多和田新也のニューアイテム診断室

ATIのPCI Express向けハイエンドGPU第2弾
「RADEON X850 XT PE/X800 XL」




 ATIは12月1日(カナダ時間)、ハイエンドGPUの新製品となる「RADEON X850シリーズ」を発表。既存のRADEON X800 XT Platinum Editionのクロックアップバージョンといった雰囲気だが、今回からAGP版がラインナップから消えるなど、新世代への完全移行を感じさせる製品となっている。同時に発表された「RADEON X800 XL」とともに、本製品の性能をチェックしてみたい。

●X850にはNVIDIAばりの大型クーラーを採用

 今回発表されたRADEONシリーズの新製品は「RADEON X850シリーズ」と、既存のラインナップである「RADEON X800シリーズ」の2シリーズだ。まずRADEON X850シリーズは、

・RADEON X850 XT Platinum Edition(540MHz/1,180MHz、16パイプライン)
・RADEON X850 XT(520MHz/1,080MHz、16パイプライン)
・RADEON X850 PRO(520MHz/1,080MHz、12パイプライン)

の3製品がラインナップされる。0.13μmプロセスで製造され、従来のRADEON X800 XT/PROを高クロック化したバージョンとなる。ただしラインナップされるのがPCI Express版のみで、AGP版は存在しない。今回試用するのは、このうちRADEON X850 XT Platinum Edition (PE)のリファレンスボードである(写真1、2)。

 写真からも分かるとおり、GeForce FX 5950 Ultraのリファレンスボードに搭載されたクーラーに酷似する大型のクーラーが目に留まる。ブロアファンを使って、2段分を使用するブラケット部から吸入し、チップ上の銅製ヒートシンクを冷却する仕組みだ(写真3、4)。

 このブロアファンは可変速タイプで、音質が低めということもあり低回転時は非常に静かな印象である。今回のベンチマークテストの最中は、耳障りに思うほど大幅な回転数上昇は見られなかったが、電源投入直後に一瞬だけ最高速で回転し、この音はかなりのもの。夏場など温度が上がりがちなシーズンは不安が残る。

 このほかの特徴としては、リファレンスボード裏面にRAGE Theaterが搭載され、ビデオ入出力が可能となっている。それに伴い、ボード末端部に黄色いビデオ入出力コネクタが設けられている(写真5)。また、6ピンのPCI Express版ビデオカード用の外部電源が必要となる。

 もう一方のRADEON X800シリーズの新製品は、

・RADEON X800 XL(400MHz/980MHz、16パイプライン)
・RADEON X800(400MHz/700MHz、12パイプライン)

の2製品である。同じX800の製品名が付けられてはいるが、従来のモデルは0.13μm、今回登場の2製品は0.11μmプロセスでの製造となる。また、PCI Express版のみのリリースとなる点が主な特徴である。

 その外観は、従来のRADEON X800シリーズと大きく変わらず、1スロットで搭載可能な薄型の銅製ヒートシンクとファンを組み合わせたものである(写真6、7)。RADEON X850 XT PEがDVI×2/Sビデオの構成であるのに対し、こちらはD-Sub15ピン/DVI/Sビデオの構成である(写真8)。ちなみに、メモリ上にヒートシンクはなく、最大1GHz動作が可能なGDDR3メモリを搭載していることも確認できる(写真9)

【写真1】RADEON X850 XT Platinum Editionのリファレンスボード 【写真2】RADEON X850 XT Platinum Editionのリファレンスボードの裏面。メモリチップはアルミ板で覆われ型番を確認することができない。右よりに配置されたチップはRAGE Theaterである 【写真3】特徴的な大型クーラー。透明なプラスチックのなかにブロアファンが配置されており、ブラケット部からカード末端部にかけて空気が流れる
【写真4】ブラケット部は2段分を占有する形状。DVI×2とSビデオの入出力端子を備える 【写真5】カード末端部にはPCI Expressのビデオカードで使われる6ピンの電源コネクタと、RADEON X800 XTなどでも見られたビデオ入出力用の黄色い専用コネクタが配置されている 【写真6】RADEON X800 XLのリファレンスボード
【写真7】RADEON X800 XLのリファレンスボード。RADE Theater用のパターンも残されているので、ビデオ入出力対応の製品が登場する可能性もありそうだ 【写真8】ブラケット部。D-Sub15ピン/DVI/Sビデオの一般的な構成となっている 【写真9】メモリはSamsung製のGDDR3メモリである「K4J55323QF-GC20」が使われている。X850のメモリチップは確認できなかったが、この製品の高クロック版(末尾がGC16またはGC14あたり)と想像される

●RADEON 4製品とGeForce 6800 GTでパフォーマンス比較

 それでは、RADEON X850 XT Platinum EditionとRADEON X800 XLのパフォーマンスを検証してみたい。テスト環境は表のとおりだ。

【表】テスト環境
GPU ATI RADEON X850 XT PE(256MB)
ATI RADEON X800 XT(256MB)
ATI RADEON X800 XL(256MB)
ATI RADEON X700 PRO(256MB)
NVIDIA GeForce 6800 GT(256MB)
ビデオドライバ CATALYST 4.12(6.14.0010.6497) ForceWare 66.93
CPU Pentium 4 550(3.40GHz)
マザーボード Intel D925XCV(Intel 925X)
メモリ PC4300 DDR2 SDRAM 1GB(512MB×2)
HDD Seagate Barracuda 7200.7(ST3120026AS)
OS Windows XP Professional(Service Pack 2/DirectX 9.0c)

【写真10】RADEON X800 XTを搭載する、ASUSTeKの「Extreme AX800XT/2DT 【写真11】RADEON X700 PROを搭載する、ASUSTeKの「Extreme AX700PRO/TVD 【写真12】NVIDIA GeForce 6800 GTのリファレンスボード

 それでは順にテスト結果を紹介していくことにする。まずは「3DMark05」だ(グラフ1)。RADEON X850 Platinum Editionの結果はRADEON X800 XTに対して、全テストにおいて9%前後のスコア上昇となった。コアクロックが520:540(約3.8%アップ)、メモリクロックが1,000:1,180(13.8%アップ)という差であるが、コアクロックの差以上にスコアがアップしたのは、メモリクロックが大幅に引き上げられたことが効を奏したのだろう。

 RADEON X800 XLは、GeForce 6800 GTと同等か、それをやや上回る印象だ。AAや異方性フィルタを適用した場合に高い性能を発揮しているのが特徴といえる。メインストリーム向けのRADEON X700 PROとは大きく差を付けており、ハイエンドビデオカードの廉価モデルという位置付けではあるがパフォーマンスはなかなかのものがありそうだ。

【グラフ1】3DMark05

 続いては「3DMark03」の結果である(グラフ2)。こちらでのRADEON X850 Platinum Editionの結果は、RADEON X800 XTに対して8〜12%程度のスコア上昇と、3DMark05の時に比べると、性能向上にさらに差がついている。RADEON X800 XLについては、負荷が小さい状況ではGeForce 6800 GTに劣るが、AAやフィルタを適用するにつれ、差を詰めるといった印象だ。このあたりは、3DMark05とはまったく違った傾向である。

【グラフ2】3DMark03

 「AquaMark3」では3DMark05に似た結果となった(グラフ3)。RADEON X800 XLとGeForce 6800 GTは3DMark05に非常に近い傾向を見せた。RADEON X850 Platinum Editionの結果については、ここまでのテストよりも、高解像度、AA/フィルタ適用を重ねるにつれ差を広げる結果を見せている。

【グラフ3】AquaMark3

 次に「DOOM3」(グラフ4)の結果を見てみよう。周知のとおり本テストはGeForce 6シリーズに最適化されており、GeForfe 6800 GTがかなり良い成績を出している。ただし、負荷が軽いテスト条件ではRADEON X850 Platinum Editionが差を詰めているのが印象的だ。

【グラフ4】DOOM3

 さて、ここからは、DirectX 8.1ベースのアプリケーションである。まずは、「FINAL FANTASY Official Benchmark 3」(グラフ5)だが、ここはRADEON勢が揃って優秀な成績を出している。とくに高解像度における結果は、RADEON X700 PRO/GeForce 6800 GTと、RADEON X850/X850で完全にグループが分かれるほどで、このテストにおけるRADEONの強さが分かる。

【グラフ5】FINAL FANTASY Official Benchmark 2

 最後に、「Unreal Tournament 2003」(グラフ6、7)と「Unreal Tournament 2004」(グラフ8〜12)の結果を見ておこう。本連載では毎回取り上げているテストだが、ポイントはどの解像度でスコアの低下が始まるかである。結果を見ると、RADEON X850/X800勢はGeForce 6800 GTに対して、解像度上昇、AA/フィルタ適用を重ねた場合に踏ん張りが利いているのが分かる。

 例えば、Unreal Tournament 2003のBotmatchでは、1,600×1,200/4xAA/8x異方性フィルタの条件で、RADEON X850/X800はCPUがボトルネックになる状態が続いているのに対し、GeForce 6800 GTはビデオカード側がボトルネックになり始めてスコアが下がっている。ほかのテストも似た傾向を出している。

【グラフ6】Unreal Tournament 2003 - Flyby 【グラフ7】Unreal Tournament 2003 - Botmatch
【グラフ8】Unreal Tournament 2004 - Botmatch rankin 【グラフ9】Unreal Tournament 2004 - Botmatch convoy
【グラフ10】Unreal Tournament 2004 - Botmatch torlan 【グラフ11】Unreal Tournament 2004 - Botmatch colossus
【グラフ12】Unreal Tournament 2004 - Botmatch bridgeoffate

●NVIDIAの一歩先をゆくPCI Expressソリューション

 以上のとおり、今回のテストはRADEON X850 Platinum Editionの性能の高さが目立つ結果となった。最上位ビデオカードのクロップアップ版ということもあり、従来製品のRADEON X800 XTに比べて明確なパフォーマンスアップが確認できたことが、今回のテストの大きな収穫といえる。現時点では最強のPCI Express対応ビデオカードといえる製品だ。

 また、RADEON X800 XLについては、ハイエンドビデオカードの廉価版という微妙な位置付けではあるが、16パイプライン、256bitメモリインターフェイスといった、ハイエンドビデオカードならではのスペックもあって、メインストリーム向け製品とは大きな性能差を見せつけている。

 一方のNVIDIAは、PCI Express版ハイエンドビデオカードとしてGeForce 6800/同GTが、ようやく実際の製品として散見され始めたばかり。最上位モデルのGeForce 6800 UltraのPCI Express版はまだ登場しておらず、PCI Express製品において最上位ビデオカードで2ステップ目を踏み出したATIとのパフォーマンス差は歴然だ。

□関連記事
【12月2日】ATI、ハイエンドGPU「RADEON X850」シリーズ発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1202/ati.htm

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(2004年12月22日)

[Text by 多和田新也]


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