デジタルカメラ 新製品レビュー

バックナンバー

キヤノン PowerShot G6



 PowerShotシリーズはキヤノンのレンズ一体型デジタルカメラの中核機種で、今秋の新製品を含め8機種を展開する。Gシリーズは従来よりPowerShot上位ランクの高画質モデルとして位置づけられており、今回試用したG6は710万画素となり現行500万画素のG5の後継機種である。発売は2004年9月17日、オープンプライスだが店頭予想価格は84,000円前後の見込みだ。

 Gシリーズはハイアマチュア層がターゲットとされるが、プロのサブ機としてもよく使われているそうである。G6の上位機種としては800万画素級のPro1があり、700万画素級のモデルとしては今回の新製品としてG6と共に、35mm判換算28mm相当の広角ズームレンズを備えたS70が登場する。自社製品群でも競合が起こりそうだが、世代を重ねた実力機G6がどのようなデジタルカメラなのか興味を持つ方は多いのではないだろうか。量産機を試用してみた。

●コンパクト化したが持ちやすいボディ

レンズアダプター取り付け部のリングをはずしたところ

 G5とは大きくデザインが異なる新開発のボディは、横幅がG5の121mmから約105mmと、約16mm小さくなった。このため全体がより直方体にみえ、四角くごつごつした印象がある。しかしレンズを思い切って片側に寄せ、グリップを大型化したことにより、キヤノンの言うようにホールディング性を高めたというボディは違和感なく手にすることができ、持った感じは手になじんで良い。重量もG5の約410gに対して約380gと軽くなっているが、体積比で約10%コンパクトになった分やや重く感じられる。

 マニュアルを読んでわかったのだが、レンズ鏡胴に見える部分は取り外しができるリングになっている。別売のフードLH-DC30などを取り付けるために、レンズアダプターLA-DC58Dをこのリングをはずして装着する。しかしわざわざこのリングを交換するのではなく、もっと上手な方法がなかったのかと思う。

●まずは起動させてみる

 右手親指で、起動ダイアル背面のロックボタンを押して解除したまま左に回すと撮影モードで起動、右に回すと画像モニターモードで起動、中心部がOFFボタンである。

 撮影モードでは起動は約2秒、ズームレンズが伸びきると撮影状態になる。レンズ一体型デジカメとしては標準的だが、やはり起動は遅いと感じる。電源ON時はズームは常に広角端となるため、望遠撮影時に電源をOFFしてしまうと再びズームアップ操作が必要で、撮影再開にかなり時間がかかることになる。したがって望遠撮影時にはパワーセーブ機能によるオートパワーオフを使うと良い。

 画像モードではズームレンズは格納されたままで、すぐに背面のモニターに最後に撮影した画像が表示される。この状態からシャッターボタンをひと押しすると、すぐに撮影モードに切り替わるのは操作が速くて良い。

電源ON時

 撮影モードでは、上部のモノクロ液晶表示パネルと背面液晶モニターに撮影モードに関する情報が表示されるが、大部分の項目が重複している。バッテリーの持ちを重視して液晶モニターを消して撮影する場合など、上部表示パネルだけで撮影に必要な情報を得ることができる。このパネルは暗くて見えにくい時には、オレンジ色のバックライト照明を点灯させることができる。

 ところでこのG6はキャップをしたたま電源を入れると、表示パネルに警告が表示され警告音が鳴るとマニュアルには書いてあるのだが、今回テストしたカメラではキャップをしたままでも警告は出ず、ズームレンズが伸びると同時にキャップが勝手にはずれた。このキャップは単にかぶせるだけで、固定はキャップの内側のフェルト状の緩衝材の弾力による。

本体上面のモノクロ液晶の照明を点けたところ レンズキャップ

●光学ズームファインダーと背面液晶モニター

 光学ズームファインダーは、視度補正可能で撮影対象を鮮明に視認することができるが、ファインダー内には撮影情報は一切表示されず、ファインダーすぐ右の緑/オレンジと黄色の2つのLEDの点灯状況で撮影の可否を判断することになる。ファインダー視野率は約80%と小さ目であり、視野に見えていない周辺部がかなりよけいに写り込む。さらに近接撮影時のパララックスの補正は行なわれないし、ファインダー内に近接時の目安となるフレーム表示もないため、比較的近いところを撮影すると撮影画像とのずれが顕著となる。これについてはマニュアルには近接時は背面の液晶モニターで構図を確認するように注意があり、実際そうすべきである。

液晶モニター

 背面の液晶モニターは2型大型低温ポリシリコンTFTカラー液晶で視野率は100%、従来より大型化したことがこのモデルの改良ポイントの一つである。またバリアングルタイプで、カメラの方向に対して液晶面の自由度が高く、とても使いやすい。液晶モニターでカメラの複雑な機能を設定し、構図を決めピントを確認するのであるから、この画面の見やすさはきわめて重要であるのは説明するまでもない。

 しかしこの液晶モニターは各種情報の表示はくっきりしているのに、肝心のモニター画像がややシャープさに欠けコントラストも低めで、ピントが確認しずらい。もちろん合焦箇所には表示がでるのだが、実際にピントがあっているかどうかはカメラを信じるしかない。撮影後の画像表示ではコントラスが高めで、比較的鮮明であるのだが。

 さらにこの液晶モニターの画面は、日中明るい場所、特に直射日光があたるような環境ではかなり見にくくなる。バックライトの明るさは2段に切り替えられるが、このような状況では効果がない。作例のサギソウは夏の強い日差しの中で撮影したのだが、液晶モニターを日陰にしても非常に見にくく、露出データや合焦位置、構図の確認など苦労した。右下に隣の花のごく一部が写ってしまっているが、液晶モニターでは撮影時にはわからなかったのである。

 こうした失敗を避けるために、接写ではまったく役に立たない光学ファインダーの代わりに、電子式ビューファインダー(EVF)が備わっていて欲しかった。自分のカメラであれば、液晶に自作の折りたたみ式フードを作るなどの対策を考えたい。

 なお逆光撮影時、モニターには縦方向の明るい筋が現れることがあるが、記録される画像にはこれは現れないので心配はいらない。

●基本的な機能はG5を踏襲

 測光方式は、評価測光、中央部重点平均測光、スポット測光(中央固定とAF枠連動)で、さらに露出補正、AEロックも可能である。

 ピント合わせはAFとMFが可能である。AFは自動9点選択、中央1点、マニュアル選択、AFロックも可能で、さらにピント位置を前後に変化させるフォーカス・ブラケット撮影もできる。MFモードでは距離インジケーターと画像を見ながらピント合わせを行なう。このとき画像中央部を拡大表示して、ピントをより厳密に確認することもできる。

 モードダイアルはフルオート(カメラおまかせ)、イメージゾーン、クリエイティブゾーンの3つに大きく分かれ、イメージゾーンはポートレート、風景、夜景、スティッチアシスト、動画の5点、クリエイティブゾーンはプログラム、シャッター速度優先、絞り優先、フルマニュアルと2つのカスタム設定記憶モードがある。

 そのほか、露出を変化させるAEB撮影、NDフィルター(光量1/8、つまり絞りあるいはシャッター速度で-3段)が内蔵されていたり、インターバル撮影が可能であるなど、様々な機能はいずれも従来のG5に搭載されていた機能を引き継いでいる。

 連写は液晶モニターを消した状態で、Lサイズファインモードで通常時1.2コマ/秒、高速時2コマ/秒が可能である。

 以上のようにこのG6は上位モデルであるから、充実した機能を誇っている。非常に多機能であり各種の設定項目が多いが、機能ボタンのレイアウトが比較的上手に整理されているので、ひと通り操作すればとまどうことはあまりないだろうと思う。普段の撮影でよく使う機能は、外部のボタンあるいはダイアル等の組み合わせで設定し、そうでない機能は液晶モニターで表示されるメニューで選択する。ただ個人的にはメニューで設定するISO感度と画質クオリティ、画像サイズは、使用頻度が高いため外部のボタンで設定できるようにしたかった。

●記録画素数と圧縮率、データサイズについて

 CCDが710万画素となったため、記録画素数は次の5つのサイズから選択できる。L(3,072×2,304ピクセル)、M1(2,592×1,944ピクセル)、M2(2,048×1,536ピクセル)、M3(1,600×1,200ピクセル)、S(640×480ピクセル)。マニュアルにはLとM1がA4サイズ以上、M2がA4、M3がL〜A5、Sはメールなどという解説が示されている。

 圧縮率はスーパーファイン、ファイン、ノーマルの3段階が設定できる。これとは別にRAWモードでの記録が可能で、RAWモードの記録画素数はLと同じ3,072x2,304ピクセルである。

 データサイズはこれらの組み合わせと、画像によって圧縮率が変動するわけだが、目安としてLサイズのスーパーファインで約3MB、ファインで約1.8MB、ノーマルで約900KBである。RAWデータは約7MB前後である。

 やはりかなり大きなサイズになるのだが、記録メディアとしてCFカード(Type1/2)を採用しているため、他のメディアよりも大容量化が可能だ。4GBのMicrodriveなども問題なく使用できた。

記録画素数は5種類用意される 記録メディアはCFを採用

●搭載レンズは光学4倍ズーム、デジタルで最大約16倍

 キヤノン・ズームレンズ7.2mm〜28.8mmは、35mm判換算で35mm〜140mmの4倍ズームである。特筆すべきは開放F値が広角端でF2.0、望遠端でF3.0と非常に明るいことである。個人的には広角側は35mm判換算28mmの本格的広角として欲しいところだが、実は同時発売の同じ710万画素のPowerShotS70が広角端28mm相当〜望遠端100mm相当のレンズを備えていて、差別化が図られている。

 35〜140mmというと、35mm判一眼レフカメラでは20年くらい昔に各社が揃えていたズームの仕様である。現在はもっと広角の24〜28mmからスタートするものがほとんどで、広角端が35mmのズームは姿を消した。銀塩コンパクトカメラでは、比較的最近まで高倍率比のズームとしてこのような焦点距離が採用されていたが、広角ならもう少し広く、反対に望遠ならもう少しアップしたいという感じになる、あまり特徴のないズーム域である。なお、ズーム位置は任意に設定できるのではなく、途中12段階に制御される。デジタルズーム領域では6段である。

 通常撮影ではレンズ先端から50cmまでしか寄れないが、マクロモードを設定するとレンズ先端から広角端で5cm(撮影範囲75×55mm)、望遠端で15cm(撮影範囲56×42mm)まで近接できる。さらにスーパーマクロモードでは、望遠側86mm相当までレンズ先端から5cmに近接できるようになるのだが、注意しなければならないのは、このモードでは記録画素数がM2サイズ(2,048×1,536ピクセル)以下に強制的に変更されてしまう。たぶんレンズのイメージサークルの関係であろう。撮影範囲は86mm相当時24×18mmである。

 なお、逆光時のフレアやゴーストをできるだけ避けるためには、別売のフードLH-DC30を使用したい。

●バッテリーや外付けストロボはデジタル一眼レフシステムと共用

 付属のリチウム・イオンバッテリーBP-511Aは、比較的大型で7.4V 1,390mAhである。撮影可能枚数はCIPA測定で約300枚で、G5では容量がやや少ないBP-511でも450枚撮影可能だったから、かなり少なくなっている。ただ、このバッテリーはこの秋の新製品20Dをはじめとして、10DやKissD、D30、D60さらにはデジタルビデオカメラの一部とも共用可能である。

 またボディ上部にはキヤノン専用端子を備えたホットシューが備わっており、外部ストロボとして一眼レフ用の220EXから580EXまでのストロボが使用できる。G6の内蔵ストロボはISO100に設定した時、広角端で7m、望遠端では4mまでしか光が届かない。しかし外付けの大光量ストロボを使用すればこの問題は解決できる。

 このようにバッテリーやアクセサリーが共用化されていることはとても素晴らしいことで、すでにキヤノンでシステム化しているユーザーにとっては利便性がきわめて大きい。G5がプロのサブカメラとしてもよく使われているというのは、こうした共用化のメリットがあるためだろう。

バッテリーは多くのキヤノン製品と共通

●高いシステムの拡張性

 G6は先にも書いたように外付けストロボが使用できるなど、システムの拡張性が高いことに大きな特徴がある。従来からのテレコンバーターTC-DC58N(1.75倍)、ワイドコンバーターWC-DC58N(0.7倍)と新製品のフードLH-DC30を使用するためには、別売のレンズアダプターLA-DC58Dが必要である。このレンズアダプターを使用すると、キヤノン一眼レフ用のマクロツインライトMT-24EXとマクロリングライトMR-14EXを装着することができ、本格的な接写を行ないたいユーザーにはとても便利であろう。また別売のクローズアップレンズ250Dを使うと、スーパーマクロモードの時に4cmまで接写が可能となる。

●その他のユニークな点

リモコンが付属する

 撮影した画像の表示については、このカメラでは縦位置を検出するSIセンサーが内蔵されていて、縦横自動回転が可能となっている。背面モニターおよび付属のソフトさらにPhotoshopなどのアプリケーションソフトでも、縦位置で撮影した画像は縦位置で表示されるのでとても便利である。ただし縦位置表示では当然背面モニターの画像表示は小さくなってしまう。縦位置自動回転がONでも、撮影直後の表示はモニター全面に設定できると良い。そういう選択が可能なカメラが他社にはある。

 静止画の再生時、画像は2倍から10倍まで拡大できるが、このとき電子ダイアルで画像を送ると、次の画像も拡大されたままにできる。撮影した複数の画像のピントを比較チェックしたい場合に便利である。

 それからこのG6には、赤外線リモコンが標準で付属してくる。レリーズの代わりとして、接写のように振動をきらう撮影や長時間露出では必需品といってよい。ただし惜しまれるのは、受光部はカメラの前側と右手側側面に2カ所あるのだが、背面側にないため使用頻度が高い背後から反応せず、意外と使いにくい。

●A4判は700万画素らしい高画質で美しいプリントが得られる

 デジカメに詳しい友人たちの間では、今まで500万画素以上のレンズ一体型デジタルカメラの画質に関する評判はメーカーによらず今ひとつであった。色が良く出ない、階調がなめらかではない、ダイナミックレンジが狭いなど、いろいろな言い方ではあるが、要は300〜400万画素クラスのデジタルカメラのほうが、総合的には「きれいな」プリントが得られるという意見が多かった。

 さて今回のG6であるが、カメラまかせのフルオートからマニュアル撮影まで様々な条件で撮影をした画像をモニターで観察したところ、各画像は露出と階調がよく整っていて、まずは無難な仕上がりであった。カメラ側の色効果の設定でコントラストやシャープネス、彩度は調整できるので、自分の環境や好みにあった設定が可能であるし、それが不満ならRAWデータから画像を調整することができるのが、このカメラの強みである。

 続いてプリントを検討した。手元で可能なもっとも簡便な方法としてエプソンPX-G900プリンターと、印刷ソフトとしてプリンター付属のエプソンPhotoQuicker 3.5を使用して印刷した。画像補正はExif Printを指定し、カメラで撮影した結果に手を加えることなく印刷することとした。印刷用紙はエプソンの純正写真用紙と、コニカミノルタのフォトライクQPペーパーを使用した。印刷モードは高精細である。撮影時ホワイトバランスはオート、色効果はなしに設定し、画素数最高のJPEG Lサイズ(3,072×2,304)、圧縮率最低のスーパーファインとした。

 この設定でA4縁なしフルサイズで印刷してみたが、非常に鮮明なプリントがコンスタントに得られる。建物を構成する線は画素数の多さを感じさせる非常に細かい描写で、樹木の細かな葉もひとつひとつがはっきり分解されて見える。色効果をなしに設定したのでコントラストはノーマルの設定ということだが、得られたプリントのコントラストは強めでくっきりとした再現となる。この描写を好む人も多いだろう。ただし微妙な質感やトーンの再現はやや弱いように思う。

 もうひとつ感心したのは、発色がかなり正確なことである。赤紫から青紫あたりの再現が難しい色が、そのとおりに出ている。総合的な印象として、一般的な撮影では十分な再現と言えるように思う。つまりプリンターのインクや紙を無駄にせず、1枚目から高品質のプリントが手に入るということである。

 さらにA3ノビ相当まで拡大したプリントを作成してみたが、適切な視認距離で鑑賞すれば十分シャープに見える結果であった。

以降に掲載する作例のリンク先は、特に記載がない限り、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更しました)。縦位置のものは、サムネールのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。クリックすると撮影したの画像が別ウィンドウで表示されます。
キャプション内の撮影データはISO感度/シャッター速度/絞り/露出補正値/ホワイトバランスです
img_0006.jpg img_0121.jpg
カメラまかせで撮影したが、白い花が露出オーバーとなってしまう。こういう条件では1段アンダーの撮影も行なっておきたい。また液晶モニターでは手前の花にピントがあっているように見えたが、実際には後ピンになってしまい手前の花にピントがきていない
4.8MB / 3072×2304ピクセル
Auto / 1/160秒 / F4.00 / 0.00EV補正 / Auto
評価測光がうまく機能し、強い反射光の影響で強いアンダーとなるのが避けられた
2.76MB / 2304×3072ピクセル
ISO50 / 1/250秒 / F4.00 / 0.00EV補正 / Auto
img_0087.jpg img_0094.jpg
マクロモードで撮影
1.56MB / 2304×3072ピクセル
ISO50 / 1/500秒 / F8.00 / -1.00EV補正 / Auto
マクロモードで撮影
1.88MB / 2304×3072ピクセル
ISO50 / 1/400秒 / F5.60 / 0.00EV補正 / Auto
img_0151.jpg img_0225.jpg
このような写真では、AFが後ピンになってしまう傾向があるようだ。撮影の際には注意したい
3.43MB / 3072×2304ピクセル
ISO50 / 1/100秒 / F3.50 / 0.00EV補正 / Auto
スーパーマクロモードで撮影
384.93KB / 2048×1536ピクセル
ISO50 / 1/1.7秒 / F2.50 / 0.00EV補正 / Auto
img_0188.jpg img_0192.jpg
広角端
3.26MB / 3072×2304ピクセル
Auto / 1/160秒 / F4.00 / 0.00EV補正 / Auto
望遠端
3.09MB / 3072×2304ピクセル
ISO50 / 1/400秒 / F4.00 / 0.00EV補正 / Auto

 ただし、ひとつ気になったのは広角端35mm相当で撮影した作例写真の寺院の屋根の描写である。最上部の横線が多数ある部分が、なぜかごちゃごちゃのパターンとなって描写が破綻してしまっているのだ。この部分は望遠端140mm相当で撮影した作例写真を確認していだたくと、その本来のパターンがわかる。これはRAWデータを確認しても同様であったので、Jpeg圧縮による情報の消失ではない。原因はわからないが、レンズの解像力とCCD素子との関係で、このようになってしまうのかもしれない。あるいは映像エンジンの後処理の問題かもしれない。画素数から言うともう少し分解できそうなのだが。

 明らかにレンズの問題が確認できるのは、望遠端の作例写真である。神社の屋根の部分を拡大して観察すると空と建物の境界に非常にはっきりと青色のにじみが生じている。これはレンズの色収差であろう。実は広角端でも、画面の端付近の像を強拡大すると赤と青の色にじみが認められる。以上から、このレンズの性能はCCD素子の分解能に追いついていないのではないかという印象を受けた。

●圧縮率とプリントの品質

 圧縮率の変化がプリントのクオリティにどのように影響するかを調べるため、今度はLサイズ(710万画素)のままで圧縮率をスーパーファイン、ファイン、ノーマルの3段階に変えて撮影し、プリントした画質を比較してみることにした。

 風景や花の接写などでこの3種類のサイズで撮影した結果を、さきほどと同様Exif PrintでA4縁なしフルサイズにプリントしてみたが、結果としてはこの3種類のサイズの印刷の差は非常に少なかった。つまりLサイズで撮影した場合、A4プリントをプリンターで直接出力するなら、ノーマルでも実用上十分であるといえると思う。

 さらにPhotoshop CS上で400%に拡大して、細部の画質を比較検討してみた。その結果は、スーパーファインからファイン、ノーマルと圧縮率が高まるにつれ、細部の情報が失われていくことが確認できた。これは画像処理エンジンがきちんとした圧縮処理を行なっている証拠であり、当然のことである。しかし画素数が十分であると、印刷ではほとんど差が現れないという結果になったと言える。

img_0138.jpg img_0140.jpg
スーパーファイン
3.39MB / 3072×2304ピクセル
ISO50 / 1/1000秒 / F4.00 / 0.00EV補正 / Auto
ファイン
2.27MB / 3072×2304ピクセル
ISO50 / 1/800秒 / F4.00 / 0.00EV補正 / Auto
img_0142.jpg img_0142.jpg
ノーマル
1.2MB / 3072×2304ピクセル
ISO50 / 1/640秒 / F4.00 / 0.00EV補正 / Auto
Photoshop CS上で400%に拡大して画質を比較

●画素数とプリントの品質

 先に書いたとおり、このG6は記録画素数を5段階に設定できる。ではL以外のM1(約500万画素)、M2(約300万画素)、M3(約200万画素)でA4サイズに出力すると、どの程度の品質のプリントが得られるか検証することにした。先ほどと同様にカメラの設定は標準設定のままで撮影し、Exif PintでA4縁なしフルサイズにプリントしてみた。

 その結果500万画素のM1サイズはLサイズとほとんど差がないきわめて良好な結果であった。これは当初から予想されたとおりである。約300万画素のM2サイズであるが、これも十分に鮮明なプリントが得られる。300万画素級のコンパクトデジカメで、この画質に達しないカメラも現にあるから、これはとても良いと言える。ところが驚いたことに約200万画素のM1サイズでも、A4にプリントして鑑賞に耐えるのである。画像エンジンDIGICにおける画像処理が巧妙なのであろうか。

 筆者は通常は高精細なプリントを得るならワンランク上、例えばこのG6ならA4印刷はLかM1で撮影して印刷するように勧めるのだが、今回のテスト結果を見る限りこのカメラではその必要はないと言えるだろう。

img_0247.jpg img_0248.jpg
Lサイズ
2.79MB / 3072×2304ピクセル
ISO50 / 1/400秒 / F5.60 / 0.00EV補正 / Auto
M1サイズ
1.92MB / 2592×1944ピクセル
ISO50 / 1/400秒 / F5.60 / 0.00EV補正 / Auto
img_0249.jpg img_0250.jpg
M2サイズ
1.35MB / 2048×1536ピクセル
ISO50 / 1/400秒 / F5.60 / 0.00EV補正 / Auto
M3サイズ
902.45KB / 1600×1200ピクセル
ISO50 / 1/400秒 / F5.60 / 0.00EV補正 / Auto
img_0251.jpg
Sサイズ
148.94KB / 640×480ピクセル
ISO50 / 1/400秒 / F5.60 / 0.00EV補正 / Auto

●ISO感度とノイズ

 小型CCDではどうしても受光素子の面積が小さくなる、特に高画素モデルでは感度が高くできず、無理をするとノイズが多くなるという問題が生じる。このG6では、ISO50、100、200、400の4段階の設定が可能である。カメラが自動的にISO感度を変更するオートモードも備わっている。

 今回はノイズが出やすい比較的厳しい条件下で、テストを行なった。作例画像を見ると最低感度のISO50でも、写真パネルの茶色のマットの部分にノイズが軽く認められる。1S0100、ISO200と感度が高くなるとノイズがよりはっきりと現れてきて、ISO400ではざらざらした感じになってしまう。キヤノンのデジカメはノイズには強いという定評があるが、それでもこのような結果となった。画質にこだわるならISO50に固定して撮影したい。

 もう一点、今回撮影した画像では、どの感度でも写真の白枠の縁に青いにじみがはっきり認められる。ここでもレンズ性能に対して、疑問を感じる結果となった。

img_0216.jpg img_0217.jpg
3.39MB / 3072×2304ピクセル
ISO50 / 1/3.3秒 / F2.20 / 0.00EV補正 / Auto
3.45MB / 3072×2304ピクセル
ISO100 / 1/6秒 / F2.20 / 0.00EV補正 / Auto
img_0218.jpg img_0219.jpg
3.7MB / 3072×2304ピクセル
ISO200 / 1/13秒 / F2.20 / 0.00EV補正 / Auto
4.18MB / 3072×2304ピクセル
ISO400 / 1/25秒 / F2.20 / 0.00EV補正 / Auto

●RAW画像撮影対応を打ち出しているが……

付属の現像ソフト「RAW Image Task」

 このカメラではRAWデータへの対応を前面に出してきていることが目を引く。おもしろいのは、撮影直後であれば、JPEGで撮影してしまった画像をRAWデータで記録し直せることである。これは前作のG5もそうであった。このG6では、RAWデータと共に記録されるサムネイル表示用の画像サイズをL〜Sまで5種類選択できるようにもなった。ピントの確認用にはRAWデータとサイズが同じLサイズが良い。RAWデータのサイズは約7MBで、LサイズJPEGスーパーファインで記録すると約3MBであるから、2.3倍程度である。

 しかし付属のソフト(RAW Image Task) によるRAW現像は、他社あるいはサードパーティ製ソフトに比較して機能や操作性が著しく劣ると言いたい。例えばRAW画像のコントラストやトーンカーブを変更した時、画像を多少でも拡大していると即座になめらかに変化せず、いったんサムネイル状のモザイク表示になってから改めて画像が描画され直すため、微妙な変化が非常に確認しずらい。

 画面を拡大してスクロールさせると、これもモザイク表示からの再描画となる上に遅いため、画面各部の細部の確認に強いストレスを感じる。全般的に各操作に対する追随性が悪いし、処理が遅すぎる。また画面配置や操作パネルにも配慮が不足しているようで、ソフトの開発に力が入っていないことが感じられるのだ。無料で配布されるソフトであるから仕方がないのだろうか?

 それよりもこのソフトの最大の問題は、処理した画像を元のRAWデータモードで保存できないことだ。RAWデータは撮影から印刷まで画質を落とさずに処理できることが理想であるし、そうでなければRAWデータを扱う意味がないとさえ私は思っている。TIFFやJPEGなどの他の画像フォーマットに変換してしまえば、画質の劣化は避けられないからである。

 たとえばニコンのNikon Capture 4ではRAWデータで撮影した画像を、ソフトで調整した後もRAWデータで保存でき、もちろんプリントもRAWデータから直接できる。そして、その後何度でもRAWデータのまま画質調整ができ、撮影時の状態に完全に戻すことも可能である。こうした処理の間、画質はまったく劣化しない。

 だが、キヤノンのこのソフトでは、RAWデータを処理した後、保存する際に必ず巨大なTIFFファイル(40MBを越える)か不可逆圧縮のJPEGファイルに変換されてしまい、その後はソフト上でなんらかの処理をすれば画質が劣化していくため、それを印刷しても本来のRAWモードのクオリティには達しないはずである。

 このソフトはキヤノンのデジタル一眼レフも共用であるらしいが、とするとキヤノンのデジタル一眼レフユーザーは、現在もRAWデータの本当のメリットの恩恵を受けないままなのであろうか。

●パノラマ撮影を楽しむ

スティッチアシストモード

 このカメラには、スティッチアシストというパノラマ撮影モードが備わっている。大学時代の研究で景観解析をした際に、銀塩で苦労しながらパノラマ写真をたくさん作ったが、今では簡単にパノラマ写真を合成できるのは感慨深いものがある。

 このカメラでのパノラマ撮影は非常に簡単である。スティッチアシストモードにすると、液晶モニターの表示が変わるので、まずパノラマ合成する方向を指定し、次にその順番にコマの端を重ねながら撮影していく。ポイントはできるだけ撮影する画像の方向を揃え、傾けたりしないことである。確実に撮影するなら、三脚を使用し雲台を水平方向にだけ回して撮影するとよい。

 撮影後、付属のZoomBrowser 5.0EXの中のパノラマ合成モジュールPhotoStitch3.1で合成処理すれば、簡単にパノラマ写真ができあがる。とてもおもしろいので、ぜひ挑戦して欲しい。

 ただしこの機能には、つまらないことだが面倒な問題があった。カメラで撮影した画像には、パノラマ合成用の写真であることを示す固有のファイル名が1画像ずつ与えられる。例えば最初の駒がSTA_0001.JPGだと、次はSTB_0002.JPGとなり、その次はSTC_0003.JPGである。

 そう、複数のパノラマ写真を撮影し、付属のZoomBrowserで一覧すると(別に他のソフトでも同じだが)、ファイルソーティングが一般的には名前順になっているので、STA_0001.JPGの後に別のパノラマ写真の最初の駒STA_000?.jpgが並び、その次に別のパノラマの駒が並ぶ。というわけでパノラマ写真のひとまとめの画像がまとまって並ばず、わけがわからなくなってしまうのである。もちろん撮影日時で並べ替えればまとまるのであるが、ファイル名の与え方を系統的に行えばこんなことにはならないわけで、苦笑するしかなかった。

 それから、PhotoStitch3.1で合成した写真は、つなぎ目の処置があまりうまくない。作例写真の左側の建物を見ると、屋根が連続していない。当初、手持ちで行なった私の撮影方法がよくなかったと反省したのだが、たまたま手元にアークソフトのPanorama Maker3というソフトがあったのでこれで同様に処理してみたら、見事なまでにきれいなパノラマ合成写真ができあがって、正直感動してしまった。作例写真の2点目がそれである。このソフトのほうが各種の機能も上であるし、印刷結果も良好だった。

PhotoStitch3.1で合成した写真 (7,864×1,628ピクセル、2.1MBの画像を開きます)
Panorama Maker3で合成した写真 (7,874×2,220ピクセル、3.34MBの画像を開きます)

 PowerShot G6には、同じアークソフトのPhoto Inpression5が付属してくるのだが、であれば能力が劣るPhotoStitch3.1の代わりにPanorama Maker3も同梱したほうが、スティッチアシストモードをより活用できると思うのだが。

●640×480(10fps)が加わった動画モード

 G5では動画モードとして320×240(15fps)と160×120(15fps)だったが、G6ではこれに640×480の高画質の動画モードが加わった。ただしこのモードでは10fpsで1回に約30秒までしか記録できない。他のモードでは約3分まで記録できる。もちろんCFカードの空き容量までは何回も録画可能だ。モノラル音声の同時記録もできる。

 今回640×480で動画を撮影してみたが、再生すると10fpsでは画面のつながりのなめらかさが足りず、コマ落ちして見えてしまう。なめらかな動画を撮影したいのであれば、15fpsの320×240が適切だろう。

 基本的な動画の編集は付属のZoomBrowser EX 5.0でも可能となっているが、このG6にはアークソフトのVideoImpression2も同梱されている。

●バージョンアップしたZoomBrowser EX 5.0

ZoomBrowser EX 5.0

 キヤノンのデジカメに付属してくる画像ビューワーがZoomBrowser EX 5.0である。今回ver.5にバーションアップした。このソフトはズームモードかスクロールモードで画面を一覧し、プレビューモードで個々の画像を表示し、管理し、さらに印刷やRAWデータの現像、パノラマ合成、さらには動画の編集を行なうというものである。その上カメラをリモートコントロールすることもできる。

 非常に高機能なソフトに感じられるが、昔のバージョンは私の知人のユーザーの間では使い勝手や機能の面で決して評判は良くなかった。今回の新版ではかなり改善されたということだが、実際に使用してみると最初フォルダ単位のサムネール画像ファイルの生成にかなり時間がかかるとか、すでに述べたように付属のモジュールの機能が劣るとか、気になる点が多い。

 画像ブラウザは起動が速く、画像をできるだけ高速に表示するシンプルなソフトが結局使い勝手がよいと思うし、実際そうしたものしか使わなくなるものだ。

●最後に

 PowerShot G6は700万画素級に高画質化されたことと、ボディデザインが一新されたことが大きな特徴となっている。そして内蔵された機能は、それまでのPowerShot Gシリーズで培ってきた内容を上手に引き継いでいる。1/1.8型CCDを採用したカメラの中では画質も優れていると言え、手堅くまとめたカメラである。

 ただし検討不十分な印象があるのも事実で、それは例えば大型化した液晶パネルの視認性の問題や、上位機Pro1が電子ビューファインダー化しているのにこのG6は使い勝手のよくない光学ファインダーを搭載したままであること、さらに4倍ズームレンズの光学性能に疑問があるといった点など、である。さらにキヤノンとしてRAWデータをどう普及させていくのかという大きな問題が見え隠れしている。添付のキヤノン製ソフトZoomBrowser EX 5.0とその付属モジュールには、改良の余地がまだまだあるだろう。

 キヤノンユーザーには、このG6はアクセサリーが共用できるため、デジタル一眼レフのサブ機として使うには重宝であることは間違いない。問題は価格で、デジタル一眼レフの低価格化がさらに進行すると、位置づけが苦しくなってくるようにも思う。またPowerShot機種群の中での競合の問題も出てくるかもしれない。

□製品情報
http://cweb.canon.jp/camera/powershot/g6/
□関連記事
【8月20日】キヤノン、フルモデルチェンジした「PowerShot G6」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0820/canon3.htm

■注意■

  • 各記事のサンプル画像の著作権は、根本泰人に帰属します。無断転用・転載は禁じます。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。

  • 作例画像は、オリジナルのままです。縦位置のものは、サムネールのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。

バックナンバー

(2004年9月8日)

[Reported by 根本泰人]


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
個別にご回答することはいたしかねます。

Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.