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COMPUTEX TAIPEI 2005レポート【パーツ編】
会場で見かけた気になるPCパーツ
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会場:Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/2/3
Taipei International Convention Center
会期:5月31日~6月4日(現地時間)
連日COMPUTEXレポートをお届けしているが、これまで紹介していない展示物のなかにも、未発表の製品などは数多く展示されている。ここでは、こうした製品のなかから気になるアイテムをピックアップして紹介したい。
●「Yonah用」をうたうCPUソケットが展示
日本ではあまり馴染みがないものの、OEM/ODM向けマザーや、マザーボード上のソケット類・I/Oコネクタ類などの出荷において世界でもトップクラスの出荷数を持つFOXCONN。同社のブースでは、こうしたマザーボード上のパーツを単品で展示しているのだが、このなかにIntelのモバイル向けデュアルコアCPUである「Yonah」用とされるCPUソケットが置かれている。
そのポップには「BGA479」と書かれているものの、これはおそらくマザーボードと接続する側のボール数だろう。CPU側のホール数は現在Dothanなどで利用されている479ピンソケットよりも1つ少ない。実際、ソケット上部には「mPGA478MT」という刻印もされており、478ピンソケットと見てよさそうだ。
ただ、レイアウトは、これまでのモバイル用478ピンソケットとも異なっており、Pentium 4のSocket478で規定されている「mPGA478A」と同様のレイアウトになっている。
FOXCONNのブースで展示されているYonah用ソケット | 参考までに、こちらはPentium Mなどで使われる479ピンソケット | 同じく現行のPentium Mで使われている478ピンソケット |
●DDR SDRAMを使えるRAMディスク作成ボード
GIGABYTEのブースで注目を集めていたのが、DDR SDRAMを使ったRAMディスクを構築できるボードだ。「i-RAM」と名付けられた本製品は、DDR SDRAMスロットを4基装備しており、最大で4GBのRAMディスクを作ることができる。PCとの転送インターフェイスはシリアルATA。ボード自体はPCIスロットに装着し、こちらから電源が供給される。
ちなみに、DRAMを使用するため、データ保持にリフレッシュが必要となる。PCの電源が切れている場合はスタンバイ電源のラインから常時供給し続けることでリフレッシュを行なうほか、コンセントを抜いた場合などスタンバイ電源も供給できない場合は、ボード上に置かれたバッテリにより約10時間のデータ保持が可能という。
当然HDD以上に高速なアクセスも可能で、PCMark04のHDD Testを利用して、HDDとの性能差をアピールしている。また、RAMディスクからのブートも可能で「Windows XP起動時のバーが、HDDからの起動では5~7回ぐらいスクロールするが、RAMディスクなら1回スクロールしただけで起動する」と、ブースの説明員は述べている。
なお、時期などは未定ながら、日本でも発売されることになりそうだ。1万円以下の価格が検討されている。
GIGABYTEが展示している「i-RAM」。一般的なDDR SDRAMを使って最大4GBのRAMディスクを構築できるボード | PCMark04 HDD Testの結果を使って、HDDとは比べものにならないほどの速度をアピールしている |
●Athlon64向けBTXマザーとNVIDIAの「C51G」
BTXといえば、Intelが推進する次世代フォームファクタであり、今のところIntel製CPUに対応した製品でしかBTX準拠のマザーボードは見られない状況である。だが、本イベントで、MSIがAthlon 64対応としては初めてとなるmicroBTXマザーをプライベートルームで展示した。
型番は「K8GMB」。Socket 939のCPUソケットとノースブリッジ、サウスブリッジが一直線上に並ぶ、BTXフォームファクタそのもののマザーボードだ。
気になるのは、そのチップセット。ブラケット部にはD-Sub15ピンが備えられているが、本製品にはNVIDIAのAthlon 64向けチップセットでは初のグラフィック統合型となる「C51G」が搭載されているという。
このC51Gは、NVIDIAのブースでも“次世代のGPU+MCP”と銘打って、搭載製品を展示している、現時点では未発表のチップセットである。そのため、ブーススタッフからは詳しい話が聞けなかったが、Athlon 64向けのnForce4シリーズとは異なり2チップ構成となっているのが1つの特徴といえる。
ただ、Athlon 64では、Athlon XP向けのnForce2 IGPのようにメモリコントローラを内蔵する必要はなく、さらにPCI ExpressやシリアルATAなど、ほかのインターフェイスやコントローラ類はすでにnForce4でMCP側にほとんど内蔵しているわけで、ノースブリッジ側はHyperTransport Linkを持ったグラフィックコアといった構造になっていると考えるのが自然だろう。ただ、これも推測に過ぎないので、詳しい仕様は正式な発表を待ちたい。
MSIの「K8GMB」。Athlon64向けとしては初めてのBTXフォームファクター製品 | ブラケット部にD-Sub15ピンのアナログRGB出力を装備。NVIDIAのグラフィック統合型チップセット「C51G」の機能を利用している |
C51Gのノースブリッジ | サウスブリッジとなるMCP51 | C51Gを搭載するBIOSTARの「CRU51-M9」 | |
同じくC51G搭載のFOXCONN「C51GK8MA」 | 同じくECSの「C51G-M」 | 同じくGIGABYTEの「GA-K8N51GMF-9」 |
●ECSとJETWAYのユニークマザー
SiS656+SiS965を搭載するマザーながら、アドオンカードによって別ソケットのCPUにも対応できる、ECSの「PF88」 |
3月にドイツで開催されたCebit 2005でも展示された、ECSの「PF88」。LGA775のPentium 4対応マザーボードながら、SIMAカードと呼ばれるアドオンカードを追加することで、Socket939のAthlon 64などを利用できるユニークな仕様の製品だ。
Cebit 2005で展示された際は、SiS756を搭載したSocket939対応のSIMAカードのみが用意されていたが、今回のCOMPUTEX TAIPEIでは、Socket 754のAthlon64/Turion64対応カードや、Socket 479のPentium M対応カードが展示されている。
今回の展示は、モバイル向けプロセッサへの対応を重視しているのが1つの特徴といえる。ちなみに、Turion 64のPower Now!やPentium MのEnhanced SpeedStepにも対応するそう。もちろん、Athlon 64のCool'n'Quietもサポートする。
このほかに、ECSでは「Scalable Dual Graphic Engines(SDGE)」と呼ぶアップグレードシステムのリリースも検討しているそうだ。
これは、マザーボード上に設置された2つのPCI Express x16のうち、通常は1つだけが使用可能な状態になっており、SDGEモジュールを装着することでもう一方のPCI Express x16スロットを有効にするというものだ。
PCI Express x16スロット×2を必要としない人にはローコストでマザーボードが提供でき、また、NVIDIA SLIやATIのCrossFireの導入を検討してはいるが初期投資を抑えたい人などに向けた製品という。なお、現時点ではサンプルなどもない状態で、実際にどのような形で登場するのか期待したい。
JETWAYのブースでは、PCI Express x16スロットを3基備えるマザーボード2製品を展示している。とはいっても、うち2基はNVIDIA SLI用に内部インターフェイスがPCI Express x8となっており、実際にx16動作となるのは中央の1基のみ。
これは同社の検証時、スイッチを使った場合はx16+x4構成に設定したにもかかわらず、ブートするたびにx8+x8になることがあり、動作が安定しないために生み出されたものという。つまり、ビデオカードを1枚だけ利用する場合は中央のx16スロットを利用。NVIDIA SLIなど2枚挿しする場合には両脇のx8スロットを利用するという仕組みになる。
同じくJETWAYのブースには、Socket754とSocket939の両方のソケットを備えるマザーボードも展示されている。同じコンセプトの製品として、ASRockの「K8 Combo-Z」が有名だが、JETWAYのブーススタッフは「ASRockの製品はULi製チップセットだが、こちらの製品はnForce4またはnForce4 Ultraを使っているのでPCI Expressを利用できる」と優位性をアピールしていた。
□COMPUTEX TAIPEI 2005のホームページ(英文)
http://www.computex.com.tw/computex2005/
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COMPUTEX TAIPEI 2004レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/link/comp04.htm
(2005年6月4日)
[Reported by 多和田新也]