幅66mmのデスクトップPC
「VALUESTAR L スリムタイプ」



VALUESTAR L スリムタイプ

 以前のデスクトップPCでは、ミニタワーやミドルタワー筐体を採用した製品が主流であったが、最近は、省スペース性に優れたスリムデスクトップPCが増えてきた。

 そこで今回は、NECから新たに登場した幅66mmのスリムデスクトップPC「VALUESTAR L スリムタイプ」を取り上げたい。


●幅66mmのスリム筐体を採用

 NECの「VALUESTAR Lシリーズ」は、従来からスリムな筐体を採用していたが、今回、より薄型の筐体を採用した「VALUESTAR L スリムタイプ」2モデルが新たに追加された。スリムタイプの登場によって、従来の筐体を採用した製品は「VALUESTAR L スタンダードタイプ」と呼ばれるようになった。

 VALUESTAR L スタンダードタイプの本体サイズは110×397×343mm(同)、重量は約10.2~10.3kgに対し、VALUESTAR L スリムタイプの本体サイズは66×341×352mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約8.2kgと、大幅なスリム化を実現している。容積を比較すると、スタンダードタイプは約15L、スリムタイプが約7.9Lで、容積は半分近くまで小さくなっている。スリムデスクトップPCの中でも、省スペース性はトップクラスであり、ちょっとした空きスペースにも設置できることが利点だ。

 VALUESTAR L スリムタイプは、搭載CPUの違いによって、VL370/FD(Pentium 4 517搭載)とVL300/FD(Celeron D 346搭載)の2モデルが用意されているが、ここでは、下位機種のVL300/FDを試用した。なお、VL370/FDとVL300/FDの違いはCPUだけで、それ以外の仕様は全て同じである。

 本体は、縦置きも横置きも可能だ。縦置きする場合は、底面に付属のスタビライザーを装着することになる。スタビライザーは薄型設計で、本体を付属の液晶ディスプレイの後ろに置けば、机の上のデッドスペースを有効活用できる。

付属のスタビライザー。本体に装着することで、安定した縦置きが可能になる スタビライザーを装着して縦置きしたところ。本体の幅は66mmで、テニスボール1個分しかない。フロントにはUSB 2.0×2が用意されている
左側面。横置きする場合は、こちらが上面となる 右側面。横置きする場合は、こちらが底面となる VALUESTAR L スリムタイプの本体と液晶ディスプレイをセットしたところ

●省スペース性を重視した反面、拡張性が犠牲に

 チップセットには、ATI Radeon XPRESS 200を搭載。メモリは標準でPC2-4200メモリを512MB実装しているが、DIMMスロットが2基用意されており、最大2GBまで増設が可能だ(2GBに増設する際には、標準で装着されている512MB DIMMを外して、代わりに1GB DIMMを2枚装着することになる)。チップセットクーラーのロゴなどを見る限り、マザーボードはMSI製のようだ。

DDR2対応DIMMスロットを2基装備している 標準で装着されている512MB PC2-4200 DIMM HDDベイを外したところ。チップセットにはファンレスのヒートシンクが装着されている。ヒートシンクにはMSIロゴがあり、マザーボードはMSI製のようだ

 HDD容量は250GBで、光学ドライブとしては±R DL対応DVDスーパーマルチドライブが搭載されている。本体のカバーはドライバーなどを使わずに取り外せるので、メンテナンス性も高い。

本体のカバーを外したところ。筐体が小さいため、内部の空きスペースは少ない HDDは、本体後部のHDDベイに装着されている
試用機では、HDDとしてWestern DigitalのWD2500が搭載されていた 光学ドライブとして、日立LGデータストレージ製のGSA-H10Nが搭載されていた

 VALUESTAR L スリムタイプでは、筐体の小型化を最優先して設計されているため、拡張性や搭載インタフェース類が犠牲となっている。内部の写真を見ればわかるように、HDDを追加するための拡張ベイはおろか、PCIスロットなどの拡張スロットも一切用意されていない。インターフェースも、USB 2.0×6、外部ディスプレイ(D-Sub15ピン)、Gigabit Ethernet、ライン入力、ライン出力、マイク入力、PS/2(キーボード/マウス)のみで、必要最小限といえる。基本的に内部に増設できるのはメモリだけで、拡張性は低い。

本体背面。右側の上下にある黒いプラスチック製パーツをスライドさせることで、カバーのロックが外れ、カバーを取り外すことができる 背面には、USB 2.0×4とEthernet、外部ディスプレイ、ライン入力、ライン出力、マイク入力、PS/2(キーボード/マウス)が用意されている

 CPUクーラーには、銅製ヒートシンクが採用されており、5cm角ファンが2個搭載されている。また、ケース底面(縦置きした場合)にも5cm角ファンが1個用意されており、電源ユニットのファンとあわせて、合計4つのファンが搭載されていることになる。ただし、ファンの騒音はそれほど気にならないレベルだ。

 電源ユニットの容量は200Wで、拡張カードなどは利用できないことを考えれば十分であろう。

CPUクーラーには、50mmファンが2個搭載されている ヒートシンクは、熱伝導率の高い銅が採用されている CPUクーラーのファンは、ケースのフロントパネルに接するように配置されており、前面から吸気するようになっている
CPUクーラーを外したところ。下位機種のVL300/FDでは、Celeron D 346(3.06GHz)が搭載されている ケース底面にも、5cm角ファンが1個用意されている 電源ユニットの容量は200W

●スーパーシャインビューEX液晶採用の17型液晶ディスプレイが付属

 VALUESTAR L スリムタイプには、17型液晶ディスプレイが付属する。解像度は1,280×1,024ドット(SXGA)で、ステレオスピーカーも内蔵している。ただし、入力端子はアナログ1系統のみで、デジタル入力には対応していない。

 液晶ディスプレイには、NTSC比約72%という広い色域を表示可能なスーパーシャインビューEX液晶が採用されている。画面の色再現性は高いが、視野角はやや狭めだ。また、設定可能な項目が少なく、色温度などの設定もできない。

付属の17型液晶ディスプレイ。デザイン的にも、本体と調和がとれている 液晶ディスプレイの背面。入力端子は、アナログ端子(D-Sub15ピン)1系統のみである
液晶ディスプレイの操作ボタン部分。設定操作は4つのボタンで行なう OSDメニュー。項目は少なく、輝度とコントラスト、位置の調整くらいしかできない コントラストは、RGB独立して調整も可能だが、色温度を直接指定することはできない

 キーボードは、ワンタッチスタートボタン付きの109キーボードで、マウス接続用のPS/2のスルーポートが用意されている。

キーボードの左右上部には、ワンタッチスタートボタンが用意されており、DVD/CDやBIGLOBEストリームの映像を素早く楽しむことができる 光学式マウスが付属する。マウスのケーブルは、本体ではなくキーボードに接続する

 参考のために、PCMark05や3DMark03、FINALFANTASY XI Official Benchmark 3を計測してみた。Celeron D搭載の下位モデルではあるが、一般的な利用には十分なパフォーマンスを持っているといえるだろう。

【VALUESTAR VL300/FD ベンチ結果】
CPUCeleron D 346
ビデオチップRadeon XPRESS 200内蔵コア
PCMark05
PCMarks2159
CPU Score3400
Memory Score3047
Graphics Score901
HDD Score5026
3DMark03
1,024×768ドット
32bitカラー(3Dmarks)
1232
CPU Score500
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH1344
LOW2115

●省スペース性を重視する人にお勧め

 VALUESTAR L スリムタイプは、タワーマシンなどに比べると拡張性は低く、テレビチューナーなども搭載していないが、その分、コンパクトで省スペース性が高いことが魅力だ。3D描画性能もそれほど高いわけではないが、3Dゲームをプレイしないのであれば特に問題はない。ネットサーフィンやメールの送受信、文書作成などに使うコンパクトなPCが欲しいという人にお勧めしたい。

□NECのホームページ
http://www.nec.co.jp/
□VALUESTAR L スリムタイプの製品情報
http://121ware.com/valuestar/ls/
□関連記事
【4月11日】NEC、幅66mmのデスクトップ「VALUESTAR L スリムタイプ」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0411/nec1.htm

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(2006年4月20日)

[Reported by 石井英男]


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