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エプソン、複写機とプリンタの中間狙う「オフィリオ複合機」
~A3カラーレーザー複合機で30万円を切る

セイコーエプソン平野精一取締役(左)とオフィリオ複合機

7月下旬発売



 セイコーエプソン株式会社は、中小規模オフィスやSOHOを対象にしたカラーレーザー複合機として、「オフィリオ複合機」シリーズを新たにラインアップ。A3対応機の「LP-M5500」および「LP-M5500F」シリーズを、7月下旬から発売する。

 「カラーオフィス(カラー出力環境を備えたオフィス)の実現を目指すエプソンにとって、オフィスにおける新たな提案となる」(セイコーエプソン情報画像事業本部長・平野精一取締役)とする今回の製品は、インクジェットプリンタとデジタル複写機のちょうど中間層を狙った戦略的製品。

 「オフィスにおけるカラー化のデマンドはますます高まりつつあるが、デジタルカラー複写機は100万円以上と高価なものになり、中小企業やSOHO、営業拠点や各部門への導入にはハードルが高く、カラーオフィスの実現に弊害となっていた。今回の製品は中小企業のオフィスの要望に応えるもので、A3カラー複合機で30万円を切る価格を実現した」(平野取締役)と位置づける。

LP-M5500Fシリーズ オフィリオ複合機は、中間の空白地帯を狙った製品

 ベースモデルとなるA3対応機の「LP-M5500」は、298,000円から。FAXおよびADF付属モデルで398,000円からの低価格を実現した。

 「調査によると、カラー複合機をどの価格ならば導入するかとの設問に対して、30万円という価格帯に最も多くのユーザーが反応した。当社が発売している従来のカラー複合機に比べて約45%の低価格化を実現、さらにこれまでのモノクロ複合機と同価格帯で投入することに成功した」(エプソン販売・真道昌良社長)という。

 20万円台からの低価格実現に向けては、スキャナーコントローラ、コピーサーバー、プリンタコントローラを、新開発のMFPコントローラ「Hybrid-Sコントローラ」として開発。それほど多くは利用されないと思われるコピー機能、FAX機能などをシンプル化するなどの改良が加えられた。

 さらに、複写機では、一般的にカウンターチャージと呼ばれる印刷枚数に応じた費用がカウントされるが、今回の製品では、トナーカートリッジは自分で交換し、修理が必要な時にサービスセンターに連絡をとる、プリンタで一般的となっているメンテナンスフリー方式を採用。これにより、運用コストの大幅な削減も実現している。

 「一般的なカラー複写機では、保守費用などを含めるとカラーコピー1枚あたり35円から40円程度かかっていたが、オフィリオ複合機では、17.1円で印字できる」とした。

複合機が欲しい理由 中小企業では30万円程度が妥当な価格 ランニングコストは17.1円に低下

 同社が今回の新製品に対して、戦略的に取り組んでいる背景には、オフィスにおける出力環境の変化も見逃せない。

 「オフィスにおける出力は、複写機からプリンタへと移行している。また、FAXを利用するといった用途も減少しており、複写機、FAX、プリンタをそれぞれ専用機として導入するよりも、複合機として導入する方が、オフスの導線を再整備できたり、スペースも有効に活用できるというメリットがある。実際、複合機が欲しい理由として、複写機、プリンタ、FAXを統合したいというユーザーは34.2%に達している」(真道社長)という。

 一方、セイコーエプソン情報画像事業本部LP事業部・鈴木隆史事業部長は、「エプソンは、'99年に同様のコンセプトのコピーステーションを投入したが、当時は依然として複写機での出力が多かったこと、技術的に未熟だったこと、カラー化に対する要求が顕在化していなかったなどを背景に、成功にはつながらなかった。だが、現在は、世の中のワークスタイルの変化と技術進歩、低価格化のベクトルが一致した絶好のタイミング。オフィスが本当に求める製品が提供できたと自信を持っている」と語る。

今回発表した新製品のラインナップ キャラクターには引き続き柴咲コウさんを起用。「HEALTHY OFFICE PROJECT」として、オフィスの出力機器の統合、導線の整備などを訴える

本体に搭載されたScan to USBのポート

 また、ネットワーク上のパソコンからLP-M5500およびLP-M5500Fのスキャナー機能を操作できるほか、Scan to USB機能の搭載により、紙文書をスキャンしたのちにPDF形式などの電子データに変換、LP-M5500およびLP-M5500Fの本体に差し込んだUSBメモリに直接データを保存することができるようにした。

 「エプソンが持つプリンタの基本技術、複写の際に効果を発揮するカラー制御技術を搭載によって、高速化、高画質化を実現したオフィリオ複合機は、カラーオフィスを進展させる。この強い意気込みを感じてほしい」(平野取締役)とした。

 「LP-M5500」および「LP-M5500F」の仕様は、プリント速度がカラー10ppm、モノクロ40ppm。解像度はプリンタが600dpi、スキャナーが600dpi。内蔵RAM128MB(最大576MB)。USB 1.1および2.0、Ethernet対応。給紙方式は標準カセット250枚、MPトレイ150枚の2ウェイ方式。最大1,900枚の給紙を可能とした。

「LP-A500」 「LP-A500F」

 また、同社では、オフィリオ複合機のA4対応機「LP-A500/A500F」を6月17日から発売する。価格はオープンプライスだが、ベースモデルのA500が18万円前後、FAXおよびADF付属のA500Fが21万円前後の予定。

 そのほか、A3対応レーザープリンタの新製品としてLP-S5500(標準価格168,000円)を6月27日から発売したのに加え、従来から発売しているLP-7000CおよびLP-V500をオープンプライスとし、事実上の値下げを行なった。

 一方、同社では、オフィリオプリンタとのデータ連携によるオフィスにおけるドキュメントワークフローを提案する文書管理ソフト「Document Storage」、「Document Browser」をそれぞれ8月中旬から出荷する。

 同ソフトは、ハードとソフトの融合によりオフィスの新たな入出力環境である「エプソンシナジーオフィス」に準拠したもので、今回の2製品を皮切りに、今後、これに対応したソフトウェアが品揃えされることになる。

「Document Storage」 「Document Browser」

□セイコーエプソンのホームページ
http://www.epson.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.epson.co.jp/osirase/2005/050614.htm
□関連記事
【2002年11月12日】エプソン、ビジネス市場向け新ブランド“Offirio”
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1112/epson.htm

(2005年6月14日)

[Reported by 大河原克行]

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