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マイクロソフト、キーボード/マウスなど11新製品を一挙公開
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米Microsoftの開発陣 |
9月13日 発表
マイクロソフト株式会社は13日、マウスとキーボードを主体とした、年末までに発売するハードウェア新製品の説明会を開催した。
この説明会は、正式な発表前の事前披露会といったもので、発売日や価格、そのほか詳細な仕様については今後随時発表がなされる予定となっているが、実に11もの新製品が公開された。
同説明会では、米Microsoft本社でハードウェアグループのジェネラル マネージャを務めるTom Gibbons氏など、実際に開発に携わった人物が製品の機能やコンセプトなどについて説明を行なった。
なお、いずれの製品もインターフェイスはUSBに対応する。
●ホームユーザーをターゲットにした指紋リーダ搭載機器
今回公開された製品の中でもっとも際だった特徴を持つのが、指紋読み取りに対応した製品群。
用意されるのは、指紋リーダをキーボード上に搭載したキーボードとマウスセットの「Optical Desktop with Fingerprint Reader」、レシーバ上に搭載したワイヤレスマウス「Wireless IntelliMouse Explorer with Fingerprint Reader」、単体製品となる「Fingerprint Reader」の3製品。
キーボード左手に指紋リーダを備えた「Optical Desktop with Fingerprint Reader」 | |
ワイヤレスレシーバ上に指紋リーダを搭載した「Wireless IntelliMouse Explorer with Fingerprint Reader」 | 単体製品の「Fingerprint Reader」 |
従来の指紋リーダは、そのほとんどが指紋自体をパスワードの代替物として登録し、ユーザー認証に用いる。指紋認証はパスワード認証と比較して、詐称が困難なことから高度なセキュリティを求められる場面で使用されている。
だが、今回の同社の新製品は指紋自体を認証に使ったり、セキュリティを高めるのが目的ではなく、ユーザーのパスワード入力を手助けするという性格のもの。
ユーザー名とパスワードを入力するサイトを開くと、写真右手のダイアログウィンドウが開き、ユーザー名とパスワードを登録できる |
具体的には、Webメールなどパスワード入力によるログオンを要求するサイトをブラウザで開くと、ソフトウェアが起動し、ユーザー名とパスワードを登録できる。一度登録すると、それ以降そのサイトにアクセスした際、指紋リーダで指紋を読み取るだけで自動的にユーザー名とパスワードが入力され、ログオンできるようになる。
Internet Explorerにも、パスワードをブラウザに記憶させ、自動的に入力させる機能があるが、一旦PCにログオンすれば無条件でパスワードが入力される。一方、この製品では指紋を認証して初めてパスワードが入力されるため、本人以外にパスワードを悪用されるおそれが少ない。
指紋リーダのもう1つの機能は、Windows XPに搭載されているユーザーの簡易切り替え機能に用いるもの。これにより、指紋リーダに触れるだけでログオフせずにユーザーセッションを切り替えられる。
これから分かるとおり、これらの製品は企業内ではなく、家族で1台のPCを共有しているような家庭内での使用を想定している。
ハードウェア プロダクトユニット マネージャのBrett Ostrum氏によれば「家庭で使用するPCで15個のパスワードがあったとした時、その内12個程度はさほど機密性のない情報を扱うサイトのものである」という。
また、グループ プロダクトライン マネージャのSean Gorman氏は、「そういったパスワードを扱うにあたり、付箋に書いてディスプレイに貼ったり、メールに書いて自分宛に送ったりするのではなく、指紋を経由して呼び出すという方法で、管理の煩雑さを低減させるのが本製品の目的」だと語る。
同氏によれば、開発の初期段階では指紋以外の認証方法についても検討したが、直感的なわかりやすさ、信頼性、使用に際してユーザーに恐怖感を与えないとの観点から指紋に決定したという。
ハードウェア プロダクトユニット マネージャのBrett Ostrum氏 | グループ プロダクトライン マネージャのSean Gorman氏 |
一方でGorman氏は、オンラインバンキングや、企業内Webアプリケーションなど重要な情報を扱う場合においては、本製品ではなく“強力なパスワード”を用いることを推奨している。
強力なパスワードとは、自分には覚えやすいが、十分に長く、他人からは推測できないパスワードを差す。同社では、強力なパスワードの使用/管理方法などを同社ホームページ上で案内しており、本製品が、パスワードを保護したり、パスワードの強度を増すものではなく、パスワードの入力を補助するだけのものということを念頭において、両者を併用するよう薦めている。
なお、登録できるユーザー名/パスワードの数は特に制限はないが、パスワードは付属ソフトなどから閲覧することができないため、ハードウェアの故障や紛失に備えて、なんらかの控えをとっておく必要がある。
□強力なパスワードについてのページ
http://www.microsoft.com/japan/security/athome/privacy/password.mspx
●チルトホイールに対応したBluetooth対応製品
Bluetooth対応製品は、キーボード/マウスセットの「Optical Desktop Elite for Bluetooth」と、マウス単体の「IntelliMouse Explorer for Bluetooth」の2製品。
両製品のマウスは同じもので、ホイールを左右に傾けることで画面を横スクロールできるチルトホイールを搭載した。
また、Windows XP Service Pack 2が対応するBluetooth機器が増えたことを受け、Bluetoothレシーバを介して、PCとPDAや携帯電話の同期を図れるようになった。ただし、国内のBluetooth搭載機器と連携できるかは不明。
キーボードは従来の「Wireless Optical Desktop Elite」に付属のものとほぼ同じデザイン。キーボード上にもチルトホイールを搭載し、パームレストは革張り調仕上げ。
「Optical Desktop Elite for bluetooth」 | 「IntelliMouse Explorer for Bluetooth」 |
□関連記事
【2003年10月27日】マイクロソフト、チルトホイールを搭載したワイヤレスキーボード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1027/ms.htm
【2003年9月5日】Microsoft、新マウスと新キーボードの詳細を公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0905/ms.htm
【2003年1月14日】マイクロソフト、Bluetooth対応の無線マウスとキーボード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0114/ms.htm
●レシーバを本体に収納できるノートPC向け小型3ボタンワイヤレスマウス
「Wireless Notebook Optical Mouse」 |
ノートPCとの併用を想定した小型マウスの新製品として「Wireless Notebook Optical Mouse」が発売される。本体色はマイカブラックとマイカブルーの2色。
本体は小ぶりだが、底面にワイヤレスレシーバを収納でき、持ち運びの利便性を向上させつつ、レシーバを紛失しにくくした。また、レシーバを収納すると本体の電源が切れる仕組み。
同社の従来の上位モデル同様、単3型アルカリ乾電池2本で6カ月の電池寿命を誇る。Ostrum氏によれば、光学センサーの性能も高いとしており、ガラスや鏡の表面以外ならほぼ対応可能という。なお、ガラス表面については、必要としているユーザーや状況が少ないことから、現時点では対応させていく予定はないという。
また、同社の初期の光学式マウスを彷彿とさせるベーシックなデザインの3ボタンワイヤレスマウス「Standard Wireless Optical Mouse」も用意。低価格な製品となる。ホワイトとブラックの2モデルがある。
レシーバを本体底面に収納可能 | 省電力設計のデモとして、単3乾電池1本を10個のマウスにつなぐデモも行なわれた | 「Standard Wireless Optical Mouse」 |
●スライダつきキーボード
「Digital Media Pro Keyboard」 |
画像やアプリケーションの画面を拡大/縮小できるズームスライダ付きキーボード「Digital Media Pro Keyboard」が発売される。
ズームスライダ付きキーボードは、ワイヤレスでマウスがセットになった「Wireless Optical Desktop Comfort Edition」が8月に発表されているが、本製品はワイヤードでキーボード単体。
Wireless Optical Desktop Comfort Editionのキーボードはキーを扇状に配置した新しいエルゴノミクス(人間工学)デザインが採られているが、本製品のキー配列は標準的なものとなる。
ちなみに、これらの製品のデザインを担当したハードウェアおよびウィンドウズ ハードウェア イノベーショングループのリード インダストリアル デザイナー太田誠也氏によれば、Wireless Optical Desktop Comfort Editionのキーボードは日本市場を強く意識したデザインだという。
太田氏によれば、エルゴノミクスキーボードのユーザーの割合は10人に1人程度で、日本ではさらに少ないという。その主な理由はキーボードが大きすぎるためで、「新製品ではエルゴノミクスを取り入れつつも、大きくなりすぎず、かつ比較的手の大きい欧米人には小さくなりすぎないよう配慮した」と苦労話を明かした。
すでに発表済みで9月17日に発売される「Wireless Optical Desktop Comfort Edition」 | ハードウェアおよびウィンドウズ ハードウェア イノベーショングループのリード インダストリアル デザイナー太田誠也氏 |
□関連記事
【8月30日】マイクロソフト、ワイヤレスキーボードとチルトホイールマウスのセット
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0830/ms.htm
●“S+ARCK”デザインのマウスほか、新色モデルなど
「Optical Mouse by S+ARCK」 |
フランスの建築デザイナーPhilippe Starck氏がデザインを手がけた光学式マウス「Optical Mouse by S+ARCK」は米国では正式発表されているが、この度日本でも発売されることが決まり、今回披露された。
同製品は、本体中央に直線のイルミネーションが施され、ボタンの継ぎ目をなくすなど、同社従来製品とは一線を画す製品。同社は「S+ARCK」ブランドを前面に押し出しており、本体から同社のロゴは廃されている。ブルーとオレンジの2色のモデルがある。
同社インダストリアル デザイン グループ ディレクターのKen Fry氏によれば、「S+ARCK」ブランドの展開は現時点では未定となっているものの、本製品の売れ行きやユーザーのフィードバックをもとに検討していくという。
このほか、すでに発売中のワイヤレス光学マウス「Wireless Optical Mouse」の新色としてMood Ring Blueモデルが、ワイヤード低価格キーボード「Internet Keyboard」の新色としてブラックモデルが発売される。
Optical Mouse by S+ARCKのパッケージ | インダストリアル デザイン グループ ディレクターのKen Fry氏 |
「Wireless Optical Mouse」のMood Ring Blueモデル | 「Internet Keyboard」のブラックモデル |
□関連記事
【7月9日】Microsoft、デザイナーPhilippe Starck氏デザインのマウス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0709/ms.htm
●多数のユーザーの声を反映させた製品づくりを
ハードウェア グループ ジェネラル マネージャのTom Gibbons氏 |
同社ハードウェア グループ ジェネラル マネージャのTom Gibbons氏によれば、同社の新製品開発のポイントは多数のユーザーの声を反映させ、多数のユーザーにとって利便性やメリットのあるものにすることだという。
そのため、その機能が便利であっても、光学式マウスのガラス表面対応のように、望む声が少なかったり、ニッチな製品は開発しないという。
また、そこで用いられる技術などが、長期的に見た場合、今後進化していく余地があるかどうかという点を開発するか否かの判断基準としているといい、今回、新しく導入された指紋リーダについても、次世代の製品で何らかの機能拡張などが施される可能性があることを示した。
□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□関連記事
【2003年3月7日】Microsoftの人間工学専門家が語るMicrosoftマウス/キーボード開発の裏側
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0307/ms.htm
(2004年9月13日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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