川上誠 代表取締役

6月1日　開催

　シンガポールの半導体ファウンダリのChartered Semiconductor Manufacturingは6月1日、都内で記者会見を開催した。会見には同社 副社長 兼 チャータード・セミコンダクター ジャパン 代表取締役の川上誠氏が出席し、現状について語った。

　Charteredは主にシンガポールに製造拠点を置く半導体ファウンダリ企業で、シリコンの設計から製造までを行なう。現在では主に0.25μm～90nmの製造プロセスを提供しており、ロードマップでは65nmおよび45nmプロセスも予定されている。

　Charteredは、IBMおよびAMDと密接な関係を持っており、IBMからSOI(Silicon-On-Insulator)の商業ライセンスも受けている。このためSOI技術を応用したシリコンの設計や製造も他社に対して行なえる。

　生産能力は、2005年通期で150万1,000枚(300mmウェハは200mmに換算)となっており、2006年通期では181万枚となる見通し。また、0.13μm以降のプロセスが占める生産の割合は2006年度で約35%になる見込みで、2003年と比較して約9倍を達成できるとしている。

0.13μm以降が占める売り上げの割合	製造能力および0.13μm以降が占める割合	中国にも生産工場を置く

　売り上げは2006年第1四半期で3億8,600万ドル、第2四半期は3億9,100万ドルになる見込み。純利益も2005年第4四半期に赤字から黒字に転換し、2006年第1四半期で2,530万ドルとなった。

　今後の計画について同氏は、「SmartCardやRFIDタグ、ディスプレイドライバなどの製造も開始し、市場拡大を図る。また、中国にも新たに製造拠点を置き、製造能力を高めていく」と説明した。

　同社が推進している「共通プラットフォーム」について、同社副社長 ワールドワイド・マーケティング&プラットフォーム・アライアンスのケビン・メイヤー氏が説明にあたった。

　共通プラットフォームとは、委託されたシリコンの設計を変更しなくても、異なるファブでの製造を可能にするもの。同氏は、「技術基板をオープンにすることで、顧客は膨大な設計技術にアクセスして利用でき、デザインコストを削減できるのがメリット。デジタルCMOSに関してはSamsung、Infineonとの間でテクノロジアライアンスを組んでいるため、例えばCharteredで設計されたものであっても、Samsungのファブで製造するといったことが可能になる」と話した。

ケビン・メイヤー氏	共通プラットフォームがもたらすメリット
AMDのCPUおよび65nm版Xbox 360 CPUも製造	共通プラットフォームのモデル

　今後の取組みについて同氏は、「2006年6月に90nm SOIプロセスのAMDのCPUを製造開始するほか、2007年第1四半期にXbox 360 CPUを65nmにシュリンクしたものをIBMと共同開発して製造する。これらは、これまでの先行投資の効果を裏付ける結果であり、他社に先駆けて導入することにより享受できた。今後も継続して最新技術への投資を進め、顧客に提供していきたい」と説明した。

　また、「今後プロセス技術が進むにつれ、顧客の開発/設計コストがかさむようになる。そのためこれまでの“MHz”重視の設計から“低コストとローパワー”重視の設計にシフトしていくだろう。当社はIBMと協業し、設計から製造までの全てのラインをサポートし、顧客の負担を減らしていきたい」と語った。

□Chartered Semiconductor Manufacturingのホームページ(英文)
http://www.charteredsemi.com/
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(2006年6月1日)

[Reported by ryu@impress.co.jp]