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JEITA、2004年度見通しと2005年予測を発表
~電子工業生産高、3年ぶりの20兆円台回復へ

社団法人電子情報技術産業協会 安藤国威会長(ソニー社長)

12月21日発表



 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、2004年の電子工業生産高が3年ぶりに20兆円を突破し、20兆4,826億円に達する見込みであることを明らかにした。対前年伸び率は、6.1%増となる。

電子工業生産推移

 同協会では、昨年の段階で、2004年の予測を前年比6.5%増と予測していたが、下期の減速が影響して、それを下回る結果となっている。

 また、2005年の見通しは、前年比2.9%増となる21兆670億円と予測しており、引き続き堅調な伸びを示すものと予測している。

 同協会の安藤国威会長(ソニー社長)は、「日本経済は全般的には緩やかな景気回復の軌道を歩んでいると見ている。電子産業も、2004年は、前半のオリンピック効果に加えて、世界的な景気回復効果が後押しし、液晶、プラズマといった新三種の神器をはじめとするデジタル映像機器などが好調に推移した」と説明。

 「しかし、円高、原油高といった影響など、やや懸念材料が出てきており、注意を払う必要がある。中長期的には悲観する必要はないだろうが、積極的な成長を維持し続けることは、企業経営の今後の課題だといえる」とし、下期に表面化した円高、原油高のほか、米国における新政権下での経済政策、中国経済の金融引き締めなどによる市況の不透明感の影響を懸念した。

 さらに、安藤会長は、「先行指標となるデバイスが月を追うごとに落ちてきているのは気になる。だが、来年後半からは、新たなネットワーク家電製品の登場が期待されるほか、輸出も市場を牽引することになるだろう。デジタル家電の元気が衰えたわけではなく、一時的な伸び率鈍化の傾向と見ることも出来る。その点ではITバブルの崩壊時とは異なる」との見解を示した。

 同データは、民生用電子機器、産業用電子機器、電子部品/デバイスに分けているが、なかでも民生用電子機器の伸び率が高いのが特筆できる。

 民生用電子機器の2004年の見込みでは、液晶/PDPテレビ、DVDレコーダー、デジタルカメラなどのデジタル映像機器、カーナビゲーションシステムがそれぞれ前年比2桁増の伸び率を見せており、民生用電子機器全体では14.6%増の2兆6,520億円に達すると見込んでいる。

 テレビは47.3%増の6,230億円、DVD/ビデオは14.9%増の1,580億円、デジタルカメラは28.4%増の7,600億円、カーナビゲーションシステムは、25.5%増の4,243億円としている。

民生用電子機器生産推移 民生用電子機器生産推移(品目別)
産業用電子機器生産推移 電子部品/デバイス生産推移

 2005年は、民生用機器の生産高の28%を占めるデジタルカメラが引き続き堅調に推移するほか、液晶テレビやカーナビゲーションシステムの動きが顕著になると見られ、民生用機器全体では13.8%増の3兆190億円になると予測している。

 安藤会長は、「フラットテレビは、年間で25~30%程度も価格が下落している。だが、これが需要の増力へとつながっているのも事実。しかし、その一方で、企業の利益に結びつくかというと、その点では楽観視できない部分も大きい。慎重に見ることは必要だろう」とした。

 一方、コンピュータや携帯電話などが含まれる産業用電子機器は、2004年は0.4%減の7兆7,736億円の見込み。価格の下落や、海外生産への移転の影響などで、国内生産は厳しい見通しとなっている。2005年も、前年比1.4%減の7兆6,634億円と前年割れを見込んでいる。

 携帯電話は、2003年が前年比36%増という高い伸びを記録したことの反動もあって、2004年は6%減の1兆8,080億円とマイナス成長。2005年は、第3世代携帯電話への移行もあり、マイナス成長には歯止めがかかると予測し、前年並みの1兆8,098億円としている。

 また、パソコンについては、2004年は前年比2.4%減の1兆1,720億円の見込み、2005年は10.4%減の1兆504億円の見通しとしており、引き続きマイナス成長になるとした。

 同協会では、「パソコンは、国内市場は企業のIT投資による需要拡大から出荷台数自体は伸びるだろう」としながらも、「コスト削減策の一環で海外への生産移転が増え、国内生産は減少する」と予想している。

 サーバーなどを含んだコンピュータ全体では、2004年は2.1%減の1兆5,602億円、2005年は8.4%減の1兆4,296億円。周辺機器などを含んだ「電子計算機および関連装置」では、2004年が1.6%減の2兆6,601億円、2005年は5.5%減の2兆5,132億円と予測している。

 電子部品/電子デバイスは、2004年が9.5%増の10兆570億円、2005年は3.3%増の10兆3,845億円と見込んでいる。

 薄型テレビをはじめとするデジタル映像機器向けの需要が顕著であるほか、自動車向け電子機器需要の大幅な拡大、IT関連投資の伸長などが好調な理由。なかでも、電子デバイスは、2004年には12.8%増の2桁成長を記録した。しかし、2005年は前年実績を上回るものの、電子機器全般の伸び率の鈍化や価格下落の影響もあり、慎重な見方をしている。

□JEITAのホームページ
http://www.jeita.or.jp/japanese/index.htm
□ニュースリリース
http://it.jeita.or.jp/statistics/pc/h16_2q/index.html
□関連記事
【10月27日】JEITA、PC出荷は好調に推移
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1027/jeita.htm

(2004年12月21日)

[Reported by 大河原克行]

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