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Intel MacでWindowsが動く「Boot Camp」レポート
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1月のMac Worldで発表されたIntel Core CPU搭載のMacintosh(以下 Intel Mac)も、iMac/Mac mini/MacBook Proと3機種を数えるようになった。
時間が経つにつれ、その構成はBIOSがないことを除けば非常にスクエアなIntelアーキテクチャPCであることが判明し、Windowsも動くのではないかという期待が出てきた。
Intel MacにWindowsのCDを入れただけでは動作しなかったのだが、Intel Mac でWindowsを動かすという“ハック”なコンテストが開催され、起動するための モジュールや日本語版用の情報も公開されるなど、マニアックなユーザー間では盛り上がりを見せていた。
そんな状況のもと、日本時間の5日の夜になって、アップルからIntel CPU搭載 のMacintoshでWindows XPが起動できるツール「Boot Camp(ブートキャンプ)」が 公開された。
みんなで楽しくハックしていたら、“公認ツール”が降ってきた、というところだ。
一応、パブリックβという位置付けなのだが、ドキュメント類を読む限り制限 もほとんどない。Boot Camp公開の前日にはファームウェアやMac OS Xのアップ デートも行なわれており、これもBoot Camp動作に必須とされていることから、 Boot Campのためにシステム全般に手が入ったようだ。アップルの気合いの入り 方の高さが伺われる。
優れたMac OS Xがあるのに、いまさらダサイWindowsを動かさなくても、とい う意見もあることは承知しているが、社内のシステムなどの関係でやはり Windowsが必要な場面もある。また、いうまでもないがMac本体は、そのデザイン をはじめ非常に魅力的なパーソナルコンピュータであり、そこでWindowsが動く ということで一般のユーザーの視界に入り、そのハードウェアの魅力を純粋に比 べてもらえるというメリットもある。
MacでWindowsが動くということは、他のPCメーカーに対して脅威であり、今回 のインパクトによって、他のPCが少しでもカッコ良くなってくれることを期待し たい。
というわけで、余談はこれぐらいにして、Boot Campのインストールにとりか かろう。まず、インストール編を公開し、ベンチマークやアプリケーションのテ ストについても順次公開していく。
●作業手順
最初に言っておくと、Boot Campのインストールは極めて簡単だ。
ダウンロードページは英文だが、日本語の「インストール&設定ガイド(以下日本語ガイド)」もダウンロードできるので、これに従って作業していけば標準的 な環境ではほとんど問題なくインストールできるだろう。
作業手順は次のようになる。
1)Boot Campのダウンロード
2)Mac OS Xの10.4.6へのアップデート
3)Mac本体のファームウェアのアップデート
4)「Macintosh Drivers CD」の作成
5)Windows用パーテーションの作成
6)Windowsのインストール
7)Mac用ドライバのインストール
3から5の作業については、Boot Campアシスタントというソフトウェアがガイ ドしてくれる。
●Boot Campのダウンロード
日本語ガイドを読みながら作業した方が簡単なので、Boot Campのダウンロー ドをやってしまおう。
ダウンロードページのURLはhttp://www.apple.com/macosx/bootcamp/だ。
ページ右側の「DOWNLOAD NOW」ボタンを押し、メールアドレスの入力と機種の 選択、同意のチェックを済ませるとダウンロードが開始される。
ダウンロードされるモジュールは、ちゃんと日本語版で、簡単なドキュメント と日本語ガイド、Boot Campアシスタントの3つが含まれている。
日本語ガイドはPDFファイルなので、プリントアウトしてから作業を始めると いいだろう。
米AppleのBoot Campパブリックβダウンロードページ | Boot Campをダウンロード |
●ファームウェアのアップデート
日本語ガイドでは、ファームウェアのアップデートはhttp://www.apple.com/jp/support/から検索するようにと書かれているが、5日昼の時点ではまだ公開されていない。
英語のダウンロードページでは公開されているので、こちらからダウンロードしよう。URLはhttp://images.apple.com/support/downloads/だ。
アップルのサポートページには5日昼の時点で掲載されていない | 米Appleのダウンロードページ |
ファームウェアアップデート作業はごく普通に進行する。表示に沿って電源をOFFにし、電源ランプが点くまで電源ボタンを押し続けて起動すれば、ファームウェアの更新が始まる。ただし、絶対に電源を途中で切らないように注意してほしい。MacBook Proの場合は必ずACアダプ タを使用しよう。
●Mac OS Xのアップデート
Mac OS Xを10.4.6にアップデートする。
日本語ガイドでは、アップルメニューからのアップデート方法が紹介されてい る。
明示的に作業をしたい人は、10.4.5の人はhttp://www.apple.com/jp/ftp-info/reference/macosx1046forintel.htmlから、10.4.4以前の人はhttp://www.apple.com/jp/ftp-info/reference/macosx1046comboforintel.htmlからダウンロードしよう。
Boot Campを使うには、OSを10.4.6にアップデートする必要がある。Mac OS X 10.4.4からのアップデートの場合、ファイルは163MB | Mac OS X 10.4.6へアップデート完了 |
●Boot Campアシスタントの起動と作業
さて、ようやく下準備も終わって、ここからが本番だ。ダウンロードして おいたBoot Campアシスタントを起動する。
インストールが終了したBoot Campは、アプリケーションのユーティリティの下にある。
あとは画面に沿って作業を進めていけばいい。
警告画面が表示される | Boot Campアシスタントをインストールするボリュームを選択 |
Boot Campアシスタントがインストールされる | まずはBoot Campインストールが完了 |
Boot Campアシスタントを起動 | パブリックβである旨の説明ウィンドウが開く | Windows XPインストールまでの手順を説明 |
まず、空きのCDを1枚用意し「Macintosh Drivers CD」を作成する。これはあ とで使うのでとっておく。
Macintosh Drivers CD作成画面 |
次に、HDDにWindows用のパーテーションを作成する。
編集部のMac miniにインストールすべく急遽購入したWindows XP Professional(SP2)パッケージ版。35,500円もする |
続いて、Windowsのインストールだ。ここで使えるWindowsのCDには制限があ る。
1)Windows XPのHome EditionまたはProfesional
2)SP2のCDであること
3)フルインストール版でありアップグレード版ではないこと
ここから先はWindows XPのインストーラが起動しているので、インストールするパーテーションを指定しフォーマット、といういつもの流れだ。
ちなみにフォーマット時には「NTFS」ではなく「FAT」にしておくことをお勧 めする。そうするとMac OS X側からも見えてファイルが共有しやすい。
Windowsのインストールが終了すると、Macintoshが再起動され、Windows XPが 起動する。
Windows XPをインストールするパーテーションを作成 | Windows XPのインストールを開始 |
●ドライバのインストール
Windows XPが無事に起動したら、ドライバのインストールを行なう。
先ほど作成したMacintosh Drivers CDを入れ、インストーラを起動すれば自動的 に行なわれる。
これで終了だ。
先ほど作成したMacintosh Drivers CDを入れ、インストーラを起動 | 使用許諾契約のウィンドウは見慣れたものだが、“Software License Agreemen for Boot Camp Assistant Beta”の記述が | セットアップステータスもWindows XPのそれと変わらない |
Windows XPのインストールが完了。画面だけ見ると、とてもMacintosh上で動いているとは思えない | ブート設定の変更はMac OSを起動して起動ディスクの設定を変更する必要がある | 「OPTION」キーを押しながらMacintoshを起動すると、ブートセレクタが起動。HDDアイコンが並んで2つ表示される |
●注意すべき点
Boot CampでインストールされたWindows XPは、ドライバ類もかなり用意され ており、ビデオやサウンドも普通に使用できる。
ただし、省電力機能はまだのようだ。あと、MacBook ProのHDDの落下プロテク ションなど機種固有の機能もドライバが用意されていない。よって、私自身の判 断としては、Mac miniとiMacでは試してみたいが、MacBook Proは様子見かなぁ と思っている。
また、周辺ではMac miniをTVに接続しているとうまくいかない事例があるとい う。編集部でもPlug&Playに完全には対応していない古いディスプレイに接続して、インストールに失敗した。基本的に標準的な機能がようやくサポートされているという状態だと考えて、標準的なデバイスを接続しておいた方が無難だろう。
□アップルのホームページ
http://www.apple.com/jp/
□bootcampダウンロードページ
http://www.apple.com/macosx/bootcamp/
□ファームウェアアップデートダウンロードページ
http://images.apple.com/support/downloads/
□関連記事
【4月6日】アップル、Intel MacでWindows XPを起動できるツールを公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0406/apple.htm
【3月1日】アップル、Intel Core CPU搭載のMac mini
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0301/apple.htm
(2006年4月6日)
[Reported by date@impress.co.jp]