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2006 International CES会場レポート【Seagateブース編】
世界初のワイヤレスUSB対応HDDをデモ会期:1月5日~8日(現地時間) 会場:Las Vegas Convention Centerなど 2006 International CESは、会場として新たにSands Expo Convention Centerが利用されるようになるなど、去年よりもさらに規模が拡大している。CESは、デジタル家電や映像機器が主役の展示会であるが、PC関連製品も多数展示されている。今回のレポートでは、PCユーザーにとって興味深い製品が多数展示されていた、Seagateブースを取り上げたい。 Seagateといえば、世界最大のHDDメーカーとして広く知られており、昨年末に同じくHDDメーカーであるMaxtorの買収を決定したことで、注目を集めた。ちなみに、Seagateは昨年まではプライベートルームのみの出展であり、CESのメイン会場にブースを設けたのは今年が初めてとなる。 ●世界初のワイヤレスUSB対応HDDを展示 Seagateブースでは、さまざまな製品の展示が行なわれていたが、その中でも注目したいのが、ワイヤレスUSB対応ポータブルHDDのデモである。ワイヤレスUSBは、物理層として高速無線通信技術のUWB(Ultra Wide Band)を利用した新しいインターフェイスである。現行のUSB 2.0と同等の転送速度480Mbps(距離3m)をワイヤレスで実現できるため、ポストUSB 2.0として、期待が高まっている。 ワイヤレスUSBのデモ自体は、これまでにもIDFやCEATECなどで行なわれているが、その実態は、かなり大きなワイヤレスUSBの評価基板を2枚並べて、データ転送を行なうといった程度で、あくまで試作レベルに過ぎないものであった。 しかし今回、Seagateは、ワイヤレスUSB対応ポータブルHDD(2.5インチHDDを採用)と、ワイヤレスUSB対応アダプタを利用して、ポータブルHDDに記録されている動画ファイルをワイヤレスUSB経由で転送しノートPCで再生、というデモを行なっていた。こうした形でワイヤレスUSB対応HDDが一般に公開されるのは、これが世界初であろう。 Seagateが展示していたワイヤレスUSB対応ポータブルHDDおよびワイヤレスUSB対応アダプタは、アンテナも含めてコンパクトにまとまっており、実用化もそう遠くないと感じられるものであった。デモでの転送距離は50~60cm程度と比較的近かったが、動画の再生は安定しており、コマ落ちなどは生じていなかった。ただし、今回の展示は、あくまで将来のコンセプトモデルという位置づけであり、具体的な製品の発売時期や価格については一切未定とのことだ。 ●iVDR対抗のリムーバブルメディアが登場、eSATA対応ドライブも HDDをカートリッジ化し、リムーバブルメディアとして利用するというデモも行なわれていた。これは、開発コードネーム「Tornado」と呼ばれているもので、主にHDDレコーダーやマルチメディアプレーヤーといった民生機器で使われることを想定しているという。コンセプト的には、日立製作所や三洋電機、シャープなどが中心となって標準化を行なっている「iVDR」にそっくりだ。iVDRは、2002年3月にコンソーシアムが結成され、アイ・オー・データ機器などが対応製品を発売しているが、現在のところ、普及しているとは言いがたい状況である。 Seagateは、Tornado対応のメディアプレーヤー「Twister」(開発コードネーム)や、USB経由でPCと接続するTornado対応ドライブの展示を行なっていた。こちらも、現時点ではあくまでコンセプトモデルということで、具体的な発売時期などは一切決まっていない。 また、PC用のTornado対応ドライブは、インターフェイスとしてeSATAを採用した製品も展示されており、実際に稼働していた。eSATAは、シリアルATAをベースに外付けデバイス用として開発された規格であり、USB 2.0やIEEE 1394aなどに比べて転送速度が高速であるため、今後普及が期待されている。
●アクティブストレージというコンセプトをアピール Seagateが今回の展示全体でアピールしているのが「アクティブストレージ」というコンセプトだ。従来のストレージは、データを保管する倉庫のようなイメージであるのに対し、ストレージに記録されている情報を、いつでもどこでも気軽にアクセスできるようにしようというのが、アクティブストレージの考え方だ。ストレージのユビキタス化といってもよいだろう。 その1つの具体例として展示されていたのが、TBクラスのストレージを搭載したコンセプトカーである。ドアのサイドポケットに、1インチポケットHDDが搭載されているほか、後部には外付け3.5インチ外付けHDDが搭載されていた。運転席のコンパネ部分だけでなく、リアシートにも液晶ディスプレイが装備されており、同乗者がそれぞれ好きなマルチメディアコンテンツを楽しむことができる。将来的には、高速無線通信技術を利用して、走行中に家庭などに置いたサーバーの情報へアクセスすることが想定されているという。
また、コンパクトなホームサーバー「Mirra Mシリーズ」にも注目したい。Mirra Mシリーズを開発したMirraは、Seagateに買収されており、現在はSeagateの100%子会社となっている。Mirra Mは、ネットワーク経由で接続されているPCのデータを自動的にバックアップする機能や、インターネット経由でファイルを共有する機能などを備えており、サーバーに関する知識のない人でも、気軽に利用できることが特徴だ。Mirra Mシリーズは、すでにアメリカでは発売が開始されており、直販サイトでは、160GBモデルが399.99ドル、250GBモデルが499.99ドル、400GBモデルが799.99ドルで販売されている。
●HDD搭載製品が多数展示 Seagateは、エンタープライズ向けからPC向け、家電向け、車載向けなど幅広い製品展開を行なっており、3.5インチ、2.5インチ、1インチの3つのフォームファクタのHDDを製造しているため、幅広い用途に対応できることも強みである。展示ブースでは、同社のHDDを搭載した家電やAV機器、ゲーム機器などが多数展示されていた。ここでは、写真とキャプションで、それらの製品を紹介する。
●Seagateブランドのリテールパッケージも多数展示 欧米では、Seagateブランドの製品がリテールパッケージとして販売されている。日本では、HDDメーカーが直接リテールパッケージを販売することはまれで、バッファローやアイ・オー・データ機器などの周辺機器メーカーが製品を販売しているのとは対照的である。 実際に、COMPUSAやFry'sの店頭でも、Seagateブランドの内蔵HDDや外付けHDDが数多く並んでいるのを見てきたが、CESのブースでも、そうしたリテールパッケージ製品が展示されていた。これらは基本的に日本では発売されていないが、紹介しておきたい。なお、展示されていたシリアルATA対応外付けHDDは、eSATA対応ではなく、通常のシリアルATA II Phase 2対応だが、eSATA対応外付けHDDも4月頃に出荷を開始する予定だという。 □2006 International CESのホームページ(英文) (2006年1月7日) [Reported by 石井英男]
【PC Watchホームページ】
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