レノボ・ジャパンが発売するノートPC「Lenovo 3000」シリーズに、B5サイズのモバイルノート「Lenovo 3000 V100 Notebook」(以下Lenovo 3000 V100)が追加された。 Lenovo 3000シリーズは、SOHOや中小企業をターゲットに、「ちょうどいい」仕様とシンプルなラインナップでコストパフォーマンスを追求した製品として展開されており、このLenovo 3000 V100もCore Duo搭載ながら安価な価格が設定されたコストパフォーマンスに優れたモデルとなっている。 Lenovo 3000 V100は、12.1型ワイド液晶を搭載する、B5サイズの2スピンドルモバイルノートだ。Lenovo 3000シリーズのモットーである“ちょうどいい仕様とシンプルなラインナップ”を踏まえ、Lenovo 3000 V100も内蔵HDDや光学式ドライブ、搭載OSなどの仕様の違いで全4モデルのみがラインナップされている。また、価格も129,990円から(オンライン直販価格)と安価となっている。 とはいえ、CPUにはIntelのデュアルコアCPUである「Core Duo T2300E」が採用されるなど、仕様面での妥協は少ないようだ。今回はその中から、100GBのHDDとDVDスーパーマルチドライブを内蔵し、OSにWindows XP Professional(SP2)を採用する「0763-G2J」を試用した。 Lenovo 3000 V100のデザインは、すでに発売済みのA4ノート「Lenovo 3000 C100 Notebook」や「Lenovo 3000 N100 Notebook」を踏襲。天板および底面はシルバー、キーボード面はブラックのツートンカラーを採用し、全体的なデザインは非常にシンプルだ。ThinkPadシリーズのようなスタイリッシュさはないが、本体手前が斜めに切り取られていることで、シャープなイメージも受ける。
CPUは、紹介したようにCore Duo T2300Eを全モデルで採用。チップセットはグラフ ィック機能を統合するIntel 945GM Expressを採用している。Core Duo採用により、複数のアプリケーションを同時利用する場合でも、動作がもたつくことなく高いパフォーマンスが発揮される。統合グラフィック機能は3D描画能力が弱いものの、ビジネスアプリケーションなど一般的なアプリケーションを利用するには十分なパフォーマンスを持つため、パフォーマンス面で不満を感じることはほとんどないはずだ。 メインメモリは、標準で512MB(PC2-5300 DDR2 SDRAM)搭載され、最大2GBまで増設可能。本体にはSO-DIMMスロットが2基用意されており、標準で512MBのSO-DIMMが1枚取り付けられている。内蔵HDD容量は100GB、標準搭載の光学式ドライブには±R DLに対応するDVDスーパーマルチドライブを採用する。光学式ドライブは着脱式ではなく固定式だ。 また、IEEE 802.11a/b/g対応の無線LAN機能に加え、Bluetooth機能も内蔵しており、機能面はかなり充実している。ちなみに下位モデルでは、内蔵HDD容量が40GB、内蔵光学式ドライブがCD-RW/DVD-ROMコンボドライブとなり、Bluetooth機能など一部機能が削られているが、そのほかの仕様はほぼ同等となっている。
●PCカードスロットはないが、拡張性に不満はない 本体の拡張性だが、ノートPCならほぼ間違いなく搭載されているPCカードスロットが、このLenovo 3000 V100には用意されていない。そのかわり、ExpressCard/54スロットが本体左側面に1基用意されている。確かに、以前に比べてPCカードスロットの需要は減っているかもしれない。とはいえ、ExpressCardはまだ製品自体が非常に少なく、PCカード以上に有効に活用できるかは微妙なところ。それなら、ExpressCardスロット自体も省いてさらなるコストダウンを追求するという選択肢もあってよかったかもしれない。 本体右側面には、SDメモリーカードやメモリースティック、xD-Picture Cardなどに対応するマルチカードリーダが用意されている。CFが利用できない点はやや残念だが、デジカメなどで利用するメモリカードのデータを読み書きする場合に有効活用できるだろう。ちなみに、ExpressCardスロット、マルチカードリーダともに保護用のダミーカードを取り付けるタイプとなっている。 本体に用意される各種コネクタ類は、左側面にIEEE 1394コネクタとミニD-Sub15ピン、ヘッドフォン/マイクコネクタが、右側面にモデムとEthernetがそれぞれ用意される。さらに、本体左右と後部にUSB 2.0スロットが1個ずつ、計3個用意されている。PCカードスロットがない点を除き、拡張性には大きな不満はないといえる。さらに本体右側面には、無線機能のON/OFF制御が可能なスイッチも用意されている。内蔵の無線LAN機能に加えBluetooth機能も同時にON/OFF可能で、バッテリ駆動時間を延ばしたい場合などに便利に利用できるだろう。
●大型キーボード採用でA4ノート同等の操作性を実現 Lenovo 3000 V100は、B5サイズのモバイルノートというカテゴリーに位置付けられてはいるものの、本体サイズはかなり大きめだ。特に横幅は305mmと、A4ノートに匹敵するほどの大きさがある。本体重量は1.99kgと2kgを切っており、モバイルノートとしての機動性が大きく失われているわけではないものの、やはりサイズ的にはかなり大きいという印象で、一般的なB5サイズのモバイルノートと比較して携帯性は劣っていると言わざるを得ない。 ただ、本体サイズが大きいこともあり、搭載されるキーボードはキーピッチ約19mm(実測値)のフルサイズキーボードを搭載している。このキーボードは、Lenovo 3000シリーズの他モデルに搭載されているものと同等のもので、配列はThinkPad採用のキーボードとは異なっているものの、主要キーでキーピッチが狭くなっている部分はなく、無理のある配列もないため、操作性は申し分ない。筆者自身は軽いタッチのキーボードが好みということもあり、Lenovo 3000 V100のキーボードのタッチはやや重く感じたが、ThinkPad採用のキーボードと比較して劣るという印象は全くなく、十分満足できるキー操作が可能だろう。 ポインティングデバイスにはタッチパッドを採用し、キーボード手前に用意されている。ThinkPadでおなじみのスティックタイプのポインティングデバイス「TrackPoint」は搭載されないが、こちらも大きな不満はない。ちなみに、タッチパッド右側には指紋認証用のセンサーが搭載されており、ビジネス利用も視野に入れた高いセキュリティ性を実現できる点は嬉しい。 ●グレアタイプの12.1型液晶を搭載、OSを起動せずDVDやMP3の再生が可能 搭載される液晶ディスプレイは、グレアタイプ(いわゆる“つるつる液晶”)の12.1型ワイドTFT液晶を採用。解像度は1,280×800ドットだ。グレアタイプの液晶ディスプレイということもあり、発色は鮮やかで、画像や映像を表示させるには最適だ。ただ、視野角はあまり広くないようで、見る角度が少し変わっただけで明るさや色合いが変化する点は少々気になった。なお、液晶ディスプレイ上部には130万画素のCMOSセンサーが用意されており、ビデオチャットなどに活用できる。 ところで、Lenovo 3000 V100には、OSを起動せずにDVDデオの再生やHDDに保存されているMP3などを再生する簡易再生機能が用意されている。本体電源が切れている状態で、キーボード上部に用意されている「InstantON」ボタンを押すと、「InterVideo InstantON」という再生ソフトが起動し、DVDの再生などが可能となる。再生できるのは、DVDに加え、HDDに保存されているMPEG-2ファイル、MP3などの音楽ファイル、静止画ファイルなど。 実際に試してみたところ、MPEG-2ファイルやMP3などの再生、JPEGの表示などが可能だったが、WMV形式やDivX形式などのAVIファイル、WMAファイルなどの再生はできなかった。あくまでも簡易的な再生機能なので、この点はしかたがないかもしれないが、手軽にDVDを視聴したい場合には役立つ機能といえる。 ちなみに、Windows XP起動時に「InstantON」ボタンを押すと、「Roxio DigitalMedia LE」というマルチメディアポータルソフトが起動する。ここから、DVD再生ソフトや音楽再生ソフト、DVDライティングソフトなどが呼び出せ、マルチメディアファイルを手軽に活用できるように工夫されている。こういった仕様から、Lenovo 3000 V100がSOHOユーザーだけでなく一般ユーザーもターゲットとしていることがわかる。 さらに、「InstantON」の左側には、Lenovo 3000 C100などにも搭載されている「Lenovo Care」ボタンが用意されている。このボタンを押すと、「Lenovo Careポータル」が起動し、ネットワーク設定の切り替えやシステムのメンテナンス機能、HDDのバックアップ機能などを呼び出せる。 ●携帯性はやや厳しいが、機能面は充実しておりコストパフォーマンスに優れる Lenovo 3000 V100のパフォーマンスを検証するため、いくつかのベンチマークテストを行なった。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark05」と、スクウェア・エニックスが配布している「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」だ。PCMark05は、マシントータルのパフォーマンスを測定するとともに、CPUやメモリ、グラフィックなどサブシステムごとのパフォーマンスを測定する。またFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3は3D描画能力を測定する。 ちなみに、3D描画能力の測定としてFuturemarkの「3DMark03」も利用しようと思ったが、正常に動作しなかったため省いた。測定は、電源オプションプロパティの電源設定を「常にオン」に設定して行なっている。
【表】ベンチマーク結果
結果を見ると、CPUにCore Duo T2300Eを採用していることもあり、かなり高いパフォーマンスが発揮されている。ただ、チップセット内蔵の統合グラフィック機能を利用していることもあり、描画能力、特に3D描画能力はそれほど高くない。とはいえ、全体的には十分なパフォーマンスが発揮されていると言っていいだろう。 Lenovo 3000 V100は、B5サイズで重量も2kgを切っているとはいえ、かなり大柄なサイズということもあり、携帯性はあまり高くなく、モバイルノートというカテゴリーからはやや外れるマシンという印象だ。しかし、CPUにCore Duo T2300Eを採用することで、全体的に高いパフォーマンスが発揮される点や、販売価格が129,990円から、上位モデルでも140,490円からと非常に安価に購入できるという点は非常に魅力的だ。メインマシンとして活用できる高いパフォーマンスが発揮され、たまには外出時に気軽に持ち出せるマシンを探している人におすすめしたい。もちろん、非常に高いコストパフォーマンス性から、モバイル用途を考慮しない人にも十分おすすめできる製品だ。 □レノボ・ジャパンのホームページ (2006年6月29日) [Reported by 平澤寿康]
【PC Watchホームページ】
|
|