンズじゃなく、黒いズボンを履いていたといって話題になりましたけど、今回も話題になるかもしれませんね。 --最後に日本のユーザーに対してメッセージをお願いします。 ルーク iTunesによって、日本の消費者にさまざまなメディアを管理することができるジュークボックスを提供したいと考えています。さまざまなメディアを手軽に入手し、管理するという優れた体験が可能になります。ぜひ、使っていただき、その進化を体験してください。 エリス iPodは、世界最高のデジタルミュージックプレーヤーです。新たなiPodによって、音楽や写真、ビデオをポケットの中に入れて気軽に持ち運ぶという楽しさを感じてください。 ムーディ 私からはiMacに関して一言追加してもいいでしょうか。iMacは、デスクトップ製品として、スペースをとらず、コンパクトで美しいデザインを実現しています。日本のみなさんにピッタリの製品ができあがったといえます。 --ちなみに、ムーディさんは、iPod nanoを選ぶとすれば何色を買いますか。 ムーディ 色を選べるという楽しさがまた加わったことはすばらしいと思います。いつも使っているMacBook Proがシルバーですし、それともう1台持っているMacBookは黒ですから、まぁ、それに合わせた色を選びたいと思っています。本音は、全部欲しいですけどね(笑)。
□アップルのホームページ (2006年9月14日) [Text by 大河原克行]
【PC Watchホームページ】
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