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ATI、テクノロジーセミナーを開催
~データを基にNVIDIAに対する優位性を主張

3月23日 開催



 ATIテクノロジーズジャパン株式会社は23日、「テクノロジーセミナー」と題したプレス向け説明会を開催した。

 ATIはライバルのNVIDIAと比べ、これまでこういった説明会を開催することは少なかったが、今回の開催を皮切りに、今後世界各地で積極的に行なっていくという。内容は既存技術に関するもので、将来の技術や製品についての紹介はなかったが、詳細なデータを元に同社技術/製品の長所や競合製品に対する優位点を正しく理解してもらうのが狙いだ。

 今セミナーでは、Vijay Sharma氏(Manager, Product Marketing Desktop Discrete Graphics Marketing)と、Alexis Mather氏(Technical Marketing Manager, Advanced Technology Marketing Group)が、それぞれ「HyperMemory」技術とビデオ技術について解説を行なった。

●HyperMemory技術

Vijay Sharma氏

 「HyperMemory」は、双方向で8GB/secというPCI Express x16の広い帯域を活用して、システムメモリの一部をビデオメモリとして利用することで、少ないローカルメモリでも大容量メモリ搭載製品と同等の性能を実現する技術。同様の技術はNVIDIAも「TurboCache」という名称で実装している。

 同技術を搭載したビデオカード「RADEON X300 SE 128MB HyperMemory」では、カード上に32MBのローカルメモリしか搭載しないが、メインメモリから最大96MBをビデオメモリとして利用でき、128MBのビデオメモリを搭載したのと同様に動作できる。

 メモリの割り当てや管理はドライバレベルで透過的に行なわれるため、アプリケーションは、メインメモリにアクセスするのか、ローカルメモリにアクセスするのかといったことを意識する必要はない。また、ローカルメモリとシステムメモリには同時にアクセスできる。

HyperMemoryの概要(左)と模式図(右)

 Sharma氏は、3DMark 2001 SE、FarCry、Half-life 2、DOOM3などにおける、RADEON X300 SE 128MB HyperMemory、GeForce 6200 with TurboCache(オンボード32MB/128MB相当)、Intel 915Gチップセット内蔵ビデオの比較ベンチマークをいくつかの視点から紹介した。

 それによれば、RADEON X300は、まず絶対性能の面で競合製品を圧倒。さらに、RADEON X300の価格は約59ドルとGeForce 6200の約79ドルより安価なことから、ベンチマークの数値を価格で割った価格性能比でも優位に立つことを示した。

 Sharma氏が紹介した別のグラフによれば、RADEON X300が158ドルの投資で実現する性能をGeForce 6200で達成するには448ドルの投資が必要になると言う。

各種ベンチマークの絶対性能 左の性能を価格で割った数値 RADEON X300が158ドルで実現する性能に、GeForce 6200では448ドルかかる

 また、価格が安価なことはIntel 915Gのようなチップセット内蔵ビデオからのアップグレードにも最適だとした。Sharma氏は、Intel 915G搭載PCに59ドル投資して、RADEON X300を追加することで、ゲームのフレームレートが2倍以上に伸び、快適にプレイできる最低ラインの30fpsを超えることを紹介。

 続いて、同氏は「ではこのフレームレートの差が59ドル分の価値があるのか?」と自問した上で、FarCryも59ドルであり、その価値は明白だとした。

 動画の再生性能についても言及され、DivX、H.264、WMV HD、MPEG HDの再生テストにおいて、GeForce 6200ではCPU占有率が高かったり、フレーム落ちすることがあるのに対し、RADEON X300ではそのような問題は起きないという。

 このように、ATI製品がより高い性能を出せる理由についてSharma氏は、HyperMemoryのメモリインターフェイスが64bitであるためとし、TurboCacheの32bitでは十分な帯域が稼げないことを指摘した。

Intel 915G内蔵ビデオとRADEON X300の性能比較 RADEON X300とGeForce 6200のAnti-Aliasの性能比較 RADEON X300とGeForce 6200のビデオ性能比較

●ビデオ技術

Alexis Mather氏

 続いてのセッションでは、Mather氏がビデオ技術について解説した。

 GPUのビデオ処理技術は、NVIDIAがGeForce 6シリーズにビデオ処理専用回路を搭載し、「PureVideo」の名称で積極的なマーケティングを行なっているため、ともすればATI製品よりNVIDIA製品の方が高性能という印象が持たれるが、Mather氏は実際はそうではないと反論した。

 輪郭部のギザギザを補正するデインタレースについては、PureVideoでは有償の専用デコーダが必要になる点を指摘。専用デコーダをインストールした場合でも、ギザギザはなくなるが、同時に輪郭部以外で映像のディテールが失われるという。また、画質チェック専用のパターンではPureVideoの効果が認められる点もあるが、一般的な動画を再生する上では、認識できる差はでないとした。

 さらに、Mather氏は、NVIDIAのデコーダには、3:2プルダウンの処理にバグがある点や、色の再現性で問題がある点なども指摘した。

NVIDIA独自のデコーダを使うと、赤と白の間のギザギザはなくなっているが、もともとあったディテールが失われている(画像はコントラストなどを補正して分かりやすくしたもの) ATIとNVIDIAのテストパターンでの画質比較。上の旗では、NVIDIAの方がきれいだが、下のパターンではATIの方がフチがスムーズで、ATIも一長一短だとしている デインタレースなし(左)、NVIDIA(中)、ATI(右)の比較。写真では分かりづらいが、左ではフチ部分に乱れが生じているが、中と右には生じておらず、ほとんど同等の画質
左側はNVDIAの専用デコーダを使用したシステムの画面。本来同デコーダは3:2プルダウン補正機能を持つが、このシーンでは正常に機能せず、2つのフレームが重なって表示されている。一方、NVIDIAのGPUで専用デコーダを使わなかった場合(右)ではこの現象は発生していない ATIの独自機能「Block Filtering」。ビットレートの低い動画で発生するブロックノイズを除去する。上側が適用画面

 実機を用意して、3D処理と動画再生を同時に行なったストレステストも実演され、GeForce 6600がRADEON X700に対し、非常に低い性能しか出せない結果を紹介し、GeForce 6600における「ビデオ処理専用回路」の意義について疑問を投げかけた。

 Mather氏は、ATIはNVIDIAよりビデオについて古くから取り組んでおり、家電市場でもATIのチップが米SonyやSamsungのTVに採用されている実績などを挙げ、今後もビデオ技術でのリーダーシップを取り続けるとした。

3D処理と動画再生を同時に行なうストレステストの模様。左はRADEON X700、右はGeForce 6600搭載システム。GPU以外は同条件 ストレステストのベンチマーク結果

□ATIのホームページ(英文)
http://www.ati.com/
□製品情報
【3月3日】ATI、「HyperMemory」搭載のGPU「RADEON X300 SE HyperMemory」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0303/ati.htm
【2004年12月20日】NVIDIA、GeForce 6200 with TurboCache説明会
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1220/nvidia.htm
【2004年12月16日】NVIDIA、ターボキャッシュ搭載のGeForce 6200
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1216/nvidia.htm
【2004年11月8日】ATI、Athlon 64用PCI Express対応チップセット「RADEON XPRESS 200」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1108/ati.htm

(2005年3月23日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

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