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COMPUTEX TAIPEI 2005レポート

GIGABYTE Nan-Ping工場見学記
~オートメーション化で生産能力向上を目指す



 COMPUTEX TAIPEIに合わせて、報道関係者向けに工場見学ツアーを企画するベンダーは多く、毎年恒例のイベントの1つだ。昨年同様、GIGABYTEも同社のNan-Ping(南平)工場を公開。昨年以上にオートメーション化が進んだ同工場の見学記をお届けしたい。

●GIGABYTE最大の工場となるNan-Ping工場

Nan-Ping工場のフロア構成。実際の製造ラインは2~7階となる

 GIGABYTEのNan-Ping工場は、その名のとおり台湾の南平市に居を構える工場。同社は、このNan-Ping工場のほか、Ping-Jen(平鎮)工場、中国のDong-Guan(東莞)工場、Nin-Bo(寧波)工場と、4つの工場を持つ。

 敷地面積は2003年に操業を開始したNin-Bo工場に劣り、Nin-Bo工場の生産が軌道に乗り始めていることで、2大工場という位置付けになる日も遠くはなさそう。だが、Nan-Ping工場の生産力やライン数は同社最大。また、同社の主力製品であるマザーボードのほか、ビデオカードなどのアドオンカードの生産の多くを担っており、現段階では同社を支える最大の工場といって差し支えない。

 フロアは8階まであり、実際の生産は2~7階で行なわれている。このフロアはすべて荷物運搬用エレベータでつながっており、まず7階でSMTと呼ばれるチップ類の表面実装工程が行なわれ、続いて4~5階でコネクタ類などを取り付けるDIP工程と正しく動作するかをチェックするテスト工程を実施。2階でパッケージング工程が行なわれ、最後は1階からトラックで出荷されていく仕組みになっている。

 工場のラインはオートメーション化により、稼動コストを下げつつ、生産力を向上することを推進している。例えば、パッケージング後の出荷用梱包作業などはすべて機械化されているほか、昨年はSMT工程の最初の段階であるクリーム半田の塗布工程は人の手が加えられていたが、今回は一部ラインで自動化されているラインもある。

同社が持つ4つの工場の概要。Nan-Ping工場は同社では2番目に新しい工場で約1,800名が従事する Nan-Ping工場はマザーボードとアドオンカードの生産数が、同社の工場中もっとも多い ライン数も同社でもっとも多い。ただ、昨年よりもSMTのライン数が減らされ、一方でNin-Bo工場のライン数が増加している

●チップ類を実装するSMT工程

 今回はマザーボードの生産ラインを見学させてもらったが、マザーボード生産の最初の工程となるのが、チップ類をPCBに実装するSMTと呼ばれる工程だ。その流れを簡単にまとめると、

1.PCBへのクリーム半田の塗布
2.チップ類をPCBの表面に装着
3.表面のチップ類を半田付け
4.裏面も同様にチップ装着→半田付け
5.チップが正しく実装されているかを機械により検査
6.同じ検査を人の目視でも検査
7.ICT(In-Circuit Test)と呼ばれる回路検査

となる。先にも述べたとおり、クリーム半田の塗布はオートメーション化されたのをはじめ、ほぼ自動化されている。目視検査のほか、ICTにおける機械へのPCBのセッティング作業以外は、チップを装着する機械への部品供給やトラブル対処など、ごくわずかの人が動いているのみである。

PCBに装着するチップは機械(マウンタ)により自動的に装着されるが、そのマウンタに装着するために、BIOSチップなどのテープ化を人の手で行なっている マウンタに装着されたチップセットやサウンドコーデックチップ SMT工程の最初の段階がクリーム半田の塗布。昨年見学したときはクリーム半田を伸ばす作業を人の手で行なっていたが、今年は一部ラインで自動化されていた
マウンタによるチップ類の装着。目で追いきれないほどのスピードで次々にチップが取り付けられていく。まず表面を装着し半田付け。続いて裏面も同様に作業が進められる 半田付けが終わったあと、機械による検査を行ない、さらに目視による検査が行なわれる。型紙にはめて不足パーツがないかを確認するほか、軽く触れてチップが簡単に外れないかもチェック 電気信号が正しく流れるかをチェックするICT。テスト台へのセッティングは人が行なうが、テスト自体は自動進行する

●コネクタ類を装着するDIP工程、テスト工程を経て完成へ

 SMT工程が終わったPCBはエレベータを使って5階へ搬送され、DIP工程へと移る。DIP工程は、各種スロットやIOコネクタなどを装着して、マザーボードを完成させる工程だ。

 この工程は半田付けを除く、ほぼすべての工程が人の手による手作業となっており、1ライン当たり30名強のスタッフが作業に従事している。この工程の作業の流れを簡単にまとめると、

1. 半田付け前のコネクタが外れないよう粘着テープなどをPCB裏面に貼付
2. 17~20人程度のスタッフによるコネクタ類の取り付け作業
3. 取り付けたコネクタが正しくはまっているかなどをチェック
4. Fluxと呼ばれる半田付けをサポートする用材を塗布。霧状に射出して塗布する機械を使う
5. 半田付け。ここでは、Wave Solder Systemと呼ばれる、水槽いっぱいの半田を波打たせて、表面張力によって半田付けする機械が使われている
6. コネクタの余分を足を切断。ニッパや研磨機などを使った人力作業
7. 半田付けが不十分な箇所などをチェックし、必要に応じて人の手で半田付けを行なう
8. ヒートシンクなど半田付けの必要がないパーツの取り付け
9. SMT工程同様に、パーツ不足の目視検査とICTが行なわれる

といったところ。

人の手がもっとも加えられるDIP工程。写真はコネクタを取り付ける人だけで、背後には半田付け後の検査などを行なうスタッフが10名程度いる このように、メモリスロットやCPUソケット、IOコネクタなどが人の手によって次々に装着されていく 半田付け後は目視によるチェックが行なわれ、必要に応じて半田ゴテを使って修正される
最後に半田付けの必要がないパーツを固定していく。これもすべて手作業 DIP工程は人間の作業スピードが生産力を決める場所のためか、一日の生産目標と実際の目標数などが常時カウントされ、電光掲示されている

 このDIP作業が完成したら、いよいよ製品の最終テストだ。テスト工程では、Functional Testと呼ばれる専用のテストプログラムを利用した自動テストのほか、実際にBIOSやWindowsの起動を行なったり、接続したI/Oデバイスの動作を確認するManual Testが行なわれる。

 また、DIYユーザーを意識して、メモリやHDD、光学ドライブなど、さまざまな機材を用意しての相性テストなども実施されている。

 この後は、製造ラインを示したシールが貼付されているかなど、事務的な最終目視検査を終え、パッケージング工程へと移る。パッケージング工程は2階で行なわれている。

 パッケージング工程は、最初の化粧箱の組み立てのみが自動化されているのみで、完成したマザーボードの袋詰めや箱詰めなどは、すべて手作業。1ライン当たり10名強のスタッフが作業を行なっている。

 そして、パッケージングが終われば製品としては完成となる。最後に出荷用の梱包を行ない、付属品不足を確認する意味も含めた重量チェックなどを経て、出荷されることになる。

テスト工程では、まずテストプログラムを使ったFunctional Testと呼ばれる自動テストが実施される 続いて人の手による起動チェックやIOデバイスなどの検証。写真は「Original Test」と同社スタッフが述べている、各コネクタのIOテスト こちらはDIYユースを想定した、実際にさまざまな機器を接続しての相性テスト
パッケージング工程の最初は化粧箱の作成から。本題からは少し逸れるが、GIGABYTEではこれまでの「8Σ」ブランドに替わり「iDNA」ブランドを展開していくとのこと 化粧箱の組み立ては機械化されている。パッケージング工程唯一の自動化部分だ
袋詰め、箱詰めはすべて手作業。約10名のスタッフがラインに並び、付属品などを順番に詰めていく パッケージングが終わったら出荷用の梱包作業だ。運搬用ダンボールへの箱詰めは手作業だが、その後のテーピングや重量チェックなどは自動化されている

□COMPUTEX TAIPEI 2005のホームページ(英文)
http://www.computex.com.tw/computex2005/
□関連記事
【2004年6月4日】【COMPUTEX】GIGABYTE Nan-Ping工場見学編
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0604/comp17.htm

(2005年6月3日)

[Reported by 多和田新也]

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