COMPUTEX TAIPEI 2004レポート【GIGABYTE Nan-Ping工場見学編】

マザーボードの製造からパッケージングまで写真で紹介


GIGABYTE Nan-Ping工場
会場:Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/2/3
   Taipei International Convention Center
会期:6月1日~5日(現地時間)


 GIGABYTEは今回のCOMPUTEX TAIPEIにあわせて、報道関係者向けに同社のNan-Ping(南平)工場見学ツアーを開催した。こうした工場見学ツアーというのは、実はそれほど珍しいものではなく、毎年のように開催されている。しかし今回は普段なかなか許可されない、工場内の写真撮影が許可されたので、マザーボードの製造やパッケージングがなされる様子を写真で紹介していきたい。

●マザーボードやビデオカードなどを製造するNan-Ping工場

 今回訪れたNan-Ping工場は、COMPUTEX TAIPEIが開催されている台北国際貿易センターからバスでおよそ1時間。古い建物も残る町並みのなかに、近代的な作りのビルがそびえたっている。このなかで、同社の主力製品であるマザーボードやビデオカードが製造されているのだ。

 Nan-Ping工場は2000年10月に操業開始された、同社しては2番目に新しい工場。45平方kmの敷地を持ち、工場内では1,800人の従業員が働いているという。

 同社が保有する工場は全部で4つ。台湾のNan-Ping工場、Ping-Jen(平鎮)工場。中国のDong-Guan(東莞)工場、Nin-Bo(寧波)工場だ。Nan-Ping工場は最大の生産能力を持つ工場で、マザーボードが月産80万枚、ビデオカードなどの拡張カードが月産40万枚と、それぞれ同社全体の半分近くを製造している。

 今回はこのうちマザーボードの製造ラインを見学した。製造の流れを大きく分けるとSMT、DIP、テスト、パッケージングに分けられる。工場内は、例えばマザーボードのSMTが7階、DIPが5階、といった具合に工程別にフロア分けされており、各工程終了時にエレベータを使って次の工程のフロアに製品が届けらる。

GIGABYTEは台湾に2工場、中国に2工場の計4工場を抱える 同社の主力製品であるマザーボードとビデオカードなどの拡張カード類の半分近くがNan-Ping工場で製造されている 工程別のライン数。この表からもNan-Ping工場がGIGABYTE最大の生産量を誇ることが分かる
製造の工程。工場内のフロアも工程順に上の階から下の階に降りていくように分けられていた 各工程終了後に製品を次の工程へと運搬するエレベータ

●マザーボードの基礎を作るSMT工程

 それでは、各工程を紹介していこう。最初に見学させてもらったのはSMTと呼ばれる工程だ。マザーボードのSMT工程は工場の7階にラインが用意されており、ここではPCBにチップセットやオンボードデバイスのLSI、コンデンサや抵抗などを取り付ける表面実装作業が行なわれる。

 この工程はほぼすべてが自動化されており、ライン上に人の手が加わっている個所は、シルク印刷用の塗料を用意する人、ラインの最後で製品をチェックする人といったところで、1ラインあたり5~6人程度。

PCB上に取り付けられるチップ抵抗やコンデンサが収納されたテープ いわゆるシルク印刷を行う印刷機。手前にいる人が塗料となるクリーム半田をセットする、このラインでは数少ない人の手が加わる部分 続いてチップ抵抗やコンデンサなどをPCB上に取り付ける作業。この機械「High Speed Chip Placer」という名前なのだが、確かに速い
写真ではちょっと分かりづらいのだが、ここではチップセットやオンボードデバイスなどのLSIを取り付けている この機械を通して、ここまでのラインで固定されたチップ抵抗やコンデンサ、LSIなどをハンダ付けする作業が行われる 最後は人の手によるチェック作業が行なわれる。まずはプレートをあてて、正しい位置にパーツが取り付けられているかを確認している
取材中、偶然にもチェックが入ったPCB。PCBの端が欠けているためにシールが貼られた PCBの確認が終了したら、実際に電気を通してのテストが実施される

●マザーボードを完成させるDIP工程とテスト風景

 SMT工程が終了したらフロアは5階へ降り、DIP工程へと移る。このDIP工程では、CPUやメモリ、PCIなどのスロット類やI/Oコネクタ、チップセットのヒートシンクなどの取り付け作業が行なわれる。

 SMT工程とは異なり、こちらはほぼすべてが人による手作業で行なわれており、スロットの半田付けが機械化されている程度だ。1ラインあたり30人近くの手が加わっており、メモリスロットを取り付ける人、パラレルポートを取り付ける人など、かなり細かく分業化されていた。

 このDIP工程を持って、いちおうマザーボードは完成となる。このあとは同じフロアでテスト作業が実施される。テストは電気的に問題がないかを確認するテスト、BIOSを起動したりOSの動作をチェックする動作確認テストが一通り行なわれている。また、完成製品の一部は恒温槽に入れられて耐久テストも実施されている。マザーボードのMTBF値などは、この耐久テストから導き出されるわけだ。

DIP工程は始めにスロットやコネクタ類を固定するための両面テープやボンドを付着させるところからスタートする 写真の人は紫色のメモリスロットを取り付ける担当の人。所定の個所に「パチッパチッ」とパーツをはめ込んでいく SMT工程とは打って変わって大所帯のDIP工程。1人あたり多くても2~3個のスロットやコネクタを取り付けるのみ
DIP工程では唯一といっても良いオートメーション化された部分。この機械を通すことで、はめ込まれたスロットやソケットが半田で固定される ここでは、ロクロのように自動回転するヤスリの上で、マザーボードの裏面にはみ出ているピンを削る作業が行なわれる これがDIP工程のラスト。電気的に問題のないマザーボードかを機械がチェックし、OKならば画面上に「良品」と表示される
ここからがテスト工程。実際にCPUやメモリ、HDDなどを取り付け、BIOSやOSの起動がチェックされる こちらは恒温槽での耐久テスト。同じような恒温槽が数台用意されており、マザーボードだけでなくビデオカードも同様にしてテストされる 恒温槽は40℃前後が維持され、3DMark2001をループさせるテストが行なわれている

●出荷目前のパッケージング工程

 マザーボードが完成。テストも通ったら、最後はパッケージングだ。このパッケージング工程も多くは人の手によって行なわれており、自動化されているのは製品の化粧箱の組み立て、製品を段ボールに詰めてベルトで閉じるところなど。ベルト上を流れる化粧箱に、マザーボードや付属品を詰めていく作業がメインだ。この工程を終えると、いよいよ出荷されるわけである。

パッケージングラインの脇に山積みされた化粧箱 この化粧箱は機械が組み立てる。まず中央部を叩き、その後4辺を折りたたむように組み立てられる マザーボードごとに割り振られた番号をスキャンし、この製品がどのラインでパッケージングされたものかをチェックできる
マザーボードを静電袋に入れる人、その袋をシールで留める人など、DIP工程同様に細かく分業化されている 付属品を担当する人。マニュアルやIDEケーブル、CD-ROMなどの付属品を規定の数ずつ箱に収める ここまでくると、秋葉原に詰まれているマザーボードの箱と変わらない。最後にバーコードや製品仕様などが書かれたシールを貼り付ける
その後、輸送用の段ボールに箱詰めされ、ベルトで締められる。この箱詰め作業はすべて機械化されている 出荷を待つマザーボード。こうして作られたマザーボードが消費者のもとへと届けられるわけだ

【お詫びと訂正】初出時に、一部キャプションについて誤った記載がありました。お詫びして訂正させていただきます。

□GIGABYTEのホームページ(英文)
http://tw.giga-byte.com/
□日本語ページ
http://www.gigabyte.co.jp/

□COMPUTEX TAIPEI 2004のホームページ(英文)
http://www.computex.com.tw/computex2004/

(2004年6月4日)

[Reported by 多和田新也]


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