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2006 International CES会場レポート
東芝、ディスプレイのみで操作できるノート
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米ToshibaのコンセプトノートPC |
会期:1月5日~8日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Centerなど
米国ラスベガスで開催中の「2006 International CES」の展示が5日(現地時間)より開始された。4日(同)に行なわれた各社のカンファレンスで新製品などはすでに紹介されているが、会場で目を引く新技術、新製品もかなり見受けられる。ここでは、それらを紹介する。
●タブレットPCの新たな形
米Toshibaが4日(同)に開催したカンファレンスでは、HD DVDを搭載したQosmioや、HD DVDプレーヤー、大容量のデジタルビデオカメラgigashotなどの新製品が紹介された。同社ブースではこれらに加え、タブレットPCの新機軸と成り得るコンセプトノートPCや、UWB(Ultra Wide Band)をベースにしたワイヤレスUSBのデモを展示している。
タブレットPCの新しい形として展示されているコンセプトノートPCは、液晶ディスプレイ部分とPC本体部分を分離し、表示データをIEEE 802.11g準拠の無線LANでディスプレイへ転送するもの。これは2005年のCeBITでも展示されていた。
今回はディスプレイ部を発展させ、タブレットの液晶パネルを採用。また、ディスプレイ部からも無線LANで本体にデータを転送し、ディスプレイ部のみでスタイラスを使用してWindowsの操作が可能になっている。もちろん、本体とディスプレイを接続した場合にはノートPCと同じ操作ができる。ディスプレイ部は約560gだという。
展示されているディスプレイ部。実際に操作を体験できるディスプレイも用意されている | PCの本体部分。当然だが、こちらからも操作もできる |
IEEE 802.11gの上に独自レイヤーを追加して操作を制御しており、OSにはTablet PC Editionではなく、通常のWindows XPを使用しているのも特徴。また、データ転送に一般的な無線LANを使用しているため、アクセスポイントが利用可能であれば遠距離のネットワーク経由での操作もできるという。
同社は、ディスプレイ部だけを持って寝室で使ったり、家のあらゆる部屋からDLNAを介してマルチメディアコンテンツの再生を行なったりと、軽量な点を生かせるノートPCの新しい形になればおもしろいとしている。
ワイヤレスUSBのデモは、USB HubのユニットとPCのUSB 2.0ポートにドングルを装着し、USB Hubを内蔵するユニット側に、gigashotとUSBマウスを接続して実施。ワイヤレスUSBは無線通信の分割したバンドを束ねて高速化するUWBをベースにしており、距離3mで現行のUSB 2.0と同等の480Mbpsを実現できる。今回のgigashotの動画再生デモもスムーズに実行できていた。
ワイヤレスUSBのデモ。PCのUSB 2.0ポートにはドングルを装着 | デバイスマネージャ。ICH6-MのUSB 2.0コントローラにぶら下がる形で「UWB Over USB」の文字が見える | 手前がUSB Hubを兼ねた送受信ユニット。右奥はgigashot |
●ハイブリッド型の燃料電池
Panasonicブースでは、ノートPCのバッテリとして、リチウムイオン充電池と燃料電池を組み合わせたハイブリッド型バッテリシステムを展示。競合他社と比較して約半分のサイズで、重量450g、容量400ccとなっているのが特徴。
装着しているノートPCはLet'snote T4で、リチウムイオン充電池で約12時間駆動が可能な製品だが、このハイブリッド型バッテリシステムでは約20時間の動作が可能。10W程度の電力消費という低負荷時には燃料電池のみの出力で対応。25W以上消費する高負荷時には、燃料電池は高出力が苦手なためリチウムイオン充電池で補うようになっている。低負荷時には消費したリチウムイオン充電池の充電を行なうことも可能。
通常使用時に燃料電池のみを利用する方式は、リチウムイオン充電池が充電に時間がかかることを踏まえ、カートリッジ交換で即座にフル充電される燃料電池の特性を活かしたシステムと言える。実用化は当分先になるが、同社は今後も小型化や、安定性の向上、コストの改善などを進めていくという。
Let'snote(米国ではTOUGHBOOK)のT4に装着されたハイブリッド型燃料電池。これまでの燃料電池と比べるとかなり小型化されている | 今回のハイブリッド型バッテリシステムの概念 |
●GPU交換型ビデオカード
ポップには「Geminium-Go!」と書かれている。双子座からの造語だろうか。カードはかなりの長さ |
MSIのブースでは、基板上にNVIDIAのノートPC用GPU交換モジュール「MXM」を2つ搭載したPCI Express x16対応ビデオカードを展示。1枚の基板でGPUを2つ搭載するビデオカードはこれまでもいくつか発表され、実際に市場にも登場したが、GPUを交換できるビデオカードは初めて。
動作モードはSLIで、GeForce Go 6600のMXMを2つ搭載。ノートPC向けのため、デスクトップ用ビデオカードよりも消費電力が低く、加えてアップグレードも可能としている。しかし、アップグレード対応と言っても、GPUを交換するためのMXMモジュールの入手が困難とみられる。実際の製品化に関しては未定。
●電子書籍端末「LIBRIe」の新型
Sonyブースでは、デザインから刷新した電子書籍端末「LIBRIe」の新型を披露。文字の表示が高速化されたほか、PDFやテキスト、JPEGの表示(モノクロのみ)にも対応した。また、書籍のデータ転送や管理、購入を1つのアプリケーションにまとめている。この統合型のインターフェイスについて、同社は「iTunesライク」とコメント。
発売は米国のみで、300~400ドル程度を予定している。日本での発売については、今回の展示機が米国に合わせたハード設計、インターフェイスを採用しているため、(日本で)発売するなら、デザインなどを新規にするのではないかとのこと。
デザインやインターフェイスを一新した筐体 | 文字の表示は前モデルより高速化されている | JPEGもモノクロながら対応した |
□2006 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□関連記事
【2005年3月15日】【CeBIT】東芝の燃料電池PCが初の実動デモ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0315/cebit11.htm
【2004年3月24日】ソニー、E INK採用の電子書籍端末「LIBRIe」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0324/sony.htm
(2006年1月7日)
[Reported by yamada-k@impress.co.jp]