NECは9月6日、デスクトップPC「VALUESTAR」とノートPC「LaVie」の秋冬モデルを一挙に発表した。今回の秋冬モデルでは、従来のマイナーチェンジ製品だけではなく、新シリーズもいくつか投入された。 今回は、その中から12.1型ワイド液晶を搭載した2スピンドルモバイルノートPC「LaVie A」を紹介したい。 ●モバイル性とエンタテイメント性が強化 12.1型ワイド液晶を搭載したLaVie Aは、LaVie Nの後継として位置づけられる製品で、モバイル性とエンタテイメント性が強化されていることがウリだ。筐体も一新されており、前面や側面が斜めにカットされたデザインを採用していることが特徴だ。 LaVie Aのサイズは、304×211×39.4~40.9mm(幅×奥行き×高さ)で、最近のノートPCとしてはやや厚めである。重量は約1.79kg(DVDスーパーマルチドライブ装着時、拡張ベイカバー装着時は約1.6kg)と、LaVie N(約2.1kg)に比べて大幅に軽量化された。 LaVie Aは、ワイヤレスTVチューナユニット「AirTV」が付属し、100GBのHDDを搭載する上位モデル「LA790/DD」と、AirTVが付属せず、HDD容量が80GBの下位モデル「LA700/DD」の2モデルが用意されているが、ここでは、上位モデルのLA790/DDを試用した。 CPUは、両モデルとも超低電圧版Pentium M 753(1.20GHz)が採用されており、チップセットとして、グラフィックス統合型のIntel 915GMSを搭載する。Intel 915GMSは、Intel 915GMの下位製品で、DDR2メモリはサポートするが、デュアルチャネルアクセスには非対応だ。DDR2対応のSO-DIMMスロットは2基用意されているが、そのうち1基には標準で512MB DDR2 SO-DIMMが装着されているため、空きスロットは1基となる。512MBあれば、とりあえず増設しなくても、Windows XPを快適に使うことができるが、512MB SO-DIMMを外して、代わりに1GB SO-DIMMを2基装着することで、最大2GBまで増設が可能だ。
●スロットインタイプのDVDスーパーマルチドライブを採用 LA790/DDは100GBという大容量HDDを搭載していることも特筆できる(下位モデルのLA700/DDは80GB)。100GBあれば、動画をはじめとするファイルサイズの大きなデータを扱う場合でも余裕があるだろう。ちなみに、標準画質モードでは約32時間の録画が可能だ。 光学ドライブとして、DVD±R DL対応のDVDスーパーマルチドライブを採用。一般的なトレイ式ではなく、スロットインタイプのドライブを採用していることが特徴だ。DVD-RAMへの書き込みもサポートしており、DVD±Rメディアには最大8倍速書き込みが可能だ。光学ドライブは拡張ベイに装着されており、着脱可能である。重量を軽減するための拡張ベイカバー標準が付属するほか、オプションとしてセカンドバッテリパックも用意されている。
●Bluetooth対応マウスが付属 液晶ディスプレイのサイズは12.1型ワイドで、解像度はWXGA(1,280×768ドット)である。高輝度かつ低反射を実現したスーパーシャインビュー液晶が採用されており、DVD-Videoのコンテンツやテレビ番組も鮮やかに表示できる。また、周囲の明るさを感知して、液晶の輝度を自動的に調整する「自動輝度センサ」を搭載していることも特徴だ。 上位モデルのLA790/DDでは、IEEE 802.11a/b/g対応無線LAN機能とBluetooth機能(Ver2.0+EDR対応)を搭載しており、Bluetooth対応の光学式マウスが付属していることも特徴だ(下位モデルのLA700/DDでは、IEEE 802.11b/g対応無線LAN機能内蔵で、Bluetoothには非対応)。ただし、ワイヤレス機能をON/OFFするためのワイヤレススイッチは用意されておらず、ON/OFFはFnキー+F2キーのコンビネーション操作によって行なう。
●無線LAN経由でテレビ番組を楽しめるAirTVが付属 LA790/DDでは、ワイヤレスTVチューナユニット「AirTV」が付属していることもウリだ。通常のTVチューナ内蔵ノートPCの場合、テレビ番組を見るには、ノートPC本体にアンテナケーブルを接続する必要があるが、AirTVでは、無線LANを利用して映像を飛ばすため、ノートPC本体にアンテナケーブルを接続する必要がなく、部屋から部屋への移動も自由にできることが利点だ。 LA790/DDに付属しているAirTVは、以前LaVie Nに付属していたものに比べて、体積が約半分に小型化されているほか、高画質エンジン「VISITAL」を搭載しており、画質も向上している。AirTVは、IEEE 802.11a対応の無線LANアクセスポイントとしての機能も装備しているので、ルーターなどと接続することで、ワイヤレスインターネット接続も実現できる。 なお、筆者の自宅でテストしてみたところ、AirTVを置いた部屋の隣の部屋なら、画像が乱れるようなことはなかったが、2つ隣の部屋まで行くと、転送速度が落ちるようで、ときどき画像にブロックノイズが生じることがあった。 また、全モデルに赤外線リモコンが付属しており、DVDやCDの再生操作などを家電感覚で行なえ、電源OFFの状態からでも、素早くDVDやCDの再生が楽しめるインスタント機能も装備している。ただし、LaVie TWやLaVie L(アドバンストタイプ)とは違って、LA790/DDでは、インスタント機能でテレビ番組の視聴や録画を行なうことはできないのは残念だ(Windowsが起動してからテレビ番組が表示されるので、やや時間がかかる)。
●充電や音楽再生が可能なミュージックスタンドが付属 キーボードのキーピッチは19mmで、キーストロークは3mmである。キー配列も標準的で、ストロークも十分あるため、デスクトップ用キーボードとほぼ同じ感覚で快適にタイピングが行なえる。キーボード上部には、DVD/CDコントロールボタンやワンタッチスタートボタンが用意されている。また、ポインティングデバイスとしては、スクロール機能付きのNXパッドを採用している。 USB 2.0×3、IEEE 1394(4ピン)、D-Sub15ピン、Sビデオ出力、Ethernet、モデム、ヘッドホン出力、マイク入力など、ポート類も一通り装備している。カードスロットとしては、PCカードスロットとトリプルメモリースロット(SDメモリーカード/メモリースティック/xD-ピクチャーカード対応)を装備。PCカードスロットのフタは、観音開き式に内部に収納されるようになっているので、紛失する恐れはないが、トリプルメモリースロットのフタはダミーカード方式となっている。 LaVie Aでは、本体を上に載せることで充電が可能なミュージックスタンドが付属していることも特徴の1つだ。また、ミュージックスタンドの下部には、直径40mmの大口径ステレオスピーカーが内蔵されており、本体を上に載せることで、音楽やDVD、テレビ番組などを迫力のあるサウンドで楽しめる。ミュージックスタンドは、液晶画面を開いたままでも載せられるので、DVDなどの映像をより見やすいアングルで楽しむことができる。
●セカンドバッテリパックによって最大約10時間の長時間駆動が可能 バッテリパックは11.1V、5,200mAhの6セル仕様で、公称約5.8時間の連続駆動が可能だ。また、拡張ベイにオプションのセカンドバッテリパックを装着することで、最大約10時間もの長時間駆動が行なえる。バッテリ駆動時間も十分満足できるレベルだ。ACアダプタのサイズも小さく、携帯性も良好だ。 また、ウォールマウントプラグが付属していることも特徴である。ACアダプタにウォールマウントプラグを装着すれば、直接コンセントにACアダプタを差し込めるようになる。コンセントの位置や回りのスペースによって、使い分けるといいだろう。 キーボード上部には、省電力設定をワンタッチで切り替えられる「おでかけボタン」が用意されている。おでかけボタンを押すことで「バッテリ優先モード」「DVD/ゲームモード」「音楽鑑賞モード」の3種類のモードを切替可能である。現在のモードは、おでかけボタンの下にあるLEDの点灯色によって識別できるので便利だ。 また、今回発表されたNECの秋冬モデルでは、インターネット経由で配信される映像の視聴環境が強化されており、ブロードバンド映像ポータル「BIGLOBEストリーム」と連携して、リモコンからTV感覚で見たい映像を楽しめるようになった。
●多目的に利用できるモバイルノートPC 参考のために、いくつかベンチマークテストを行なってみた。ベンチマークプログラムとしては、BAPCoのMoblieMark 2002、SYSmark 2002、Futuremarkの3DMark2001 SEおよび3DMark03、id softwareのQuake III Arenaを利用した。 MobileMark 2002は、バッテリ駆動時のパフォーマンスとバッテリ駆動時間を計測するベンチマークであり、SYSmark 2002は、PCのトータルパフォーマンスを計測するベンチマークである。また、3DMark2001 SEや3DMark03、Quake III Arenaは、3D描画性能を計測するベンチマークだ。MobileMark 2002については、電源プロパティの設定を「ポータブル/ラップトップ」にし、それ以外のベンチマークについては、電源プロパティの設定を「常にオン」で計測した。 結果は下の表にまとめたとおりである。比較対照用にVAIO type T VGN-TX90SやLaVie RX LR700/CD、VAIO type S VGN-S70B、Qosmio E10/1KLDEWの結果も掲載してある。CPUに超低電圧版Pentium M 753を搭載した機種としては、パフォーマンスも十分出ているといえる。バッテリ駆動時間を示すMobleMark 2002のBattery life ratingのスコアは284分(4時間44分)であり、こちらも水準はクリアしている。 【LaVie A LA790/DDのベンチマーク結果】
LA790/DDは、AirTVやミュージックスタンドが付属するなど、AV機能を重視していることが特徴だ。いわゆるAVノートPCは、大きくて重い製品が多いが、LA790/DDは、2スピンドル時でも重量は約1.79kgと軽いことが魅力だ。 統合型チップセットを採用しているため、最新ゲームを快適にプレイしたいという人には向かないが、それ以外の用途はほとんどカバーできるので、携帯性とAV機能(エンタテイメント性)の両方を重視する人にお勧めだ。 □関連記事 (2005年10月7日) [Reported by 石井英男]
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