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慶応大らがユビキタスネットワーク実証実験拠点
「uPlatea」を公開

2月27日公開

 慶應義塾大学は27日、東京有楽町の有楽町ビル内にて、ユビキタスネットワークの実証実験拠点「uPlatea(ユープラティア)」を公開した。

uPlateaのレイアウト。左から会社、屋外、自宅の3セクションに分かれている

 uPlateaは、総務省が実施している「ユビキタスネットワーク技術の研究開発」の一環として、KDDI、KDDI研究所、日本電気、富士通、九州工業大学、慶應義塾大学、東京大学らが共同で研究している、ユビキタスネットワーキング管理・制御技術研究「Ubilaプロジェクト」の実証実験拠点。株式会社内田洋行が技術協力をしている。

 同プロジェクトは、ネットワークが生活に浸透した社会を実現し、どこにいてもユーザーが必要とする最適なサービスを受けられる環境を作り出すための研究を続けているもの。プロジェクトの期間は5年で、今年は4年目。年間予算は2億円。uPlateaでは、その研究成果を展示し、実際に体験することができる。一般公開も行なうが、メールによる事前申込みが必須。

 uPlateaは、自宅、屋外、会社をイメージした3つのゾーンにわけられ、それぞれの空間に対応したネットワークサービスを実現する環境を構築。室内は、内田洋行の開発した、ネットワーク機器のためのフレーム構造「SmartPAO」で構成され、ワイヤレス、有線のさまざまなネットワークが張り巡らされている。

 会場では、それぞれの機器が実際にデモされた。慶応義塾大学とNECが開発した「直感操作ネットワーク」では、「u-Photo」と呼ばれる、大型液晶を搭載したデジタルカメラライクなリモコンを利用する。あらかじめ、DVD/HDDレコーダやメディアサーバーなどに、対応するマーカーを貼り付けておく。その機器をリモコンで撮影するとマーカーを認識し、撮影した機器に対応するリモコンメニューが液晶部分に表示されるしくみ。DVD/HDDレコーダや、メディアサーバーなどのリモコンを探さなくても、操作したい機器を撮影すれば、その機器に対応するリモコンとして使えるようになる。

 撮影した情報にはメタデータが組み込まれており、他人が遠隔地から、自宅の機器を操作する場合にも利用可能。操作させたい機器を撮影することで自動的に仮想ネットワークを構築したり、機器にトラブルが発生した場合でも、撮影するだけで遠隔地からのリモート操作によりトラブルを解消する、ということも視野に入れて開発している。

直感操作ネットワークのデモ環境 デジカメ搭載リモコン「u-Photo」 機器を撮影するとマーカーによってそれがどんな機器なのかが識別される
機器に貼り付けられている白黒の四角いマーカーをカメラが認識する

 慶應義塾大学と富士通が共同開発した、「位置情報に応じたシームレスなアクセス網の選択技術」では、リアルタイムで移動するユーザーに最適なネットワーク環境を提供するもの。外出先ではHotspot、自宅で利用する場合はLANなど、環境に合わせたインフラを自動的に選択するだけでなく、アプリケーションに最適なネットワークも考慮して選択する。たとえば、映像コンテンツの視聴には広帯域なHotspotなどの無線LANを、位置情報の検出にはセルラーの回線を利用するなどの振り分けを自動的に行なってくれる。

 これらを利用したナビゲーション機能も研究されており、目的地までの道のりでは、セルラー網を利用した地図により案内を、目的地に到着するとHotspotを利用し、動画を使った現地の案内を自動的に行なうなど、ユーザーが意識することなく、ロケーションに合わせたサービスを享受できる。

位置情報表示。左下にある部屋のレイアウトの中心あたりにある緑色の矢印が自分の位置。屋外の位置に居るため、通信状況を示す右上のパネルはすべてセルラー網を利用している Hotspotに立ち寄った状態になると、位置情報のみがセルラー網経由となり、ストリーミング用の通信は無線LANに切り替わった

 一見、液晶ディスプレイのような外観の「u-Texture」は、慶応義塾大学によるもの。複数のユニットを組み合わせることにより、さまざまなサービスを提供する。ユニットはそれぞれTablet PCのような機能をもち、同じユニットでも、組み合わせ方によって機能が変わるのが特徴。たとえば上下2段の棚の形に組み合わせたu-Textureでは、下段にRFIDがついたCDジャケットを置くと、そのCDの情報を記録、上段に置くとそのCDの曲を再生するなどの使い方になる。

 また、複数の端末で情報をやりとりしたい場合、タイル状に端末を組み合わせ、画面上で右の端末から左側の端末にファイルを移動させるだけでコピーする、ということも可能になる。Windowsなどの共有フォルダを利用してコピーするよりも直感的な操作が可能だ。

 u-TextureはDIYでユビキタスを実現することをコンセプトに研究されているもので、コンピュータに詳しくない人でも、ユビキタス環境を利用してもらえるように考案された。ユーザーは自分が利用したい機能を持つu-Textureをブロックのように組み合わせるだけで、サービスを利用できる。また、他の家電製品などとの連携も視野に入れて研究をしているという。

棚状に組み合わせた「u-Texture」 上段にCDジャケットを置くと音楽を再生 PDAなどを載せるとデータ転送を行なう機能もある
CDジャケットに貼られたRFID 端末を横に並べて接続した状態ではお互いに画像などをドラッグするだけでデータのやりとりができる

 同じく慶應義塾大学による「uPart」は、無線通信が可能な小型のセンサーノード。uPartのユニットそのものは、カールスルーエ大学TecOラボで開発された。慶応義塾大学では、このセンサーを使った環境モニタリングを研究している。

 uPartの無線の到達距離は30〜100mで、大きさは1平方cmほど。温度、振動、照度センサーのほか、CPUやバッテリ、無線システム、LEDを内蔵する。ユニットにはすべて個別のIDが付与されており、ネットワーク上で識別が可能。このユニットをあらゆる場所に設置し、さまざまな情報を取得しようというもの。

 たとえば、すでに紹介したu-PhotoでuPartが設置された風景を撮影すると、その時点での気温がメタデータとして記録される。写真に記録されたuPartをネットワーク経由で参照し、現在の温度をリアルタイムで知ることもできる。また、データの履歴を持つことも可能なため、食料品などの製品パッケージに着けておけば、出荷時からどのような環境で保存されていたかをトレースすることもできる。

単体で無線通信が可能なセンサーノード「uPart」。青いケーブルはアンテナ uPartが配置されたパネル 実際にはこのように丸めて収納される

 まだ実証実験段階のため、これから実現していかなければならない課題も多いが、慶応義塾大学では、uPlateaを「未来の空間を実現する場」として位置づけ、今後は研究者同士の交流の場としても提供していきたいとした。

□uPlateaのホームページ
http://www.ht.sfc.keio.ac.jp/uPlatea/
□Ubilaプロジェクトのホームページ
http://www.ubila.org/
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【2005年2月15日】【森山】未来のオフィス/家庭は可変式
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0215/kyokai33.htm

(2006年2月28日)

[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]

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