Intelが米国の特許庁に謎なブランド名を商標として出願している。その名も“INTEL CORE”と呼ばれるブランド名で、実際に文字だけで構成された新しいロゴも表示されている。 情報筋によれば、この何でもない“INTEL CORE”の商標は、Yonah以降の新世代デュアルコアプロセッサのブランドネームとして利用されると、IntelはOEMメーカー筋に説明しているという。 ●Intelが米国や日本で“INTEL CORE”を商標出願
米国特許庁のWebサイトによると、Intelは9月15日に“INTEL CORE”の商標を、データ計算用ハードウェア、マイクロプロセッサなどの商標として出願しているという。実際、米国特許庁のWebサイトにおいて“INTEL CORE”と検索することで、以下のような結果が表示される。 □米国特許庁の商標検索Webサイト すでにロゴと見られるグラフィックも表示されており、このロゴがそのまま使われる可能性もある。 なお、日本の特許庁が運営する特許電子図書館で“INTEL CORE”で検索すると、米国に先立つ9月14日(実際には時差があるのでほぼ同時)にすでに出願したことがわかる。 □特許電子図書館 このINTEL CORE、何のブランド名なのか業界筋ではかなり話題になってきたのだが、どうやら筆者が以前報じたIntelがInternational CESで発表するであろうと言われてきた、新しいCPUのブランド名であるということがわかってきた。 ●派手ではないCPUのブランド名はプラットフォームブランドを引き立たせるため 以前の記事でも触れたように、IntelはYonah以降のBaniasの流れを汲んだデュアルコアCPU、つまりYonah、Merom、Conroeなどに関して新しいブランドネームを計画していることをお伝えした。以前はそのブランド名に関しての確認ができていなかったのだが、今回複数の情報ソースが新しいマイクロプロセッサのブランドネームはこの“INTEL CORE”になると伝えてきており、正式な発表を待たなければならないが、ほぼ確実になってきた。 ただ、これを聞いて多くの関係者は“味気ないブランド名だな”と感じたという。それはそうだろう。これまでのPentiumとかCeleronとかの造語に比べれば、“CORE”(核)という単語はマイクロプロセッサを表現する言葉としては適切かもしれないが、派手さがないのは事実だ。 ただ、それもIntelは狙ってやっているのだろう。なぜかと言えば、Intel自身がマイクロプロセッサを販売する会社からプラットフォームを販売する会社に脱却したがっているからだ。このことは、Intelの幹部はことあるごとに言及する。Intel自身のイベントであるIDFでもそうだし、それ以外のイベントなどに登場したときでも必ずと言ってよいほど“プラットフォームカンパニーになる”ということを言い添える。 では、なぜブランド名をPentiumから“CORE”に変えることでそれができるのかと言えば、それはプラットフォームのブランド名と比べてみればよい。プラットフォームのブランド名は、Centrinoモバイル・テクノロジやViiv(日本ではヴィーブ、米国ではヴァイブ)テクノロジといったプラットフォームのブランド名は、従来通り造語が利用されており、かなり重要視されている印象だ。そしてプロセッサはCORE。明らかに、プラットフォームのブランド名は派手で目立つブランド名であり、プロセッサの方が一歩下がった印象を人々に与えることになるだろう。 Intelが狙っているのはそこだ。つまり、プロセッサのブランド名のランクを若干下げることで、プラットフォームブランド名をより引き立たせたい、ということだろう。 ●Yonahのプロセッサナンバーをアップデート、最初の世代はT2600でスタート OEMメーカー筋によれば、Yonahのプロセッサナンバーに関しても若干アップデートされており、前回T1600としてお伝えしたデュアルコアYonahの2.16GHzはT2600へと変更された。他の製品も変更されており、詳しくは以下のようになる。
この変更は、わかりやすく言えばプロセッサナンバー最初の数字はコアの数になったということだ。これにより、Yonahに関してはデュアルコアが2xxxに、シングルコアが1xxxとなる。1月のInternational CESでは表に掲げたような製品がリリースされることになる。 なお、第3四半期には2.33GHzで動作するT2700が追加され、その後Yonahの後継となるx64命令に対応したMeromが追加されることになる。 ●9WのデュアルコアYonah-ULVをロードマップに追加、2006年後半にリリースへ また、Intelはデュアルコアの超低電圧版Yonahに関しても提供していくとOEMベンダに語り始めている。通常のラインナップとして提供されるのは2006年の後半が予定されており、クロック周波数は1.06GHzで、プロセッサナンバーはU2500になるという。 それ以前に、IntelはシングルコアのYonahの超低電圧版を第2四半期に投入する。超低電圧版YonahはU1400(1.2GHz)、U1300(1.06GHz)の2製品が用意されており、熱設計消費電力(TDP)は5.5Wと現在のDothanコアの超低電圧版Pentium Mと同じレンジのTDPに納めることが可能になるという。これにより、現在の超低電圧版Pentium Mと同じシャシーをそのまま利用することができる。 ただし、2006年後半にリリースが予定されているデュアルコアの超低電圧版のTDPは9Wが予定されており、現在の7Wをデッドラインに設計されているミニノートのシャシーに納めるのはほぼ不可能となっている。このため、デュアルコアの超低電圧版を利用するには、別途9Wに対応したシャシーを設計する必要があるという。 Intelは日本のOEMメーカーに対して、この超低電圧版デュアルコアYonahを2006年後半よりも以前に提供する可能性を伝えてきているが、これから9Wのシャシーを開発するには時間が足りないため、搭載ノートPCのリリースは結局2006年の後半あたりになってしまうという。 そうした意味では、デュアルコアのミニノートを手に入れられるのは、2006年の後半以降となる可能性が高いだろう。 □関連記事 (2005年11月21日) [Reported by 笠原一輝]
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