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IntelデスクトップCPUロードマップアップデート
〜ConroeとMeromがロードマップに正式登場




●ConroeとMeromがロードマップに正式登場

 Intel CPUロードマップについての分析をしばらくさぼっている間に、小刻みな変更が何度も加わっていた。Intel Developer Forum(IDF)が1カ月後であるため、少なくとも1カ月は、大きな変動はないと推定される。そこで、ここでIntelの現状のロードマップを整理/分析することにした。

 過去1カ月での最も大きなアップデートは、「Conroe(コンロー)」と「Merom(メロン)」2006年後半に登場することが、広くIntelの顧客に伝えられたことだ。ConroeとMeromはIntelの次世代CPUで、デスクトップ向けがConroe、モバイル向けがMerom。Intelは、Conroeについて、次世代マイクロアーキテクチャのデュアルコアCPUであると説明しているという。

IDFでの資料

 もっとも、ConroeとMeromの名前自体は、すでに公式情報として明かされている。Intelが今年5月に開催した「Intel Spring Analyst Meeting」で、Paul S. Otellini(ポール・S・オッテリーニ)氏(President & CEO)は今後のマルチコアCPUについて、下のスライドで説明している。ConroeとMeromは、5月の段階で実シリコンのサンプルが存在することが示唆されている。実際、今年の早い段階ですでにMeromの社内サンプルは完成していたと業界関係者は伝える。

 現在のところ、両CPUとも2006年Q3(第3四半期)に登場すると言われている。同期しているのは、両CPUが基本的には同アーキテクチャのCPUであるためと推定される。Intelは現在分離されているデスクトップCPUとモバイルCPUを統合する「ユニファイドアーキテクチャ」化を進めており、Conroe/Merom世代がそれにあたるという。もっとも、デスクトップとモバイルではバリデーションプロセスが異なるため、登場時期は若干ずれる可能性がある。

 ConroeとMeromは、どちらも、ハイエンドの価格帯から段階的に投入され、デスクトップではNetBurst(Pentium 4/D)系をConroeが、モバイルではPentium M/Yonah(ヨナ)系をMeromが置き換える。どちらも、まだCPUブランド名は明らかにされていない。いずれにせよ、この世代ではIntelはプラットフォームブランドをより強く打ち出すため、CPUブランドの重要性は低くなっているはずだ。

●Conroeでは4MBのL2キャッシュを搭載

 Conroeは次世代製造プロセス技術65nmで生産される。Intelは、デスクトップでは2006年Q1に65nmのNetBurst系のシングルコアCPU「Cedar Mill(シーダーミル)」をPentium 4ブランドで投入する。65nmのデュアルコアデスクトップCPU「Presler(プレスラ)」は、実質、Cedarmillのダイ(半導体本体)を2個、1パッケージに収めただけの疑似マルチコア。つまり、デスクトップCPUのダイでは、65nm世代はシングルコアのCedar Mill→デュアルコアのConroeと移行することになる。NetBurst系の65nmプロセスのデュアルコアのダイは、デスクトップCPUではスキップされる。

 これは納得できる展開だ。まず、すでに実証済みのNetBurstコアで、しかもダイサイズ(半導体本体の面積)が小さく製造がし易いCedar Millで65nmプロセスを立ち上げる。そして、65nmプロセスの歩留まりが十分に上がった段階で、新アーキテクチャのConroeの量産を開始する。新アーキテクチャCPUは、バリデーションにも膨大な時間がかかるため、このステップはロジカルだ。Conroeが2006年Q3に控えていることを考えると、手間をかけてNetBurstの65nm版デュアルコアを作る意味も薄い。

 ConroeのProcessor Numberは現状では明確になっていない。Processor NumberはPreslerが900番台で上がないので、Conroeでは仕切直しで切り替えるかもしれない。

 L2キャッシュは4MBと2MBの2バージョン。実際に実装されているのは4MBで、ハーフキャッシュバージョンを派生で作ると推定される。ちなみに、Meromも最大4MBのL2キャッシュを搭載すると言われる。

 現在のIntelのデスクトップデュアルコアCPUは、各CPUコアに独立したL2キャッシュが載っているが、Conroeでは統合型のL2キャッシュになると推定される。これは、PCソフトウェア環境の場合、統合キャッシュの方が効率が上がるからだ。4MBのキャッシュは途方もない量に見えるかもしれないが、65nmプロセスの4MBは90nmプロセスの2MBにほぼ相当する。CPUのFSB(フロントサイドバス)帯域はリニアには広げられないため、理論上はキャッシュ量を増やす必要がある。

 IntelはConroeファミリについてNetBurst系のデュアルコアCPUより、パフォーマンスとマルチタスキング能力が向上すると説明しているという。また、消費電力が下がり、SFF(Smaller Form Factor)にも向くと説明している。実際、複数の業界関係者がConroeでは劇的にTDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)が下がると説明を受けていると語っている。

 TDPの数値は複数の情報が入っており、まだ明瞭ではないが、これらのことから、Conroeは動作周波数を引き上げるよりも、CPUコアを効率化して、パフォーマンス/消費電力効率の向上を狙ったアーキテクチャであることがわかる。

 Conroeファミリに対応するチップセットは、2006年Q2に導入される「Broadwater(ブロードウォータ)」になる見込みだ。Broadwater/ICH8の大きなポイントはDDR2-800のサポート。ちなみに、この世代でもFSBは1,066MHz止まりとなる。

Intel Desktop CPU Roadmap
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●ますます複雑なPentium 4ロードマップ

Intelの2005〜06年デスクトップCPU機能比較
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 シングルコアのPentium 4ロードマップには大きな変化はない。1MB L2キャッシュのPentium 4 5xx(Prescott:プレスコット)は2005年後半から徐々にフェイドアウトを始める。2006年前半でPentium 4 5xxは消える見込みだ。

 2MB L2キャッシュ版Pentium 4 6xx(Prescott 2M:プレスコット2M)では、Intelの仮想化技術「VT(Virtualization Technology:コードネームVanderpool)」をイネーブル(有効)にしたバージョンが2005年Q4から導入される。これは、Pentium 4 672(3.8GHz)と662(3.6GHz)で、Processor Numberの1桁目が「2」の型番がVT版という区分けとなる。

 面白いのはVT版の価格設定で、IntelはVTイネーブル版とディセーブル(無効)版に価格差をつけない。メッセージは明瞭で、EM64Tと同様にVTはコスト差をつける付加価値ではないとしている。

 Pentium 4では2006年Q1に65nm版のCedar Millが登場する。Cedar Millは最近のIntelのパターン通り、高クロック品から順番に登場するのではなく、全クロック帯で一斉に出される。もっとも、Cedar Millでは当初は3.8GHz品は出されず、3〜3.6GHzまでの展開となる。3.8GHzが登場するのは2006年後半に入ってからだ。これは製造上の理由なのか、それともPentium Dとのクロック差を縮めるためなのか、現状ではわからない。

 Cedar MillのL2キャッシュは2MB、FSB 800MHz、LGA775と、スペックはPentium 4 6xxと変わらない。そのため、Processor Numberも600番台を継承する。

 Cedar MillのProcessor Numberは、基本的に1桁目が「3」となる。ただし、3GHzだけはVTがディセーブルで1桁目が「1」の「631」も用意される。

 Pentium 4のProcessor Numberと機能の違いを整理すると、下のようになる。

1桁目/コア/機能
3 /Cedar Mill/VT ON
2 /Prescott 2M/VT ON
1 /Cedar Mill/VT OFF
0 /Prescott 2M/VT OFF

 簡単に言うと、Intel CPUのProcessor Numberの複雑さは、2006年に入るとますます磨きがかかるわけだ。

●付加価値の高いPresler版Pentium D

 デュアルコアのPentium Dブランドでは、2006年Q1に、65nm版のPreslerが登場する。Preslerは、Cedar Millのダイを2個、1パッケージに収めたマルチダイCPUだ。FSB 800MHz、LGA775とインフラはPentium Dと変わらない。しかし、Cedar Millをベースとするため、CPUのL2キャッシュ量は、2MB×2コア=4MBとなる。そのため、Processor Numberは、800番台のPentium D(Smithfield:スミスフィールド)とは差別化され、900番台に上がる。

 また、クロックもPreslerではSmithfieldより1グレード上がり最高3.4GHz(950)となる。Pentium 4 6xxでは3.8GHz(670/672)が2006年に入ると提供されなくなるため、Pentium 4とPentium Dの周波数差は200MHzまで縮まる。

 Preslerでの大きな変化は、VTがイネーブルされること。SmithfieldはVTがOFFにされているが、PreslerではVTがONになる。もうひとつの変化はTDPで、PreslerではSmithfieldよりTDPレンジが下がる。具体的には、Smithfield 3GHz(830)はPerformance FMB(Flexible Motherboard) 05Bスペック(CPU TDP 130W)だったが、Presler 3GHz(930)はMainstream FMB 05A(TDP 95W)へと下がっている。よりクールになるわけだ。

 まとめると、PreslerはSmithfieldより、最高クロックが高く、L2キャッシュが2倍で、VTがイネーブル、よりTDPが低いCPUとなる。Cedar Millより、結果的に付加価値が高くなるわけだ。

 Intelは2006年Q2にはバリューPC向けのCeleron DブランドにもCedar Millを投入する。Cedarmill版Celeron Dは、FSB 533MHzのまま現行のCeleron D(Prescott-V)から据え置きだが、L2キャッシュは512KBと従来のCeleron Dの2倍になる。こちらはVTはイネーブルされない。周波数とProcessor Numberは不明だ。

 Pentium Extreme Editionブランドについては、今のところこの先のプランの詳細はわからない。当然、PreslerバージョンやConroeバージョンが登場するはずと推定される。

□関連記事
【4月21日】【海外】デュアルコア中心のIntelデスクトップロードマップ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0421/kaigai172.htm
【3月9日】【海外】IntelのCPU&プラットフォームロードマップ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0309/kaigai164.htm
【1月28日】【海外】65nmプロセスでデュアルコアを一気に普及させるIntel
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0128/kaigai151.htm

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(2005年7月28日)

[Reported by 後藤 弘茂(Hiroshige Goto)]


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