笠原一輝のユビキタス情報局

デュアルコアプラットフォームを支えるチップセット
〜IntelとNVIDIAがPentium D向けチップセットを公開





 3月1日(現地時間)からサンフランシスコで開催されているIntel Developer Forum(IDF)では、Intelが盛んに“プラットフォーム”という言葉を繰り返すシーンが目につく。Intelは1月に、プラットフォーム単位の事業本部体制に再編したばかりで、その直後に行なわれた今回のIDFは、いわばそのお披露目であるからだ。

 Intelが最初にプラットフォームという言葉を製品に当てはめたのは、言わずとしれたCentrinoモバイル・テクノロジ(CMT)だ。初代CMTは、Carmel(カーメル)プラットフォームというコードネームがつけられ、CPUだけでなくチップセットと無線LANをセットにしたプラットフォームの製品として販売され、結果的にPentium MというCPU名よりも、Centrinoの名前の方が有名になるなど成功を収めた。

 現在のIntelは、デスクトップPCでそれと同じことをやろうとしている。ただし、無線LANが存在し得ないデスクトップPCでは、実際にはCPUとチップセットの組み合わせになる。

 Intelが第2四半期に導入を予定している“デュアルコア”CPUとなるPentium Extreme EditionやPentium D(開発コードネーム:Smithfield)では、組み合わせられるチップセットとしてIntel 955/945(開発コードネームGlenwood/Lakeport)が利用されることになる。

 今回のIDFでは、このIntel 955/945の詳細が明らかにされたほか、サードパーティとなるNVIDIAからもPentium Dに対応するチップセットが公開された。


●GlenwoodはIntel 955X、LakeportはIntel 945という製品名に

LakeportことIntel 945Gを搭載したPC。実際にライブデモが行なわれていた

 開発コードネーム「Smithfield」でよばれてきたPentium Extreme Edition、Pentium DというデュアルコアCPU向けにIntelが用意しているチップセットが、開発コードネーム「Glenwood、Lakeport」とよばれる製品だ。

 今回、正式に製品名が発表され、GlenwoodがIntel 955X、LakeportがIntel 945となることが明らかにされた。Intel 945には単体型のIntel 945P、グラフィックス内蔵型のIntel 945Gの2つのモデルが用意される。

 いずれの製品もスペックなどの詳細も明らかにされたが、その詳細はこの連載で以前お伝えした内容とほぼ同じ。唯一アップデートされた点が、Intel 955XのPCI Express x16周りだ。

 Intel 955XのノースブリッジであるMCHはPCI Expressのx16をサポートするが、x16のスロットを装着すると1スロットだけになり、そのままではNVIDIAのGeForce6シリーズでサポートされているSLIに対応できない。そこで、ブリッジチップを用意し、2つのx16レーンが実装できるようになるという。これにより、マザーボード上に2つのx16スロットを用意でき、2枚のGeForce6シリーズのビデオカードを利用してSLI環境を構築可能になる。ただし、チップセット側にはx16で上り下りそれぞれで4GB/秒の帯域しか確保されていないため、帯域幅が倍になるわけではい。

●ビデオ再生周りの機能が強化されたIntel 945G

 基本的にはIntel 955X、Intel 945P/Gは、現行製品のIntel 925X、Intel 915P/Gの発展系となっている。メモリがDDR2-667に対応したり、シリアルATAがシリアルATA IIで規定されている帯域幅が3GbpsとなるシリアルATA-300に対応するなど、細かい部分での強化が目立つ。

 そうした中でもっとも大きな強化点と言っていいのが、Intel 945Gに内蔵されている統合型GPUの機能だ。といっても、GPUそのものは、Intel 915Gに内蔵されているDirect X9に対応したGMA 900の強化版で、クロック周波数が引き上げられる程度の進化となっている。

 大きく強化されているのは、主にビデオ再生周りの機能だ。従来のIntel 915Gに内蔵されていたGMA 900は、MPEG-2の再生支援機能は内蔵していたが、最近の流行である「MPEG-2 HD再生支援機能」は用意されていなかった。このため、デジタルTVで利用されているような1080iや720pの映像を再生するとCPU占有率がやや高くなってしまっていた。Intel 945Gではこの点が改善されている。

 また、新たに「ADD2+」とよばれるアドオンカードがサポートされた。元々Intel 915Gでは「ADD2」とよばれるアドオンカードが用意されていた。これは、PCI Express x16のスロットを利用するものの、電気的には「SDVO」とよばれるGMA 900専用ポートとして利用するもので、Intel 915GにDVI端子やアナログRGB出力を追加する場合などに利用されてきた。

 Intel 945GでサポートされたADD2+では、新たにPCI Express x1のインターフェイスが追加され、PCI Express x1とSDVOポートが同時に利用できるようになった。これにより、たとえばTVチューナーカードとDVIポートのコンボカードなどを作ることが可能になった。

 実際、IDFの展示会場にはADD2+対応製品としてTVチューナーカードとDVIのコンボカードなどが展示されていた。ADD2+のカードを利用するメリットは、なんといってもコストが安価なことだ。これまでであれば、DVIポートの装着にADDカード、さらにPCIバスにTVチューナカードとして拡張カード2枚分のコストがかかっていたことになる。しかし、ADD+になれば、それが1枚になるので、少なくとも基板1枚分のコストは削減できる。コストにセンシティブなOEMベンダが、リビング向けのPCであるePC(Entertainment PC)を製造する際には、有力な選択肢となるだろう。

Intel 945Gの新機能を説明するスライド。大きな機能強化は、主に内蔵グラフィックス周りのもの ADD2+のカードを説明するもの。登場時には、アナログチューナのみの対応だが、今年の後半にはデジタルチューナも搭載可能になる

●コンポーネント出力に対応したADD2+、D端子やHDMIにも対応

 ADD2+のもう1つの大きな特徴は、従来のADD2では、DVIとアナログRGBしかサポートできなかったのに対して、新たにコンポーネント出力に対応したことだろう。

 ADD2では、コンポーネント出力は非対応で、アナログ出力の場合は、アナログRGBとSビデオないしはコンポジット出力しか対応できなかった。ADD2+の新しいビデオ出力は7ピン配列になっており、Sビデオやコンポジットだけでなく、コンポーネント出力にも対応できる。また、D端子にも対応可能で、IDFの展示会場ではD端子を装着したADD2+カードが展示されていた。

 また、Intel 945Gの内蔵グラフィックスはHDCPにも対応している。つまりオーディオの入出力をADD2+カードに内部で接続すれば、HDMI端子が利用可能になる。近い将来には、HDMI端子を備えたPCというのも現実的になってきた。

 なお、ADD2+ではコンポーネント入力を備えることも原理的には可能になっている。このため、条件が整えば、コンポーネント入力で高解像度のアナログ出力をキャプチャすることもできるようになる可能性がでてくる。

ADD2+カードでは、コンポーネント入出力やD端子などを追加できる。また、HDCPにも対応しているのでHDMI端子を装着することもできる ASUSのPVR-510は、ATIのTheater 550 PROを搭載したADD2+カード PixelViewのADD2+カード。DVI端子とD端子をPCに追加できる

●NVIDIAがPentium D向けチップセット「Crush19」をデモ

 NVIDIAはIDFにおいて、Pentium XE/Pentium D向けチップセットのプレビューを行なった。この製品は、開発コードネームで「C19(Crush19)」でよばれてきた製品で、Intelプラットフォーム向けチップセットとして、NVIDIAが開発してきた製品だ。

 同社のプラットフォーム・ビジネス担当ジェネラル・マネジャーであるドリュー・ヘンリー氏が、同社のPentium XE/Pentium D向けチップセットの講演を行なったほか、IDFの展示会場でも、実際に数社のマザーボードが展示された。

 ただし、今回はC19の詳細が語られることは無かった。ヘンリー氏も観衆からの細かいスペックの質問に対して「発表前の製品なので、細かな仕様などは答えられない」と述べるなど、明らかにはされなかった。ただ、SLIには標準で対応していることは明らかにされ、実際に展示されていたC19のマザーボードにもPCI Express x16と見えるスロットが2つ搭載されるなどの特徴はわかった。

 OEMメーカー筋の情報によれば、C19のスペックは以下のようなものであるという。

●ノースブリッジ(C19)
・P4バス(1,066/800MHz)
・DDR2-667デュアルチャネル
・PCI Express x8が2スロット、ないしはPCI Express x16が1スロット
・3つのPCI Express x1
・800MHzのHyper Transport(サウスブリッジ接続用)

●サウスブリッジ(MCP04)
・USB 2.0が10ポート
・7.1チャネルオーディオ
・Gigabit Ethernetコントローラ
・ハードウェアファイアーウォール(ActiveArmor)
・Ultra ATA-133(2チャネル)
・シリアルATA-300(4ポート)

 このように、PCI Expressに関しては、マザーボード上にx16が2スロット用意されていても、実際にはx8相当で動くことになるようだ。

 ヘンリー氏によれば、すでにOEM向けのサンプル出荷を開始しており、近い時期には製品としてのリリースもしていきたいという意向のようだ。IntelプラットフォームでSLI環境を構築したいという自作ユーザーにとっては要注目の製品といえるだろう。

NVIDIAのPentium XE/Pentium D用チップセットのC19(ノースブリッジ) サウスブリッジのMCP04 ASUSTeKのP5ND2-SLI
EPoXのEP-5NVA+SLI GIGA-BYTEのGA-8NNXP-SLI MSIのP4N Diamond

□関連記事
【2004年10月29日】Intelのデジタルホーム戦略の基礎となる「Glenwood/Lakeport」チップセット
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1029/ubiq84.htm

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(2005年3月3日)

[Reported by 笠原一輝]


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