Pentium D 830搭載、KOUZIRO「G-BREAK FRGB11A」



【写真1】「G-BREAK FRGB11A」

 5月27日に、Intelのメインストリーム向けデュアルコアCPU「Pentium D」が発表されたのに合わせ、PCメーカーからも搭載製品が続々と発表されている。KOUZIROの「G-BREAK FRGB11A」も、そうした製品の1つで、3GHz動作のPentium D 830を搭載する。

 Pentium Dには2.8GHz動作のPentium D 820、3GHz動作のPentium D 830、3.2GHz動作のPentium D 840がラインナップされており、Pentium D 830はその中間モデルということになる。発表されている1,000個ロット時の価格は、Pentium D 820が26,000円、Pentium D 830が34,090円、Pentium D 840が57,180円となっており、Pentium D 820との価格差がそれほど大きくないPentium D 830が、コスト面では導入しやすい製品といえる。

 ただ、Pentium Dの導入にあたっては対応チップセットを搭載したマザーボードを用意する必要があり、単にこれまで使っている環境のCPUを取り替えるだけでは済まない。自作PCに精通しているならともかく、従来からホワイトボックス系のPCを使っている人には、やや敷居の高い作業となってくるわけだが、PCの買い替えを検討する1つの機会という捉え方もできる。

●最新技術を詰め込んだマシンスペック

 まずは本製品の外観を見ていくことにしたい。筐体は、同社の従来製品でも使われているミドルタワー型を採用している(写真1)。ちょっと前までは、オーソドックスと表現されたであろうサイズだが、スリム型や、さらに小型のキューブPCなどが普及した今となっては、やや大ぶりに感じる人も少なくないだろう。

 ただ、このクラスの製品を使う上では、拡張性というのも重要である。例えば、側面パネルを開けてみると分かるが、本製品の拡張性は非常に高い。空きベイの数は5インチ×3、3.5インチ×2、シャドウ×3となっているほか、マザーボード上のスロットにはビデオカード以外の拡張カードは設置されていない(写真2)。

 加えて、5インチベイに採用されたレバーとネジを併用する仕組み(写真3)、取り外し可能なシャドウベイ(写真4)などは、ケースの片側のサイドパネルを開けるだけで作業が行なえる。また、拡張カードの脱落防止のプラスチックパーツが取り付けられている(写真5)など、メンテナンス性を考慮したケースが採用されている。こうした点を見てみると、むしろ大きいゆえのメリットのほうを強く感じる。

【写真2】ミドルタワーサイズのケースに、通常のATXマザーを装備。ベイ/スロットはほとんど空いており、拡張性は高い 【写真3】5インチ/3.5インチベイはレバーとネジを併用した固定方法で、片側のサイドパネルを開くだけで作業できる。レバーをロック方向にスライドさせるだけでも十分固定できるうえ、ネジを使ってさらに安定させることができる
【写真4】シャドウベイは丸ごと取り外し可能。ファンが一体化しているのは作業時にはやや不便だが、ファン交換や掃除などのメンテナンス性との兼ね合いもあり一長一短か 【写真5】拡張カードはネジ止めしたうえで、さらにプラスチックパーツにより脱落を防止することができる

【写真6】マザーボードはASUSTeKのIntel 945P搭載マザー「P5LD2 Deluxe」を採用

 それでは、本製品のスペックを見ていきたい。CPUにPentium D 830を使用しているのは前述のとおり。マザーボードは、チップセットにIntel 945Pを搭載するASUSTeKの「P5LD2 Deluxe」が採用されている(写真6)。このマザーボードに関する詳しい仕様は、ASUSTeKのサイトをご覧いただきたいが、Gigabit EthernetやIEEE 1394、eSATA端子を備えるなど、オンボード機能が充実したモデルである。

 ちなみに、Pentium D 830はCPU負荷に応じて動作クロックや電圧を変更するEnchanced Intel SpeedStep Technology(EIST)に対応するが、このマザーボードもEISTをサポートしており、BIOSで有効/無効を切り替えられる(画面1)。

 Pentium DシリーズのEISTは最低クロック2.8GHzと最高クロック3GHzまたは3.2GHzの2段階可変となるとされている。実際に試してもそのとおりに動き、負荷がゼロに近い状態では2.8GHzで動作し、負荷をかけた場合は3GHzで動作する(画面2、3)。ただ、クロックが上がった際に動作電圧が下がるということがあり、ちょっと腑に落ちない部分は残る。

 また、Pentium DのEISTは2つあるCPUコアごとにクロックや電圧を変更するわけではなく、2つのコアのクロックをまとめて上下させる仕組みを取っている。そのため、片方のコアしか動作していなくても、もう一方のコアの負荷が高ければ動作クロックは上昇することになる(画面4)。

【画面1】Pentium D 830はEISTをサポートしており、P5LD2 Deluxeでも機能を利用可能だ。BIOSに有効/無効の切り替えパラメータが用意されており、ここを「Automatic」にすればいい。もっとも、デフォルトでAutomaticに設定されているので、とくに変更する必要はない 【画面2】CineBench 2003とCPU-Z 1.29を使って動作をチェック。CineBench2003を実行する前は、CPU負荷が1桁の時、動作クロックは2.8GHzとなっている
【画面3】マルチスレッドレンダリングテストを実行すると、2つのコアがフル稼働を始め、動作クロックは3GHzへと上がる 【画面4】シングルスレッドレンダリングテストでは、片方のコアのみに高い負荷がかかるものの、それでもクロックは3GHzへと上がる

 メモリにはSamsung製のDDR2-533メモリを1GB(512MB×2)装備している(写真7)。メモリスロットは2スロットの空きがあり、現在搭載されているメモリを生かした場合でも最大3GBまで拡張でき、最大4GBまで拡張が可能となっている。

 ビデオカードにはMSIのGeForce 6600搭載製品「NX6600-TD256E」を採用(写真8)。使用しているスロットは、このビデオカードのPCI Express x16のみで、PCI Express x16×1、PCI Express x1×1、PCI×3が空いた状態となる。

 マザーボードとビデオカードの背面コネクタは写真9のとおり。ビデオカードにはD-Sub15ピンのほか、DVI出力とビデオ出力コネクタを備える。ビデオ出力コネクタはSビデオ/コンポジット/コンポーネントへのブレイクアウトユニットが付属し、コンポーネント出力にも対応する(写真10)。

【写真7】メモリはSamsung製のDDR2-533 512MB×2を搭載。マザーボード上のメモリスロットは2スロットの空きを残している 【写真8】ビデオカードはMSIのGeForce 6600搭載製品「NX6600-TD256E」を採用
【写真9】本体背面。マザーボードの機能としては、eSATA端子やデジタル音声出力の充実が目に留まる 【写真10】ビデオカードの出力端子はD-Sub15ピン、DVI、ビデオ出力を持つ。ビデオ出力のブレイクアウトユニットのほか、DVI-D-Sub15ピンの変換アダプタが付属する

 ストレージ関係に目を向けてみると、5インチベイ最上段には、DVD+R DL対応のDVDスーパーマルチドライブの日立LG製「GSA-4163B」を搭載(写真11)。3.5インチベイには、FDDとカードリーダーが一体化されたユニットを搭載している(写真12)。HDDはWesternDigitalの「WD Caviar SE(WD2500JD)」を搭載(写真13)。シリアルATA接続の250GBモデルである。

【写真11】5インチベイには、最上段に日立LGのDVDスーパーマルチドライブ「GSA-4163B」を搭載 【写真12】3.5インチベイにはCF/SD/SM/MSに対応するカードリーダーとFDDが一体化したユニットを搭載 【写真13】シャドウベイにはシリアルATA接続の250GB HDD、WesternDigitalの「WD2500JD」を搭載

 さて、本製品で使われているサプライ品の類をチェックしてみたいが、まずCPUクーラーにはAVCの「Z9M741T」が使われている(写真14)。このクーラーに関しては、AVCの製品紹介ページに同一の型番のものがなく、詳しい仕様は不明だが、3本のヒートパイプをアルミ+銅製ヒートシンクに貫通させ、そのうえに9cm角相当のファンが取り付けられる格好の製品である。サイドパネルにはこのCPUクーラーと直結する位置にダクトが設けられており、ケース外の空気を直接取り込んでCPUを冷却する仕組みになっている。

 もう1つ気になるサプライが電源ユニットだ。本製品ではDELTA ELECTRONICS「DPS-600MB」が使われている(写真16)。この電源は写真を見ても分かるとおり、12Vラインを4系統備えている。ATX Ver.2.01/SFX Ver3.01で12Vラインを2系統備えることが規定されたが、本ユニットはさらに強化しており、12Vを重視する現在の流れを考えると、将来に渡って長く使い回すこともできそうな電源ユニットである。

 キーボードとマウスは、どちらもマイクロソフト製が採用されており、こうしたホワイトボックス系製品としてはちょっと豪華だ(写真17、18)。

【写真14】CPUクーラーにはAVCの「Z9M741T」を搭載 【写真15】サイドパネルには大型のダクトが取り付けられており、CPUクーラーと外気と直接結ぶ格好になる 【写真16】電源ユニットはDELTA ELECTRONICSの「DPS-600MB」。12Vラインを4系統持つ、現在のPCプラットフォームでは理想的ともいえる電源だ
【写真17】付属のキーボードは、マイクロソフトの「MultiMedia Keyboard 【写真18】付属のマウスは、マイクロソフトの「IntelliMouse Optical」。キーボード/マウスともに、本体の外観にマッチする黒色モデルとなっている

●MCE2005やリネージュIIなどをプリインストール

【画面5】OSはWindows XP Media Center Edition 2005がプリインストールされる

 さて、本製品のソフトウェアをチェックしてみたいが、特徴的なのはWindows XP Media Center Edition 2005(MCE2005)を採用している点だ(画面5)。本製品にはテレビキャプチャーボードは搭載されていないので、とくにMCE2005である点のメリットは享受できないかも知れないが、より安いコストでProfessionalに近い機能を利用できることから、MCE2005が採用されているのだろう。もちろん、この点は製品価格に反映されていると考えてよい。

 このクラスの製品だとパフォーマンス面でMCE2005がデメリットになることがないか、心配になる人がいるかも知れない。そこで、プリインストールされたMCE2005と、本製品にWindows XP Professional SP2をインストールした状態で、それぞれベンチマークを実施してみた。なお、Windows XP Professionalをインストールした環境には、ASUSTeKのサイトで入手した各ドライバのほか、NVIDIAのサイトから入手したForceWare 71.84をインストールしている。ちなみに、最新のForceWareは71.89だが、プリインストールされたMCE2005環境もForceWare 71.84がインストールされているため、ドライババージョンを揃えている。

 結果は表に示したとおりで、その心配は杞憂であることが分かる。MCE2005がWindows XPのバリエーションバージョンであり、ある意味当然の結果ともいえるが、それを再確認できた格好だ。機能面での違いは存在するものの、少なくとも利用時におけるパフォーマンスのロスがないことは間違いない。

【ベンチマーク結果】
  MCE2005 Professional
PCMark04 PCMark 5693 5707
CPU 5839 5864
Memory 4686 4737
Graphics 2656 2394
HDD 4919 4954
CineBench 2003 Rendering (Single CPU) 251 264
Rendering (Multiple CPU) 480 479
TMPGEnc MPEG-2 32.5fps 33fps
3DMark05 800×600 2409 2414
1024×768 2068 2067
1280×1024 1660 1662
DOOM3 800×600 65.3fps 65.7fps
1024×768 49.6fps 49.5fps
1280×1024 33.6fps 33.5fps
3DMark03 800×600 6626 6590
1024×768 5164 5116
1280×1024 3712 3750
FF11 V3 Low 5883 5968
High 3820 3892

 CyberlinkのPowerDVDがプリインストールされているので、MCE2005のMedia Centerを使う上で必要なDVDデコーダの心配も不要だ。MCE2005対応のTVキャプチャーボードを購入すれば、Media Centerの機能を使うことができる。

 本製品はホワイトボックス系製品としてはバンドルソフトが豊富な点も特徴といえる。PowerDVDのほかにも、「主婦の友デジタル家計簿2004 LE」、「夢プリントEasy」、「筆王2004」、「デイジーコラージュ6」、「ThinkFree Office 2.2」、「ウイルスバスター2005 インターネットセキュリティ」といったホームユースのソフトウェアのほか、ゲームソフトの「AI囲碁/将棋/麻雀」「リネージュIIクロニクル3」などもバンドルされる(画面6、7)。

【画面6】バンドルソフトが多いのも本製品の特徴で、ラベル作成や葉書作成、オフィスソフト、家計簿ソフトなどホームユースのソフトウェアがプリインストールされている 【画面7】リネージュIIクロニクル3もバンドルされているが、これはHDDに収録されたセットアップファイルを実行することで利用可能になる

 本製品は全国のヤマダ電機でも販売されるため、ホームユーザーに必要なソフトウェアをあらかじめバンドルしておく必要があるのだろう。そのため、フロンティアシリーズのホワイトボックス製品よりも、ややメーカー製PCに寄ったイメージを持った製品ということがいえる。

 とはいえ、外観や中に組み込まれたパーツを見れば、ホワイトボックス系製品らしさも随所に現れている。大手メーカーのPCは個性が強すぎるという自作寄りのユーザーも納得できるはず。デュアルコア環境導入の第一歩として、現在のスペックもトレンドを程よく詰め込み、かつ拡張性も意識した作りは魅力だ。

 そういう意味では、拡張性や搭載パーツなどにこだわりを持つパワーユーザーから、近所の電気屋さんで購入できるホームユーザーまで、幅広いユーザーが受け入れられる製品といえるだろう。

□KOUZIROのホームページ
http://www.frontier-k.co.jp/
□製品情報
http://www.frontier-k.co.jp/product/game/rine2/index.asp

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(2005年6月9日)

[Reported by 多和田新也]


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