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NEC、新型パーソナルロボット「PaPeRo 2005」と
「チャイルドケアロボットPaPeRo」を発表

新型パーソナルロボット「PaPeRo(パペロ) 2005」(左)と、愛・地球博でデモ展示される「チャイルドケアロボットPaPeRo」(右)

3月16日 発表



 NECは16日、機能を強化した新型パーソナルロボット「PaPeRo 2005」を開発したと発表し、デモを行なった。音声や画像など認識能力が大幅に向上し、さまざまなセンサ情報を使ってより多様なインタラクションが可能になった。

●PaPeRo2005

PaPeRo2005

 「PaPeRo2005」は高さ38.5cm、重量約6kg。8つのマイクを搭載。時間差から音声がする方向を検出する。「ノイズキャンセラー」機能で家庭内など雑音の多い環境での音声認識や、「エコーキャンセラー」機能でロボットが話している途中でも人の声を認識できるようになった。テレビをつけたままの環境でも音声認識できるなど、従来に比べてノイズ下での認識誤りが1/3、ロボット発声中の音声認識誤りは1/5になったという。

 また手書き文字を認識し、名前を覚えたり数式を読んで計算する文字認識技術、手振りや振り子を画像認識する技術などを開発し、新規に搭載した。これまでは顔認識ができる距離でなければ人間を認識できなかったが、身振りを使うことで離れた人を見つけて近寄っていくことができるようになった。その結果、多様なインタラクションが可能になったという。

 PaPeRoは'97年から開発されはじめた。2001年には安全性、信頼性、可搬性を向上させた新型を開発。その後も、実体を持ったキャラクターがどのように受け入れられるかについて、家庭内など実環境のなかでテストを続けてきた。

 今回NECでは、飽きずに長く使ってもらうこと、PaPeRoにユーモア機能を搭載することを狙い、お笑い芸人のぜんじろうと、ロボットにユーモアの表現能力を持たせるための共同研究を行なった。「ぱぺじろうとぜんじろう」というスタイルで漫才を行なう様子などがビデオで披露された。

背面 頭部
基本スペック。従来のPaPeRoとの比較 数字を見せることで計算を行なってくれる

【動画】テレビのすぐそばにいても音声認識が可能
【動画】書き文字認識で名前を覚えさせることができる
【動画】ぜんじろうとの早口言葉コント
【動画】ダンス。複数台のPaPeRo間で通信を行なうことができるようになった

●チャイルドケアロボットPaPeRo

チャイルドケアロボットPaPeRo

 あわせて、パペロの技術をもとに愛・地球博にてデモ展示される「チャイルドケアロボットPaPeRo」も発表された。NEDOの支援を受け、子供向けに機能特化したもので、愛・地球博のロボットステーション内「ロボットふれあいルーム」でデモ展示される。

 チャイルドケアロボットPaPeRoは子供とのやりとりに重点を置き、騒がしい展示会場でも音声認識できるように音声認識能力をさらに強化。また大人と違い、子供はロボットに対してじっと顔を見せることもなかなかしないが、動きの激しい子供相手でも顔を認識できるように、正面を向いている顔を自動選別し、子供向けに性能改善した顔認識エンジンを搭載するなど認識性能を向上させている。

 安全面でも、モーター出力の抑制、突起をなくす、指の挟み込み危険性を減らすなどした。またロボットのボディをさわりたがる子供向けに、ボディ各所に静電容量式のタッチセンサを内蔵。PaPeRoがならす音楽に合わせてさわると、音楽を鳴らしてくれる等のアプリケーションをデモした。

 また保育園などでの運用を考慮し、携帯電話(FOMAカード)を搭載し、遠隔からPaPeRoのカメラを通じて両親が子供の様子を見るといった機能を搭載。PaPeRoに動作を指示したり、PaPeRoのマイクやスピーカーを使った通話も可能。PaPeRo内部に電話帳を持つことで、非通知や知らない電話番号からの電話は出ないといった機能も搭載されている。PaPeRo側からも電話をかけることができる。

 そのほか、「パペザック」と呼ぶ超音波タグ付きのジャケットを着ることで、着用者がどこにいるのかを数cmの誤差で検出が可能。ザックを着た子供を点呼したり、また、超音波タグを使った遊びなどもできるようになった。またワイヤレスマイクをつけ、間にPCサーバーを入れることで同時に複数の人物の音声の同時認識を実現。愛・地球博では音声認識による「パペクイズ」などのデモが行なわれる予定だ。

チャイルドケアロボットPaPeRoのハードウェア。超音波タグレシーバーやバンパーセンサーなどが追加されており、少しだけ胴体も太くなっている 「パペザック」構成
パペザックを使った点呼のデモ。腰につけられているのが超音波タグ PaPeRoに電話をかけて遠隔操作できる 子供がさわれるように静電容量方式のタッチセンサを装備

【動画】音楽にあわせてPaPeRoにタッチすると、しゃんしゃんと手拍子のような音を出す

 NECでは従来から、のべ千時間の家庭内評価そのほかの結果、PaPeRoは特に子供向けにニーズが高いと判断していた。そこでNEDOの「次世代ロボット実用化プロジェクト」のチャイルドケアロボットに応募し、開発に至ったものだという。

 実際にどの程度PaPeRoの機能は上昇し、実環境で使えるものになったのか。記者を前にしたデモでも音声認識に失敗したり、突然PaPeRoがしゃべりだして会場の笑いを呼んだりするシーンがあった。万博では「子供」というさらに厳しい環境にさらされることになるが、実用性においても半年間の運用を通じて実証を行なっていきたいという。

 愛・地球博でのデモは1時間に2回、1回あたり15人。3台のロボットを使い、1台で5人を相手する。子供向けがメインだが、大人一般向けの技術デモコーナーも用意される。

 費用やコストは非公開。将来、市販するとすればいくらくらいになるかという質問に対しては、今回は数十台の試作品なので1台あたり数百万円かかっているが、基本的に部品はノートPCの部品を使っており、価格はノートパソコン並、あるいはそれ以下の価格も可能だとしている。

 PaPeRoは今後どのようにNECのビジネスに結びつけられていくのか。NECメディア情報研究所所長の山田敬嗣氏は「我々はロボットではなく『ロボットのいる暮らし』を研究している」と述べ、今後のビジネス展開についても、機械と人をインタフェースする、人にやさしく使いやすいもの、たとえば機械が自ら人に使い方を教えていく技術のとっかかりとなると考えていると述べた。

□日本電気のホームページ
http://www.nec.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0503/1602.html
□関連記事
【2月1日】NEDO、愛・地球博におけるロボットの安全基準を公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0201/nedo.htm
【2004年6月17日】NEDO、愛知万博に100体のロボットを投入
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0617/nedo.htm

(2005年3月16日)

[Reported by 森山和道]

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